§前回までのあらすじ§  平凡な日常のなか、奇妙な夢を見たあたる。そんなあたるとラムを監視する男ラウは、惑星ルイーザの王カロンの密命により動いていた。そんな中再び奇妙な夢を見たあたるは、保険医サクラに相談したところ予知夢ではないかと告げられた。      エピソード 2  2年4組は、いつもの様に騒がしい。そんな中、教室のドアが開いてあたるが入ってきた。  あたるは教室を見渡した。教室のほぼ中央に面堂が女生徒に囲まれ何やら自慢気に話をしている。教室の隅の方には、メガネ・パーマ・カクガリ・チビの四人が固まって何やら話しているようだ。あたるは、教室内を見渡すがラムの姿は無が見当たらないので、メガネ達の所へ行き あたる 「おい、ラムを知らんか?」  と訪ねると、メガネが メガネ 「ラムさんなら、さっき出て行ったが」と言った。 あたる 「そうか、悪かったな」と、あたるは軽く礼を言うとメガネ達のそばから離れようとした。その時メガネは、あたるの背に向かって メガネ 「おい!あたる!」と声をかけた。 あたる 「ん?なんだ?俺は忙しいんだ、用が有るなら後にしてもらえんか?」と、あたるは面倒臭そうに答えた。それを聞いてメガネは メガネ 「お前・・・・・まぁ、いい。ラムさんを泣かす様な事だけはするなよ」と言った。 あたる 「なんのこっちゃ」と、あたるはそそくさと教室を後にした。 パーマ 「おい、メガネ。いいのかよ?お前、あたるとラムちゃんに何か有ったかもって言ってたじゃないか」とパーマがメガネに詰め寄る。 メガネ 「何か起きてるのは間違いないだろう。だが、あたるを問い詰めたところで白状するとも思えん。ここは、少し様子を見ようじゃないか」とメガネは、パーマに言った。それを聞いてパーマは パーマ 「まぁ、確かになぁ毎度毎度、悶絶地獄責めやら電機アンマ三段責めじゃ芸もないしなぁ」と、半分呆れた表情で言った。  あたるは、校舎内をラムを探して回っていた。 あたる (ラムのやつ、何処へいったんだ)  あたるがキョロキョロと周りを見ながら進んで行くと前からラムがやって来た。ラムは、あたるを見つけるなり ラム 「ダーリン!いったい何処行ってたっちゃ!」と飛んで来た。 ラム 「どうせまた、他の女にちょっかい出しに行ってたったっちゃね?」と、パチパチと放電を始めた。 あたる 「あほ!俺がわざわざ探しに来てやっとるのが分からんのか!」と逆にラムに強い口調で言った。するとラムは ラム 「ダーリンが先に居なくなったっちゃ」と言うと、腕組みをして言った。 ラム 「おおかた、サクラの所にでも行ってたんと違うっちゃ?」  ギク!!  あたるは、一瞬たじろいだ。 あたる (なんちゅー勘の鋭い女じゃ)  ラムは、それを見逃さなかった ラム 「やっぱりそうなんだっちゃね!!」そう言うと今度はバチバチと放電を始めた。それを見てあたるは あたる 「ま、まて!ラム!俺の話を聞け!」とジリジリと後ずさった。 あたる (マズイ、本当の事など恥ずかしくて口が避けても言えん。だが、このままだと間違いなく電撃だ。どうすれば)あたるが考えているとラムが ラム 「いいっちゃ、聞くっちゃ。ただし、サクラに確認に行くっちゃ。もし嘘だったら・・分かってるっちゃね?」と言ってあたるの顔を見つめた。 あたる 「な、悩みを相談にちょっと・・・」と曖昧な返答をすると、ラムは ラム 「どうせサクラとデートするにはどうすれば?なんて聞いたんじゃないっちゃ?」と皮肉たっぷりに言った。 あたるは (なっ!まさかラムのやつ保健室に居たんじゃ・・いや、それはあり得ない。それにしても、つくづく勘がいい) と思い あたる 「バカな事言うな、真面目な悩みじゃ」と言った。するとラムは、 ラム 「じゃぁ、どんな悩みだっちゃ?」とすかさず聞いた。それに対しあたるは あたる 「アホ!そんな事言えるか」と腕を組み、そっぽを向いた。  それを見てラムは、あたるの向いた方へ飛んでいきあたるの顔を見つめて ラム 「サクラには話せてウチに話せない悩みって何だっちゃ?」と険しい顔であたるを見た。あたるは あたる (お前の事だから言えんのじゃ!)と心で思いながら あたる 「とにかく、サクラさんには悩みを相談に行ったのだ!」と言い、教室に戻ろうとした。それを見てラムは、 ラム 「何処へ行くっちゃ?保健室はこっちだっちゃ!」とあたるを強引に引っ張って行こうとした時   キーンコーン・キーンコーン  授業開始の鐘が鳴った。ラムは、 ラム 「命拾いしたっちゃね」と悔しそうに言った。あたるは、胸を撫で下ろした。  放課後、あたるとラムはいつも通りに帰宅路を歩いていた。あたるは、サクラの言った サクラ 《予知夢やもしれん、ラムから目を離すでないぞ》  の言葉が頭から離れなかった。あたるがそんな事を考えながら歩いていると、目の前をひらひらと何やら紙切れの様なものが横切った。  あたるは、それが何かすぐに分かった。 あたる (あれは!)そう思うと、すぐにその紙切れの様なものを目で追った。それは、1000円札であった。  あたるは、すぐに振り返るとその1000円札に手を伸ばした。しかし、もう一息の所で手が届かず1000円札は ヒラヒラと後方に向かって飛んで行く。だが、あたるは諦めずに あたる (俺の1000円!!!)と、心の中で叫び更に手を伸ばした。そこにラムが居て、ちょうどラムに抱きつく様なかたちになったが、それでもあたるは1000円を諦めずに手を伸ばした時  チク!  背中に針で刺された様な痛みを感じた。ラムは、あたるに抱きつかれたと思って ラム 「ダ、ダーリン」と驚きながらも喜んだ。  あたるは、背中に痛みを感じた時に体内に何か注入された様に感じたが、それよりも1000円を掴みと取ることに夢中だった。しかし、次の瞬間急に体の力が抜けて崩れる様に倒れた。  ラムは、急に倒れるあたるに驚き ラム 「ダーリン?」とあたるを呼んだ。あたるは、意識が遠退いて行くのを感じた。あたるは、驚いて自分を見て叫ぶラムの姿を見て意識を失った。 ラム 「ダーリン!!!どうしたっちゃ?ダーリン!」とラムはあたるを抱き起こした。  その時、少し離れた電柱の陰で「しまった!」と小さな声がした。そこにはラウの姿が有った。 ラウ 「まさか、あの男が盾になるとは!」と言いながら、額に汗を浮かべた。そして ラウ 「マズイ、マズイマズイマズイ!」ラウの額からは、みるみる汗が滝の様にながれてきた。 ラウ 「この僕が失敗?・・・それより、この失敗をドイル様に知られたら・・・・」そう言うと、オロオロと落ち着きなく行ったり来たりし始めた。  ラムはあたるを抱き起こした時に背中にまわした手に何か当たるのをかんじて ラム 「なんだっちゃ?」と言いながら、あたるの背中を見た。するとそこには、小さな注射器の様なものが刺さっていた。ラムは、ゆっくりその注射器の様な物を抜いて、まじまじとそれを見た ラム 「これは、打ち込み式の注射器・・」そう言うと、まわりを見回し始めた。すると、少し離れた場所でうろうろする見たことのない男を見つけた。そう、ラウである。ラムは ラム 「そこのお前!!!」そう叫ぶと、ラウの方へ飛んで行こうとした。その時「ラ、ラム」とあたるの声がラムの耳に入った。ラムは、その声であたるの方に振り返り ラム 「ダーリン!」とあたるに近づいた  ラウは、ラムの声で我に返り慌てて姿を消した。  あたるは、意識を失ったままだった。ラムが再びラウの方に目をやった時には、すでにラウの姿は無かった。 ラム (あいつ一体誰だっちゃ・・なんでダーリンを)と思った瞬間ハッとあたるを見て ラム (狙われたのは・・・ウチ?)そう思うと、大きな透き通る様な目に涙を浮かべ ラム (ダーリンは、いち早くウチの危険を察知してウチの事を守ってくれたんだっちゃ)と、あたるを抱きしめて ラム 「ダーリン!死んじゃ嫌だっちゃー!」と叫んだ。    あたるの部屋にあたるは寝かされている。その傍らには、ラムが心配そうにあたるを見つめていた。さいわい、あたるは気を失っているだけで命に別状は無い様だった。たが既に4時間以上意識は戻らない。ラムが呼び掛けても全く反応を示さなかったのだ。あたるの顔を見つめながらラムは ラム 「あいつは、一体何者だっちゃ、なんでこんな事を」と呟くと ラム 「ダーリン待ってて、ウチあの注射器の中身が何か調べてくるから」そう言うと、窓から飛び出しUFO に向かった。  UFO に着くとラムは、すぐに大きなモニターの前に座り通信を始めた。ほどなくモニターには、ラウの父が映り ラム父 「おー、ラムやないか。元気にしとるかぁ」とにこやかにラムに話しかける。ラムは ラム 「あぁ、とうちゃん!ウチは元気だっちゃ」と笑顔で答えた。すると ラム父 「ほうかほうか、で、どないしたんや?こんな時間に連絡してくるっちゅう事は、ただ事ではないんちゃうか?」とすぐに、ラムの異変に気付いた  ラムは、全てを説明し注射器を見せた。 ラム父 「なるほどなぁ、しかしあの婿どのがのう」と言うとラムは ラム 「ダーリンは、ウチを庇って・・・」と言葉を詰まらせた。ラムの瞳には涙が浮かんでいる。ラムの父は、そんなラムを見て ラム父 「よし、ラム!ほな、その注射器をすぐに転送してくれんか?すぐに調べるさかい」と言った。ラムは、頷くとすぐに転送装置に注射器を置いて ラム 「じゃぁ、今送るっちゃ」と言うと、スイッチを押した。  転送装置は、ブーンブーンと鈍い音を発した後、四方から光が注射器に向けて照射され、徐々に注射器は消えていき最後には完全に消えた。するとモニターの向こうのラムの父が ラム父 「来た来た、来たで〜」と言うと、先程の注射器を手に取って見せた。 ラム父 「ほな、すぐに調べるさかい、ちょっと待っとってや」と言い ラム父 「しかし、なんやかんや言うても婿どのもラムの事大事にしてくれとるんやなぁ」と続けた。それを聞いてラムは ラム 「当たり前だっちゃ!ウチはダーリンに大事にされてるっちゃよ」と言い ラム 「それで、解析にはどのくらいかかるっちゃ?」と父に聞いた。ラムの父は ラム父 「そうやなぁ、明日の今くらいには終わると思うで」と言い、 ラム父 「じゃぁ、早速解析に入るさかい、ラムも気ぃ落とさんと待っとってや。ほな、また明日」とモニターを切った。ラムは急いでUFO を出ると、あたるのもとに戻った。  あたるはまだ意識が戻らない様で、布団で寝ていた。ラムがあたるの横に座ると、それまで寝ていテンが起きて テン 「ラムちゃん」とラムの方に飛んできた。ラムは、テンを両手で受けとめ、そっと抱いた。テンは テン 「あたるのアホは、まだ目ぇ覚まさんのかぁ?」とラムに聞いた。ラムは ラム 「うん・・・」と悲しそうに言った。テンは、それを見てテンは、 テン 「ラムちゃん、心配せんと。コイツは、この程度くたばる奴ちゃうど」と 言った。テンはテンなりにラムを安心させようとしてるのだ。ラムは、それを聞いて ラム 「ありがとう、テンちゃん」と言い続けて ラム 「でも、もしもこのままダーリンが目覚めなかったら・・」とこぼれそうになる涙を必死にこらえた。それを見てテンは テン 「ラムちゃん・・・」と一言いうと、言葉を失った。テンは、ラムの腕からスルリと離れると テン 「ラムちゃん、今日はあたるの側にいるんやろ?」と言った。 ラム 「うん」とラムが答えると、テンは テン 「ほな、ワイはUFOで寝るさかい・・おやすみ」と言った。 ラム 「おやすみだっちゃ」ラムは、精一杯の笑顔を作った。  テンはUFO に帰って行った。一方ラムは、あたるの横であたるの顔を見つめていた。次第にあたるとの記憶が甦る。  ラムが記憶を失い面堂の所にいる時、カーテンを開けるとそこには、小型ヘリコプターに乗ったあたるが目の前に現れた  また、台風の夜にラムが水の中で押し入れの荷物の下敷きになった時、あたるは命懸けでラムを助けようとしてくれた  電気密林では、危険を省みずラムを取り戻しにきてくれた  ラムが小瓶で小さくなった時は、屋根の上から あたる 「いいから、こっちに来い!!!」あたるは、屋根からラムに向かってジャンプした。  様々な記憶が浮かんでは消える ラム (ダーリンは、いつだってウチの事を必死に助けようとしてくれたっちゃ)  知らず知らずのうちに、ラムの目からは涙が溢れていた。そして、ラムもまた眠りについて行った。あたるの横で。  翌朝、あたるは目を覚ました。上半身を起こし思い切り伸びをした後、自分の横でラムがあたるに覆い被さるように寝ているのに気付いた。まるで、座っていて疲れて寝てしまった様に。あたる驚き、ラムの顔を覗き込むとラムは目のまわりが赤く腫れ、泣いていた事が容易に分かった。あたるは あたる (ラムのやつ、どうかしたのか?) そう思い昨日の事を思いだそうとするが、どうしても思い出せなかった。あたるが必死に思いだそうとしてると、ラムが目を覚ました。ラムは、あたるを見るなり ラム 「ダ、ダーリン・・・」そう言うとあたるに抱きつき ラム 「ダーリン、よかったっちゃ」と喜びと安心から瞳に涙を浮かべた。あたるは、訳が分からず抱きついているラムを強引に引き剥がし あたる 「お前は、何を言っとるんだ」とラムに言った。ラムは、キョトンとして ラム 「ダーリン覚えてないっちゃ?」とあたるに聞いた。するとあたるは あたる 「いや、なんの事だかさっぱり」と言った。とぼけてる様には見えない、本当に分からない様だ。ラムはとにかくあたるが目覚めたのが嬉しかった。 ラム 「いいっちゃ、たいした事じゃないっちゃ」と、再びあたるに抱きついた。あたるは あたる 「おい!やめろ!朝から」とラムから離れて階段を降りて行った。ラムも ラム 「ダーリン、まつっちゃー」と後を追った。  あたるが、居間の襖を開け あたる 「あー、腹減った」と席につくと、あたるの母は あたる母 「あら、あたるもう大丈夫なの?」と、テーブルに朝食を置きながら あたる母 「まぁ、お前の事だから心配はしてなかったけど」と、言った。それを聞いてあたるは あたる 「さっきから、ラムと言い、母さんと言い、一体なんなんだ!」と不機嫌そうに朝食を食べ始めた。  その日は、何事も無く放課後を迎えた。あたるが帰ろうと校門を出たあたりで突然背後から「ほぅ。お主、顔色も良くなったようじゃのぅ」と声をかけられ振り返ると、そこにはサクラが学校の塀に寄りかかってこちらを見ている。サクラは、あたるに サクラ 「悩みは解消された様じゃのう」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「いえ、実はまだ悩んでいるんです」と、サクラの手を握った。サクラは サクラ 『まだ、夢を見るのか?』と、あたるの手をつねりながら耳打ちした。ラムに気を使ってとった行動を、あたるは自分を誘ってるものと勘違いして あたる 「夢?僕は、いつだってサクラさんの夢を見ています」と抱きついた。それを見てラムが ラム 「ダーリン!!!」と叫ぶのと同時に、サクラの鉄拳があたるの顔面にめり込んでいた。 サクラ 「お主の悩みに真面目に向き合った私が馬鹿だった」と言うと、校内に去って行った。だが、サクラは腑に落ちなかった、昨日の悩みを打ち明けた時のあたるの目は、決してふざけている目ではなかったからである。  サクラは足を止めて、振り返った。 ラム 「ダーリン!ちょっと油断するとすぐに他の女にちょっかい出して〜っもぉぉぉ!」とあたるに電撃を放とうとした。あたるは あたる 「ちょっと待て!!今のは、サクラさんから口説かれたのだ!」  あたるがその言葉を発した瞬間に、サクラが猛スピードであたるに近づき サクラ 「誰が、お前など!口説くかー!」と必殺の蹴りをお見舞いした。 あたるは あたる 「ブルー、インパルスーーーー!」と言いながら、空の彼方へ消えて行った。 ラム 「ダーリン!!!」   ラムは、蹴り飛ばされたあたるを追って飛んでいった。  それを見てサクラは サクラ (あやつの態度・・・昨日のそれとはまるで違う様に見えたが) と、違和感を感じていた。    あたるとラムは、家に帰り二階のあたるの部屋に居た。ラムは、時間を見て少しソワソワしている様だ。それを見てあたるは あたる 「トイレなら我慢せん方がいいぞ」と、まるでデリカシーの無い事を言った。それを聞いてラムは ラム 「トイレじゃないっちゃ!」と、少しムッとして答えた。そして再び時間を見ると ラム 「ウチ、ちょっとUFOに行ってくるっちゃ」と、窓からポーンと飛んで行った。あたるは、さほど興味もないのか あたる 「あぁ」と、マンガを読みながら軽く手を振った。  ラムは、急いでUFOに戻るとすぐに大きなモニターのスイッチをいれた。すると、すぐにモニターにはラムの父の姿が写し出された。  ラムは、我慢できずに ラム 「父ちゃん、どうだったっちゃ?」と、父に解析結果を求めた。 ラムの父は ラム父 「あのなぁ、ラム。解析結果でたんやけどな」と、何だか話しづらそうだ。ラムは、すぐに父親の態度に気づき ラム 「勿体ぶってないで、速くおしえるっちゃ」と、父を急かした。父は意を決した様に話はじめた。  ラムの父が明かす解析結果とは、そして呑気にマンガを読んでるあたるの運命は?  次回エピソード3にご期待下さい。            エピソード2 END