―19― しばらく歩いてふと別のコンビニへ入り、立ち読みをするヒラ社員。 窓の外を見ると何だか雲行きが怪しくなってきている。 あたる「…やべ…なんか雨降ってきそう…いいかげん時間も遅いし、そろそろ帰ろうかな…」 今度は何も買わず、外へ出て空を見上げる。 あたる「…本当に誰かに、拾われても困るよな…やっぱり…」 足を先ほどの公園に向ける。しばらく歩いて元の道を戻り、捨ててきたダンボール箱へ近付く。 置いてきた位置は、少しも変わっていない。 あたる「…いるか?面堂?」 ダンボール箱を、のぞきこむあたる。 一応の心配をよそに、若社長は静かな寝息をたてていた。 あたる「…このタコ、まだ寝てるのか?」 ほっぺたをつつくあたる。 あたる(本当に落書きしてやろうか、こいつ) 以前、会社でいい気持ちで寝ている時、顔に落書きされたことを思い出す。 しかし雲行きも怪しく、ここでそんなことをしている暇もなさそうだ。 ダンボールを分解し、公園のゴミ箱に捨てて、若社長を背中に背負う事にする。 あたる(くそ〜重い、誰だ?面堂に酒、飲ませたヤツは?) 歩きながら考え、そういえば自分も面堂におごらせる為に、酒を勧めて(すすめて)いた事を思い出す。 しかも隙を見て面堂のグラスには、 自分だけでなく他の悪友が日本酒、ビール、その他いろいろとごちゃまぜに 入れていた事も思い出す。 あたる(こんなことなら、飲ませるのは少しにしとけば良かった。) 歩きながら,少しずり落ちそうになる若社長の身体を持ち上げるヒラ社員。 あたる「…しょうがないな…あ〜もうほんとに、世話の焼ける…やっぱり捨ててくればよかったかな〜」 つづく。