-------------------- うる星やつら --------------------

                       ダーリン意中の人の巻


テン   「おっちゃーん・・どないしたんやあ?」
謎の男 「あっ、ああーぼうや・・おっちゃん、3日前から何にも
      食べてなくてなあー・・・死にそうなんだよ・・」
テン   「かわいそうになあ・・・ちょっと待っててやあー」

錯乱坊 「こっ、こらこらテン!どこへ持っていくんじゃ!」

テン   「おっちゃーん、これでも食べて元気だしい」
謎の男 「おおー、すまない」
      パクパクパク
謎の男 「ああー生き返った!ぼうやありがとう!
      お礼にこれをあげよう」
テン   「なんやあ?これ」
謎の男 「それを意中の人に飲ませると心を奪うことが
      できるんだよ。というわけで、さようならぼうや!」
      シュパッ
テン   「あっ・・おっちゃーん・・」
      (ふーん・・心を奪えるんかあ・・・サクラねえちゃんにでも
       飲ましてみようかなあ・・)

テン   「ただいまあ・・」
ラム   「どこ行ってたっちゃ!!テンちゃん!!」
テン   「うっわあー・・なんやラムちゃん機嫌悪そやなあ・・
      また、あたるのアホがなんぞしよったんかいなあ?」
ラム   「だっちゃ!!またダーリンにデートの約束すっぽかされたん
      だっちゃ!ほんとにもうー!!!
      どうせまた他の女の子追いかけてるっちゃ!」
テン   「もうー・・あんなアホなんか忘れて、星に帰えろうよ・・」
ラム   「何言ってるっちゃ・・・ん?・・何だっちゃそれ!?」
テン   「えっ?ああーこれは、変なおっちゃんがこれこれしかじか・・」
ラム   「これこれしかじかじゃ、わからないっちゃ」

ラム   「へえー、意中の人の心を奪える薬・・
      これはいいものをもらったっちゃ、さっそくダーリンにのませる
      っちゃ」
テン   「あっ・・それはサクラねえちゃんに・・・」
ラム   「なんだっちゃ!!?」
テン   「なんでもないですう・・・」

あたる 「おっ嬢さあん!そこの茶店でお茶でもいかがですか?」
女の子 「何よ、あんた・・彼女がいるくせにからかってんの?」
あたる 「えっ?彼女?彼女って・・・・・げっ!ラム!」
ラム   「なにしてるちゃ!ダーリン・・うちとのデートの約束すっぽかして」
あたる 「ええっ・・っと・・そうだったっけかなあ・・・」
ラム   「ごまかすんじゃないっちゃ!いいからこれを飲むっちゃ!」
あたる 「わっ!なんだなんだ!変なもん飲ませるな!」
ラム   「変なもんじゃないっちゃ!これは・・・」
あたる 「これは?」
ラム   「こっ、これは、サクラにもらった精力のつく薬だっちゃ」
あたる 「えっ!サクラさんが!・・・ほんとかなあ・・」
ラム   「ほっ・・ホントだっちゃ」
あたる 「うーむ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あたる 「面堂のオタンコナスウウウウウウウウ!!!」
      ダダダダダダダダッ
面堂  「きさまあー!」
あたる 「はい、アーン」
面堂  「アーン?」
      ゴックン
ラム   「・・・・・・・・・・・・・・」
あたる 「・・・・・・・・・・・・・・」
面堂  「ああー!僕の意中の人は!意中の人はラムさあーん!!」
      ハシッ
ラム   「ぎゃーっ、何するっちゃ!放すっちゃ!!」
      ビリビリバリーッ
面堂   「ラッ・・・ラム・・さあ・・あん・・」
      ドテッ
あたる 「ははーん・・・こういうしかけね!・・・・・・・・・・・」
ラム   「・・・・・・・・・・・・」
あたる 「やい、ラム!こういういいものは・・・・・・・・・・・
      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・全部俺が使う!!」
      タタタタタタタタッ
ラム   「・・・・・・・・こっ・・こらあ!待つっちゃ!ダーリン!!」

ラム   「んもう!逃げ足だけは早いっちゃねえ!どこいったっちゃ!」

あたる 「へへん、そう簡単につかまるか!」
あたる 「さて、おしいことをしたなあ・・あと2粒・・・誰に飲ませるか・・・・
      しのぶ・・ランちゃん・・竜ちゃん・・」
錯乱坊 「わしに飲ませるがよい」
      バコゥオゥオオオン
あたる 「いきなり出てくるな!!」
あたる 「よし。サクラ先生に飲ませよう!」

あたる 「サークラ先生!」
      バコゥオオーン
あたる 「いきなり何を・・・・」
サクラ 「いや、すまぬ。つい条件反射でな!」
あたる 「ひどいなあ・・もうだめだ・・俺・・今ので死にます・・」
サクラ 「こらこら、死ぬな!うなされる」
あたる 「最後のプレゼントです。こっこれを飲んで下さい・・」
サクラ 「なんじゃ?これは・・・面妖な・・・」
錯乱坊 「拙僧が飲もう、ゴックン」
      バッコオオオオオーン ヒュウー
あたる 「気色悪いことすなーっ!」

あたる 「ああー、最後の1粒になってしまった・・先生・・早くこれを・・」
サクラ 「だから・・なんなのじゃこれは?」
あたる 「精力がつく薬です!・・はっ早く!」
サクラ 「では、おぬしが飲むとよい」
あたる 「いや、俺は・・ゴックン」
サクラ  「・・・・」
あたる 「サクラ先生・・・」
サクラ 「なんじゃ?元気がでたか?」
あたる 「ぼっ僕は僕は!!」  
      バコオオオン
サクラ  「言わずとも気持ちだけで充分じゃ!」
あたる 「ぼっ僕はあ・・・・」


ラム   「なんだっちゃ?とうちゃん。急に呼び出したりして・・」
父ちゃん「ああー、ラム。元気にしてるか、そろそろ鬼星にもどらんか?」
ラム   「何行ってるっちゃ!うちはダーリンと・・」
父ちゃん「ああー、わかった、わかった、みなまで言うな」
父ちゃん「ところで、ロイとは会ったか?」
ラム   「ロイ?・・だれだっちゃそれ?」
父ちゃん「なんや、まだ会っとらんのか・・しょうがないやっちゃな・・どこで
       油を・・」
ロイ   「大将、今戻りました!」
父ちゃん「なんや、ロイ!ラムに会ったんとちゃうんか!」
ロイ   「えっ?ああーそうでした。地球に言ったのはラム様に会うためでしたっけ」
父ちゃん「何しに行っとんたんや!おまえは!」
      「早よ、ラムに例の薬渡してこんかあ!」
ラム   「父ちゃん、例の薬ってこれだっちゃ?」
父ちゃん「おお、それやそれや!なんや、ちゃんと渡っとるやんけ!」
ロイ    「そうだ!思い出した。鬼っ子に飯のお返しにあげたんだった」
父ちゃん 「何やっとんじゃ、おのれは・・」
ラム    「そう言えば、テンちゃんが、変なおじさんにもらったって言ってたっちゃ
       ダーリンに取られるとまずいから、半分隠しもってたっちゃ」
ラム    「父ちゃん、これなんなんだっちゃ?」
父ちゃん 「ええか、ラム、よう聞きなさい。
       それは、飲んだ者がまっ正直に自分が今一番大切に想うとる異性を
       告白する薬なんや」
ラム    「今、一番大切に思っている異性・・」
父ちゃん 「そや。だからそれを婿どのに飲ませて告白させるんや」
ラム    「なんで、そんなことを?」
父ちゃん 「ええか、もし婿どのがラムの名を言えば、まあーそれでええこっちゃ
       しかし、別の女の名前が出てきたら・・」
ラム    「別の女の名前が出てきたら・・・・・・・」
父ちゃん 「婿どのの心、ラムにあらず!
       きっぱり、婿どのの事は忘れて、ラム!鬼星へ帰ってくるんや!」
ラム    「そんなあ・・強引だっちゃ・・父ちゃん!」
父ちゃん 「ラムのためや!」
ラム    「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ラム    「わかったっちゃ、父ちゃん・・・・・・・・・・・・・
       きっとダーリンは・・・ダーリンはうちの名前を言ってくれるっちゃ!」

[次の日]

ラン 「ラァームちゃん!」
ラム 「ランちゃん!・・・どうしたっちゃ?」
ラン 「お誕生日おめでとう!」
ラム 「うちぃ??」
ラン 「そうよぉ・・って何言ってるの?ダーリンの家で誕生パーティやるから
     来いって・・・電子メールくれたじゃない・・・今日でしょう・・・」
ラム 「うち、知らないっちゃよ・・だいたい、うちの誕生日もう、3ヶ月前に
     終わったっちゃし・・」
ラン 「・・・・・・・・・・・・・えっ?」
ラム 「うん・・」
     ゴソゴソゴソ
ラン 「・・・・・・・・・・・・・・・!!」
ラン 「おんどりゃあ!なめとんのかい!こんなこともあろうかと、電子メール
     プリントしてきたんじゃ!よぉー見てみい!ラムのアドレスでちゃんと
     きとるやんけ!!」
ラム 「ええーっ?」
ラム 「本当っちゃ・・・・でも・・・これ、うちの鬼星での特殊アドレスだっちゃ」
    「それに、この送信日にはうち地球にいたんだから、送れっこないっちゃよ」
弁天 「なんでえ!いたずらかよお!」
お雪 「私もそんな予感がしていたのよ」
弁天 「だったら、先に言えよな・・」
ラム  「弁天!お雪ちゃんまで・・・みんな騙されたっちゃ?」
弁天 「とにかく、玄関先でもなんだから上がらせてもらうぜ」
お雪 「お邪魔します」

弁天 「ん?亭主は留守か?」
あたる「弁天さまあー!!」
弁天 「うわあっ!いっいたのかよーっ」
あたる「今帰って来たのです。ぐふふ、ついてるなあ!ランちゃん!お雪さんまでえ」
     スリスリ
ラム  「いい加減にするっちゃ!」
     ビリバリビリーッ
あたる「うわーっは」
弁天 「相変わらずだなあ・・」
お雪 「それにしても、そのうそのメール・・だれが送ってきたのかしら?」
弁天 「だれでもいいじゃねえか!とにかくみんな集まったことだしよおー
     パーッとやろうぜ!パーッと」
ラム  「パーッと・・何をやるっちゃ?」
弁天 「しらけること言うなよ!3ヶ月遅れの誕生パーティでもなんでもいいじゃねえか
     誰か、ケーキかなんか買ってこいよ」
ラム  「騙されたにしても、何も持ってこなかったちゃ?」
弁天 「ははは、そういやそうだ」
ラン  「あらあ、ランちゃん手作りのケーキ持ってきたのよ」
あたる「ありがとう、ランちゃん・・僕のために・・」
     スリスリスリ
     バコン!
ラム  「だれが、ダーリンのためだっちゃ!」

謎の男「わっはっは、まんまとみんな集まったようだな!」
あたる 「うーん、見事な出来栄えだ!さすがランちゃん!」
弁天  「ケーキだけはうまいよな!ランは・・」
ラン  「だけとは何よ、だけとは!」
謎の男「わっはっは、諸君!よく聞きたまえ」
ラム  「でも、うちにはちょっと味がうすいような気もするっちゃ!」
お雪  「ラムは昔から味覚が違っていましたものね」
謎の男「おい!聞け!」
あたる 「おれ、もう1個もーらおっと!」
テン  「こらっ、わいの分取るな!」
あたる 「げっ、ジャリテン!どっから湧いて出た!」
謎の男「おいっ!!!」
一同  「うるさい!」
謎の男「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ラム  「あっ!おまえは・・」
謎の男「ふふふ、その通り!」
ラム  「謎の男っちゃ?」
      ズテーッ
謎の男「そのまんまやんけ!そのまんま!」
謎の男「謎の男とは仮の姿!その正体は・・」
弁天  「うそのメール送ってきやがった奴だな!このう!こうしてやる!」
謎の男「うわあああっ!いてててて!なんでわかったんだ!」
あたる 「実はちゃんと聞いておったんだったりして」
テン  「あっ!きのう薬をくれたおっちゃんやんけ!」
謎の男「そうだよ!そうそう!ぼうや!助けておくれ!」
あたる 「なに!きのうの薬!?心を奪える薬か!俺にもっとよこせ!
      そしたら助けてやる!」
      バコーン
ラム  「何言ってるっちゃ!あれはもうこれだけしかないんだっちゃ!」
あたる 「ああーっ!ラム!まだ隠し持っていやがったのか!俺によこせ」
ラム  「いいっちゃよ。ただし・・・」
あたる 「ただし?」
ラム  「1粒だけダーリンが飲むっちゃ!」
あたる 「何をバカな!そんな薬で心を奪うなんて本当の愛じゃない!」
弁天  「よく言うぜ、その薬を使おうとしているくせに!」
ラム  「これは心を奪う薬なんかじゃないっちゃ!」
あたる 「でまかせを言うな!」
謎の男「本当です!それは飲んだ人が正直に今一番大事な異性を告白する
      薬なんです」
一同  「ええーっ!」
ラム  「本当ちゃ!ためしにうちが1粒飲むっちゃ」
      ゴックン
一同  「・・・・・・・・・・・・・・・」
ラム  「うちが・・うちが一番大事なのは・・・・」
ラム  「ダーリンだっちゃーっ」
      ハシッ ビリバリビリーッ
あたる 「うわあーっはっはっ」
一同  「・・・・・・・・・・・・・・」
弁天  「なんか・・・」
お雪  「今と変わらない気もしますけど・・・」

謎の男「とにかく、あたる殿には薬を飲んでいただかなければなりません」
     「場合によっては、ラム様を連れて帰ることにも・・」
弁天  「聞きづてならねえな!どういうことなんだ!?」
ラム  「弁天・・みんな・・・実はこれこれしかじか・・」
弁天  「これこれしかじかじゃわかんねえぞ!」

あたる 「ええーっ!・・もし俺が・・・」
弁天  「ラムと言わなければ・・」
ラン  「いやいやいや!帰るだなんてーいやあ!」
ラム  「だーいじょうぶっちゃ!ダーリンはきっと、うちの名前を言ってくれるっちゃ!」
     「ねえー、ダーリン!」
あたる 「・・・・・・・・・・・・」
弁天  「なんや?自信ないってツラだなあ・・・」
ラム  「ダアリン・・・」
あたる 「やっ・・やめないか?こんなことしたって何にもならないじゃないか・・」
謎の男「それはできません!」
ラン  「なんでやねん?」
謎の男「えっ・・?」
     「なっ・・なんででしょう?」
     「なんででしょうか?」
ラン   「わしが知るかっ!」
あたる 「やっやめよう!理由もなく人の心のぞかれてたまるか!」
弁天  「あっ、逃げた!」
ラム  「ダーリン!」
     
     ボテーン
あたる  「ってえー!だれだ、そんなとこにつっ立ってるのは!」
父ちゃん「婿どの、堪忍して薬飲むんや!」
ラム   「とうちゃん!」
謎の男 「大将!」
父ちゃん「こら、ロイ!たよりにならんやっちゃのう!」
謎の男 「すんまへーん!」
父ちゃん「婿どの、ラムのためや!薬飲んだってんか!」
あたる  「ははは・・はい」

ラム   「はい、ダーリン」
あたる 「ラム・・・」
ラム   「ダーリン・・・・信じてるっちゃ」
あたる 「ははは・・ははははは」
あたる 「ちくしょう!しらねえぞ!」

      ゴックン
一同  「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あたる 「俺が・・・俺が・・今一番大事に思っているのは
      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ラム   「想っているのは?」
あたる 「・・・・・・・・・・・・・・**さんだあーっ!」
一同  「ええええーっ!!」


あたるの母「まったくもう、さっきから2階が騒がしいわねえ!」
        「また御近所に叱られるわ!」
        「ちょっと!あなたがた!」
あたる    「かあさん!」
         ヒシッ
あたるの母 「どうしたの?あたる!気持ちの悪い!」
あたる    「みんなが、みんながかあさんのこと言ったら・・」
あたるの母 「えっ?」
あたる    「だって、俺まだ高校生だから、かあさんが大切にきまってるだろ!」
         「かあさんがいなきゃ、飯も食えないし、こづかいをくれなきゃ
         デートだってできないじゃないか!」
一同      「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ラム      「とうちゃん・・・」
父ちゃん   「ははは、ラム」
ラム      「こういう場合どうなるっちゃ?」
父ちゃん   「アホ!嫁なら嫁らしくもっと姑さんより婿どのにつくさんか!」
ラム      「ふふ!はあい!」

ラム      「ダアーリィィィィィン・・・・・の・・・・・バカア!!!」
あたる    「うわあっ!ラムッ!!」

                             おしまい!
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