―15― メガネ「あ〜そろそろ食ったし、飲んだし、帰るとするか。」 パーマ「そ〜だな。眠いし。」 全員ぞろぞろと店を出る。あたると面堂のみレジで話し込んでいる。 肩を軽くたたいてさとすように、話しかけるあたる。 あたる「…な〜だからな、面堂お前、社長だろ?社長なら社員は子供同然だろうが、 おごってやるのも親の責任だぞ? ラムやしのぶに太っ腹なところを見せるチャンスじゃないか?」 終太郎「…ん〜そうだな…」 あたる「それじゃ、俺が手伝ってやるよ」 半分寝ているような若社長に返事も聞かず、勝手に財布を取り出し若社長が持っている無制限の 面堂家プラチナカードを取り出し店員に渡すあたる。 この天下無敵のカードがあるからこそ、食い物を投げようが、部屋を壊そうが何度でも来られるのである。 店員「毎度どうも!!」 カードを受け取り若社長の内ポケットへ財布ごと返すあたる。 あたる「ほら、返すぞ面堂。落とすなよ。」 終太郎「…ん〜」 2人して店を出るとみんなは、3次会に行くかどうか話していた。 コースケ「帰り途中まで付き合え。ラーメンでも食おうぜ。 明日になったらお前ら、すっかり忘れるかも知れんけど、新しいプロジェクトの事まだ、話してなかったし。 しのぶ達はどうする?」 しのぶ「付き合いたいけど遅いから帰るわ。 それに竜之介くん酔っちゃって一人じゃ、あぶなくて無理よ。送っていかないと…」 あたる「は〜い、しのぶ〜♪。 竜ちゃんは俺が間違いなく、責任を持って友引高の購買部へ送っていくから…」 コースケ、メガネ、パーマ、カクガリ、チビ。すぐさま、あたるを木槌でぶん殴る。 ラム「よけい、あぶないっちゃ!!」 メガネ「お前にはもっと責任重大な事を命令する。アレを家まで送っていけ。」 アレ…。半分目がすわって足取りが、どこかあぶなっかしい状態の若社長である。 あたる「え〜なんで?」 コースケ「お前、ここの支払いで面堂のカード勝手に使ったろ? それくらいやっとかないと、ほんとにクビになるぞ?」 あたる「しのぶ〜ラム〜一緒に帰ろうぜ〜」 まだ、駄々をこねるあたる。 しのぶ「ダメよ、私はラムと竜之介くんを送っていくんだから。」 ラム「ウチもだっちゃ?」 しのぶ「私一人で送るのはちょっとね。だから手伝って。」 ラム「わかったっちゃ。しのぶ一人で無理そうだっちゃからね。 ダーリンの方はあきらめて終太郎を送っていくっちゃ」 コースケ「じゃあ、みんなまたな〜!!」 コースケ達は右に、しのぶたちは左に分かれていった。 あたる「俺一人でどうしろと言うんじゃ???」 ―16― 軽くため息をつくあたる。 あたる「しょ〜がないな…お〜い黒メガネ!!近くにいるか〜面堂の護衛の黒メガネ〜!!」 しかしあたるの呼びかけに答えて出てくる黒メガネはいなかった。 あたる(う〜ん、いつもお守りで影ながらくっついているはずのあいつら、 今日は飲み会だから遠慮したみたいだな…困ったな…) こうなったら本当に面堂の家まで送っていくしかない。 あたる「ほら、行くぞ面堂。少し歩いて酔いを覚まして、タクシー捕まえられたら、乗せてやるから。」 通沿いをゆっくり歩いていく2人。 繁華街なので、通りはまだ騒がしく、同じように千鳥足ですれ違うサラリーマンも多い。 肩が他の人にぶつかりそうになるのを、避けてヒラ社員は若社長をひっぱり歩いていく。 あたる「あ〜コンビニでも寄ってアイスでも買おうかな…」 独り言のようにつぶやくあたる。それに答えるように話す若社長。 終太郎「…もう歩くの疲れた。」 あたる「…疲れたか?でもそんなにまだ、歩いてないぞ。とりあえずコンビニのあるところまでガンバレ。」 終太郎「…わかった。僕もアイス食べたい。」 それからしばらく2人は黙ってゆっくり歩いていたが、あたるが面堂に呼びかけた。 あたる「…なぁ、新しいプロジェクトの事、これからの将来的なシュミレーションって言ってたよな。 …とするといずれは宇宙規模で流通貿易を…そしたらますます面堂財閥は発展していくよな。 面堂〜そんなに儲かっていくんなら給料上げてくれよ。俺は今月金欠なんだ。 まあ自慢じゃないが、今月だけって言うこともないけど…」 終太郎「…諸星…僕は以前から聞いてみたいことがあったんだがな…」 そこまで言って黙ってしまう。 あたる「何だ?改まって?…言ってみろよ?」 何だか面堂は真剣な顔をしている。そしてやっと口を開いた。 終太郎「…諸星…台所の流し台の所に熱いお湯を流すとベコンって音がするのは、なんでだろう〜な〜?」 予期していなかったセリフに、俺は道端に突っ伏した。しかしすぐはね起きて、面堂をしめ上げる。 あたる「…お前…寝てるだろ?…起きてるふりしてお前、頭の中、寝てるだろ?」 終太郎「何を言ってる。僕は寝てない、変な言いがかりやめないか。」 あたる「ウソだ、絶対ウソだ。」 終太郎「ウソじゃない。」 あたる「じゃあ、何かまともなことを、ちゃんと話してみろ?」 そして次の瞬間、繁華街に若社長とヒラ社員の絶叫が聞こえた。 終太郎「…お前の母上…でべそ〜!!!」 あたる「寝てるじゃないか〜!!!面堂のアホ〜!!」