「ダーリンのばか〜〜〜〜〜〜!!!!!」
バリバリバリバリバリ・・・・がしゃ〜〜ん!!!

おやおや、また始まったようですよ。例のふたり・・・
全くよく飽きないもんですねぇ。

今、ラムがぶっ飛んで行きました。
えらい勢いで放電してます・・・・。マジで怖いです、あれ。
ありゃ?テンも巻き添えを食った様ですよ。

「お・・・お・・・おまぁのアホ〜〜・・・・」
「恨むんならラムを恨め!俺が一体何をしたっちゅうんじゃ。
  ただ、サクラさんをお茶に誘って、しのぶを映画に誘って、
 ランちゃんをデートに誘って、竜ちゃんと・・・」
「それで、こんな目に遭わされたんじゃ!」
「誘っただけで実際は何もしとらん!全部断られたんだぞ、俺は!!」
「えばるな、ボケ〜〜〜」

あー、あー、喧嘩始めてしまった。
どーやらこっちのほうが揉めそうですね〜〜。
ラムんとこ先に行ったほうが良さそうです。






友引町を見渡せる小高い丘の上でラムがたたずんでいます。

(・・・どーしてダーリンはほかの女の子がいいっちゃ・・・。)
(性格だからどうしようもないっていっても気になるっちゃ・・・。)
(・・・やっぱり地球の女の子のほうがいいのかな?)
(うちじゃ・・・うちじゃ駄目なのかな?)

ラムの感傷は突然途切れます。

「おお、ラムではないか!」

呼ばれもせんのに現れたのはお馴染みの妖怪坊主、錯乱坊。

「ひ、ひさしぶりだっちゃ・・・」
「何じゃ、その嫌そうな顔は。おぬしここで何をしておる??」
「別になにもしてないっちゃ。ちょっと物思いにふけってみただけだっちゃ。」
「ほほぅ、おぬしが物思いとな。悩み事でも抱えたか・・・
 わしも世のため人のため僧籍に身を置く者。何でもわしに話してみるがよかろう。」
「結構だっちゃ。錯乱坊に話してロクなことになった事がないっちゃ。」

身も蓋も無いというか・・・この妖怪坊主相手では仕方がないか・・・?

「おおかたの予測はついておる、諸星あたるのことじゃろう。」
「聞こえなかったのけ?うちは結構と言ったっちゃ。」
「まぁ、聞かれい。諸星あたるという男はもともと
 いい加減で、怠け者、いやしくて、女癖悪く、無節操じゃ。」
「そこまで言うことないっちゃ!」
「が、しかしその一方で・・・・・
 大した取りえがあるわけでもないのに、本物の自信に溢れとる。
 何事もいいかげんに見えるが、その実正確に状況を把握し、冷静な判断を下す。
 気取ったことを嫌う性格ゆえ、そのことは表に出さぬがのう。」

錯乱坊らしからぬセリフにラムは相当驚いているようです。

「チ、錯乱坊・・・何か悪いものでも食べたっちゃ?」
「どういう意味じゃ!」


「それにしても、おぬし変わったのう・・・」

錯乱坊は話の矛先をラムに向けたようです。

「うちが・・・?」
「地球に来たばかりの頃のおぬしはいつも怒りっぽく、カリカリしておったが、
 今ではゆとりが見えて、落ち着いた雰囲気がある。」
「うちは別に怒りっぽくなんかなかったっちゃ。」

自分の性格というのは意外と自分では分からないものです。(^^;)

「もうひとつ、言わせてもらうとな。人というのは満足できる状態でもそれがまだ足りぬと
 思い込もうとする場合がある。目的を達した時にそれ以上の事を望むゆえに、
 無意識のうちにそれに気付いていないように自らを装うのじゃ。
 人の煩悩限りなし、大無間と言うわけじゃ。」
「よく分からないっちゃ。」
「それを理解できればおぬしの悩みとやらも消えてなくなるであろう。」
「聞けと言っておきながら無責任な話だっちゃね〜」

と、その時・・・

  わ〜〜ら〜〜〜び〜〜〜〜も・ち〜〜〜〜。

と、わらびもち売りが・・・

「わしは、わらびもちが好きでのう・・・」
「うちは帰るっちゃ。」
「ありがたい説法を聞いた後は布施をするものじゃぞ。」
「うちは別に聞きたくなかったっちゃ。結構だと言ったはずだっちゃ。」
「・・・・・(−−;)」

ラムはそー言ってさっさと飛んでいってしまいましたとさ・・・。




・・・正確に状況を把握し、冷静な判断を下す。
 気取ったことを嫌う性格ゆえ、そのことは表に出さぬがのう・・・

・・・目的を達した時にそれ以上の事を望むゆえに、
 無意識のうちにそれに気付いていないように自らを装うのじゃ・・・

(錯乱坊は結局何が言いたかったんだっちゃ??)

ラムは錯乱坊の話を充分に理解は出来なかったようです。
しかし、錯乱坊の説教は落ち込んでいた気持ちに変化を与えたようです。

「ダーリンにわらびもち買っていこっ。」










「おい、この涼しいのに窓閉めたらんかい。」
「星がきれいだぞう・・・」
「ラムちゃん待ってるなら無駄やで。」
「誰がラムなぞ待ってるか!」
「そ〜やろな〜、おま〜薄情やもんな〜〜」
「・・・・おい、ジャリテン。ちと付き合え。」
「何でこんな時間にお前とつきあわなあかんねん!」
「やかましい!シノゴ言わんとさっさと自転車に乗らんかい!!」
「あ〜〜、なんやそのフライパンは〜〜〜!」

スパコーーーン!!

見事なバットコントロール・・・テンは階下の自転車の籠に見事に命中。
あたるも屋根伝いに軽快に降りてきて自転車に跨りました。
どうやら・・・友引高校に向った模様。


「こら、あたる。演劇部の衣装をさばくって何を考えとるねん。」
「知れたことよ。今日の宿直は温泉マーク。腹いせにおどかしてくれるのだ。」
「おまえ、ほんに志が低いな〜〜。犬男か?」
「狼男じゃ!!」

ガラッ・・・

「こりゃ、温泉!!」
「何じゃい!」

あたるとテンは宿直室に入ったとたん驚いてぶっ飛びました。
温泉マークが狸男の格好をしていたからです。

「なんだ諸星、そのたわけた姿は??」
「人のこといえるかっ!?」
「あぁ、これか。さっきまで人手不足の演劇部の手伝いをやっとったからな。
 メークを取るのを忘れておったわ。」
「くくっ・・・」
「それで貴様は何しに来たのだ?おおかた、またラムを怒らせて追い出されてきたのだろう?」
「半分当たりで半分はずれや。あんな、あんな、あたるの奴ラムちゃん怒らせて
 逃げられてしもうたんや。ほんでふてくされとんねん。」
「こりゃ!ジャリテン!!余計なことを言うんじゃない!!!」
「ホンマのことやないけ!!」
「そうか、そうか、そういうことか。諸星、自業自得よの〜〜。がはははは」
「ええい、やかましい!!」
「いい機会だ。きょうはたっぷり油をしぼっちゃる。」

と、あたるが机に手を伸ばす・・・。どうやら温泉の前においてある清酒に目をつけたようです。

「こらぁ、諸星ーーーー!!未成年の分際で酒を飲むつもりか!!!!」
「うるせ〜、シラフでこんなつまらん話が聞けるかよ!!」

あ〜らら、またしても喧嘩が始まってしまった・・・・。

んで、激闘数刻・・・

「ぜ〜〜、ぜ〜〜、ぜ〜〜・・・・こら、諸星・・・」
「は〜、は〜〜、は〜〜・・・なんじゃい・・・」
「テンが待ちくたびれて寝込んでしまっておる。
 保護者としてしかるべき処置をとれ。」
「ジャリテンの保護者はラムだぞ!」
「貴様、そのラムに逃げられてここにきとるんだろーが。」
「幼児のたわごとをストレートに受け取るな!!
 大体、その逃げた、逃げられたというのは何なんだ。俺はそういう関係を持った覚えは無いぞ。」
「ほほ〜〜、では聞くが女癖の悪いお前があえて成功するはずも無い強引な方法で
 ガールハントに走っておるのは何故だ?
 ラムが現れる前まではもう少し無い知恵しぼっておったではないか??」
「それは貴様の勝手な思い込みだ!」
「そうかな?わしは長いこと貴様を見てきたし、教育者として他の多くのガキどもも見ておる。
 そのわしから言わせてもらえば貴様が今していることは
 小学生が気になる相手の気を引こうと、相手の嫌がる行為をしているようにしか見えん。」
「ふっ、何を馬鹿なことを・・・」
「そういう子供の行為は大概無残な結果に終わる。相手から十倍にして報復されるか
 世間から悪者のレッテルを貼られるか・・・」

セリフだけ聞いてると温泉マークが真面目に話をしているようですが、
実際は酒に手を伸ばすあたるをどつき倒しながらしゃべっています。

「お前のよ〜な奴といると苦労も尽きぬであろ〜に、
 ラムはそれを表に出すことなく明るく振舞っておる。」
「これは俺とラムとの問題だ。お前ごとき部外者に口を出して欲しくない!
 っと・・とったりぃ!!」

あたるが酒ビンの奪取に成功しました。すぐ、きびすを返して逃亡を図ります。

「こら〜〜〜、諸星!!テンはどうするのだ、テンは〜〜〜!!!」

温泉マークの必死の怒声もあたるの耳には届きはしません。
逃げることに関しては天才的な才能を持ち、
非公認ながら、あがり36秒の俊足を誇る彼を捉えるのは、オリンピック選手でも不可能でしょう。

「ひひひひひ、さぁて、ここまで来ればもう大丈夫だろ〜て。
 うむ、うまい!」

お〜、お〜、うまそうに・・・ちなみに筆者は下戸です。(^^ゞ
ど〜やら酔いもまわってきた様子。が、どうやら気分良くとはいかないようです。
いわゆる悪酔いというやつですね。

「にゅうわにぃが、『小学生が気になる相手の気を引こうと、相手の嫌がる行為をしている』じゃ。
 この俺様のガールハントという高貴な趣味をよりによってそんなことに・・・
 『お前のよ〜な奴といると苦労も尽きぬ』??あ〜あ〜、そうでしょうとも!!
 しかし、俺はラムにそれを頼んだ覚えは無いぞ!!あいつが勝手にくっついてるだけじゃ。」

こらこら〜〜、一気にラッパ飲みするんじゃない!!
いくらおのれの身体が常識外れに丈夫だゆーても1升瓶の日本酒を一気飲みしたら・・・
あ〜ららら飲みきっちまった・・・・あ〜とはしらね〜〜〜っと・・・






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  以下、諸星あたるの日記より抜粋・・・

 その後のことは記憶に無い。
 断片的に覚えているのは、俺の部屋に戻るとラムがいたので少しほっとしたことと、
 何か口走りながら何か冷たいものを食っていたようなこと位だ。
 朝になってからラムの機嫌が妙にいいので非常に気になっている。
 あの夜、一体俺は何を口走っていたのか、どうしても思い出せん。
 ラムに聞いてもうれしそうに笑うだけで答えてくれんし、
 ジャリテンに聞き出すように頼んでも、
「置き去りにしといて何をゆーとんねん!!」
 と言われる始末だ。
 あぁ、俺は一体あの晩何を口走ったのだぁぁぁ・・・

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んで、翌朝。友引高校2年4組にて・・

「しのぶ〜、今度映画観に行かない?」
「だって、ラムがいるじゃない」
「ラムなんか関係ない!!」
「そ〜ゆ〜事は後ろを見てから言った方がいいんじゃない?」
「うしろって・・・うわ!?ラ、ラムッ!!」
「ダーリン!まだそんな子供みたいな事をするっちゃ!?」
「だ、誰が子供みたいな事をしとるか!?」
「そういうことをダーリンがするからうちは苦労してるっちゃ!!」
「何を訳の分からん事を・・・あっ、竜ちゃ〜ん。」
「こら〜〜〜〜!!!」

バリバリバリバリバリ・・・・がしゃ〜〜〜〜〜〜ん!!!!




「オイオイ、またあのふたりやってるぜ。」
「んったく、懲りねえというか・・・」
「進歩って奴が無いのかね。あいつらには」
「まぁ、いいんじゃねえの。本人たちはあれで結構楽しんでいるんだからさ。」
「ご当人は気付いていないがな!!」

	


 



参考文献および複写文献
うる星やつらワイド版(全15巻)高橋留美子・著  発行所:株式会社 小学館
少年サンデーコミックスアニメ版 著者同上 C高橋/小学館 キティフィルム
うる星やつら劇場版VTR (オンリーユー・ビューティフルドリーマー他)製作 キティフィルム