リバースリバース〜先祖をたどれ(5) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ガン!!  部屋全体がゆれるほどの大激突が起こった。あたるは思いっきり天井に頭をぶつけたのだ。 あ「つーーーー、まさかここまで浮くとは、なんという浮遊力・・・」 角と角の間にできたこぶをなぜながら悪態をつく。 あ「しっかし、意外と簡単に飛べたものだな、お灸の翼とはえらい違いだな」 今気づいてみると、やけに体が軽い気がする。水の中にいるような感覚でちょっと地面をけったぐらいでふわふわと上に飛んでいけそうだ。 全身の力を抜きそっと地面をけってみた。体はふわふわと浮き、行動自由さとは違う、空間の自由さを知ることができた。 あ(重力の鎖から解き放たれるというのは、こんなにも自由な気分になれるのだな) 少しばかり飛び回っているうち、急にもっとも有効な使い道を悟った。 あ「のぞきじゃーーーーーーー」欲望の炎が燃え上がった。 あ「なぜ鬼になってしまったかはこの際どうでもいい、せっかく手に入れたこの能力。大いに役立てようではないか」 ラ「ふ〜ん、いったい何につかうつもりだっちゃ?」 げ、っと思いながらも声のしたほうを振り向く。思いっきり不機嫌そうな顔をしたラムが立っている。 あ「ラム!!いつからそこに・・・?」平然を装ったつもりだが、すこし顔がひきつる ラ「そんなことより、何の能力を何に使おうとしてたっちゃ?」ラムが詰め寄ってくる。 あ(ついさっき来たようだな、しかしここでラムにつかまっては意味が無い。この状況を早く脱出しなくては)などと考えているうちに ラ「どうせ、のぞきに行こうとでも考えていたんじゃないのけ?」と見事に心中を読まれてしまった。 あ(さすがに鋭い、だがひるんでいる暇などないのだ)とっさに考えついた作戦を実行した。 ビシっと適当な方向を指差し あ「あんなところに、みにくいアヒルの子だ!!」と叫んだ。 ラ「あれは、チェリーだっちゃ」 あ「なに!!??」予想外すぎる返答に隙をついて逃げることを忘れ、自分の指差した方向を見る。 チェ「聖職者にむかって何を言うか」 サ「アヒルというよりはタコか妖怪のどっちかじゃろうな」半壊の扉から今しがた現れたサクラが言い放つ。 あ「サクラさん、どうしてここに?」 サ「ラムがこっちへ飛んでくるのが見えたのでな、追いかけてきたのじゃ」 チェ「不幸な少年よ、この薬を飲むが良い」 あ「ええーい、アップはよせと何度言えば分かるか、みにくいタコ妖怪め」ハンマーで殴りつける。持っていた薬が宙を舞いサクラの手におさまった。 ラ「その薬いったいなんだっちゃ?」 サ「叔父上特製の先祖払いの薬でな、諸星の体にしみこんだ先祖の気を、きれいさっぱり浄化してくれるというものじゃ」 あ「ほ〜、つまり今の鬼の姿から元に戻れるということですね」サクラがうなずくのと同時にラムが薬へと飛びついた。 サ「何をするかラム」 ラ「ダーリンはこのままでいいっちゃ!!」 二人がもめているのを見ながら あ(もとの姿に戻る見込みもついたとなればなおさら、今のうちにこの能力を使いまくらねば)こっそりと窓辺に移動する。 チェ「顔中に悪相が出ておるぞ、悪いことは言わぬ早くあの薬を飲むのじゃ」 あ「やかましい。お前の薬などすぐに信用できるか、ついでにおまえが良いことを言ったためしがない。」錯乱坊の方は見ず、少し遠くに見える町明かりを見つめる。 あ「俺は。今できることを今すぐやる男なのだ!!」そして、窓の外へと飛び出した。 飛び出してから違和感に気づいた。あ(なにか頭が締めつけられているような・・・体が浮かない!!)視界に違和感の正体がひらひらと見える。 あ「リーーーーボーーーーンーーーがーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」 ズドンっと言う音が夜の闇に響きわたった。 チェ「主よ罪深き諸星あたるを許したまえ」と合掌した。 地面に深くあいた穴からやっとのおもいではいでる。たいした怪我はないが、体の節々が痛い。 ラ「ダーリン大丈夫け? !!」上から降りてきたラムが心配そうに声をかけたが、頭にリボンを結んであるのを見てふきだした。 あ「誰がこんなものを好き好んでつけるか!!」笑っているラムに言う ラ「だっちゃね〜」まだ笑い顔だ。 あ「チェリーのやつ・・・まだこれを持っていたのか・・・」引っ張ってもびくともしないリボンを触りながら唸る。 チェ「物持ちがいいのでな」すぐ後ろにチェリーが出現した。 あ「いちいち人を驚かす・・・んぐ」何処からともなく飛んできた玉のようなものが口へと入った。もちろん本能的に飲み込む。 ラ「あーーーーー」サクラが投げた薬が見事にストライクしたのだった。 あ「品質に問題は無いのだろうな!!」 みなが注目する。だが、いっこうに体に変化がない。ラムが切り出した ラ「きっとその薬は姿を固定する薬で、もう元に戻れないっちゃ」 あ「縁起でもないことを言うな・・・実際にありえるから恐いじゃないか」 サ「しかし、これだけ時間が経っても変化がないとなるとのー」 チェ「調合に間違いはないはずだが・・・む」 あたるの体から白いもやのようなものがでてくる。 あたるの先祖「ごめんごめん、少しトイレに行っていたもので」どこにでもいそうな中年のおじさんが姿を現した。顔を見る限り角や牙もなく、普通の地球人のようだ。 あ「幽霊の分際でトイレなんて非常識なことあるか」愚痴ってから続ける あ「これはお前の仕業か?」牙を指差して聞く。 あたるの先祖「僕のせいというかなんと言うか・・・とりあえず故意にやったわけではないよ」 説明が始まる。 あたるの先祖「僕は生きている時は変わった体質を持っていてね。相手からの強い刺激を受けると、その刺激を与えた方の能力や姿の一部がうつるんだよ。例えば 犬に思いっきり噛まれるとかがいい例だね。」気づかなかったが、お尻のあたりから犬の尻尾が生えていた。 あたるの先祖「まあ、普通はすぐに治るんだけどね・・・あまりに刺激が強いと残る場合があるのだよ。」皆がこの中年おじさんと犬の死闘を思い浮かべた。 あたるの先祖「きっと、君のはすぐに治ると思うよ〜ちょっと待っててね」とあたるの体に再びもぐりこむ。体の中から声がした あたるの先祖「ちょっとそこに人、思いっきり叩いてくれないか」サクラを指名したようだ。 あ「自分から飛び込めばいいこと。さくらさーーーん   ぐはぁ・・・」見事に蹴りを喰う。 チェ「おお、角が消えたではないか」そういわれて、自分の頭を触ってみる。たしかになくなっている。牙も消えていた。さっさとリボンをはずそうとするが ラ「そのままにはさせないっちゃーーー」ラムが放電する。また、角と牙が出現した あ「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃ。ラムなんて事をするんだ」などと言っておきながらサクラにくっつく。 サ「気色悪い!!」肘鉄を食らった。 また、ラムからの電撃が来るとおもい警戒したが、こなかった。それよりも皆の目線が頭に向けられているのでちょっと心配になり頭を触ってみる。 あ「げ、消えてない」いつのまにか体の外に出ていたあたるの先祖が言う あたるの先祖「僕が乗り移っている時だけこうした能力になるんですよ〜。今日は天界の福引でたまたま下界旅行が当たりましてね。 あっちこっち行ってたらちょうどあなたを見つけたもので体の中で休みながら見学させてもらってたんですよ〜」急におっといけない、というようなジェスチャーをし あたるの先祖「そろそろ集合の時間なので帰りますね。さようなら〜」あたるが声を発する前に、あっというまに消えてしまった。 あ「待てーーーーーーーーーーーーまだ元に戻ってないぞーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーおーーーーーーい」 ラ「一件落着だっちゃ」ラムが腕に抱きついた。 リバースリバース〜先祖をたどれ(5)完 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「リバースリバース〜先祖をたどれ」は、これで終わりです。雑な文ですが、読んでくださった方ありがとうございました<(_ _*)> このタイトルの作品はこれで終わりですが、次号作は題名が変わるだけで、これの続き物です。w タイトル変更で混乱するかもしれませんが、ご了承ください^^; それでは、またの作品でもよろしくお願いします。|彡サッ!