となりのメガネ   #2 「大丈夫!真美」 「うーん。だめ」  真美は倒れてしまった。 「だれか!真美さんを保健室に連れてくの手伝って!」  久美子と女子数名が手伝って保健室に運び込んだ。  しかし保健室にサクラ先生はいなかった。 「困ったわね・・・」  そのとき久美子はひらめいた。 「みんな!みんなはもどってて、私がサクラ先生連れてくるから」 「えっ、でも・・・」 「いいからいいから。ほら行って」  みんなはしぶしぶ出て行った。  真美は寝ている。(気絶しているか?) 「真美、今からいい思いさしてあげるから待ってなさい!」 久美子は保健室を出て行った。  真美は目を覚ましたら保健室にいた。そして愛しの彼が入ってきた。保険室には二人きり! 「キャー・・・でも、ど、どうしたらいいのかしら?」  ゴクリ・・・つばを飲み込む。 「あの・・・」 「サクラ先生用って何ですかー?ってなんでいないんだ?うーむ場所聞き間違えたか?」  メガネは出て行った。 「あ、あの・・・」  しかしメガネは出てってしまった。 「・・・」 「(ちっ失敗した・・・。メガネもっとよく探せよ)」  窓の外で久美子が中を見ている。 「そこ、なにをやっておる?」  後ろから声をかけられ久美子はびっくりして振り向いた。  サクラ先生が立っている。 「あ、あ、あのーそのーえーと、メガネ・・・いや真美が怪我して、早く行ってください」 「おおそうか、怪我人か、わかった」  ふぅ。  久美子は大きな息をついた。 「なにしてるっちゃ?」  またもやびっくりして振り向くと今度は・・・ 「(ラ、ラム!)」 「?どうしたっちゃ」  ラムは憎たらしい笑顔をみせながらこっちを覗き見る 「(こいつめ・・・何しにきやがった)」 「あの子だいじょぶだっちゃ?」 「え、ええ」 「そう!それはよかったっちゃ」 「(こいつめ、白々しい)」 「もうだいじょぶだか行った行った」 「そうだっちゃ?」 「そうよ!だから行きましょ」    そのころ保健室で真美は自分が思った事をはっきりと認識して、顔を真っ赤にしていた。 「(私ったら何て事思ってたのかしら!ああ、もうどうすればいいのかしら・・・)」  そのときまたしても誰かが保健室に近づいてきた。  コツコツコツ・・・ 「(もしかしてまた彼!)」  真美は身を固めた。  バン!  ドアが一気に開く。 「誰じゃ?怪我人は?」 「(ふぅ、サクラ先生か・・・)あ、あのここです・・・」 「おうそこか、その椅子に座れ。む、ひどい傷だな、いったいなにがあった?」 「いえ、走って転んでつまずいただけです」  サクラ先生は救急箱を取り出し、中から綿を取って薬品につけた。 「少ししみるぞ・・・しかしこんな大怪我よくやったな」  傷口が痛む・・・痛みに少し顔がゆがんだ。 「まだまだこれは序の口じゃ、我慢せい」 「はい・・・」 「しかし乙女がこんな傷をしてはいかんなぁ・・・これでは貰い手がつかんぞ」  私は顔を赤らめた。 「さて、こっちはさらにしみるぞ」  そう言って薬のついた綿を私につけようとしたとき、保健室のドアが開いた。 「誰じゃ、今は仕事中じゃ」  私とサクラ先生がドアを見るとそこには彼が立っていた! 「あのサクラ先生用ってなんですか?」 「おうメガネか、わしは用など頼んでないぞ?」 「あれ?おっかしーですねぇうちのクラスの女子に頼まれたんですけどねぇ」  そのとき私は彼に見られないように顔を外に向けた。 「ん?あれそっちさっきの女子の友達じゃなかったっけ?」 「(まずい、どうしよう・・・久美子のバカッ)」 「ふむ、おぬしなにかしらんか?」 「い、いえ別に・・・」 「そうか?じゃあメガネおぬしは早く戻れ、まだ授業中じゃぞ」 「は、はい」  どうにかここはしのげたけどこれからどうしたらいいのよ!ほんとに久美子のバカ! 「はぁ・・・」 「?どうした、悩みでもあるのか?言ってみるがいい。これも仕事のうちじゃ」 「え?ええ、まぁ・・・いや!なんでもありません!」  サクラ先生がじっとこっちの目を見る。 「・・・ま、言いたくなったら来るがよい。」  そしてサクラ先生は私の頭に包帯を巻いた。 「さ、これで治療は終わりじゃ、教室に戻るがよい」  私は立ってドアの前に立った。 「いいか悩みは自分だけで解決しなくてもいいんじゃぞ」 「はい、ありがとうございました」  保健室を出ると同時にベルが鳴った。  教室に戻ると幾人かが「だいじょうぶ?」などと尋ねた。 「ええ、ちょっと痛いけど平気よ」  そう言って笑顔見をせた。  窓際に久美子が立っている、久美子に話し掛けようと近づくと久美子の横に誰かが近づいた。 「久美子さん、どうしたんです?どこか具合でも悪いのですか?」 「面堂さん・・・いえ、すこし気になることがあって・・・」 「なんです?あなたの悩み僕が解決して見ましょう」 「実は・・・」 「言わないでいい、悩みなんて僕とデートすればたちまちなんだったかさえ忘れてしまいますよ」 「も〜ろ〜ぼ〜し〜貴様ぁ〜そこ直れ〜」 「さぁお嬢さん行きましょう何者にも邪魔できないはるか桃源郷へ」  ガキン! 「うぬぬぬぬぬぬぬ・・・」 「ダーリン!」 「うぎゃあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」  ラムから放たれた電撃が二人にあたって不思議な閃光を放っている。  私は意を決してその中に飛び込んだ。 「久美子!こっちこっち」  教室から抜け出した。 「ふぅ」 「とりあえずアリガト」 「なにいってんの。それより久美子でしょ彼を保健室に来るようにしたのは!」 「あ」 「なにが『あ』よ!」 「いや〜おもしろいかなぁ〜なんて」 「なにがおもしろいのよ!」 「ごめんごめん」 「・・・それは置いといて久美子の悩みってなに?」 「ああ、あれ・・・ええと気にしないで!」 「ちょっと教えなさいよ」 「実はね・・・」  ゴクリ・・・ 「やっぱ秘密」 「そんなぁ」 「わかったわ。でもここじゃあだめ、放課後に話すわ」  放課後、夕日が顔を紅く染める。校庭では運動部が活動している。真美と久美子は校舎の壁を背にして座っている。 「ねぇ、それで何なの久美子の悩みは?」 「あのね、真美・・・」  そう言って久美子はすくっと立ち上がった。  私は立った久美子を見上げる。 「実は・・・」  そのとき久美子を見上げた私の目の前に写ったのは、小さな赤い実だった。 「んぐ・・・」  私は思いっきりその実を飲み込んでしまった!  げほっげふっ・・・ 「だ、だいじょうぶ?真美?」  げほげほげほ・・・  久美子が背中をさすろうとすると真美はばったりと倒れた。 「ちよっと真美!・・・だれか!」  10分ほど前・・・  あたるが机の脇からかばんを取ると、 「ダーリンいっしょに帰ろ」 「い、や、だ」 「ダーリン・・・」  面堂がどこからともなく現れた。 「ラムさんそんな馬鹿はほっといって行きましょう。私がお送りしますよ」 「わかったっちゃ」 「そうですかラムさんではいっしょに・・・」 「うち一人で帰るっちゃ」 「ちよっとラム!あなた今日掃除当番でしょ!」  こんどはしのぶが後ろから現れた。 「そういうことだラム、さっ、しのぶいっしょに帰ろうか」  あたるはしのぶの肩に手を置いた。 「あんたは一人でかえんなさいっ!」  しのぶはあたるの手を持ってあたるを鉄球のように振り回し窓の外へとほうり投げた! 「ぶるーいんぱるすっ」  あたるは沈んでいく太陽に消えていった。 「はぁ」  ラムはほお杖をついてあたるの飛んでいったの方向を窓から見てため息をついた。 「(最近ダーリン冷たいっちゃ。でもこうゆう時はこの夢の実でいい夢をみるっちゃ!しかも品種改良で希望を注ぎ込まなくてもいいっちゃ!はやく夜にならないかな)」  ラムはポケットから夢の実を取り出し眺めた、 「あの、ラムさん、送りましょうか?」  面堂が近づいてラムの背中をポンと叩いた。  そして赤い実はラムの手から滑り落ち、下にいる真美に向かっていった。 「あーーーーーーーーーーー!うちの夢の実がーーーーー」  ラムが窓から飛び出すと下に飛んで降りた。  そこには久美子が死んだように横たわっている真美を揺すぶっている。 「真美!真美!」 「あちゃー」 「ラ、ラム!まさかあんたが真美を!いくらもてるからってあんまりだわ!」 「???」 「よくも真美を殺したわね!」 「ちょっとそれは誤解だっちゃ!」 「じゃあなんなのよこれは!」 「うちの夢の実食べたみたいだっちゃ」 「夢の実?」 「えーと夢の実って言うのは・・・」  どんどんどんどん深いところへ落ちていく。  真美はそう感じていた。  なんだか深海の中を漂っているようだった。  パチ、と目を開ける。 「ここは・・・?」  どこかで見たような光景、でも思い出せない。  でも私の体はなぜか勝手に動き目の前の森の奥へと向かっている。  うっそうな森を抜けると今度はお城が見えた。  体は城へと向かっていく。  なぜかお城は友引高校だと思う。  そこには彼も待っている・・・。  つづく?