うる星やつら         regain one's memory エピソード1  コンピュータが、様々な女性を映し出している。やがて、その中の一人の女性で止まった。  モニターに映し出されているのは・・・ラムであった。 謎の男 「見つかったか?」 部下の男「はい」  謎の男はモニターを見ると 謎の男 「なるほど」  とつぶやき、 謎の男 「すぐに行動に移れ!」  と、部下に命令した。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  あたるは、見覚えの無い道を歩いていた。周りを見渡しても、見覚えの無い町並みで自分が 何処にいるのか、皆目見当もつかなかった。  更に、人の気配を全く感じられず不安でいっぱいだった。  あたるは、辺りを見回し人の姿を探したがやはり誰も居ない。  その時、フッとあたるの目に人影が映った。それは、学生服姿の緑色の髪の少女だっ た。少女は、先の路地に入って行った。 あたる 「あれは・・・ラム・・」  あたるは、そう言うと少女の後を追いかけて路地を曲がった。  すると少女は、更に先の交差点を曲がったところだった。 あたる 「ラムーーー!」  あたるは叫びながら、交差点を曲がった。  すると、少女は少し先で立ち止まっていた。あたるは近づきながら あたる 「ラム!返事くらい・・・」  そこまで言って、あたるは言葉を失った。  少女は消えてしまったのだ。まるで煙の様に・・・・ あたる 「ラ、ラム・・・」  あたるは周りを見渡した。だが、どこにも少女の姿は無かった。すると、急に目から涙が溢れ てきた。 あたる「ラムーーーーーーーー!!」  あたるは叫んだ。  あたるは、目を開けた。そう夢だったのである。 あたる 「夢か・・」  あたるは、夢とわかり胸を撫で下ろした。外はまだ暗く、時間を確認すると午前3時を回ったと ころだった。  あたるは、無性に不安になりラムが寝ている押入れを、そっと開けてみた。ラムは、テンと気持 ち良さそうに寝ていた。その寝顔を見て、あたるは安心して再び布団に潜り込み、眠りについた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー   翌朝、諸星家の食卓は戦場だった。あたるとテンがいつもの喧嘩をしているのである。  原因は、あたるがテンのおかずを取った事であった。 テン 「おんどりゃー!人のおかず取りくさってー!」 あたる 「お前が食わんから、代わりに食ってやったんじゃ!」 テン 「アホ!最後に食べよおもて、取っておいたんじゃ!」 あたる 「さっさと食わんから、そう言う目にあうんじゃ!」 テン 「人のおかず取っておいて、、お前なんか!」  そう言うと、テンは口を開け大きく息を吸い、炎を吐き出した。あたるは、その炎をフライパン でガードしながらジリジリと距離を詰める。  それを見ていたラムが ラム 「もう、ダーリンもテンちゃんも、いい加減にするっちゃ!」 テン 「ほなかてラムちゃん、あたるのアホが・・」  ラムは自分のおかずを ラム 「ほら、ウチのあげるから」  と、テンの皿に分けようとした時、横からヒョイとあたるが顔を出し食べてしまった。 テン 「あーーーー!」 ラム 「ダーリン!!」  二人は同時に叫んだ。 あたる 「弱肉強食じゃ」  と、あたるは平然と言ってのけた。テンは、怒りのままにあたるに向け炎を吐き出そうと口大き く開けたが、あたるの方が一瞬早くフライパンでテンを彼方へ打ち飛ばした。 テン 「うわーーーーーーーーーー!」 あたる 「未熟者め」  あたるは、そう言うとさっさと食事を済ませた。ラムは、毎度の事で呆れて言葉も無かった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  授業中静寂の中、温泉マークの黒板に英文を書く音に混じって、ムシャムシャと言う音が聞こえ る。すると、温泉マークのチョークを握る手がワナワナと震えだし、チョークが折れた。次の瞬間 温泉 「諸星ーーーーー!」  と言う声とともに、折れたチョークをあたるに向かって投げつけた。すると、あたるは宮本武蔵 の如く箸でそのチョークを受け止め あたる 「危ないではないか」  と一言。それを聞いた温泉マークは 温泉 「昼まで待てんのか!」  と、あたるの前までツカツカと近づく。  あたるは、最後のウインナーを口に軽く放り込み一言 あたる 「安心しろ、今食べ終わった」  それを聞いた温泉マークは、 温泉 「そう言う事を言ってるんじゃない!!!」  と、大声を上げた。そこにたまらず面堂が口を挟んだ。 面堂 「先生!そんなアホ放っておいて、早く授業を再開してください!」  すると、あたるがボソッと あたる 「いい子ちゃんぶりやがって、ただ女にいい顔したいだけだろうが」  と、つぶやいた。すると面堂は 面堂 「諸星、何か言ったか?」  と、どこから持ち出したのか日本刀を握りしめている。それを見て、あたるは あたる 「いや、別に」  と、面倒くさそうに答えた。それを聞いて面堂は 面堂 「ふん、だろうな。お前の様な奴に文句を言われる様な事は、僕はしてないからな」  あたるは、聞いてないのか全くの無反応だった。そのやりとりを見ていたメガネは メガネ (むむ?あたるらしくもない、いつもなら面堂にあんな事を言われて黙ってるはずがない んだが・・・)  メガネは、あたるを見つめた。  その時あたるは、昨夜の夢を思い出していた。 あたる (あの夢は何だったんだ?とても夢とは思えんかったが)  そう思い、ラムを見つめる。するとラムは、あたるの視線を感じたのか目と目が合った。  あたるは、慌てて視線をそらす。するとラムは小声で ラム 「ダーリン、どうしたっちゃ?」  と、あたるに声をかけた。あたるは あたる 「あ?何でもないわい」  と小声で返事を返した。  放課後、あたるはいつもの様に家路についた。いつもなら、うまくラムをまいてガールハントに 行くのだが、今日はどうしてもあの夢が気になりラムから離れる事が出来なかった。あたるはど うしても、ただの夢とは思えなかったである。 あたる (あんな夢を見たから気になって仕方ないではないか)  あたるは、チラッとラムを見た。ラムは、あたるの視線に気づき ラム 「どうしたっちゃ?ダーリン?今日は何だか変だっちゃ」  と、首をかしげた。  その時突然ラムが立ち止まり後ろを振り向き、後方をキョロキョロと見回し始めた。あたるは引 っ張られる形で立ち止まり、振り返ってラムを見るとラムは険しい表情で後方を見つめていた。 あたる 「おい、ラムどうした?」 ラム 「・・・・・・」ラムは、集中してるのか返事をしない。あたるは、少し大きな声で再び あたる 「おい!ラム!!」と、ラムを呼ぶとラムは驚いた様に振り返り ラム 「あぁ、何でも無いいちゃ」と、笑を浮かべた。しかし、その笑は不安の色を含んでいた あたる 「何でも無いのに、あんな顔するのか?」と、あたるが問い詰めるとラムは不安な表情 を浮かべ ラム 「なんか、嫌な気配を感じたっちゃ。誰かに見つめられている様な・・・」  あたるはラムのその言葉を聞くと昨夜の夢を思いだし、急に意味しれぬ不安に襲われた。 あたる 「き、気のせいだろ?さっさと帰るぞ」  と、帰宅の脚を早めた。ラムは、 ラム 「あ、ダーリン、待って〜」と、あたるの後を追って行った。  二人が見えなくなると突然ポリバケツの蓋が開き、ひょいと男が顔を出した。その顔は目鼻立ち もはっきりしていて、いわゆる美形であったが今はゴミにまみれて見る影も無い。 男 「ふふふ、なかなか鋭い勘をしているな。この超一流の隠密のラウ様でなければ見つかってい たな」男は、誰にも聞かれもしないのに自ら名乗った。  ラウは、は軽快にポリバケツから飛び出し・・・と思ったら、ポリバケツに足を引っ掛けて顔面 から道路に落下した。 ラウ 「んぎぃぃぃ」  ラウは、顔面を強打した激痛で思わずのけ反りその反動で電柱に後頭部を強打した。 ラウ 「んごぅ」ラウは後頭部を両手でおさえながらうずくまった。  少しして回復したのか、ラウはすっと立ち上がり ラウ 「この様なトラップを仕掛けておくとは、なかなかやるな」と、後頭部のコブをさすりなが ら言った。  まわりには通りすがりの子連れの主婦が「変なもの見ちゃダメ」とそそくさとその場を後にした りしていたが、友引町の住民はこのくらいの事はその辺に落ちている石ころの如く気にとめる程の 事では無いのか、誰も見向きもしなかった。 ラウ 「見よ!私が完全に気配を消してるから、誰も私の存在に気付かない。超一流の隠密の私に してみれば、このくらい容易い事なのだ」と言い ラウ 「わ〜ハッハッハ」と大声で笑った。超一流の隠密は、アホさ加減も超一流だった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  地球から遥か離れた惑星ルイーザ。そこの宮殿のひと部屋にその男は居た。優しそうな瞳・品の ある唇・鼻筋の通った鼻、文句のつけようの無い顔からは、どこか気品があふれていた。何やら調 べ物をしているらしく夢中で資料を読んでいる。その時コンコンとドアがノックされた。 謎の男 「入れ」調べ物の手を止める事なく答えた。  するとドアを開けて別の男が入ってきた、どうやら、部下の男らしい。その男は見るからに頭の 切れそうな冷静沈着な男に見える。 部下の男 「カロン様」部下の男は、謎の男をカロンと呼んだ。そう彼カロンは惑星ルイーザの王 だったのである。 カロン 「どうした?ドイル?」と部下の男を見た。 ドイル 「先日の者はどうやら鬼族のようです」コンピュータがはじき出したラムのことらしい。 カロン 「それがどうかしたのか?」カロンは、怪訝な表情でドイルを見た。 ドイル 「はい、実は鬼族の者は特殊な能力を使うらしのです」 カロン 「ほう、してどの様な能力だ?」 ドイル 「飛行能力と放電能力です」  カロンはとりわけ動じる気配も見せず、ドイルに聞き返した。 カロン 「お前の事だ、私の所にそのような報告のみで来た訳ではあるまい」そう言うとニヤリと 笑ってみせた。 ドイル 「さすがカロン様、聡明です。鬼族の娘の名前はラム。現在辺境の銀河にある地球と言う 星に住んでいます」 カロン 「ん?鬼星ではないのか?」カロンが問いかけるとドイルは ドイル 「はい、現在地球にて地球人の諸星あたると言う男と暮らしている様です」 カロン 「なるほど、そんな辺境の星の種族など障害にはなるまい。して、ラムの能力については ?」カロンはラムがあたると暮らしている事など気にもとめていないようだ。 ドイル 「それについても、既に手は打ってあります」ドイルの言葉を聞いてカロンは興味深そう に目を輝かせながら、更に問いかける カロン 「うんうん、どの様な手だ?」  いつもの事なのかドイルは、半ば呆れた様な表情で答えた ドイル 「カロン様の果てしなき探究心には、いつも頭が下がります」 カロン 「いいから早く教えてくれ」カロンは待ちきれない様だ。ドイルは、覚悟を決めた様に話 はじめた ドイル 「高等生物は、例外なく神経同士の電気信号のやり取りで行動しています。鬼族の能力も 例外ではありません。従って、脳内のシナプスからの電気信号を制御できれば能力を封じる事は、 いとも簡単です」 カイル 「なるほど、してどうやって制御するのだ?」カイルの瞳は益々輝きだした ドイル 「ナノマシーンによって、ニューロンを支配します」ドイルは得意そうに答えた。それに 対しカイルは カイル 「ナノマシーンか、しかしどうやってラムにナノマシーンを投与するのだ?」その質問も 想定内だったのか、ドイルは慌てる様子もなく言った。 ドイル 「既に地球に潜入員が潜入しています」  それを聞いてカイルは カイル 「そうか!で、誰だ?潜入員は?」と興味津々である。だが、ドイルは少し歯切れが悪そ うにすぐには答えなかった。カイルは、しびれを切らして カイル 「ドイル!何故答えん!」  ドイルは、観念した様に答えた ドイル 「・・・ラウであります・・・」 カイル 「・・・・・・・」 ドイル 「・・・・・・・」 カイル 「あの、ラウか?」カイルがぼそりと言った ドイル 「・・・・はい」ドイルは、バツが悪そうに答えた。カイルはすかさず聞いた カイル 「だ、大丈夫なのか?」カイルは急に不安になった カイル 「何故、他の者を送らなかった!」 ドイル 「申し訳ありません、あの星系に一番近かったのがあやつしか居なかったのです」  ドイルは申し訳なさそうに答えた カイル 「仕方ない、奴を信じよう」カイルは腹をくくったように言った。 カイル 「それと、ラムに対しては充分敬意を払えよ。私の妻になる者だと言う事を忘れないよう に」  カイルは、厳しい目でドイルを見た。それに対しドイルは ドイル 「はい、かしこまりました。ラム様の事については皆に伝えておきます」そう言うと、深 々と頭を下げた。それを見てカイルは満足そうに笑うと カイル 「で、先ほどのナノマシーンの事なのだが、もっと詳しく聞かせてくれ」とドイルに詰め 寄った。 ドイル 「またですか?」ドイルは、軽くため息をついた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  あたるは、また見知らぬ街を歩いていた。 あたる 「またここか・・」まわりを見ながらつぶやいた。 あたる (同じ夢ならラムが居るはずだ)そう思うと、あたるは走り出した前に夢でラムを見つ けた路地に向かって。  あの路地に着いたがラムの姿は無い あたる (たしか、ここだったはず)あたるは、ラムの姿を探した。しかし、いくら探してもラム を見つける事が出来なかった。あたるは不安になり前にラムが消えた場所に行ってみた。  すると、そこには・・・・学生服の黄色いスカーフが落ちていた。 あたる 「この夢は昨日の続きか?」そう言うとスカーフを手に取ろうと手を伸ばした。と、その 瞬間スカーフは煙の様に消えてしまった。あたるは呆然とスカーフあった場所を見つめていた。ま るで抜け殻の様に。  その時「ダーリン」とかすかにラムの声が聞こえた。あたるは、まわりを見渡し力いっぱい叫ん だ あたる 「らむーーーーーー!!」  そこで、あたるは目を覚ました。時間は昨日と同じ午前3時を回ったところだった。あたるは、念 のためラムが寝ている押入れをそっと開けてみた。ラムは昨日と同じ様に小さな寝息を立てながら スヤスヤと寝ていた。 あたる (あ〜、何たってんだ俺は)と頭を掻きながら再び布団に入った。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  次の日の休み時間あたるは、ラムの目を盗みこっそりと保健室に行っていた。 さくら 「で、お主の悩みとは?」サクラは、そう言うとくるりと椅子に座ったまま振り向いた。 あたる 「実は・・・・」あたるは言葉を飲んだ。 サクラ 「ん?なんじゃ?言うてみい。私はこ学校のカウンセラーじゃ」あたるは真剣な眼差しで サクラを見つめ あたる 「このままサクラさんとデートに行くにはどうすればいいか悩んでるんです」とサクラの 手を取った。 サクラ 「その様なつまらん悩みでいちいちくるなーーーーーー!!!!」と、あたるに対して強 力蹴りで、保健室の窓から蹴り出した。あたるは、遥か上空に消え去った。サクラは「まったく」 とつぶやきながら再び椅子に腰掛けた。すると向かいの椅子にはあたるがアホな笑い顔で座ってい た。サクラは、それを見るなり サクラ 「おのれ!この妖怪小僧がーーー!!」と、お祓い棒をどこからか出し、あたるをお祓い 棒で殴り飛ばした。あたるは、ロッカーに叩きつけられながらも あたる 「悩みがあるのは本当なのに」と訴えた。サクラは サクラ 「だったら、何故素直に打ち明けんのじゃ!」と怒りながらも椅子に腰掛けた。 あたる 「あいたた、サクラさん見てたらつい」と、あたるはだらしのない笑を浮かべた。 サクラ 「して、悩みとは?」サクラは、再びあたると向き合った。 あたる 「実は、夢を見たんです」あたるは、うつむき加減で話しだした。 あたる 「と、いう訳です」あたるは言った。 サクラ 「と、いう訳では何のことか解らん」あたるは激しくコケた。そしてこちらに向き あたる 「あのなぁ!作者!普通は説明を省くための展開だろうが!!」あたるは椅子から立ち上が り怒鳴った。 あたる 「状況説明はいいから、早く話を進めんか!」 サクラ 「お主、誰と喋っておるのじゃ?」*作者(汗)回想略* サクラ 「なるほどのう、それは予知夢やもしれん」サクラは、話を続けた サクラ 「しかし、ただの予知夢とも思えん」サクラは考え込んだ あたる 「予知夢?それじゃあラムが?」あたるは、不安な気持ちを隠せなかった。 サクラ 「うむ、それは私には解らん」 あたる 「そんな・・」あたるの不安は更に大きくなった サクラ 「とにかく、ラムから目を離さぬ事じゃ。分かったな?」サクラは真っ直ぐにあたるの目を 見て言った。  ガラガラ、保健室のドアが開きあたるが出てきた。そこに、しのぶが通りかかった。 しのぶ 「あら、あたるくんじゃない」しのぶがあたるに声をかけた あたる 「あぁ、しのぶ」あたるの顔を見てしのぶは しのぶ 「どうしたの?顔色悪いけど・・」あの、あたるが病気などするはずが無いのを知っているし のぶは、何か気になったのである。 あたる 「いや、何でもない」と、あたるは教室に戻って行った。  これから起こるとんでもない事を、誰も知る由もなかった。                             エピソード1 END