§前回までのあらすじ§   記憶が消えて行くと言う事と、ワクチンが無いと言う事を知ったあたる。そして徐々に消えて行く記憶に戸惑うあたるだが、ついにラムの事も       エピソード4 あたる 「誰だ?この綺麗な姉ちゃんは?」あたるは隣の布団で寝ているラムを見て思った。あたるの頭は混乱していた、女好きのあたるにとって綺麗な女の子が側に居てくはれるのは、この上ない歓びのはずなのに、今のあたるの気持ちは全く違うものだったからだ。あたるの心には切なさしかなかった。  その時、ラムが目を覚まし自分を見つめるあたるを見て ラム 「あ、ダーリン。おはようだっちゃ」と笑顔を見せた。その笑顔を見た瞬間あたるの頭に僅かな傷みが走った あたる 「あ、おはよう・・・ラム・・」あたるの口からは自然とラムの名前が出てきた。あたるは、完全にラムの事を思い出したがラムの事を一瞬でも忘れてしまった事に気付きショックを受けた。 あたる (忘れてた・・・俺がラムの事を・・・)あたるは、切なさの原因が分かった。この忘れてしまった事を心のどこかで感じていたのだ。そんなあたるをラムが覗き込みながら ラム 「ダーリン?どうかしたっちゃ?」とあたるに聞くと あたる 「いや、何でもない・・」と言うと制服に着替え、下に降りて行った。 ラム 「ダーリン・・・」ラムは、そう呟くとあたるの後を追った。  学校に行く時間になった時ラムはあたるに言った。 ラム 「ダーリン、ウチ今日学校休むっちゃ」ラムの言葉にあたるは あたる 「ん?何か用事でも有るのか?」とラムに聞いた。いつもならラムが学校に来なければ学校で好き勝手出来るから嬉しいはずなのに、今日のあたるはラムが居ない事が不安でしかたなかった。常にラムが側に居なければ、忘れてしまうのではと言う気持ちで一杯だったのだ。そんなあたるの心を悟ってかラムは ラム 「大丈夫だっちゃ。ウチが必ず何か方法を見つけるっちゃ」と言うとあたるに微笑みかけた。 あたる 「方法見つけるって、一人でか?」あたるはラムに側にいてもらいたい一心で会話を続けた。 ラム 「うん、弁天とお雪ちゃんも呼んだから大丈夫だっちよ」ラムの言葉にあたるは あたる (弁天?お雪?誰の事だ?また、俺の忘れた人の名前か?)あたるの不安は頂点に達した。 あたる 「ラム!行くな!」あたるは、つい本音を口走ってしまった。その言葉にラムは驚き ラム 「ダーリン・・始めてウチの事、本気で引き止めてくれたっちゃ」ラムは嬉しさのあまり、涙を浮かべた。あたるは、そのラムの涙を見て あたる (はっ!そう言えば最近ラムは俺の心配ばかりで悲しみの涙しか流していない。あんな嬉しそうなラムの顔は始めて見た気がする)あたるは、そう思うと改めてラムの自分にたいする気持ちの大きさに気付いた。しかし、あたるは自分の気持ちをラムに知られてしまったと思い急に恥ずかしくなり あたる 「あ、いや、ほらお前昨日も授業抜け出したろ?温泉のヤツが怒ってさぁ、今日も居なかったら補習だなんて抜かしやがってさ」あたるは、根も葉もない嘘をついた。 ラム 「ふ〜ん、ウチ別に補習になったって構わないっちゃ」ラムはそう言うと、あたるにニッコリと笑い掛けて ラム 「ダーリン・・ありがとだっちゃ」そう言って飛んで行った。  あたるは、飛び去ったラムを見送ると学校へは行かずに自宅の玄関を開けた あたる母 「あら、あたる忘れもの?」あたるの母が声をかけたが、あたるは何も言わずに自分の部屋に閉じ籠った。あたるの母は、そんなあたるを見て あたる母 「あたるー、あたるー。学校は行かないの?どこか調子わるいの?」と声をかけるが、あたるからの反応はなかった。 あたる母 「おかしな子ねぇ」あたるの母はそう言うとセカセカと掃除を始めた。  UFOではラムが弁天に連絡を取っていた。 弁天 「おぅ、ラム。久し振りだなぁ」弁天は相変わらずの様だ。すると隣からお雪が顔を出し お雪 「こんにちは、ラム」と言った。それを見てラムは ラム 「二人とも、久し振りだっちゃ。それより、ごめんね急に呼び出したりして」と言った。 弁天 「何水臭ぇ事言ってんだよ」弁天がそう言うと、お雪も お雪 「そうよ、友達が困っているんだもの、助けるに決まってるわ」と言い お雪 「話は、聞いたわ。旦那さん大変なんですってね」と続けた。更に弁天も 弁天 「それで、あたいらに助けて欲しくて呼んだんだろ」そう言い 弁天 「で、何すりゃぁいいんだ?」とラムに聞いた。ラムは今までの事を一通り説明した。説明を聞いた後、弁天が 弁天 「しかしよう、おかしくねぇか?」とラムに言った ラム 「何がだっちゃ?」ラムは弁天の言おうとしている事が、よく分からなかった。 弁天 「だってよう、ワクチンが作れねぇなら普通他の手段探すものだろ?」弁天がそう言うと、お雪も お雪 「確かにそうね。ワクチンの生成が出来ないからって、いきなりその薬作った人に駆除方法を聴くって発想にはいかないわ。普通」あくまで冷静に話すお雪の言葉には、いつも説得力がある。 弁天 「まぁ、薬作ったヤツを知ってるってんなら話は別だが、そうじゃなけりゃそんなまどろっこしい真似しねぇだろ」弁天の言う事ももっともである。 ラム 「だけど、父ちゃんは」ラムはそう言いかけてハッとなった ラム 「じゃぁ、父ちゃんは・・」ラムがそう言うと弁天は 弁天 「あぁ、間違いなく何か隠してやがるぜ」と言った。するとお雪が お雪 「でも、それを調べるの大変よね」と言った。 弁天 「確かにな、コンピューターハッキングしたり綿密な計画たてたり、表情一つ変えずに平気で嘘がつけたりできなきゃ無理たぜ」弁天は、そう言うと 弁天 「あたいにゃ、無理だな。チマチマ計画なんて立ててらんねぇぜ」と言ってライフルを取りだし 弁天 「あたいは、こいつぶっぱなしてる方がいいや」と言った。 ラム 「だっちゃね」ラムは弁天を見て苦笑を浮かべた。そしてお雪に ラム 「お雪ちゃんは?」と聞くと お雪 「あら、わたしはそんな事はできないわ」お雪がそう言うと弁天が 弁天 「あぁ、お雪は昔から悪事には一切手を染めなかったからな」と皮肉たっぷりに言った。するとお雪が お雪 「あら、そうだったかしら」とさらりと言うと 弁天 「そうなんだよ!!」と弁天が怒鳴った。そんな二人のやり取りを見てたラムが ラム 「でも、困ったっちゃ。ウチはダーリンの側離れられないし」と言うと、お雪が お雪 「あら、ピッタリの人が居るじゃないの」と言った。するとラムが ラム 「まさか・・ランちゃん?」とお雪に聞いた お雪 「そう。確かランは、色々計画たてるの好きじゃなかったかしら」お雪はラムに聞いた。ラムは ラム 「ろくな計画じゃないっちゃ」と呆れたように言った。しかし弁天は、 弁天 「いや、以外と適任かもしれねぇぜ」と言うとニヤリと笑った。 弁天 「じゃぁ、これからそっち行くからヨロシクな」弁天はそう言うと通信を切った。    その頃あたるは、自分の部屋で仰向けに寝転がり冷静に今までの事を整理しようとしていた。その時「おい、アホ。お前学校どないしたんや?」と声がしてあたるがそちらを見ると、見慣れない子供がプカプカと浮かびながらこちらを見ている あたる (なんじゃ?このガキは?髪の色と言い、角と言い、ラムの関係者なのは間違いないと思うが)とあたるは思った。声の主はテンだったのだが、あたるは既にテンの記憶が消えていたのだ。 あたる (待てよ、さっきの口調からするとコイツ俺の事知ってるのか?)あたるは、そう思い更に あたる (だとすると、また俺は記憶を・・・)と思って黙りこんでいると テン 「おい!聞いとんのかー!」とテンは大声を出した。あたるは勿論聞いていたが、あたるにとってテンの言葉などどうでも良かった。問題なのは、また記憶が消えていると言う事だったのだ。 あたる 「おい、お前」あたるはテンに向かって話しかけた。するとテンは テン 「な、なんや」と返事をしたが テン (な、なんかいつものあたるとちゃうような)と心の中で思った。 あたる 「ラムの関係者か?」あたるがテンに聞くと、テンは テン 「な、何言うとんのやお前、わいの事分からん様なってしもたんかぁ?」とあたるに聞いた。するとあたるは あたる 「知らんなぁ」と首をかしげた。 テン 「わいやぁ、ラムちゃんの従兄弟のテンやないかぁ」テンはそう言うとあたるの顔を覗き込んだ。 あたる 「う〜ん、さっぱり思い出せん」と腕を組んで考え込んだ。それを見たテンは テン 「た、た、大変やーーー!」とまた大声を出して窓から飛び出して行った。あたるは飛び去るテンを見ながら あたる (俺は一体何人の人を忘れたんだろう。だが、絶対にラムの事は忘れん!)と思った。   一方ラムは、UFOで弁天たちの到着を待っていたが ラム 「ダーリン大丈夫かなぁ?心配だっちゃ」とソワソワし始めた。 ラム 「そうだっちゃ、弁天達もすぐには来ないだろうし学校に様子を見に行って見るっちゃ」ラムは、そう言うとUFOを飛び出した。ちょうどそこにテンが飛んで来て テン 「ラムちゃん、ラムちゃ〜ん」とラムを呼び止めた。 ラム 「あぁ、テンちゃん」ラムはテンに気付いた。 テン 「ラムちゃん、大変なんやー」テンはラムの方に向かって飛びながら言うと ラム 「いいところに来たっちゃ。ウチちょっと学校行ってくるから、テンちゃんは留守番してて欲しいっちゃ」ラムはそう言うと学校の方へ飛んで行こうとした。 テン 「ラムちゃん、ちょっと待って〜なぁ」テンは、なおもラムを呼び止めた。ラムは立ち止まると、振り返りテンに ラム 「あ、テンちゃん。もうすぐ弁天とお雪ちゃんが来ると思うから、来たら待っててもらうっちゃ〜」とラムは、テンの話は聞かずに飛んで行った。テンは、渋々UFOの中で留守番をする事にした テン 「なんや、ラムちゃん。わいの話聞こうともせんで」てんがふて腐れているとUFOのドアが開いて「おいラム、来たぜ」と声がして弁天とお雪が入って来た テン 「あ、弁天姉ちゃんと、お雪姉たてゃんや〜」テンはそう言って飛んで行った。 弁天 「おぅ、テンじゃねぇか。ラムは居るか?」弁天はそう言うとスタスタと中に入って来た。 テン 「あ、ラムちゃんなぁ、ちょっと学校行くゆうて出てったんや。わいに留守番押し付けて」テンは拗ねた態度で言った。 お雪 「あら、そう。では、ラムが帰って来るまで待たせてもらおうかしら」お雪はそう言うと椅子に腰掛けた。 弁天 「そうだな、じゃテンお前ラム呼んで来い。留守番はあたいらでしててやるからよ」弁天はそう言うとニヤリと笑った。  テンは、弁天に言われた通り学校に向かった。今度はスクーターに乗って テン 「なんや、みんなわいの事何やと思ってるねん。わいは、こま使いちゃうど」テンはふて腐れてながらも学校へ向かった。  その頃ラムは教室に着いた所だった。 メガネ 「あ、ラムさん!」メガネがいち早くラムに気づいた。メガネの声にみんなが反応する。ラムは、教室を見渡すがあたるの姿は無い ラム 「あれ?ダーリンは?」ラムは、誰となく聞いた。すると、すかさず面堂が 面堂 「諸星なら、今日は欠席みたいですが」と言った。 しのぶ 「あら、ラムはあたる君と一緒じゃないの?」しのぶがラムに聞くと ラム 「今日は、ウチ用事が有ってダーリンとは朝別れたきりだっちゃ」ラムは、そう言うと ラム 「わかったっちゃ。みんなありがとだっちゃ」と言って飛び去った。 温泉 「ほらほら、席に着け。授業を再開するぞ」温泉マークの言葉にみんな席に着いた。温泉マークが授業を再開しようとした時  バババババババ 爆音とともに、テンが教室に入って来た。 テン 「おい、ラムちゃん来なかったか?」テンはスクーターに乗ったまま誰となく聞いた。それを見て温泉マークが 温泉 「おい!さっきから何だ!授業の邪魔ばかりしおって!学校は部外者た立ち入り禁止だ!すぐ出て行け!」とテンに怒鳴った。  しのぶ 「先生!こんな小さな子にそんな言い方しなくったって!」しのぶが言うと他の女子生徒も 女子生徒 「そうよ、そうよ、謝りなさいよ」女子生徒達は、温泉マークに総攻撃をかけた 温泉 「し、しかし授業が・・・」温泉マークが言いかけると 女子生徒 「授業が何よ!」女子生徒が温泉マークに詰め寄る。それを見ていたメガネは メガネ 「アホが、自分の立場もわきまえんと迂闊な事するからだ」と呆れて言った。 そんな中テンは テン 「なぁなぁ、しのぶ姉ちゃん。ラムちゃん知らんかぁ」としのぶに聞いた。 しのぶ 「ラムなら、さっきあたる君探しに来たみたいだけど、居ないからってどこか行ったわよ」しのぶはテンに言うと しのぶ 「何か有ったの?」と聞いた。 するとテンは テン 「な、なんもあらへんで」そう言うと テン 「しのぶ姉ちゃん、おおきに。ほな」と言って教室から出て行った。メガネはそれを見て メガネ (あたるは欠席し、ラムさんとは別行動。そして、あのジャリテンの慌て様。もしや、事態は俺達の想像以上に深刻なのでは)そう思い、突然立ち上がると面堂、パーマ、カクガリ、チビに目線を配らせた。それを見て面堂は頷き、パーマは平然と、カクガリは慌ただしく、チビはオロオロと教室を出て行った。     ラムはあたるの部屋に向かって飛んでいた ラム (ダーリン、今日学校行かなかったっちゃ?)ラムはあたるの事が心配で仕方なかった。やがて、あたるの部屋に着くとあたるは・・・たかイビキで寝ていた。ラムは、それを見た瞬間あたるが部屋に居た事にほっとしたのと同時に、腹が立って来た ラム (ダーリンったら、ウチがこんなに心配してるのに)ラムはそう思い、あたるに向かって叫んだ ラム 「ダーリン!!!」その声にあたるは目を覚まし あたる 「ん?あ、ラム」と目をこすり、大きなあくびをした。それを見てラムは ラム 「学校も行かないで、何してるっちゃ!」と言うと、あたるが あたる 「何を言うとるか、お前だって行っとらんだろーが」と言い返すとラムは、 ラム 「ウチは、やる事が有るんだっちゃ!」と言って  ラム 「ダーリンには、普通に学校に行ってて欲しいっちゃ」と言った。ラムは、あたるが学校に行ってれば少しでもあたるの気が紛れるだろうと思ったのだ。ラムの言葉に対して、あたるは聞き取れるか聞き取れないかくらいの声で あたる 《アホ、学校行ったってラムが居なけりゃ意味無いわい》と言った。 ラムは、あたるが何か言ったのは分かったが何を言ったのか分からなかった ラム 「何だっちゃ?」ラムは、強い口調であたるに聞いた。 あたる 「途中で腹が痛くなったから、帰って来たと言ったんじゃ」あたるは、まるで違う事を言った。それを聞いてラムは、 ラム 「なら、仕方ないっちゃね」と言い、あたるの横にチョコンと座った。その時「ラムちゃ〜ん」と声がしてテンが窓から入って来た。 ラム 「テンちゃん!」ラムは、驚いて立ち上がると ラム 「留守番はどうしたっちゃ?」とテンに聞いた。するとテンは テン 「そうや、弁天姉ちゃん達来とるで、それでわいラムちゃん連れて来い言われて、呼びに来たんや」と言った。その時 あたる 「また、お前か」とあたるが顔を出した。そのあたるを見てテンは テン 「あー!そうや!ラムちゃん、あのなぁあたるのアホわいの事忘れてもうたんや」とラムに言った。それを聞いてラムは、まさかと思い ラム 「ダーリン本当だっちゃ?」と、慌ててあたるに聞いた。するとあたるは あたる 「どうやらそうらしい・・」そう言うと あたる 「もう、誰を忘れてるのかまるで分からん」と言って腕組みをして首をかしげた。ラムは、愕然とした。今まで忘れた面堂や、龍之介は学校以外では会う事も少ないが、テンは違う。毎日顔を合わせ一緒に生活している家族である。そのテンの事を忘れると言う事は、いつかラムの事も忘れてしまうと言う事に繋がるからだ。  ラム (残された時間は、多分あまりないっちゃ)ラムはそう思うと ラム 「ダーリン、ウチUFOに行って来るから大人しく待ってるっちゃよ」と言い ラム 「テンちゃん、行くっちゃよ」とテンに声をかけ飛び出した。 テン 「え?わいもかいな。今日は、えろう忙しい日やなぁ」テンはそう言いながらスクーターのアクセルを開いた。  あたるは、不思議と以前の様な不安は無かった。それがナノマシーンの影響なのか、あまりの不安から感覚が麻痺してしまったのかは、あたるには分からないが、とにかく今は何も出来ないのだからと思い寝る事にした。  あたるが横になった時   ピーンポーン  玄関のチャイムが鳴った。玄関で、あたるの母がドアを開けるとそこには、面堂と四人組が立っていた。 あたる母 「あら、みんな御揃いで」あたるの母がそう言うと、面堂が 面堂 「諸星くんが今日学校休んだものですから、心配になって僕達がクラスを代表してお見舞に伺いました」とスラスラと言葉を並べた。するとあたるの母は あたる母 「あら、そう。わざわざ悪いわねぇ」と言うと、二階向かって あたる母 「あたるー、あたるー、お友達がお見舞に来てくださったわよー」と叫ぶと あたる母 「ごめんなさいね、勝手に上がってってもらえる?」と言い茶の間に戻って行った。   ほどなくして、ドアの向こうから「あたる、入るぞ」と言う声と同時にメガネ、面堂、パーマ、カクガリ、チビがドタドタと、部屋に入って来た。 あたる 「何だ、お前らまだ学校終わってないだろう」あたるはそう言うとムクッと起き上がった。 メガネ 「あたる、そんな事はどうだっていいんだよ」メガネはそう言うとあたるの横に行き、あたるの肩に手をまわした。あたるは、 あたる 「お前らがわざわざ見舞いなんて来るはずない。おおかたラムの顔でも見に来たんだろうが」そう言うと、メガネの手を振り払い あたる 「残念だったなぁ、ラムはUFOじゃ!ここにはおらん!」と言って面堂の側に行くと あたる 「で、コイツ誰?」と面堂を指差し、メガネに聞いた。すると面堂は 面堂 「諸星!貴様と言うヤツはー!」とあたるに組みかかろうとしたが、メガネがそれを止め メガネ 「まぁ、待て面堂」と面堂をなだめると メガネ 「あたる、俺達は今日に限ってはラムさんではなく、お前に会いに来たのだ」メガネはそう言うと、あたるの前に座った。他の四人も同様に座り込み、あたるを見つめた。 あたる 「何が悲しくて男同士見つめ合わにゃぁならんのじゃ」あたるがそう言うとメガネが メガネ 「あたる、もう隠さんでいい」と言い、さらにパーマが パーマ 「俺達、聞いちまったんだ。お前とラムちゃんの会話」と言った。あたるはそれを聞いて あたる 「別に隠してるつもりはないがな」と言った。そして続けて あたる 「実際、お前らの事忘れたって別段俺は痛くも痒くもないしな。それに、もう忘れてるヤツも居るみたいだし」と、面堂を横目で見た。面堂は、今にも日本刀を抜く勢いだがそれをカクガリとチビが押さえている。落ち着いたのか、面堂が話始めた 面堂 「諸星、お前は忘れてしまうからいいかも知れんが、忘れられた人の事を考えてみろ。忘れられたラムさんはどうなる!」面堂がそう言うと、カクガリが カクガリ 「なまじ、面堂があたるに忘れられてるだけに妙に説得力あるなぁ」と言った。面堂の言った事にあたるは あたる 「仕方あるまい!忘れたくて忘れてる訳じゃない。自分でも、忘れた事すら分からんのだ。それに、俺はラムの事は忘れん。もし、ラムの事忘れようものなら、間違いなく電撃で思い出させるとか言って電撃浴びせられるに決まっとる。それを考えると恐ろしくて忘れられんわ」と言った。 メガネ 「まぁ、いい。今日は本当にお前の様子を見に来ただけだからな」メガネはそう言うと立ち上がり メガネ 「今日はこれで帰るが、もしお前が俺達の事を覚えていて、助けが必要なら言ってくれ」と言って部屋から出て行った。あたるは、ただ五人を見送るだけだった。  あたるの家を出てすぐにチビはメガネに チビ 「メガネ、お前本当にあたるの事心配してたんだな」と言った。するとメガネは メガネ 「心配?なんの事だ?」とチビに聞き返した チビ 「だってさっき、助けが必要なら言えって言ってただろう?」チビがメガネに疑問を投げ掛けると メガネ 「アホが、あたるがどうなろうと知った事か。あたるがラムさんを忘れればラムさんは悲しむだろう。そんなラムさんを我々が慰める手助けをすると言ったんだ」メガネは、メガネの位置を直しながら言った。  ラムがUFOに戻ると、弁天とお雪が既にランと連絡を取っていた。 弁天 「だから、ちょっと手かしてくれればいいんだよ」弁天がモニターのランに怒鳴っている。それに対してランは ラン 「なんでわしがラムのダーリンの為に危険な橋わたらなあかんねん」と言った。 弁天 「てめぇ、友達が困ってるってのに、そりゃねぇだろ!」弁天はモニターの操作盤を叩いて怒鳴った。そこにラムが入って来て ラム 「ただいまだっちゃ」と言った。すると弁天が 弁天 「ラム!遅ぇぞ」とラムに言った。ラムは ラム 「遅くなってごめんちゃ」と言った。するとランが ラン 「おい、ラム!わし、めっちゃ迷惑してんねんど。さっきから弁天に攻められっぱなしや。友達なら助けるのが当たり前だゆうて」と言った。それを聞いてラムは、 ラム 「ランちゃん、ごめんね。でも、もう頼めるのランちゃんしか居ないっちゃ。ランちゃんに助けて欲しいっちゃ」と言った。するとランは ラン 「せやけど、わしに何もメリット無いやんけ」と言った。 ラム 「ランちゃん・・・分かったっちゃ・・無理は言えないっちゃ」ラムはそう言ってモニターに背を向けた。それを見て弁天が 弁天 「ラン、てめぇ随分冷てぇじゃねえか!」と言うと、ランは ラン 「なんや、わし悪者みたいやないか?わしは、何も悪い事しとらんで」と言った。その時、ずっと沈黙を守っていたお雪が口を開いた。 お雪 「ラン、あなた友達が困っているのに助けてあげないの?」お雪は、そう言ってランを見つめた ラン 「な、なんや、わしがなんで」ランがそう言うと お雪 「そう、あなたラムの事助けてあげないのね」お雪はランをじっと見つめたまま言った。するとランは黙ったまま目を逸らした。お雪は お雪 「ランがそう言う事なら、私にも考えがあるわ」そう言った。その言葉を聞いてランは、  ラン 「あら、いやだぁお雪ちゃんたら、私とラムちゃんは友達だもの、ラムちゃんが困ってたら助けてあげるに決まってるじゃな〜い」と態度が豹変した。するとお雪は お雪 「そう、良かったわ。じゃぁ、ランよろしくね」と笑顔をみせた。 弁天 「けっ、お雪のやつ何が良かったわだ。結局脅してるのと一緒じゃねぇかよ」弁天は、ボソッと言った。するとお雪が お雪 「弁天、何か言ったかしら?」と言い弁天は 弁天 「い、いや何も言ってねぇぜ、それよりラム良かったなぁ」とラムの肩を叩いた。ラムは ラム 「みんな、ありがとうだっちゃ」そう言うと頭を下げた。そしてラムは  ラム 「ウチ、本当にいい友達持ったっちゃ」と言った。ラムの目には涙が浮かんでいた。弁天は 弁天 「水臭ぇ事言うなよ、あたいら仲間だろ。それに喜ぶのは全部終わってからだぜ」と照れ臭そうに言った。お雪も お雪 「そうよラム。私達は友達なんだから気にしなくていいわ」と言った。ランも ラン 「ラムちゃんったら、私達友達じゃない。ん〜、当然よ」と言った。 弁天 「ランのやつ、さっきまであんなに嫌がってたくせに」弁天がそう言うと、お雪が お雪 「あら弁天、そう言う事言うのは良くないわ」と言い 弁天 「はいはい」と、弁天は面倒くさそうに言った。そして 弁天 「じゃぁラン、早速研究所のコンピューターにアクセスしてくれ」と言った。ランは、 ラン 「分かったわ。ちょっと待っててね」と言いコンピューターをいじり始めた。 弁天 「あの親父が隠そうとしてるんだ、きっと何重にもロックがかかってて時間かかるぜ」弁天は、ラムとお雪に言った。その時 ラン 「有ったわよ。ランちゃん天才」と言った。弁天は、驚いて 弁天 「なに?やけに速ぇーな」と言った。するとランは ラン 「だって普通にアクセス出来たもん。ファィアーウォールも、なーんにも無いの」と言った。   ズコッ!  弁天は、コケた。 弁天 「何だと?なんていい加減なんだ、お前ぇんとこの研究所は」弁天は、ラムに言った。ラムは ラム 「ウチ、知らないっちゃ」と言った。弁天は 弁天 「じゃぁラン、中身を開いてみてくれ」とランに言った。ランは、ファイルを開いて中のファイルを読み上げた ラン 「え〜と、ナノマシーンファイル1とナノマシーンファイル3が有るわね」と言うと、それを聞いた弁天は 弁天 「1と3か、恐らく2が問題のファイルだろうな。一応1と3を確認してくれねぇか?」とランに言うと、ランは ラン 「え〜と、1は、ワクチンの生成とその効果だって。中身はね、ワクチンの生成には成功したがナノマシーンを認識出来ない為、実用不可だって」と言うと、弁天は 弁天 「実用不可じゃぁ、生成に成功したとは言えねぇんじゃねぇのか?まぁ、いいや次読んでくれ」そう言うと、ランに次のファイルを読む様に促した ラン 「じゃぁ、ファイル3ね。え〜と3は、ナノマシーン駆除方法2ですって。内容は、ナノマシーン作成者に聞く、ですって」ランが読み上げると 弁天 「・・・・・・・・」 ラム 「・・・・・・・・」 お雪 「・・・・・・・・」 弁天 「それだけか?」弁天はランに聞いた。ランは ラン 「うん、それしか書いてないわよ」と答えた。それを聞いた弁天は 弁天 「ふざけてやがるのか!!!」と怒りを露にした。するとお雪が お雪 「まぁまぁ弁天、そんなに怒らないで」と弁天に言うと 弁天 「お雪!てめぇ、よくそんな涼しい顔してられんなぁ!」と弁天は、お雪に怒鳴った。 お雪 「あら、怒っても何も始まらないわ。そんな事より、ファイル2を探した方がいいんじゃないかしら?」とお雪は、冷静に言った。弁天は 弁天 「けっ、だとよラン。しかしそう簡単に見つからねぇだろうな。今度こそ何重にもブロックされてるに決まってるぜ」と言うと、ランが ラン 「あ、見つけた。ランちゃん天才」と言った。   ガッシャーン!  弁天は、激しくコケた。 弁天 「な、なんだと?」弁天は、起き上がりながら言うと 弁天 「どこに有ったんだ!」とランに聞いた。 ラン 「うん、ごみ箱に有ったわ。削除もされてなかったから、すぐ見つかったの」ランがそう言うと、弁天はラムに 弁天 「ラム!てめぇんところの研究所は、そんないい加減なのか!」と怒鳴った。するとラムは ラム 「そんな事言われても、ウチ知らんちゃ」と言った。弁天はふて腐れながら 弁天 「こんなんなら、あたいでも出来たぜ」と言うとランが ラン 「こら、弁天。人に頼んどいて、なんやねんその態度は?」と言うと、お雪が お雪 「そうよ弁天、今のは良くないわ」と言った。弁天は 弁天 「あぁ、悪かったな。で、肝心の中身はどうなんでぃ」弁天は、まだふて腐れているようだ。 ラン 「え〜とね、じゃぁ読むわね。ファイル2、外部からのナノマシーンの削除方法ですって」ランがそう言うと、弁天が 弁天 「みろ、やっぱり有りやがった」と言い、ニヤリと笑った。ランは、続けて読んだ ラン 「スキャンによるナノマシーンの検知は不可の為、被験者の精神に誰かが外部よりアクセスし、ナノマシーンを見つけ出し直接駆除する。ですって」ランが読み終わると、弁天が 弁天 「それだけか?他には書いてねぇのか?条件とか、危険性とか」とランに聞くと ラン 「うん、書いてあるのはこれだけよ。ただ、壊れたファイルが1つ有るけど」ランはそう答え、更に ラン 「でも、このファイル復元するの大変よ」と言った。それに対し弁天は 弁天 「大変でも、やるしかねぇだろ!」と言った。するとお雪も お雪 「そうね、ランこれはあなたにしか出来ないから頑張って貰えるかしら」と言い、続けてラムも ラム 「ランちゃん、お願いするっちゃ」と言った。するとランは ラン 「そない頼まれたら、断れんやないか」と言った。その言葉を聞いてラムは ラム 「ランちゃん、本当ありがとう。やっぱり持つべきものは友達だっちゃ」と言いニッコリと笑った。ランは ラン 「な、なんや照れるやないか」と言い、続けて ラン 「せやけど、このファイル復元するの、ちーと時間かかるで」と言った。すると弁天が 弁天 「あぁ、分かったぜ。でもなるべく急いでくれよな」と言うと、何やら機械を引っ張り出してきて 弁天 「機械の組み立てなら、あたいに任せな。アクセスする装置作ってやるぜ」と言った。そしてお雪も お雪 「じゃない細かい調整は、わたしがやるわ」と言い、更に お雪 「ラムは、旦那さんの所に居てあげなさいな」と言った。弁天も 弁天 「そうだぜ、どうせここに居てもやる事ねぇだろうしなぁ。諸星の側に居てやんな」そう言いながらも、ガチャガチャと機械をいじっていた。ラムは胸が熱くなって行くのを感じ ラム 「みんなありがとうだっちゃ」と言った。弁天はかるく手を上げ、お雪は優しく微笑み、ランは・・・・モニターに背を向けている、多分復元に集中してるのだろう。ラムは ラム (みんな本当にありがとだっちゃ)ともう一度心の中でお礼を言って出ようとした時 ラン 「ラム、お前とダーリンの事は、わしらが助けてやるさかい明日は頼むで!そやないと、わしの苦労水の泡や」とランがモニターに背ん向けたまま言った。 ラム 《ランちゃん、ありがとう》ラムは小さな声で、そう言うとUFOを出て行った。  UFOの中では、弁天が機械を組み立ている。そこにプカプカとテンが飛んできた、どうやら寝ている様だ。それを見つけた弁天が 弁天 「ラムのやつ、ジャリテン置いてきやがった」と言うと、テンのオムツを掴みポイっとお雪の方に投げると 弁天 「おい、お雪!ジャリテンそっちに寝かせといてくんねぇか?ここじゃぁ、アブねぇからよ」と言った。お雪はテンを受けとると お雪 「分かったわ」と言って、ソファーに寝かせた。その時ランが ラン 「そっちは、随分楽しそうやなぁ」と言い、更に ラン 「こっちは一人寂しくやってるわい」と言った。するとお雪が お雪 「あら、なんならランもこっち来ればいいじゃない」と言ったが、それに対しランは、 ラン 「行きたいのはヤマヤマなんやけど、ラムのUFOのコンピューターじゃ処理が遅くて、何日かかるかわからんで」と言った。それを聞いてお雪は お雪 「なら、仕方ないわね」とあっさり言ったので ラン 「ほな、しゃぁない自分で紅茶でも淹れながら頑張るわ」と言った。  ラムがあたるの部屋に着いた頃は、既に日も暮れちょうど夕食時だった。あたるは、部屋には居なかったのでラムは下に降りて、茶の間を覗いた。すると、あたるは呑気にTVを見て笑っていた。ラムは少し安心して ラム 「ダー」「ア」「リン」とあたるの背中に抱きついた。あたるは、急にラムに抱きつかれて驚いて あたる 「おぅ、ラム帰って来たのか」と言った。ラムは ラム 「うん」と言って腕に、強く抱きついた。あたるは、 あたる 「や、やめんか!」と言いながら腕をブンブンと振った。ラムは楽しそうにあたるの腕にしがみついている。 ラム (明日、明日になればダーリンを今の苦しみから救えるっちゃ。ううん、ウチが救ってみせるっちゃ)ラムは、そう思いながらあたるの腕にしがみつき、あたるの温もりを感じていた。                   続く       弁天とお雪の手で、ついに精神にアクセスする装置が完成。ラムは、弁天達の制止を押しきり装置を起動、あたるの精神の中へ。作戦は成功するのか?また、ラウも行動を開始する。    次回エピソード5にご期待下さい。           エピソード4END