§前回までのあらすじ§  弁天、お雪、ランの協力でラムの父の隠していたナノマシーンの駆除方法を知ったラムは、あたるを救う事を決心した。       エピソード5  あたるとラムは、食事を終えあたるの部屋でくつろいでいた。あたるは、相変わらずマンガを読んでいる。夜も更けた頃ラムが ラム 「ダーリン」とあたるを呼んだ。するとあたるは あたる 「なんだぁ」とマンガを読みながら返事をした。 ラム 「今日は、テンちゃんが居ないっちゃ。久し振りだっちゃね、二人きりなの」ラムはそう言うとあたるに寄り添って来た。あたるは あたる 「う〜ん、あのテンの事は思い出せんが、確かに二人だけは久々な気がするなぁ」と言ってラムの方を見た。  ラムの温もりがあたるに伝わってくる。先程風呂に入ったせいか、ほのかな石鹸の香りが鼻をついた。あたるは、無性にラムの事が愛しくなった。ラムを抱き締めたくて仕方ない衝動にかられた。あたるは、さっと立ち上がると あたる 「さ、さてそろそろ寝る準備でもしようかな」あたるはそう言うと布団を敷き始めた。それは、あたるが自分の衝動を抑えるために取った行動だった。ラムは、つまらなそうに ラム 「え〜、もうねるっちゃ?」と言って口を尖らせた。ラムは、渋々あたるの隣に布団を敷いた。ラムは、布団を敷き終わると布団の上に座り枕を抱き締めて ラム 「もう、寝るなんてつまんないっちゃ」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「つまんないって、じゃぁお前は何がしたいんだ?」とラムに聞いた。するとラムは ラム 「ウチ・・ダーリンとキスがしたいっちゃ」と言った。あたるは あたる 「な、何を言っとるんじゃお前は、いいから早く寝ろ」と言って布団に入った。ラムはなおも ラム 「ねぇ〜、ダーリン。キスしよう?ね、キスしようってばぁ」とあたるを起こそうと布団に入ったあたるを揺さぶった。あたるは、ムクッと起きると あたる 「いいか?ラム。キスなんてものはなぁ、そうやって急かされてするもんじゃないと思うが?」と言った。それを聞いたラムは ラム 「それは、そうだけど・・ウチは、ダーリンとキスがしたいんだっちゃ。ダーリンは、全然ウチとキスしてくれないっちゃ」と言った。するとあたるは あたる 「わかった。じゃぁラム電気を消して、目を閉じろ」と言った。それを聞いてラムは ラム 「え?ダーリンキスしてくれるっちゃ?」と言いながら電気やを消して、布団の上に座り目を閉じた。ラムはじっと待った。あたるのキスを。  あたるは、まだキスして来ない。ラムは不思議に思い、そっと目を開けた。するとあたるは横になり布団に入っている。ラムは ラム 「ダーリン?キスは?」と言って。あたるの布団を剥いだ あたる 「キス?なんの事だ?俺は電気を消して寝ろと言ったんだ」と言った。それを聞いたラムは ラム 「え?だってダーリン電気を消して、目を閉じろって言ったっちゃ」と言った。するとあたるは あたる 「あぁ、言ったよ。だがキスするとは言ってない。目を閉じろと言ったんだ。つまり寝ろと」と言って再び布団に潜った。するとラムは、全身から放電を始め    バリバリバリバリバリバリバリバリ ラム 「ダ、ダーリンの、ぶわぁかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ラムは、強烈な電撃をあたるに浴びせた。 あたる 「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」あたるの絶叫が夜の友引町に響き渡った。 ラム 「はぁ、はぁ」ラムは、息を切らしながらあたるに言った ラム 「ダーリンがそんなだから、ウチは!」と言って、その後の言葉を飲み込んだ。あたるは強烈な電撃で気絶した様だ。それを見てラムは ラム 「良かったっちゃね、これで良く眠れるっちゃ」と言うと自分の布団に潜り込んだ。あたるは、実は気絶していなかった。日頃のラムの電撃に対する対抗手段で取得した「気絶したふり」だったのである。気絶した相手には、それ以上攻撃をしないラムの性格を詠んだ見事な作戦である。あたるが、簡単にラムとキスしないのには訳が有った。あたるはずっとラムと一緒に生活している間にラムの存在が自分の中で、どんどん大きくなっている事に気づいていた。もし簡単にラムとキスしたりしたら、あたるの中のラムの存在は益々大きくなり、ラムに夢中になってしまうのが怖かったのだ。まぁ、あたるにその勇気が無いのも事実ではあるが。そして二人は眠りについた。  翌朝、あたるは目を覚ますと経験した事の無い虚脱感を感じた。ふと横を見ると見覚えの無い女の子が寝ているではないか あたる (なんちゅう、美人かつグラマーな姉ちゃんじゃ)と思うと、妙な感覚に陥った。 あたる (ん?なんか前にも同じ様な事が) あたるがそう思っていると、その女の子が寝言を言った。もちろん、寝ているのはラムである ラム 「ダーリン・・・」あたるはその言葉を聞いた途端、からだに電流が流れる様な衝撃を受けた。 あたる (な、なんだ)あたるは、戸惑った あたる (お、俺は・・この女を知っている・・・)あたるはそう思い、思いだそうとするが頭が割れそうになるくらい痛くなった。 あたる (大切な人・・絶対に忘れちゃダメな人の様な気がする)あたるは、なんとか思いだそうとするかがどうしても思い出せない。 あたる (なぜだ、何故思い出せない)そう思いラムの顔を見つめた。その時。あたるの頭に映像が浮かんだ。 ラム 『ダーリン・・始めてウチの事、本気で引き止めてくれたっちゃ』ラムは、目に涙を浮かべ喜んでいる。あたるは、更に頭が痛くなった。ラムの笑った顔、怒った顔、泣いた顔が、次々に浮かぶ。しかしそれが誰なのかあたるには分からなかった。  その時、ラムが目を覚まし ラム 「ダーリン・・おはよう」と言って、あたるに微笑みかけた。あたるは、ラムの笑顔を見て更に頭痛が増して頭を押さえた。そんなあたるの様子を見てラムは ラム 「ダーリン!どうしっちゃ!」と言うと、頭を押さえているあたるに近づいた。  更にあたるの頭には、ラムの事が浮かんで来る。 あたる 「だ、誰なんだ」あたるがそう言うと始めてラムは悟った、あたるがラムの事を忘れてしまった事を。ラムは ラム 「ダーリン!ウチだっちゃ!思い出して!!!」ラムは、涙を浮かべあたるに訴えた。あたるが、そんなラムを見た時 ラム 『ウチ・・ダーリンとキスがしたいっちゃ』恥ずかしそうにあたるを見る目を思い出した。あたるの頭痛が頂点に達した時、ふいに記憶が蘇る あたる (ラ・・ム・・)あたるは、心の中でラムの名前を呼んだ。そして あたる 「・・ラム・・」と小さな声でラムの名前を呼んだ。ラムはそれを聞いて ラム 「ダ、ダーリン!」と叫びながらあたるに抱きついた。あたるは、そっとそんなラムを抱き締めて あたる 「ラム・・、俺お前の事を・・・・」と言うと、涙が溢れてきた。 ラム 「何言ってるっちゃ。ダーリンは、ちゃんとウチの事思い出してくれたっちゃ」ラムも、あたるの腕の中で涙を流していた。あたるは あたる 「忘れたくない・・俺は、俺は忘れたくない!」と言うとガクリと膝をついた。 ラム 「・・ダーリン・・」ラムはそんなあたるを抱き締めて ラム 「ダーリン、今からUFOにいくっちゃ!」と言った。あたるは あたる 「UFO ?」と、言うとラムの顔を見て あたる 「UFOに、何しに?」と聞いた。するとラムは ラム 「ダーリンの記憶を戻せるっちゃ」と言うと、あたるの手を掴み窓から飛び出した。そしてUFOまで飛んでいき、そのままUFOの中に入ると ラム 「弁天、お雪ちゃん」とラムは二人の名前を呼んだが、返事が返って来ない。ラムは、不安になり急いで奥に行くと・・・二人は、寝ていた。徹夜で装置を組み上げてくれた様だ。ラムは二人に何か有ったかと心配したが、二人の姿を見てホッとした。 ラム (二人共、本当にありがとだっちゃ)ラムは心の中でそう思うと、すぐにあたるの手を引いて連れてきた。あたるは、珍しそうにUFOの中を見渡した。そして当然の様に弁天とお雪を見つけると あたる 「あ、あの二人は?」と、ラムに聞いた。  ラム 「あ、あの二人は・・・」ラムガそこまで言った時にあたるが あたる 「ラム!みなまで言うな。分かっている」と言った。ラムは、あたるの言葉にキョトンとして、あたるの顔を覗き込んだ。あたるとラムがそんなやり取りをしてる間に、弁天とお雪は目を覚ました。 弁天 「おぅ、ラム。装置完成したぜ」弁天はそう言うと大きなあくびをした。続けてお雪も お雪 「いつでも、起動できるわ」と言った。ラムは、二人に ラム 「二人共、本当に・・・」そう言いかけた時、あたるがラムの肩を叩き あたる 「ありがとう、ラム」と真面目な顔で言った。ラムは ラム 「え?」とあたるの言葉の意味が分からず困惑していると、あたるは あたる 「お嬢さ〜ん」と言って弁天とお雪に抱きついた。それを見てラムは ラム 「あ、ダーリン!!!」と叫び、急に抱き付かれた弁天は 弁天 「て、てめぇ、いきなり何しやがる!」と言い、お雪は お雪 「あらあら」と言った。あたるは、二人に抱きついたまま あたる 「ごろにゃぁ」と言って、スリスリと体を擦り合わせてる。それを見をたラムは ラム 「キィィィ〜〜〜〜」と怒りを露にした。その時弁天が 弁天 「なつくんじゃねぇー!!!」と言ったと同時に、あたるの顔面に弁天の拳がめり込んだ。それと同時に お雪 「ラムの前で、困ったお方だこと」お雪は、そう言うと冷気を放ちあたるを氷づけにした。そのあたるにラムは ラム 「もう、ダーリンったら!!」と言って電撃を放った。電撃により氷は一瞬で気化してあたるは電撃を浴び あたる 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」と叫び声を上げ倒れた。ラムは、倒れたあたるに近づき ラム 「ウチの友達にまで、手出してダーリンいったいどう言うつもりだっちゃ!」と言うと、あたるは あたる 「記憶が無くなる前の俺へのプレゼントじゃぁ?」と言った。それを聞いたラムは ラム 「どこの世界に自分の夫に女プレゼントする妻がいるっちゃ!!!」と倒れたあたるの襟首を掴んで言った。それを見ていた弁天は 弁天 「ったく、本当におめぇの亭主は筋金入りだな」と呆れた。お雪も お雪 「本当に愉快なお方」て言って小さく笑った。ラムは ラム 「二人共、本当にごめんね」と言って、あたるの耳をつまんで立たせ ラム 「ほら!ダーリンも謝るっちゃ!」と言った。すると弁天が 弁天 「まぁラム、気にすんなよ。毎度の事だから怒る気にもならねぇ」と言った。 ラム 「もう、ダーリンったら」ラムはそう言うと弁天とお雪の側に行った。その時、UFOのドアが開き誰か入って来た。ラム達は、一斉にそちらを見た、するとそこにはランの姿が有った。ランは ラン 「ファイルの復元終わったから持ってきてやったど」と言った。  もちろん、あたるもランに興味を示したが、ラムに睨まれ諦めた様だ。 ラム 「ランちゃん、ありがとだっちゃ!」ラムはそう言うとランの所へ飛んで行った。ラムがランの顔を見ると目の下にはうっすらと隈が出来ている。徹夜をしたのはすぐに分かった。 ラム 「ランちゃん・・ウチの為に・・ありがとう」ラムは、そう言うとランの手を握った。ランは ラン 「か、勘違いするなラム。わしはお前に復讐する為に地球来たんじゃ。お前とダーリンが一緒におらなぁ復讐出来んやんけ」と言った。それを聞いて弁天が 弁天 「ったく、素直じゃねぇなぁ。感謝されて嬉しけりゃ、嬉しい様にすりゃぁいいだろ」と言った。するとランは ラン 「誰が嬉しいねん!そもそもわしがラムにそげな態度とれる訳・・・」と言いかけた所で、あたるの存在に気づき ラン 「あら、ダーリンも来てたの?」と急に態度が変わった。   ズコッ  ラムと弁天はコケた。 ラム 「ははは・・」 弁天 「相変わらず変わり身はえぇなぁ」二人は、苦笑した。 弁天 「ところでラン、ファイルの中身はどうだったんだ?」弁天はランに聞いた。するとランは ラン 「あ、それなんだけど、大変な事が分かったの」ランは、あたるとラムを見て ラン 「ファイルには、直接アクセスした場合に失敗したらどうなるか書かれてたの」と言った。すると弁天が 弁天 「失敗したらどうなるんだ?」と言った。ランは ラン 「失敗したら、アクセスした人の精神は囚われて一生目覚めないんですって」と言い ラン 「だから、ラムちゃんやめた方がいいわよ」とラムの両手を握った。すると弁天も 弁天 「そうだぜラム!ミイラ取りがミイラになっちまったんじゃ、話にならねぇ!」そう言って 弁天 「おい!お雪からも何とか言ってやれよ!!」とお雪の意見を求めた。お雪は お雪 「そうねぇ、確かにリスクは大きいわね」と言ったが、ラムを見つめて お雪 「だけど、やるかやらないかを決めるのはラムだわ」と言った。それに対して弁天は 弁天 「お雪!てめぇ、ラムが失敗したらどうするんだよ!!!」とお雪に怒鳴った。その時ラムが ラム 「ウチ、やるっちゃ!」と言った。すかさず弁天が 弁天 「ラム、てめぇ正気か?失敗したらもう、目覚めねぇんだぞ!」と言った。するとラムは、笑いながら ラム 「ウチ、失敗しないっちゃ。必ずダーリンを助けてみせるっちゃ」と言った。弁天は、舌打ちをして 弁天 「ラン、成功する確率はどれくらいだ?」とランに聞いた。ランは ラン 「う〜ん、良くて40%位かしら」と言った。するとまた、弁天が 弁天 「冗談じゃねぇ!失敗する確率のが高ぇじゃねえか!これじゃぁ、自殺する様なもんだぜ!」と言い、再びラムに 弁天 「ラム!なんでおめぇは、こんな亭主の為にそこまでするんだよ!」と言った。するとラムは ラム 「こんなでも、ウチのダーリンだっちゃ」と言い、あたるを見つめた。あたるは、事態が飲み込めずに皆が何を言っているのか理解出来なかった。 あたる 「え〜と、皆さん何を口論してるのでしょうか?」と、あたるはとぼけた様な顔で誰となく聞いた。その言葉に弁天の怒りは頂点に達し  弁天 「てめぇ!!」と言うと、あたるに掴みかかり 弁天 「ラムが命がけで、てめぇを助けようとしてるのがわからねぇのか!!!」と言った。そこにランが ラン 「いい?ダーリン。ダーリンの頭の中のナノマシーンを駆除する為に、ラムちゃんがダーリンの精神にアクセスして、直接ナノマシーンを駆除しようとしてるのよ。でもね、成功する確率は良くて40%位なの。で、もし失敗したらラムちゃん、永遠に目覚めなくなっちゃうって話」とあたるにも解る様に説明した。あたるは、それを聞いてラムの方に行き あたる 「ラム、これがお前の言っていた俺を救う方法か?」とラムに聞いた。ラムは ラム 「・・・・・・」何も答えず俯いている。あたるは、更に あたる 「お前がそんな危険を犯してまで俺を助けて俺が喜ぶと思ったか?お前の命の替わりに得る幸せなどいらん!!」と言った。すると弁天が 弁天 「諸星!よく言った!」と言った。しかし、ラムは ラム 「だ、大丈夫だっちゃ。ウチ、うまくやるっちゃ」と言って、あたるの腕を掴んだ。あたるは、ラムの腕を振り払うと あたる 「そもそもお前が俺の頭の中に入ってくるなんて冗談じゃない!お前に頭の中見られるくらいなら、記憶を失った方がマシだ!」と言った。すると弁天が 弁天 「なぁラム、諸星もあぁ言ってるんだ考え直せよ」とラムを説得しようとするが、ラムは ラム 「ダメだっちゃ。ダーリンには、もう時間が無いっちゃ」そう言うと目に涙を浮かべ ラム 「たとえ、ダーリンに嫌われてもウチはやるっちゃ!」と言った。それを聞いたランと弁天は ラン 「ラムちゃん・・」 弁天 「ラム、お前・・」と言った。そして、弁天は続けて 弁天 「分かったぜ、ラム!やってやろうじゃねぇか!だけどなぁ、やるからにゃぁ絶対に成功させるぜ!」と言った。するとあたるは あたる 「え?ラムが俺の頭の中に?」そう言った。すると弁天が  弁天 「うるせー!ゴチャゴチャぬかしてんじゃねぇ!おめぇもラムの亭主ならラムの事信じて腹くくりやがれ!」と言うと装置の操作を始めた。その時ランが ラン 「ラムなら、ぜ〜ったいにやる言うと思っとったで」と言うと、なにやらメモリーカードの様な物を出した。 お雪 「あら、ランそれは何かしら」お雪がそれを見て言った。するとランは ラン 「これはやなぁ、要は保険の様な物じゃ。もしも、ラムの精神が戻れなくなったら自動で起動する様プログラムしてある。プログラムが起動すると、強制的にシャットダウンしてラムの精神を元の場所に戻すねん」と言った。すると弁天が 弁天 「なんだと!なら全然心配する事ねぇじゃねぇか」とランに向かって言った。だがランは ラン 「そない簡単なもんとちゃうで。人の心っちゅうもんは」と言い、更に   ラン 「このプログラムだって完璧やないんや、どんな事態になるかはわからんのやで」と言った。弁天は 弁天 「そ、そうか。でも、何もねぇよりは全然いいぜ」と言うと、ラムも ラム 「そうだっちゃ、ランちゃんありがとう」と言った。そしてあたるの方を向いた。あたるはラムに背を向けている、納得してない様だ。 ラム 「ダーリン、ウチはダーリンの為なら何だって出来るっちゃ。だから、今回はウチに任せてほしいっちゃ」そう言ってあたるの背中に顔をうずめた。 あたる (絶対に認めるもんか!俺は絶対に認めんぞ!)あたるは、こころの中で強く思った。あたるの背中くっついているラムは、右手に何か持っていた。ラムが持っているのは、小型の麻酔銃だった。ラムはあたるの背中に麻酔銃を当て ラム (ダーリン、ゴメンね。でも、こうしないとダーリン絶対協力してくれないから)と心の中で思いながら、麻酔銃の引き金を引いた。麻酔銃は、音も無くあたるの体に麻酔を注入した。あたるは、崩れる様に倒れた。倒れる瞬間ラムはあたると目が合った。その時のあたるの目は、悔しさに満ちていた。  弁天が、装置の最終チェックを終えて後は、ランのプログラムのインストールが終わればすぐにでも起動できる状態だった。ふいに、ラムが弁天に聞いた ラム 「ところで、ナノマシーンを見つけたらどうやって駆除するっちゃ?そもそも、ナノマシーンってどのくらい居るっちゃ?」ラムの質問に弁天は 弁天 「ナノマシーンの数は、はっきり言ってどれだけ居るかわからねぇ。100万か、或いは1000万か」と言った。するとラムは ラム 「え?それじゃぁ、全部駆除するのは無理だっちゃ」と言った。それを聞いた弁天は 弁天 「全部駆除する必要はねぇんだ。リーダーみてぇのが何匹か居るからそれを駆除すれば、他のナノマシーンは動かなくなって無害って訳さ。まぁ、せいぜい3~4匹ってところかな」と言った。するとラムは ラム 「弁天、凄いっちゃねー」と感心した。だが弁天は 弁天 「いや、調べたのはお雪だけどな」と笑った。ラムは ラム 「お雪ちゃん、さすがだっちゃ」と言った。お雪は自慢するでも無く、ただ微笑み返した。  弁天が装置の説明を始めた。モニターには、銃の様な物を持ったラムが写し出された。それを見てラムは  ラム 「何だっちゃ?これ?」と弁天に聞いた。弁天は 弁天 「あぁ、こりゃぁラムがアクセスした時のイメージだ。あの銃みてぇな物でナノマシーンを撃つと、こっちに座標が送られてピンポイントでナノマシーンを駆除するってわけよ」と弁天は言い、更に 弁天 「それで、腕に何か着けてるだろ。あれで、リーダーのだいたいの位置が分かるから、後はラムおめぇが見極める訳だ。それと帰る為のランのプログラムも、その腕の装置で起動出来るからな。危ねぇと思ったら、迷わず帰って来いよ!おめぇが目覚めなくなったら、諸星も助からねぇからな!」そう言うと、ラムの肩を叩いた。あたるには、既に装置がセッティングされている。後はラムの準備が整えば、いつでも起動出来る。ラムは ラム (ダーリン、待ってて必ずウチが助けるっちゃ)そう心に強く思い目を閉じた。  その頃、ラウはどうやってラムを連れ去るかを考えていた。色々と策は浮かんだものの、どれも上手く出来る自信が無くただ無駄に時間を費やしていた。そんな時、またしても通信機が鳴った。相手は勿論ドイルである。  ジジジジ  ドイル 「ラウか?首尾はどうだ?」ドイルは相変わらず冷静な口調でラウに状況を聞いた。ラウは ラウ 「はっ、未だ結果は出ておりません」と答えると、自分の顔から血の気が引いて行くのを感じた。それを見たドイルは ドイル 「随分と顔色が悪いが、よもや失敗などしていないだろうな?」と言い、ラウの顔を見つめた。ラウは、もう耐えきれず ラウ 「申し訳ありません!実は、薬がもう無くなってしまいました」と、本当の事をドイルに告げた。するとドイルは ドイル 「ふっ、やっと喋る気になったか」と言い、ニヤリと笑った。ラウは、全てバレていた事を知り改めてドイルの恐ろしさを実感した。ドイルは ドイル 「で、誰に打ったのだ?」とラウに聞くと、ラウは  ラウ 「実は、大きな猫と、化け物の様な人間、そして諸星あたるであります」と言った。それを聞いたドイルは ドイル 「ほぅ、諸星あたるに当たったか。ならば、あながち失敗とも言えないなぁ」と、言った。ラウは、訳が解らずオタオタとしていたが ドイル 「ならば、ラム様を我等が星までお連れしろ」と言うドイルの声に、我に返りビシッと敬礼をした。ドイルは ドイル 「いいかラウ、恐らくラム様は意識の無い状態であろうが、くれぐれも粗相の無い様にな」と、それだけ言うと通信を切った。ラウには、何故ラムが意識の無い状態なのか?何故ドイルがそれを知っているのか?それは分からないが、今度失敗したら只では済まないと言う事は良く分かっていた。  ラウは、ラムの様子を探ろうとあたるの家の近くで待機していた。すると後ろから「お前誰や?こんな所で何しとんのや?」と声をかけられ、驚いて振り返るとそこには、鬼族の子供がこちらを見て浮かんでいた。 ラウ (こ、こいつは鬼族)ラウは、そう思うと身構えた。ラウは、どんな相手にも全力である。たとえ相手が幼児でも・・ もちろん、声の主はテンである。今朝ラムがUFOに来る前に、既に出掛けていたのだ。そして暇をもて余してる所でラウを見つけたのである。テンは、ラウが身構えたのを見て テン 「お?なんや、わいとやるつもりか?」と言うと テン 「ちょうど、暇で遊び相手が欲しかったんや。いいで、相手したる」と言ってテンも構えた。ラウは ラウ (こんな子供でも、相手は鬼族。どんな能力持っているか判らん、ここは戦うべきではないな)そう思うと ラウ 「あぁ、ゴメンね坊や。つい、仕事上のクセでね。後ろに立たれると、つい反応してしまうんだよ」と言って警戒を解いた。しかし、ラウの背中は冷や汗でビッショリだった。テンは、ラウの言葉に テン 「仕事上のクセって、お前もしかしてスパイか何かか?」と言って、目を輝かせた。ラウは ラウ (マズイ!こうもあっさり見抜かれてしまうとは)と思い焦って誤魔化そうとテンを見た時 ラウ (ん?待てよ、この目の輝きは・・・そうか、なるほど。いくら鬼族とは言っても所詮は子供。スパイに憧れてる訳か)そう思うと ラウ 「やぁ、君は鋭いなぁ。その通り、僕はスパイさ」と言った。テンは更に目を輝かせて テン 「ほな、極秘任務かなんかか?」と興味津々だ。ラウは ラウ (こいつ、鬼族と言う事はラム様の関係者のはず。こいつを利用すれば) そう思うと ラウ 「いやぁ、君にはまいったなぁ。この僕に気配も無く近づくし、僕の正体もあっさり見破った。君には、一流のスパイになる素質がある」と言った。それを聞いたテンは、もはやラウの術中にはまっていたのである。更にラウは ラウ 「そうだ!君、僕のもとでスパイの勉強しないかい?君なら、僕と同じ超一流のスパイになるのも夢じゃないよ?」と、畳み掛けた。するとテンは テン 「先生!」と、完全にラウの術中にはまってしまった。  その頃、ラムのUFOではちょうどラムがあたるの精神にアクセスする所だった。 弁天 「じゃぁ、ラム。いくぜ!」弁天がそう言うと、ラムは ラム 「弁天、頼むっちゃ」と言い、覚悟を決めた。ランと、お雪も見守る弁天が装置のスイッチを入れ、ついに装置が起動した。僅かな衝撃があり、ラムは意識を失って行った。  次にラムが目覚めたのは・・・廊下だった。どこまでも続く長い廊下、どこまで続いているのかはまるで分からない。その廊下の両脇には、無数のドアが有る。ラムはは、改めて自分の姿を確認した。右手には、何やら銃の様な物。左手には、小型の端末の付いたリストバンド。弁天に見せてもらったままの姿、間違いなくあたるの精神へのアクセスに成功したのだ。ラムは ラム 「まずは、第一段階成功だっちゃね」と言うと腕の端末を見た、するとかなり先だが強い反応を示す場所が有る。 ラム 「これがリーダーの位置だっちゃね」ラムはそう言うと、先に進もうとした。しかし、どうしても無数に有るドアが気になって仕方ない。 ラム 「このドアの中って何だっちゃ?」ラムはそう言うとドアノブに手をかけた。しかし、すぐには開けず ラム (こんな所で、モタモタしてる訳には行かないっちゃ。・・でも、ちょっと覗くくらいなら)と思った。 ラム 「え〜い、こんな事悩んでるなら、さっさと見て、さっさと行くっちゃ」ラムは、そう言うと勢い良くドアを開けた。ドアの向こうを見てラムは唖然とした。そこには、あたるを中心にサクラ、しのぶ、弁天、お雪、ラン、竜之介、クラマ、金太郎の保母さん、了子、楓、何故か音無響子、更にはエルまで居る。まさにハーレムである。しかし。何故かラムの姿は無かった。ラムはその光景を見て ラム 「くぅ〜!ダーリンの考えそうな事だっちゃ!!」と言うとドアが壊れる程の勢いで閉めた。 ラム 「ったくぅ、妄想の部屋だったっちゃ。馬鹿らしくて他のドア開ける気にもならないっちゃ!」ラムはそう言うと、一直線に目的地まで飛んで行った。  シグナルが強く反応する場所に来たが、そこにも左右に幾つものドアが有り、特定が難しい。ラムは  ラム 「これじゃぁどのドアか分からないっちゃ。仕方ない、片っ端に開けて行くっちゃ」そう言うと、すぐ横のドアを開けた。   ガチャ  ラムは恐る恐る中を覗いた。するとそこは・・何も無い空間だった。しかし良く見てみると、遥向こうに何か見えた、ラムは急いでそこに飛んで行った。 するとそこには・・・あたるとラムの姿が。しかもそれは地球を賭けた運命の鬼ごっこの時の二人であった。ここは、あたるとラムの思い出の部屋の1つだったのだ。ラムは嬉しさで、涙が溢れて来た。あたるが、自分の事を思い出として胸にしまってくれていたと思うとラムのめからは、自然と涙がこぼれたのだ。しかしラムは気になった、何故ここ以外は何も無いのか。ふと、ラムは境界線を見て愕然とした。 ラム 「す、少しづつ消えて行ってるっちゃ」ラムは、そう言うと悟った。 ラム 「ここは何も無いんじゃないっちゃ!消えてしまったんだっちゃ」ラムはそう言うと喜びから一転悲しみの涙を流し ラム 「ウチと、ウチとダーリンの思い出が」と言うとすぐさまその部屋を出て隣のドアを開けた。 ラム 「絶対に食い止めて見せるっちゃ」ラムは、勢い良く部屋にはいった。するとそこには、あたるの姿・・・をした何かが居た。あきらかに、この世界のものではない[それ]は、ラムに話しかけてきた。 あたるもどき 「ア、ラムジャナイカ。ドウシタンダ?」声は機械的な声、しゃべり方も無機質な感じで棒読み。これで、化けているつもりなのだろうか?ラムは ラム 「ダーリンだっちゃ?」と聞いてみた。すると あたるもどき 「ソウダヨ」と[それ]は言った。ラムは ラム 「ダーリン」と叫びながら近づくと、至近距離から銃を撃った。すると あたるもどき 「ナ、ナゼワカッタ」と[それ]は言った。もちろん、[それ]はナノマシーンである。 ラム 「お前、バカにしすぎだっちゃ!分からない方がおかしいっちゃ!」ラムは、そう言うとナノマシーンが消えて行くのを見ていた。するとナノマシーンが完全に消えると同時に部屋が違う姿に変わって行く。ラムはそれを見て ラム 「学校だっちゃ」と言った。部屋の中は友引高校へと姿を変えたのだ。ナノマシーンが消えた事により、この周辺のナノマシーンによる支配が解けたのだ。ラムは、その部屋を後にして次のシグナルに向かった。  その頃UFO内部では、あたるの脳波のデータを見ながら弁天が 弁天 「ラムのやつやりやがった!ナノマシーン一匹やっつけたみてぇだぜ!」と興奮気味に言った。するとお雪は お雪 「やっぱりラムは、たいしたものね」と言い、ランは ラン 「当たり前や、わしが組んだナノマシーン検索エンジン組み込んだやからなぁ、探すのも訳ないはずやで」と言った。弁天はニヤニヤしながら 弁天 「そんな事言っても、ラムの為に徹夜までして、しっかりプログラム組み上げてきてやがるし」と言った。するとランは ラン 「ち、ちゃうどーわしが徹夜でプログラム組んだのはラムのためやのうて」とランがそこまで言うと弁天が 弁天 「あぁ、分かった分かった。素直じゃねぇなぁ」と笑った。   その頃ラムは、次のシグナルの地点に到着していた。前回同様ナノマシーンの位置を特定するまでにはいかないものの、すぐ近くに居る事は間違い無さそうだ。ラムは、手近なドアを開けてみた。するとそこはラムの知らないあたるの記憶しのぶとの思い出の部屋だった。ラムは戸惑いながらも中に入りナノマシーンを探し始めた。あたるとしのぶの中の良さそうな思い出は、ラムにとっては苦痛以外のなにものでもなかった。 ラムに出会う前のあたるとしのぶは、普通のカップルに見えた、ラムは逃げ出したくなった。いくら自分と出会う前のあたると言えどあたるには変わりない、ラムはナノマシーンを探したがそれらしい物は見つからず部屋をでた。ラムは、部屋を出たとたんに床にペタンと座り込み深いため息をついた。少しの間ラムはそのまま動かなかったが、ゆっくりと立ち上がると次の部屋のドアを開けた。次にラムが見たのは、部屋中にたくさんの枯れた木が生えてる部屋だった。ラムはその木の間を歩いてナノマシーンを探した。しかしここにもナノマシーンは居ないようだった。ラムは、次の部屋に行こうと戻り始めた時、木の根につまずき転びそうになり思わず近くの木に手を着いた。すると景色が一変して夜の友引町になり、ラムの目線の先にはあたるが居た。ラムは、あたるの後を着いて行った。あたるは、路地を曲がるとポリハケツにつまづき派手に転んだ。そして あたる 「う、う、ラム・・こんな人形1つ残して・・何も言わずに帰る事ないじなゃないか・・ラムのアホ」あたるのこの言葉にラムは ラム 「これは、あの時の・・」そう言った瞬間、景色がまた、たくさんの木の生えた景色にもどった。ラムは急に戻った景色に戸惑いまわりを見回した。 ラム 「ここは多分、ダーリンの悲しみの記憶の部屋だっちゃ・・・この木一本一本に悲しみが・・」ラムは胸が締め付けられる思いだった。ラムは急いでその部屋を出て次の部屋に入ると、そこは他の部屋とはまるで違った。 あたるの部屋の様だが、まるで子供が遊ぶブロックで作った様な部屋だ。その真ん中にあたるが居るのだが、それを見てラムは ラム (あれは、間違い無くナノマシーンだっちゃ。なんとなく分かって来たっちゃ、他の部屋はみんな入った瞬間にダーリンを感じたっちゃ。でも、さっきも今回もナノマシーンの居る部屋には、ダーリンの気配は全くないっちゃ)そう思うと、おもむろに部屋の中のあたるに近づいた。 ラム (つまり、逆に言えばダーリンの気配を感じない部屋を探せばいいっちゃ)ラムはそう思うと、迷わず目の前のあたるに銃を向けて引き金を引いた。すると、カチッと音がしたかと思うとナノマシーンのあたるは見る見る消えて行った。すると、部屋の景色も徐々に元に戻り本来の姿に戻った。そこは、メガネや面堂と言った友達の思い出の部屋だった。ラムは少し嬉しかった ラム 「やっぱり、ダーリン何だかんだ言っても皆が好きなんだっちゃね」ラムは微笑みながら部屋を出た。まだ大きなシグナルが残っている。ラムはシグナル目指して更にすすんだ。シグナルが示す場所に来たが、やはりハッキリした場所は分からない。ラムは目をつむりドアを次々に開け始めた。 ラム 「これなら、ダーリンの気配を感じつつ、中を見ないで済むっちゃ」ラムが何回か続けるとあたるの気配を感じない部屋があった。 ラム (ここだっちゃ)ラムは、そう思うと目を開けた。すると、そこにはラム自身が居た。ラムは迷わず撃った、そして ラム 「呆れて物も言えないっちゃ」と言うと、更に ラム 「ウチが来てるのに、ウチに化けてどうするっちゃ」と言うと、消えて行くナノマシーンを見つめた。ナノマシーンが消えると、やはり元の部屋に戻っていき、やがてそこは遊園地になった。あたるは右袖の無いセーターに毛糸の帽子とマフラー、そして手袋とレッグウォーマーをつけている。そして、その横には白いパジャマ姿の少女が居た。ラムは、すぐにそれが誰だか分かった。 ラム 「のぞみちゃん・・・」ラムは、そう言うと胸が熱くなった。そして ラム 「この時のダーリン・・優しかったっちゃ・・・」と言い、静かにドアを閉めた。  ラムが端末を見ると、次のシグナルが表示されているが、今までよりもかなり大きいシグナルだった。 ラム 「随分大きいっちゃねぇ。まさか、ナノマシーンも大きいっちゃ?」と言いながら飛んで行った。  ラムがシグナルの示す位置にたどり着くと、そこには扉が1つしか無くそのドアの向こうにナノマシーンが居る事は間違いなさそうだった。ラムは、ゆっくりドアを開けて中に入った。   その頃、UFOの中では 弁天 「ラムのやつ、順調みてぇだな」弁天がそう言った時、モニターが点灯した。モニターには、ラムの父が写し出され ラム父 「おぅ、弁天やないか」と弁天を見たラムの父はそう言うと、 ラム父 「ラムはおるか?」と弁天に聞いた。すると弁天は 弁天 (やべぇ、ばれたかな)と思い 弁天 「あ、あぁ、ラムなら今ちょっと出られねぇんだ」と言った。するとラムの父は ラム父 「ん?出られんとは、どう言う事や」と言うと、続けて ラム父 「まぁ、えぇ、ほなラムに伝えてんか?どこのもんだか分かったから、連絡するようにと」と言った。それを聞いた弁天は 弁天 「あ、あぁ、分かったぜ」と言うと、更に小声で 弁天 《多分、必要ねぇけどな》と言った。するとラムの父は ラム父 「なんで、必要ないんや?」と弁天に聞いた。弁天は 弁天 (げっ、なんつぅ地獄耳だ、やっぱり鬼だけあるな)と思い 弁天 「あ、あぁ、諸星のナノマシーンならもうすぐ駆除が終わりそうだからよ」と言うと、ラムの父は ラム父 「なんやと!弁天、それはどう言う事や!!」と凄い剣幕で弁天に聞いた。弁天は 弁天 「今、ラムが諸星の精神にアクセスしてる所なんだがよ、もう後一匹で駆除終わりそうだから」とそこまで言った時に、ラムの父が ラム父 「なんちゅー事してくれたんや!!そんな事したらラムは!」と言った所で弁天が 弁天 「心配すんなよ、ちゃんとランの作ったプログラムでラムの精神は戻って来れるから」と言うとラムの父は ラム父 「アホ!!!そんな事やないんや!駆除する事が問題なんや!」と言った。それを聞いた弁天は 弁天 「な、どう言う事だよ」と戸惑いながら聞いた。するとラムの父は ラム父 「あのナノマシーンはやなぁ、指揮系統が出来てて各ナノマシーンに指示出してるのが何体かおるんやけど、そのナノマシーンの最後の一体を駆除した時に、駆除したもんの精神に電気信号になって寄生するや、寄生された方は気づかんからそのままアクセスを解いた途端、今度はアクセスしたもんの精神に入り込むんや。しかも今度は実体が無いさかい駆除も出来んっちゅうこっちゃ」と言った。それを聞いて弁天は 弁天 「じゃ、失敗したら目覚めないって言うのは・・・」と言うと、ラムの父が ラム父 「そう言う事や」と言い ラム父 「せやから、はようラムのアクセス解除せな!」と言った。その時お雪が お雪 「それは、無理みたいね」と言った。すると弁天が 弁天 「なんでだ!このままじゃラムが!」と言った。するとお雪は お雪 「もう、最後のナノマシーンに接触しているわ」と言い、続けて お雪 「今、解除したらラムの精神にどんな影響が出るか分からないわ」と言った。それを聞いた弁天は  弁天 「だけどよぅ、このままじゃラムは・・・畜生!一体どうすりゃいいんだ!!」そう言ってテーブルを叩いた。 ラム父 「今、お前らを責めてもなんにもならん。今は、ラムを救う方が先決や」ラムの父はそう言うと、何やらモニターの向こうで操作を始めた、するとモニターの右下に宇宙地図が表示され、ある座標にマークが付いている。弁天はそれを見て 弁天 「ん?ここは何処だ?」と聞いた。するとラムの父は ラム父 「この星が、例の薬を作ってラムを狙ったやつの星やがな。惑星ルイーザっちゅう星や」と言った。それを聞いた弁天は 弁天 「じゃぁ、その星に乗り込んで薬作った奴に解除させようって事か?」と言った。するとラムの父は ラム父 「早い話が、そう言いこっちゃ」と言った。弁天は 弁天 「なるほどな、その作戦あたいも参加させて貰うぜ、今回の責任も有るしな」そう言って、お雪の方を見た。お雪も お雪 「もちろん、私も同席させて頂くわ」と言った。弁天は更にランの方を見ると、ランは今まさにUFOから出ようとしていた。それを見て弁天は 弁天 「おい、ラン!何処行くつもりだ?」と言った。するとランは ラン 「そんな訳分からん星に行くなんて、わしはゴメンやど」と言った。するとお雪が お雪 「あら、ラン。あなた随分薄情なのね」と言った。お雪の言葉にランは ラン 「わ、わし、薄情ちゃうどー」と言った。それを聞いたお雪は お雪 「そう。なら、行くわよね?」とランを見つめた。ランは、お雪の瞳の奥に怒りの炎が見えた気がして ラン 「あ、当たり前じゃい」と言って、お雪から目を逸らした。するとお雪は お雪 「そう。良かった」と言って、ニコリと笑った。そこに、ラムの父が ラム父 「ええかお前ら、この薬作った奴はえろう用意周到なやっちゃでぇ」と言うと弁天が 弁天 「へっ、用意周到だろうが何だろうが、こいつぶっ放してやりゃあ」とバズーカを取り出した。するとラムの父が ラム父 「アホ、舐めとったら痛い目みるで。もし、薬がラムに当たらんでも婿どのに当たれば、必ずラムが精神にアクセスする事を予測して、こげなトラップ仕掛けるくらいや、わしらの事かて徹底的に調べてるに決まっとる」と言った。するとお雪が お雪 「そうね。こちらは向こうの情報まるで無いんだから、ちゃんとした作戦と準備は必要ね」と言った。ラムの父は ラム父 「その通りや。せやから、わしは乗り込む準備するさかいお前らも、ようけ頼むで」と言って通信を切った。  その頃ラムは、最後の部屋の中に居た。しかし、その部屋は真っ暗で何も見えない。だが、あたるの気配を感じる・・・その時、部屋の中央付近に灯りが灯った。そこには誰か居る様だ、ラムは、慎重に近づいた。するとそこには、椅子に縛り付けられたあたるが居た ラム 「ダー・・リン・・・?」ラムは、そのあたるに声をかけた。するとあたるは あたる 「ラ、ラム・・お前か? ・・・」と苦しそうに言った。するとラムは  ラム 「ダーリンだっちゃ?」と聞いた。あたるは あたる 「ちょうどいい所に、この縄ほどいてくれ」と言ってラムを見た。ラムの目には本物のあたるに見えたが、本能が警戒してる。ラムは ラム (本当にダーリン?)そう思って戸惑っていると、あたるが あたる 「何グズグズしてる!この部屋にはアイツも居るんだぞ!」とラムに言った。ラムは、あたるの言葉に押される様にロープをほどこうと椅子の後ろにまわった。するとその時「やめろ!!!」と何処からか声がした。ラムがそちらを見ると、そこにはもう一人のあたるがこちらを見ている。  ラム 「え?どうして?」ラムは困惑しながら二人のあたるを交互に見た。姿や声は、どちらもあたるそのもので見分けがつかない。その時一人のあたるが あたる 「ラム、今すぐこの部屋を出てアクセスを解除しろ!」と言った。後から現れたあたるである。    ※今後、椅子に縛られたあたるをあたるA、後から現れたあたるをあたるBとします。  それを聞いてあたるAは あたるA 「ラム、騙されるな!あいつは、お前を追い出そうとしてるんだ!」と言って、あたるBに あたるA 「お前、俺をこんな所に縛り付けつてラムを誘き出すなんて、なんて卑怯なやつだ!」と言った。するとあたるBは あたるB 「ほざけ!お前こそ、俺に化けて何か企んでるんだろうが、そうは行くか!」とあたるAに言った。 あたるAB 「ラム、こいつの言う事なんか信用するな!」二人のあたるは同時に言った。するとラムは ラム 「あーっもうっ!どっちが本物だかウチが見極めるっちゃ!」と少々切れぎみに言った。すると あたるAB 「よし、お前ならどちらが本物か分かるはずだ」とまたしても二人同時に答えた。するとあたるBが あたるB 「お前は、黙っとれ!」と言った。それに対してあたるAも あたるA 「お前こそ、黙っとれ!」と言った。それを聞いてたラムは ラム 「二人供!ウチの質問にだけ答えるっちゃ!いいっちゃね?」と言うと二人のあたるは、同時に頷いた。まるで双子である。  ラムは、まずあたるAに質問した。 ラム 「ダーリン、ウチの事好き?」ラムがそう聞くとあたるAは あたるA 「こんな時に何聞くかと思えば、好きに決まっとろうが!分かったら早く縄をほどいてくれ」と言った。次にラムは、あたるBに ラム 「ダーリン、ウチの事好き?」と同じ質問をした。あたるBは あたるB 「やぶからぼうに、何を言い出すんじゃお前は!そんな事より一刻も早くこの部屋からでろ!」と言い、ラムの手を掴むとドアの方に引っ張って行こうとしたが、ラムはそれを拒み ラム 「どっちが本物だか分かったっちゃ」と言って銃を構えた。ラムの狙ったのは、あたるAだった。 あたるA 「お、おいラム!お前なんでこっちに」あたるAは、信じられないと言った表情でラムを見た。ラムは ラム 「そんな顔したって騙されないっちゃ」と言い、続けて ラム 「ダーリンが素直にウチの事好きなんて言うはずないっちゃ」と言った。あたるAは あたるA 「アホ!こんな緊急時に、そんなつまらん意地張るか!」と言ったが、ラムは ラム 「益々、お前じゃないっちゃ。ダーリンは緊急時だからこそ余計に意地張るっちゃ」そう言うと、あたるBを見て ラム 「ダーリンは、そう言う人だっちゃ」と言った。それを聞いてあたるBは あたるB 「ラム・・・」と言った。 ラム 「だから、お前が偽物だっちゃ!」と言い、引き金を引いた。   カチッ  軽い音がしたと思うと、あたるAは徐々に消えて行った、不敵な笑みを残して。部屋は、徐々に元の姿を表しそこは一面桜の花の咲く公園になった。  ラムは、あたるの方を向き ラム 「ダーリンの本当の気持ち分かったっちゃ」と言って満面の笑みを浮かべた。するとあたるは あたる 「本当の気持ち?」と、ラムの言った意味が分からない様だ。ラムは ラム 「あれはダーリンの精神に入り込んだナノマシーンだっちゃ。つまりアイツの思考は、ダーリンそのものだっちゃ」と言って、更に ラム 「ウチの質問に対するアイツの答えは、ダーリンの本心だったっちゃ。だからウチ、ダーリンに好きって言ってもらったって事だっちゃ」ラムは、そう言うとあたるに抱きついた。あたるは あたる 「な、何言ってんだ!そんなのアイツの助かりたい為の適当な答えに決まっとろーが!」と言った。それを聞いたラムは ラム 「そう言う事に、しておいてやるっちゃ」と言うとニコリと笑った。  ラムは、改めて腕の端末を見たが、もうシグナルは無かった。ラムは ラム 「じゃぁ、ダーリン。ウチ戻るっちゃね」と言った。あたるは あたる 「あぁ・・・」と言ってラムを見つめた。ラムは腕の端末を操作している。やがてラムの体は光に包まれた。その時あたるは あたる 「ラム!」と声をかけた。ラムは、振り返ると ラム 「・・・・」何か言った様だが、言葉が聞き取れない。あたるは、そんなラムに あたる 「ありがとう」と言ってニコリと笑った。やがて、ラムの精神はラム自身に戻って行った。        続く  あたるのナノマシーンの駆除に成功したラム。だが、ラムの父の言う様に目覚めなくなってしまうのか?そしてラウに弟子入りしたテンは?次回、エピソード6にご期待下さい。            エピソード5 END