- しのぶの願い - -ある平穏な日曜日の午後。繁華街をひとり歩くしのぶ。 -行き交うカップルを見て、 しのぶ「あーあ、私にも素敵な人がいたらなぁ。     面堂さんもクラスの男どもも毎日毎日ラムラム。     男なんて!」 -みるみる顔が険しくなるしのぶ。周囲の恐怖の籠った視線に気付いて、 しのぶ「ほほほ」 -力一杯笑顔を作ってそそくさと逃げるしのぶ -遠くから地響きが聞こえる。だんだん近付いてくる。 あたる「しのぶ、デートしよう。」 -瞬く間に目の前に現れ、顔を近付けるあたる。 しのぶ「アホ面近付けないでよ。」 -しのぶの華麗なるカウンターパンチ。 あたる「君が望むなら如何様にも変われるんだよ。」 -瞬時に復帰しその見事な男前となった顔を再度近付けるあたる しのぶ「あたるくん・・・。」 -ぼーぜんとするしのぶ。 あたる「よし、チャンスじゃあ。」 -口の中でそっと呟き、唇をしのぶのそれに近付けるあたる ミシ、ミシミシー あたる「崩壊の音がぁ。」 -転げ回るあたる。 しのぶ「やっぱりこういう男なのよね。」 ラム「ダーリン、見つけたっちゃ。」 -いつの間にかあたるの後ろに放電状態のラムの姿がある。 ラム「天誅だっちゃー!」 あたる「うっぎゃああぁぁ」 -今日も人外の域に入った叫び声が響く。 -夕暮れの町並み。帰宅するしのぶ。 -ふと見た所に、ネコでもはいったのだろうか、荒らされて -御神体も地面に放られている哀れな祠がある。 しのぶ「直そうって人はいないのかしら。」 -ぶ−たれながらも直してやるしのぶ。 -その晩、しのぶの夢。 -「声」が聞こえる。 声「おぬしの願い叶えてしんぜよう。」 しのぶ「あなたは誰?」 声「わしは神じゃ。」 しのぶ「ふぅーん、まぁどうせ単なる夢なんだろうけど。」 -わりと簡単に納得するしのぶ。 声「して、おぬしの願いは。」 しのぶ「願いねぇ。うーん・・よし。私の願いはね・・・。」 -翌朝二年四組教室。空いた席が二つ。 -あたるに近付くメガネ。 メガネ「おい、あたる。面堂のやつめずらしく休んでおるぞ。」 あたる「あのラムに会うためなら地球が滅んでも来るやつがなぁ。」 ガララッ -教室に走り込んでくるチビ チビ「大変だぁ。面堂のやつ昨晩から行方不明だってよ。    それだけじゃない、二組の高橋も五組の山田もだ。」 パーマ「友引高校ハンサム番付ベスト3ではないか。」 ガララッ ラン「ラ〜ム〜、おんどれレイさん何処に隠したぁ。」 -いつにも増して危ない顔したランがはいってくる。 ラム「うち知らんちゃ−。ほんとだっちゃ−」 -逃げるラム。 あたる「色男が皆いなくなったわけか。」 -やおら立ち上がるメガネ。 メガネ「救世主は舞い降りた。今日こそおれたちモテない男の     新たな時代の扉は開かれたのだ。     これはかのニーチェが言うように・・・」 錯乱坊「不吉じゃ。」 ドッゴーン 錯乱坊「この事件はあまりにも不吉じゃ。早急に対策をとらねば。」 あたる「おのれはいつもいつも脈絡のない出方をすな!」 -あたるのハンマ−が炸裂。 サクラ「伯父上の言う通りじゃ。」 ドッカーン -脈絡のない出方をする姪。二次爆発。 サクラ「昨晩からつばめも行方不明になっておってのう。」 あたる「これで二人の間には何の障害もないわけだね。」 -サクラの手をとるあたる。 サクラ「たわけがぁ!」 ドゴォ -床からあたるの体が生えてる。 ラム「そういえばしのぶもいないっちゃ。」 -サクラの探知機を先頭に行く一行 サクラ「ここじゃ、ここに反応がある。」 -サクラの指したのは小さな祠。 ラム「見たことのない亜空間トンネルがあるっちゃ。」 サクラ「間違いなかろう。皆の者行くぞ。」 -飛び込むあたる一行 うにょにょにょにょー ぽわわわーん あたる「ここは?」 -目をさますあたる。豪勢な屋敷の廊下。皆つぎつぎと目を覚ます。 あたる「とりあえず、あそこに向かおう。」 -あたるを先頭に中でも一際豪華な扉に向かう一行 あたる「ごめんくだ・・うわ!」 ラム「な、なんだっちゃ。」 -中には行方不明であった無数の色男たちを従えて -玉座の上にはしのぶの姿が。 ラム「終太郎、しのぶ、レイ。」 サクラ「つばめ。」 -正気を取り戻す面堂、つばめ、レイ。 面堂「ラ、ラムさん、どうしてここに。うっ。」 サクラ「どうやら正気を失っておったようじゃな。」 -まだ朦朧としている面堂。 ラム「終太郎、助けにきたっちゃ。」 面堂「ラムさん、やはり本当は僕の事が。ラァムさーん。」 -飛びつこうとする面堂。が、電撃により撃墜。 レイ「らーむー。」 -突進してくる虎牛。これまた同じ運命をたどる。 ラン「レイさん!ラム、覚悟せいよぉ。」 ラム「ご、ごめんちゃ。不可抗力だっちゃ。」 ラン「ラ〜ム〜。」 -一方 サクラ「つばめ。」 つばめ「サクラ。」 -見つめ合う二人。そして互いに走り寄るバックには夕焼けの海が。 あたる「サックラさーん。」 -飛んで来るあたる。つばめを踏みつぶしあたる着地。 あたる「さあ二人で真の愛を築こう。」 サクラ「いいかげんにせい!」 バコォッ -サクラのキックによりあたる星になる。 -うって変わってしのぶ。この状況を見て、 声「すまん、いますぐこいつらを追い出すから。」 しのぶ「いいのよ、もう。他の人達も皆はなしてあげて。」 しのぶ(だって望むべきものは皆ここにあるってことがわかったんだから) -心の中でそっと呟くしのぶ。 -目の前ではバカ騒ぎが続く