チビの初恋        作・NT(しじま・たかし) (ラム)(ナレーション)「春、それは出会いの季節。ここに一人の少年が歩いていたっちゃ」 ―チビがかばんを持ちながら歩いてくる。 チビ「はあ・・・今日も最悪だった。メロンパン買いに行っただけであんな事になるなんて・・・あれ?」 ―チビの住むアパートの前に一台のタガメ引越しセンターのトラックが停めてある。 チビ「そういえば隣は空き部屋だったなあ」 (ラム)「チビは新しい隣人はどんな人かと考えながら階段をあがってったっちゃ」 ―チビ立っている前に青い作業服を着た男が二人立っている。 引越し屋「ありがとうございました」 女の声「ええどうも」 ―引越し屋はチビの隣を通っていった。 女「あら、こんにちは。あの今日引っ越してきた佐々木芳子ですよろしくお願いしますね」 ―女が出てきて軽くお辞儀をした。女は若く20前後に見えた。 (ラム)「このときチビの恋は始まったっちゃ」 チビ「・・・あ、あ、はい、こ、こちらこそ、へ、へへっ」 ―チビは一瞬間をおいて自分の家の玄関に走り出した。 (ラム)「チビはその日の夜、眠れなかったっちゃ。目をつむるとなぜか引っ越してきたあの女の人の顔 が目にうかんだっちゃ」 ―次の日。学校への登校途中。 メガネ「おいチビ、どうした?浮かない顔なんかして。未来の日本を背負う男児がそんな顔をしてどう する?朝飯は食ったか?白いご飯に納豆に味噌汁。これが日本人の朝食というものだ。だいたいいまの やつらは・・・」 チビ「べ、別になんでもないよメガネ」 ―パーマが脇から出てくる。 パーマ「よう。ん、どうしたんだチビ?」 チビ「べ、別になんにもないってばぁ」 ―友引高校のクラスにて。 あたる「あーれーチビなんか変じゃないか。ラム」 ―チビが机に座っている。 ラム「そうちゃねぇ」 ―ラムとあたるがチビに近づく。 ラム「どうしたちゃ?」 あたる「おいチビ何か悩みでもあるのか?ははーんさては金でも取られたか?」 チビ「なんにもないよう、なんでみんなそう言ってくるんだよう」 メガネ「おいこらチビ、ラムさんがせっかくお前に話しかけて下さっているのに何だその態度はー!」 温泉(記号がないっ)「貴様らっ授業をやる態度かそれが! ―放課後、チビを除くクラスの全員が集まっている。 あたる「さて皆に集まった事は言うまでもなくチビのことである」 メガネ「今日のチビはいつもと違った」 カクガリ「でもあいつ何でもないって何も言わないぜ」 しのぶ「何でもないって言うのならそっとしとけばいいじゃない」 あたる「フッ、わかってないな、しのぶ。チビは我々にとって兄弟同然なのだよ。なっ、メガネ」 メガネ「えっ、ああ、まあな」 ラム「あっ、そーだちゃ。こういうときはサクラに相談してみるっちゃ」 あたる「おーそうだ、それがいい」 ―みんなが保健室に行く。 あたる「サークーラーせんせー」 ―あたるが飛びかかる。 ―ドガバギドゴスコバキバキバリバリバリバリバリバリ(サクラに蹴られメガネたちに叩かれラムの電 撃が入る)。 サクラ「さて、みんなして何の用じゃ」 ―パンパンと手を払いながらサクラは言った。 メガネ「実は・・・」 あたる「結婚しよう、サクラ」 ―(略)。 サクラ「ふーむ。そいうことか、あいわかった。明日、チビをここに呼んで参れ」 ―その頃、チビは帰宅路をとぼとぼと歩いていた(引っ越してきた女の人を考えながら)。 チビ「はあ・・・」 ―そのときチビは黒い大きなかたまりにぶつかった。 仏滅高生A「おい、どこ見て歩いてんだよ。ボケ」 仏滅高生B「イテテテ、おい何て事してくれんだよ。骨折しちまったじゃねえか」 仏滅高生C「治療費払ってくれんだろうな」 チビ「えっ、ええっ。お、お金持ってないです・・・」 仏滅高生B「ほおー・・・」 ―30分後ボコボコにされたチビが歩いていていた。すると前から女性が歩いて来た。 佐々木「あら。たしかあなた・・・まあひどい顔。大丈夫?ちょっとうちによってきなさい。 ―結構強い力でごしごしと濡れたタオルで顔を拭かれる。 ―そのとき目と目が合う。 佐々木「・・・だめよそんなにいじけちゃ、男の子ならもっと堂々としなくちゃじゃないとまたやられち ゃうわよ」 ―薬を塗られる 佐々木「まっ、私の彼もちょっと君に似てるけどね。・・・あれっどうしたの?」 チビ「・・・」 (ラム)「このときチビは一瞬心臓がきつーくしまる感じの後、鼓動が強く鳴りひびいたっちゃ」 佐々木「薬が染みた?」 チビ「い、いえ。あの、もう大丈夫です。あ、ありがとうございました」 (ラム)「チビは自分の心臓の鼓動が聞こえてしまわないよう一刻も早くこの場を離れたかったっちゃ」 ―チビは靴もちゃんと履かず飛び出した。 (ラム)「その夜、チビは理由はわからない恥ずかしさでいっぱいだったっちゃ。どんなに強く目をつぶ ってもそれから逃れることはできなかったっちゃ」 ―次の日。友引高校にて。 パーマ「おいチビのやつ顔がはれてるぜ。どうしたんだ?」 メガネ「・・・」 ―メガネがチビに近づく。 メガネ「おいチビ。」 チビ「な、何だよメガネ」 メガネ「・・・あんまりみんなを心配させんなよ・・・」 チビ「う、うん?」 ―放課後、チビが席を立とうとすると。 メガネ「おいチビ。ちょっとこっちこい」 ―校舎裏。 メガネ「あのな・・・何があったか知らないが悩みがあるんなら俺が聴いてやる。俺たち、親友、だろ?」 チビ「メ、メガネ・・・」 ―そして。 メガネ「な、ん、だ、とーーーーーー、きっさまー我々にはラムさんというものがいながら他の女にう つつをぬかすなど言語道断。天誅じゃぁー」 チビ「うわ、いや、ちが、ご、ごめんよメガネ〜」 ―夕方、チビがアパートの階段を上がっていく。 佐々木「あら、お帰りなさい」 チビ「こ、こんばんは」 ―チビは家に着くと靴を脱ぎ捨て走ってベットに飛び込んだ。心臓が鼓動を打っている。 終 サクラ「お、遅い・・・いったい何をしておる」