―7― 営業課にてコースケに社長室での会話を簡単に説明するあたる。 コースケ「なるほどね〜面堂のヤツ、そんなことを考えていたのか…災い転じて福と成すっていうもんだな。 確かに電気野菜なんか発電所の代わりにはなるけど、 放っといたらいつまでも増殖して、そのうち耐電服でも対応できなくなって危ないもんな〜。 よくわかったよ。しかしあたる、忠告するけど仕事と趣味を混同させるなよ。」 あたる「なんだ?仕事と趣味を混同って?」 コースケ「仕事中にガールハントはするなって事。 俺はお雪さんを怒らせて、北海道の雪祭りイベントの氷像ならぬ、海王星の氷の石像には なりたくないんだよ。」 あたる「何言ってる、お雪さんは優しい人だぞ?」 コースケ「優しいかどうかはともかくとして、 怒ったらさりげなく決定的なダメージを食らわせられるんだよ。 そしてそのダメージを食うのは、お前じゃなく俺のほうだ。お前が原因だったとしても。」 あたる「そんな今から心配しなくても大丈夫だって♪」 コースケは、内心あきらめ半分忠告していた。 あたるにガールハントを、やめさせるなんて不可能なことなのだ。 それにモノノケや宇宙人に好かれるタチなので、あたるはどんな相手でも知り合いになれるのだ。 これはものすごい長所だと思う。面堂だって長所だと感じたから、会社にあたるを誘ったのだ。 トラブルを招くという事もあるかもしれないが、そのことをわかっていてもなお、誘った面堂も あたるに負けず劣らずスゴイ性格をしていると思う。こんな面白いやつらがいなければ一流企業であっても とっくの昔に辞めていただろう。 あたる「あとでこの話を、メガネとパーマに通しておこうぜ。今日の飲み会あいつら来るだろ?」 コースケ「あぁ、来るって言ってた。俺から言っとくわ。」 あたる「じゃあそっちは任せた。…さてと…もうすぐ終業時間だな。 待ち合わせはロビーだろ?そろそろいくか?」 コースケ「そーだな。今日何にする?俺は中華の店に行きたいけど…」 そんな時、机の上の電話が鳴る。 あたる「電話取るなよ、もう終わるのに。」 コースケ「内線だ。取るぞ。」内線電話を取るがすぐ、あたるに代わるように合図を送る。 あたる「誰からだ?」 コースケ「とにかく代われってさ。」 あたる「もしもし、諸星ですが…」 終太郎「わかっている。そこに内線をかけたんだからな。」 電話の向こうから聞こえてきたのは静かな面堂の声。 あたる「面堂?何の用だ?今日行けなくなったのか?」 終太郎「違う。飲み会には行ってやる。別の話だ。」 あたる「なんだ?早く話せよ?もうロビーに行くんだからな。」 何かと思って耳元に強く受話器を押し付ける。 終太郎「そうだろうと思ったから電話した。 諸星、終業時間まであと1分56秒あるから、それまでちゃんと仕事しろ。じゃあな。」 電話の向こうで受話器を置く音が聞こえ、内線が切れて通話音がむなしく続く。 あたるは電話を握り締めたまま、机に倒れこんだ。 コースケ「あたる!!どうした?面堂に何を言われた?ついにクビか???」 あたる「……違うけど……なんか……今の会話で……すごく……………………疲れた……」 つづく。