§前回までのあらすじ§  あたるはサクラに相談した後、帰宅途中でラウに何かを撃たれ、意識を失うが翌朝には、意識がもどり安心したのも束の間、ラムはラムの父より衝撃の事実をつげられる。       エピソード3 ラム父 「ラム、気ぃしっかり持って聞くんやで」とラムの父は一言告げた後、話はじめた。 ラム父 「あの注射器の中に入っていた物は、ナノマシーンやった」父の言葉にラムが反応した。 ラム 「ナノマシーン?」と聞き返すと、父は ラム父 「そや、ナノマシーンや。しかも厄介な代物や」と顔をしかめた。それに対してラムは ラム 「どう言う事だっちゃ?」と、不安を隠せずにモニター越しに父に迫った。父は、 ラム父 「婿どのがお前を庇った言うとったな?」とラムに確認するとラムは ラム 「うん」と短く答えた。それを聞いて父は ラム父 「やはり、狙われたのはラム、お前やったんや」そう言うと続けて ラム父 「あのナノマシーンはなぁ、わしら鬼族の能力を奪う物だったんや」とラムの顔を真っ直ぐ見て言った。ラムは、それを聞き ラム 「と言う事は、もしダーリンが庇ってくれなかったら今頃ウチは・・・」と言うと、ハッと何かに気づいた様に ラム 「じゃぁ、ダーリンは?ダーリンには影響ないっちゃ?」と父にすがる様に聞いた。父はそんなラムに ラム父 「そこなんや、問題なのは・・」と表情を曇らせた。そして ラム父 「そもそも、わしら鬼族と地球人とでは身体能力に大きな差があるさかいラムに対して作られたナノマシーンを地球人が受ければ、ただではすまんのや」と言った。それを聞いたラムは ラム 「ただではすまないって、どうなるっちゃ?」と聞いた。それに対し父は ラム父 「あのナノマシーンはやなぁ、人の神経回路に介入して、その人の脳内の電気信号を制御してまうんや。だから、もしラムの体内に注入されとったら電撃もつかえんし空も飛べん様になるっちゅう訳や」と父がそこまで言ったとき、ラムが ラム 「でも、ダーリンは電撃も無いし空も飛べないっちゃ」と言った。それを聞いた父は ラム父 「うむ、せやからそこが問題なんや、つまり婿どのにとってはわしらが倍の量のナノマシーンを打たれたのと同じ事なんや」と言った。ラムは、 ラム 「じゃぁ、ダーリンは、ダーリンはどうなるっちゃ!」と両目に涙をいっぱい浮かべ父に聞いた。父は ラム父 「脳内のネットワークが段々遮断されていき、徐々に記憶を失って行くやろう。そして最後は・・・」とそこまで言って言葉を止めた。  ラムは、あまりのショックに言葉が出なかった。しばしの沈黙の後 ラム 「じゃぁ、ダーリンはウチの事も忘れてしまうっちゃ?」と独り言の様につぶやいた。そして ラム 「何か、何か方法は無いっちゃ?ナノマシーンを取り出す方法は!」と父に、問いかけた。父は ラム父 「今、ナノマシーンに対するワクチンを生成しとるんやけど、ちょっと時間がかかりそうでのぅ」と申し訳なさそうに言った。それを聞いてラムは、 ラム 「そう・・・」と言って肩を落とした。それを見た父は ラム父 「せやけどなぁラム、他の人間ならまだしも、あの婿どのや!そう簡単にお前の事忘れるとは思えへん。今は、信じて側にいてやるのがええんとちゃうか?」と言った。父の言葉を聞きラムは ラム (そうだっちゃ、ダーリンがウチの事忘れるはずないっちゃ)と思い ラム 「父ちゃん、ありがとだっちゃ。ウチ頑張ってみるっちゃ」と言ってUFOを飛び出し、あたるのもとへ向かった。  あたるは相変わらずマンガを読んでバカ笑いをしている。それを見ていたテンが テン 《このアホ、あんだけラムちゃん心配させといて呑気にマンガなんか読みくさって》と、小さな声でつぶやいた。あたるは、本を読む手を止め あたる 「何か言ったか?」とテンに問いかけた。 テン 「別に何も言っとらんでぇ」と答え、心の中で テン (ラムちゃんの為やから、我慢せな)と、ラムとの会話を思い出した。 ラム 『テンちゃん、ダーリンには昨日の事黙ってて欲しいっちゃ』 テン 『なんでや、ラムちゃん?あたるのアホ、あんなにラムちゃん心配させたんやどー』 ラム 『いいんだっちゃ、無事に目も覚めたし・・余計な心配かけたくないっちゃ』 テン 『せやけど・・・』 ラム 『とにかく、黙ってて欲しいっちゃ』  テンは、ラムとの会話を思い出して テン  (ラムちゃん、黙ってて言うたけど、ちゃんと言うた方がこいつの為やで)  テンは、喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。それに対してあたるは あたる 「おい!ジャリテン!」と言うと立ち上がりつかつかとテンに近づき あたる 「お前、何か隠してるだろ」とテンの頭を鷲掴みにした。 テン 「な、何を根拠にそんな事言うねん」と平静を保とうとしたが、それとは裏腹に明らかな動揺を見せた。それを見てあたるは あたる 「根拠?そんなものお前の態度を見れば一目瞭然じゃ」と言い、さらに あたる 「さぁ!言え!何を隠してる!!」と大声を出した。  その時、窓から「ダーリン」と声がした。あたるが振り返ると、そこにはラムが居て ラム 「どうしたっちゃ?また喧嘩?」と言って部屋の中に入ってきた。あたるは あたる 「ジャリテンのやつ、何か隠し事してるぞ」とラムに言った。するとテンが テン 「隠し事なんかしてるかい!もししてたってお前になんか教えてやらんわい」と言うと テン 「ラムちゃ〜ん」とラムの所に飛んで行った。ラムは、テンを抱き抱えると ラム 「まぁ、まぁ、ダーリン」とあたるをなだめようとした。それを見てあたるは あたる 「ははーん、なるほど。お前らグルか」と言った。それを聞いてラムは ラム 「な、何言ってるっちゃダーリン」と言ったが、顔には動揺の色が見えた。あたるはすかさず あたる 「ラム、お前いつもジャリテンが隠し事したら追及するのに何故今日は追及せん」と言った。するとラムは ラム 「テ、テンちゃん、何か隠し事してるっちゃ?」とあからさまな聞き方をした。それに対してテンは テン 「わ、わい何も隠し事なんか、しとらへんで」とこれまた、取って付けた様な返事をした。そのやり取りを見てたあたるは あたる 「お前ら、そうやってコソコソと俺の知らん所で一体何やっとるんじゃ」とラムに近付いた。 ラム 「コソコソって、ウチら何もやましい事はしてないっちゃ」とラムは、あたるから目をそらした。その時、業を煮やしたテンが テン 「アホー!お前ラムちゃんの気も知らんと、ええ加減にせーよー!」とあたるに向かって怒鳴った。 あたる 「ん?ラムの気持ち?どう言う意味じゃ」あたるは、一瞬テンの方を見たがすぐにラムに視線を戻し あたる 「分かるように説明しろ!」とラムに向かって言った。  ラムは、事の顛末をあたるに説明した。もちろん、ナノマシーンの事は伏せて。  ラムの話を聞いてあたるは あたる 「まるで覚えてないが・・・それより何で俺に隠そうとした?」あたるは、ラムに聞いた。 ラム 「・・・ウチ、ダーリンに余計な心配させたくかなったっちゃ・・・」とラムは答えた。 あたる 「・・それで、その注射器の中身は何なんだ?」と、一番引っ掛かっている疑問をラムに投げ掛けた。 ラム 「それは・・今、ウチの星で父ちゃんに調べてもらってるっちゃ」ラムは、精一杯平静を装って答えた。 あたる 「じゃあ、分かったらちゃんと教えろよ!・・・良くても、悪くてもだ」とあたるは、ラムの目を見ながら言った。 ラム 「分かったっちゃ」と一言答えるとくるりとあたるに背を向けて ラム 「ウチ、父ちゃんに経過を聞きに言ってくるっちゃ」と言うと窓から空に向かって飛んで行った。それを見てテンも テン 「ラムちゃ〜ん」と、ラムの後を追って飛んで行った。  ラムは、あたるの視線に耐えられず飛び出したのだった。もちろん、UFOには戻らず一人公園のベンチに座っていた。  ラム 「こんな所でこうしてる間にもダーリンは記憶が・・・」ラムは、あたるの側から離れたく無かったが、あたるの顔を見るとどうしても涙が出そうになり、あたるに真実を悟られるのが怖かったのだ。  そこに、メガネ達四人が通りかかり カクガリ 「おい!あれ、ラムちゃんじゃないか?」とカクガリの声を聞いて他の3人は一斉にラムの方を見た。 メガネ 「本当だ、じゃぁ近くにあたるも?」とメガネが言うと パーマ 「いや、あたると一緒って感じじゃないなぁ」とパーマが続ける。それを聞いてメガネが メガネ 「さては、またあたるのやつラムさんを怒らせる様な事をしたか?」と言うと、ニヤリと笑い メガネ 「これは、チャンスかも知れんぞ。最近どうもあたるの様子がおかしかったから何か有ったのかもと思っていたが、こうも早くチャンスが訪れるとはな」と言った。するとチビが チビ 「チャンス?何がだよぉ」と言ったのを聞いてメガネは メガネ 「分からんのか、今ラムさんは心に傷を負っている。今こそ我々がラムさんの心の傷を癒してやるのだ!今ラムさんを救えなくて、いつ救うと言うのだ!それが出来なくて何故親衛隊と言えよう!今、我々は自らに課せられた使命を全うしなければならない!我々以外に誰がラムさんを救えると言うのだ!あたる?あんなアホには任せておけない!面堂?あんな、たかだか少し顔がいいだけで内面はあたると変わらん金持ちのボンボンに何が出きる!考えても見ろ!今までラムさんをずっと見守って来たのは誰だ!我々ではないか!今こそラムさんをアホの呪縛から解き放ち、真実の愛に目覚めさせる時なのだ!ラムさん有っての我々ではないか!ラムさん無くして我々の青春を語る事は出来ない!」ここまでメガネが喋った時パーマが パーマ 「おい、メガネ!」とメガネに喋りかけた。メガネは、話の腰を折られて厳しい目でパーマを メガネ 「何だ!」と睨んだ。 パーマ 「お前の話長いからラムちゃん行っちまったぞ」とパーマは、メガネの話の長さを指摘した。 メガネ 「ふが、ラ、ラムさん」メガネは、ラムの飛んで行った空を見つめた。 パーマ 「まぁ、お前の話の長いのはいつもの事だからな」とパーマが半ば諦め気味に言った。他の二人もウンウンと頷いた。  ラムは、あたるの部屋に向かいながら決心した。 ラム 「絶対にダーリンはウチが救って見せるっちゃ!」ラムは自分に言い聞かす様に力強く言った。  あたるは、記憶を失っている様な気配を全く見せず、いつも通り学校に来た。 ラム (何だか、ダーリン大丈夫そうだっちゃ)と、ラムは少し安心した。  その時、「ラムさ〜ん」と上の方から声がした。ラムが振り向くと、そこにはパラグライダーで降りてくる面堂の姿が有った。面堂は、あたるの上に見事に着地した。あたるは、面堂に踏みつけられてそのままうつ伏せに倒れた。面堂は 面堂 「ラムさん、おはようございます。今日も一段とお美しい」と言った。 あたる 「おい!いい加減人の背中から降りんか!」と、あたるは面堂に怒鳴った。 面堂 「おぉ、すまんな。僕は醜いものは見えないので気づかなかったよ」とあたるの背中から降りると髪を撫でた。 あたる 「ふざけるな!何で俺が何処の誰だか分からん奴に踏みつけにされにゃぁならんのだ!!」とあたるは、面堂に詰め寄った。それを聞いた面堂は 面堂 「何?何処の誰だか分からん奴とは僕の事か?」と、眉毛をヒクヒクさせながら、あたるに聞いた。 あたる 「お前以外に誰がおる!」とあたるは、面堂に食って掛かった。すると面堂は 面堂 「ほぅ、貴様僕の事を知らないと言うのか?」面堂は眉毛をヒクつかせながらパラグライダーの装備を外した。 あたる 「何度も言わせるな!知らんものは知らん」あたるは面堂に言ってのけた。 面堂 「き、貴様の様な奴にここまでコケにされるとは面堂家末代までの恥!そこに直れ!この場で刀の錆にしてくれる!」そう言うと、何処からか日本刀を取りだし鞘を投げ捨てあたるに向かって構えた。  それを見ていたラムは ラム (今ダーリン終太郎の事、誰だか分からないって・・・まさか、記憶が)と思い急に心配になった。その時面堂があたるに向かって刀を降り下ろした。あたるは、その一閃を真剣白羽取りで受け止め あたる 「面堂!いきなり何するんじゃ!」と言った。ラムは、あたるの一言を聞いて ラム (記憶が、戻ったっちゃ?) ラム 「ダーリン!」と言って、あたるに近付いた。それを見て面堂は 面堂 「ラムさん、そいつから離れて下さい!諸星のやつは僕が・・」とそこまで言った時 ラム 「ごちゃごちゃうるさいっちゃー!!!」とラムは、面堂に電撃を浴びせた。    バリハリバリバリバリ!!!  激しい電撃が面堂を襲う 面堂 「うぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ」と面堂は叫び声をあげて倒れ  面堂 「ど、どじで」と言って気を失った。ラムはあたるに ラム 「ダーリン!今、終太郎の事忘れてたっちゃ!?」と慌てて聞いた。 あたる 「ん?そう言えば」とあたるは不思議そうに言った。 ラム (やっぱり・・ダーリン記憶が)とラムは思うとショックのあまり、その場で茫然となった。あたるは、そんなラムの態度に気付き あたる 「おい、ラム?どうした?」と聞いた。ラムはあたるの声に我に返り ラム 「う、ううん♪何でもないっちゃ」と無理に明るく振る舞った。 あたる 「変なやつだなぁ」とあたるはスタスタと校舎に向かって歩いて行った。ラムも、すぐに ラム 「ダーリン、待って」と後を追った。  あたるは、意味知れぬ不安が心に広がるのを感じていた。  学校からの帰り道、あたるはラムに聞いた話を思いだしていた。 あたる (ラムの話だと、ラムが狙われたのを俺がかばったと言っておったが・・まるで記憶がない。しかし、ラムを狙って俺に当たった訳だから失敗したんだよな?となると、また狙われる可能性が高いよな?)と思い、ラムの方をチラッと見た。ラムは、不安そうな顔をしていたがあたると目が合うと笑顔になり ラム 「どうしたっちゃ?」と言って ラム 「もしかしてダーリン、ウチの事心配してくれるっちゃ?」と目を輝かせた。あたるは あたる 「アホ、誰がお前の心配なぞするか」と恥ずかしさのあまり、心にも無い事を言った。   その頃ラウは、まだ悩んでいた。丸一日悩んでいたのである。寝る間も惜しんで・・・・しかし、いくら悩んでも悩みは解消しない事にラウは気づかなかった。何故なら、彼は超一流のアホだからである。 ラウ 「弱ったぞ、ドイル様からお預かりした薬はもう無い」とラウは独り言を言いながら腕組みをした。その時、小型の通信機が鳴った。ラウは、ドキッとして ラウ (つ、ついに来てしまった)と思い、額に汗を浮かべた。ラウは、恐る恐る通信機のスイッチを押した  パチ  ジジジジ  通信機が繋がると「ラウか?首尾はどうだ?」と声がした、ドイルである。 ラウ 「あ、ドイル様・・・」ラウは、顔から血の気が引くのを感じながらどうにか答えた。 ドイル 「首尾はどうだと聞いている」とドイルは冷静に聞いてきた。ラウは、ドイルの恐ろしさを良く知っていた。以前にラウが1度失敗した時にお仕置きをされた事が有った。その時の記憶が ラウを萎縮させた。 ラウ 「は、まだ結果は出ておりません・・・」とラウは言った。 ドイル 「そうか、随分と時間がかかっている様だが」と穏やかな口調でドイルが言うと、ラウの顔色は更に悪くなった。 ラウ (ド、ドイル様が怒ってる)ラウは、心臓が張り裂けんばかりに鼓動しているのを感じた。ドイルの口調が穏やかなになればなる程、怒っているらしい。  ラウ 「も、申し訳ありません、なかなか勘の鋭い者でして」とラウは、やっとの思いで答えた。 ドイル 「お前に渡した薬だが、あれは生成するのが非常に難しい物だ。確か、3本程渡してあったはずだか」とドイルがラウに聞くと ラウ 「はい、確かに3本受けとりました・・・」とラウは答えた。  ドイル 「そうか、くれぐれも失敗したりせぬ様に注意する事だ」そう言うとドイルは、少し笑った様に見えた。 ラウ 「はい、心得ております」とラウが答えた所で通信は切れた。  ラウは青くなった。何故なら先程も本人が言ってた様に、薬はもう無いのである。何故なら、あたるに間違えて打った時に三回打っていたのだ。一回目は、たまたま通りかかったコタツ猫に当たってしまったが、コタツ猫は平気な顔で歩いて行ってしまった。二回目は、これまた、たまたましのぶを追いかけて通りかかった総番に当たったのだか、総番も何事も無かった様に走り去って行った。そして、三回目に周りを注意して打ったのがあたるに当たったのである。 ラウ 「こうなれば、気絶させてでも無理矢理連れて行くしかない」ラウは、もはやヤケクソになった。  惑星ルイーザでは、またドイルがカロンに付き合わされていた。 カロン 「ドイル、ラウはうまくやってるか?」カロンが、何やら作っているドイルに話しかけた。 ドイル 「先程、様子をうかがったのですが、あれは失敗しましたね」と言うとニヤリと笑った。 カロン 「失敗?それにしては、嬉しそうだが?」とカロンは、ドイルの顔を見て言った。 ドイル 「ご安心下さい。これは想定内です。既に次の手を」と、ドイルは手を止めずに答えた。 カロン 「しかし、お前が喜んでいる理由は違うだろ?」とカロンも笑いながら聞いた。 ドイル 「分かりますか?」とドイルが手を止めカロンの方を見た。 カロン 「またあれか?悶絶地獄攻めと、電気アンマ三段攻めだったか?」カロンがドイルに聞くと ドイル 「はい、わたくしの楽しみの一つです」と答え、その瞬間の事を考えているのか、目は虚ろだ。 カロン 「分からんな、お前の楽しみ」とそれを見ていたカロンがため息をついた。  その夜、あたるは相変わらず漫画を読んでいる。週刊ヨンデー・・・どこかで聞いた様な名前だ。他にもあたるは、めぞんだっこく、だっ星やつら、といった漫画も好んで読んでいるようだ。ラムは、テンを寝かせつけていた。  ふいにあたるがラムに話しかけた あたる 「して、ラム」急に話しかけられてラムは一瞬驚いたが ラム 「な、何だっちゃ?」と答えた。 あたる 「解析結果は、出たのか?」とあたるは漫画を読むのをやめ、ラムの目を見た。 ラム 「あ、ウチ今日はUFO行ってないからまだ分からんっちゃ」とラムはあたるから視線を反らし答えた。 あたる 「ほう、お前は俺がどうなってもいいのか?」とあたるがラムに言うと ラム 「いい訳ないっちゃ!!」とあたるから視線を反らしたまま体を震わせて言った。それを見てあたるは あたる 「ラム・・・本当は、もう知ってるんじゃないのか?解析結果」とラムに問いかけた。 ラム 「!」ラムは一瞬ビクッと小さく反応し、ゆっくりあたるの方を向いた。その瞳には、涙がいっぱいで今にもこぼれ落ちそうだった。それを見てあたるは あたる 「やっぱりな」と言い、続けて あたる 「お前がそこまで俺に隠そうとするんだから、相当悪い結果なんだな」と言って、あたるは あたる 「ラム、全て聞かせてくれ」とラムに言った。 ラム 「ダーリン・・・」ラムは、全てをあたるに話した。記憶が無くなって行く事、まだワクチンの生成が出来ない事、そして最後にはラムの事も忘れてしまう事も。あたるは黙って聞いていた。 ラム 「大丈夫だっちゃ!絶対にウチがダーリンを救ってみせるっちゃ!」ラムは、そう言うとあたるに抱きついた。 あたる 「ラム・・・」あたるはボソッと一言言うと あたる 「何をバカな、俺がお前の事忘れる訳なかろうが!」と強がってみせた。少しでも、ラムの気持ちに応えようとあたるなりにとった虚勢だった。    布団の中、あたるは考えていた あたる (俺は、これから記憶が消えていくのか?)あたるは、急に不安になった。 あたる (サクラさんの事も、竜ちゃんやしのぶにランちゃん、了子ちゃんに弁天さまやお雪ちゃん、みんな忘れるのか?そして、ラムも・・・)あたるの不安は増大していった。そして、気づくと涙が頬を伝わっていた。 あたる (忘れたくない・・ラム・)あたるは涙を拭い あたる (俺は絶対に忘れない、絶対に、絶対に忘れるもんか!)あたるは、強く心に誓った、そして眠りに落ちて行った。  翌朝、あたるは目が覚めると同時に飛び起きた。 あたる (ラム!)あたるは、すぐにラムの事が頭に浮かんだ あたる (忘れてない・・)あたるは、ホッとしてラムが寝ている押し入れの方を見た。すると、スルスルと押し入れの襖が開きラムが顔を出した。良く眠れなかったのか、まだ眠そうな目であたるを見ると ラム 「ダーリン・・おはよう・・」とあたるの顔を見つめた。 あたる 「あぁ、早く支度しないと遅刻するぞ」とあたるは、言った。ラムには、いつも通りのあたるに見えて急に嬉しくなった。 ラム 「うん!」ラムは無邪気な笑顔で答えた。  通学路途中でラムが ラム 「やっぱりダーリン、ウチの事覚えていてくれたっちゃ」と屈託の無い笑顔で言った。 あたる 「アホ、だから言ったろうが、俺は絶対に忘れんと」あたるは、不安を胸に隠しながら平静を装った。 ラム 「うん!」ラムは、あたるの言葉で不安が無くなり満面の笑みを浮かべた。  学校に付いたあたるは、教室に入り戸惑った。 あたる (あれは、転校生か?)あたるの視線の先行きに居るのは面堂だった。あたるが面堂を見ていると、面堂が 面堂 「何だ?諸星。僕に何か用か?」と、あたるに聞いてきた。 あたる 「お前・・・誰だっけ?」あたるの一言に面堂は、 面堂 「なるほどな、そう言う事か」そう言うと、何処からか出した日本刀をスルスルと鞘から抜いて 面堂 「そう言う事かぁー!!!」とあたるに対して日本刀を構えた。あたるは、それを見て あたる 「ちょ、ちょっと待て!俺が何したって言うんだ!」と言い、ヒョイと机の上に飛び乗ると面堂と距離を取った。 面堂 「き、貴様〜、よくもぬけぬけと」と面堂も、机の上に飛び乗る。 面堂 「先日と言い、今日と言い、この僕をここまで愚弄しておきタダで済むと思うなぁ!」面堂は、そう言うとあたるに対して切りかかって来た。 あたる 「うわぁ、何訳の分からん事をゴチャゴチャと」あたるは、器用に面堂の刀をすり抜けた。するとラムがあたると面堂の間だに入ってきて面堂に、ウルトラマンのスペシウム光線のポーズで電撃を発射した。 面堂 「うぎゃぎゃぎゃぎゃ」と面堂は電撃を喰らい、その場に倒れた。 面堂 「ラ、ラムさんどぼじで」面堂はそのまま気を失った。 ラム (ごめんね、終太郎)と、ラムは心の中で面堂に謝った ラム (ダーリン、やっぱり記憶が消えて行ってるんだっちゃ)ラムは、再び不安になった。 あたる 「いったい、何だっちゅうんじゃ」あたるは、独り言の様に呟いた。 ラム 《ダーリン、ダーリン》ラムが小声であたるに話しかけた あたる 《なんじゃ》あたるも小声で返す ラム 《ダーリン、終太郎の事忘れてるっちゃ》と、ラムが不安いっぱいの顔であたるに言った。 あたる 《終太郎?誰だそれ?》とあたるが言うと ラム 《クラスメイトだっちゃ》とラムは、電撃を浴びてプスプスと煙をあげ気絶している面堂を指差した。それを聞いてあたるは あたる 《なに?転校生じゃないのか?》と驚き あたる 《じゃ、記憶が・・・》と愕然とした。それはつまり、今後も記憶が消えて行く事を示唆しているからである。  そんなやりとりを見ていたメガネ達四人は、 パーマ 「おい、メガネ、あたるの様子ちょっと変じゃなかったか?」とパーマがメガネに問いかけた メガネ 「あぁ、確かにな。あれは、面堂をおちょくっていたのではなさそうだ」とメガネは答えた。更にメガネは メガネ 「何か、とてつもない事が・・俺達の知らない所で、とんでも無い事が起きてるのかもしれん」と言った。 パーマ 「それって、あのあたると関係あるのか?」パーマの疑問に対してメガネは メガネ 「あぁ、恐らくな。この手ねトラブルには必ずあたるが関わっている。だから今回もきっと・・」メガネは、自信たっぷりに言いきった。  そこに「おはよー」と声と共に教室に入って来たのは、竜乃介であった。それを見たあたるは、一瞬のうちに竜乃介の所に移動して あたる 「僕には分かるよ。君が女の子だと言う事が」と、あたるは竜乃介の手を握りしめた。 竜乃介 「何しやがるんでーぃ!」竜乃介の正拳突きがあたるの顔面を捉えた。 すぐさま、ラムが ラム 「ダーリン!!」と飛んで来て、あたるの背中にしがみつき電撃を放った。 あたる 「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ !」と言う声とともにあたるは倒れた。 竜乃介 「たく、俺は今気が立ってるんでぃ」と言うと竜乃介は、自分の席に座った。 あたる 「女の子が暴力なんていけないなぁ」あたるは再び竜乃介の手を握った、   ズコっ! 竜乃介はコケて 竜乃介 「て、てめぇはいつの間に」竜乃介は先程、ラムの電撃で倒れたあたるが次の瞬間には復活したのを見て、驚きを隠せないでいる。それを見ていたメガネは メガネ 「相変わらずゴキブリ並の生命力だな」と、感心した。 あたる 「君、名前は?」とあたるは竜乃介に聞いた 竜乃介 「て、てめぇ何言ってやがんでぃ」と竜乃介は、手を引っ込めて 竜乃介 「気持ちわりぃなぁ、あっち行きやがれ!」とあたるに言った。ラムは、あたるの言葉を聞いて ラム 《ダーリン、ちょっといいっちゃ?》ラムは、あたるに耳打ちした あたる 《なんだよ、俺はこの子と》と言いかけた時、ラムが ラム 《その子は、竜乃介だっちゃ。ダーリン、また忘れてるっちゃ》と言い、あたるを引っ張って行った。  ラムは、あたるを裏庭に連れ出した。 あたる 「何だよラム、こんな所に連れてきて」とあたるがラムに言うと ラム 「ダーリン、確実に記憶が消えて行ってるっちゃ!」ラムは、半ばパニック状態で言った。 あたる 「何を大袈裟な」とあたるは言ったが、内心では怖くてたまらなかった、記憶が消えて行く事が。ラムは、あたるの顔を見ると ラム 「ウチ、UFOに行って父ちゃんと話してみるっちゃ」と言って、飛んで行こうとした。あたるは あたる 「ラム!ちょっと待て!」と言ってラムの足にしがみついた。ラムは、振り返ると ラム 「大丈夫だっちゃ、すぐに戻って来るっちゃ」と言って、あたるに笑顔を見せ飛んでいった。あたるは、そんなラムを見つめていた。  その様子を物陰で見ていた者がいた。四人組と面堂である。 面堂 《諸星の記憶が消える?》 メガネ 《らしいな》 パーマ 《じゃ、俺達の事も忘れるのか?》 メガネ 《おそらくな》 面堂 《それにしても、先程のラムさんの慌てようは?》 メガネ 《もしかすると、あたるはラムさんまでも忘れるのでは?》 カクガリ 《なるほど、それでラムちゃんUFOに》 メガネ 《とにかく、俺達は知らない事にしておいた方が良さそうだ》 面堂 《様子を見ると言う事だな?》 チビ 《俺、絶対誰にも話さないから大丈夫だよ、メガネ》 メガネ 《じゃぁ、教室に戻るぞ》  そう言うと5人は教室に戻って行った。  ほどなくあたるも教室に戻って来たが、心なしか元気が無い様だ。そんなあたるに「どうしたの?」と声をかけて来たのは、しのぶであった。 あたる 「しのぶ〜」あたるはしのぶに抱き付こうとしたが  ドカーン  あたるの上に机が降り下ろされた しのぶ 「もう、ちょっといい顔するとすぐこれなんだから」としのぶは机を戻しながら言った。 しのぶ 「それだけ元気なら、心配なさそうね」しのぶが席に着くと  あたる 「ありがとう、しのぶ。そんなに俺を心配してくれるなんて」あたるは、そう言うとしのぶの肩に手をまわした。 しのぶ 「そう言う、あんたの態度がいつも事態を悪化させてるって事に」しのぶはそう言うと再び机を持ち上げ しのぶ 「まだ気付かんのかーーーーー!!」と叫び、あたるを机で打ち飛ばした。 あたる 「キラーーーーーーーン!」と叫びながら、空の彼方で星になった。  一方UFOの中のラムは、モニターで父と通信をしていた。 ラム 「どうしてワクチンが生成出来ないっちゃ?」ラムは、父に疑問を投げ掛けた。 ラム父 「すまんな、ラムあれのワクチンは作れんのや」父はそう言った。 ラム 「だから何でなんだっちゃ!このままじゃダーリンは、ダーリンは」ラムは、そう言うと泣き崩れた。 ラム父 (すまんな、ラム方法は有るには有るんじゃが)父はそう思い、研究員との会話を思い出した。 ラム父 『どや、ワクチンは出来たかいな』と父がラボに入って来た。 研究員 『あぁ、大将ちょうどいい所に』と研究員は、父に言った。  ラム父 『で、どないなんや?』父が聞くと 研究員 『それが、ワクチン作れんのですわ』と研究員は首を振った  ラム父 『作れんとは、どういう事や』父は、研究員に聞いた  研究員 『あのナノマシーン、とんでもない代物でっせ』研究員は、言った。すると、すかさず父が ラム父 『とんでもない代物とは、どういうこっちゃ』と研究員に説明を求めた。 研究員 『あのナノマシーンは、一度体内に入ると神経ネットワークを支配してまうんでさ』研究員は、続けて説明した。 研究員 『それで、ナノマシーン自体を体の一部と脳に認識させる事によって、ワクチンを投与しても正常な細胞として認識させてまうんです』研究員は、一気に説明した。 ラム父 『すると、成す術はないっちゅう事か?』と父は、さらに研究員に問いかけた。すると研究員は、ややためらいながら 研究員 『有るには、有るんですけど・・・』研究員は、言葉を濁した ラム父 『何や!言うてみぃ!』父は、声を荒らげた。 研究員 『方法は、1つだけ。誰かがそのお人の精神にアクセスしてナノマシーンを探しだし、直接駆除するんでさ』研究員は、更に 研究員 『しかし、失敗すればアクセスした人の精神は捕らわれ、一生目ぇ覚まさへん様になってまいます』研究員は、そう言った。それを聞いて父は ラム父 『何やて・・なら婿どのを救う方法は無いのと同じやないか』と言い ラム父 (この方法だけは、絶対ラムに知られる訳には行かへんで、ラムの事や絶対に婿どの助ける為にアクセスするに決まっとる)と思った。 研究員 『後は、このナノマシーンを作った者なら、駆除方法がわかるかも』研究員は、ボソッと言った。 ラム父 『それや!』父は、微かな希望が見えた様な気がした。 ラム 「父ちゃん、ワクチンが作れなくても他に方法はないっはちゃ?」ラムが父に聞いた。父は、ラムの声でハッと我に返り ラム父 「後は、ナノマシーンを作ったヤツに駆除方法を教えてもらうしかあらへん」父はそう言った。 ラム 「そんなの無理だっちゃ、どこの誰かも分からないのに・・・」ラムはガックリと肩を落とした。 ラム父 「そうでもないで、この注射器とナノマシーンの材料が、ある特定の星域でしか採取出来んものやから、かなり絞れるとは思うで」父はそう言うと ラム父 「わしは、早速そっち調べるさかいラムは婿どのの側にいてやる事や。ほな、気ぃ落とさんとな」と言い通信を切った。  ラムは学校に戻った。あたるは、ラムの顔を見て安心したのか、いつものあたるに戻った様だった。  家に帰って、ラムはあたるに ラム 「ダーリン・・・ワクチンは・・作れないっちゃ」と言った。 あたる 「すると、俺はこのままただ記憶が消えて行くのを待つだけなのか?」あたるは、すがる様な目でラムを見た ラム 「ううん、大丈夫だっちゃ。ナノマシーンを作ったヤツなら、きっと駆除方法も知ってるはずだっちゃ」ラムは、あたるを心配させまいと笑顔で言った あたる 「しかし、お前それがどこのどいつだか分かってるのか?」あたるは、至極当然な疑問をラムに投げ掛けた ラム 「うん、ダーリンの背中に刺さってた注射器からどこの物だか、すぐにわかるっちゃ」ラムは父に聞いた事を、そのままあたるに伝えた あたる 「そうか、なら気長に待つさ」とあたるは、机の椅子に腰かけた  あたるは、不安と恐怖で押し潰されそうなのを必死でこらえた。すると、ラムが突然言い出した ラム 「ウチ、今日からダーリンの横で寝るっちゃ」あたるは、ラムのいきなりの予想外の言葉にうろたえて あたる 「な、お前何言ってんだ!俺はもうあんな耐電スーツなぞ着て寝るのはまっぴらゴメンだ!」と言った。 ラム 「ダーリン何言ってるっちゃ?ウチダーリンの布団の横に布団敷いて寝るんだっちゃよ?」ラムは、ちょっと悪戯っぽく笑った。 あたる 「な・・・紛らわしい言い方するな」とあたるは机の上の漫画を読み始めた。  あたるとラムは、布団に入った。あたるはなかなか寝付けなかった、どうしても記憶が消えて行く恐怖が無くならないのだ あたる (くそ、何で俺がこんな目に合わにゃぁならんのじゃ)あたるはヤケクソで目を瞑った。ラムもまた、寝付けなかった。あたるがこうなったのも元はと言えば自分を庇っての事だと思っているラムは ラム (ダーリン、本当にゴメンっちゃ)そう心の中であたるに謝った。何度も、何度も。やがて、二人共深い眠りに落ちて行った。  翌朝、あたるは目を覚ました。何気に隣を見て思わず声を出した。 あたる 「だ、誰だ?この綺麗な姉ちゃんは?」                続く  ついに、記憶が消えて行く事を知ったあてる。そしてあたるを救おうと必死のラム。そんな中、あたるはついにラムの事を忘れてしまうのか?  次章では、ついにラムが行動に出る。ラムは、あたるを救う事ができるのか?  次回エピソード4にご期待下さい。           エピソード3 END