―21― 2人急いで階下におりて、あたるはそのまま部屋に入り、 終太郎は洗面台で身支度をしてから部屋に入る。 ご飯や味噌汁、お茶などから出来たての湯気が立ち昇っている。 鍋を持って空中に浮かんでいたラムが声をかける。 ラム「終太郎、起きたっちゃ?オハヨー。」 終太郎「おはよう、ラムさん。」 新聞を読んでいた諸星の父親が顔を上げる。 諸星父親「おはよう面堂君、よく眠れたかね?」 終太郎「…はい…お世話になりました。…申し訳ありません。」 諸星父親「なぁに、こっちもあたるのことで世話になってるから、お互い様さ。 それに顔見知りやそれ以外の者がたずねてくるのは、 この家では珍しい事ではないからね。ほら。」 指差す方向を見ると机の向こうにコタツが置かれて、コタツネコが手を振っている。 諸星母親「さぁ面堂君はここに座ってね。準備が出来たから、みんなちゃんと座りなさい。」 お茶碗と箸を置いていた諸星の母親が夫の隣に座り、みんな所定の位置に座る。 諸星母親「じゃ、おあがりなさい。でもあたるたちは昨日飲んで来たんだから、 始めはおかゆにしておきなさい。」 手を合わせる一同「いただきま〜す!」 ちゃぶ台の真ん中に、大きななべが置かれている。 あたる「おかゆじゃなくって、おじやにしてくれれば、よかったのにな〜♪」 終太郎「おじや?」 あたる「おじやっていうのはな…ゆがいて細かく刻んだ野菜とか肉とか、 卵を混ぜたグレードアップ版おかゆ事だ。」 面堂は黙って聞いていた。知っていると言わなかったので、 どうやらおかゆはともかくとして、おじやの事は知らなかったらしい。 あたる「どうする?卵…入れるか?」 終太郎「…入れる。」 面堂が承諾したので卵を入れてかき混ぜた。 あたる「これで醤油をたらすとうまいんだよな〜卵ご飯、お前食ったこと無いだろ?」 終太郎「また庶民の味か?」 昨日の酢昆布の事を思い出したらしい。 あたる「これは、ほんとに美味いんだって。」 ラム「ダーリンの言うこと信じちゃいけないっちゃ。 終太郎、これはおもいっきり7味唐辛子とコショウとワサビと醤油とラー油を 入れないとおいしくないっちゃ」 あたる「お前は黙っとれ!!」 終太郎「と…とりあえず、辛子とコショウとワサビとラー油抜きでもらう事にする」 諸星の母親がお茶碗に山盛りに入れてくれる。 諸星母親「お米だけはいっぱいあるから、食べてね」 それからゆっくりした休日の雰囲気の中でご飯を食べた後、 若社長は黒メガネを呼んで自宅へと帰っていった。 そして週明け…。 いつものように、ラムとヒラ社員はいっしょに会社に行った。 いつものように、会社の前でしのぶやコースケたちと出会う。 あたる「しのぶ〜おはよ〜♪」 すぐさま駆け寄り、 しのぶに抱きつこうとしてぶっ飛ばされるあたる。 そしていつものように、腹の底から響くようなエンジン音を震わせて、 巨大な要塞としか表現できない戦闘機と護衛戦闘機が上空を飛び、 若社長がパラシュート降下で出勤してくる。 今日も変わらず、そんないつもの風景がくりかえされるのであった。 終わり。