§前回までのあらすじ§  ラムを目覚めさせる為に、ラウの策略に乗り惑星ルイーザに侵入する事を決めたあたる達は、ラウの宇宙船に乗り込んだ。しかし、そこには偶然中に入り込んでいた面堂達が居た。       エピソード 7  ラムの父は、ラムのUFOへ何度も通信を試みていたが、一向に誰も出ない。 ラム父 「ダメや、誰もでぇへん」そう言うと通信機のスイッチを切った。 ラム父 「まさか、あいつらわしに黙って勝手に向かったんじゃないやろなぁ」ラムの父はそう言うと再び通信機のスイッチを入れ通信を始めた。すると モニターには鬼族の軍人らしき人物が写し出され 軍人 「大将、どないしなはりました?」と言った。ラムの父は ラム父 「すぐに出発の準備や!ええか、戦争なるかもしれへんから気ぃ抜いたらあかんで!」と言い通信を切り、宇宙地図を見つめた。  その頃、ラウの宇宙船の中では鍋のつつき合いで最早戦争だった。しかし、あたるだけは鍋をつつかずにラムの側を離れなかった。 あたる (ラム、俺が・・俺が絶対に助けてやるからな)あたるはそう思うとラムのカプセルの横に座った。そんなあたるの様子を見ていた者が居た、しのぶである。しのぶは、あたるに近づき しのぶ 「ラムの事、心配なのは分かるけど少し何か食べた方がいいわよ」と言った。するとあたるは あたる 「あ、あぁ・・・・」と言って鍋を食べに行った。しのぶはラムの寝顔を見ながら しのぶ (ラム、あなたが寝てたら誰があたる君の事見ててあげるの?あたる君に付いていてあげられるのは、あなたしかいないんだから早く目を覚ましなさいよ) と思いカプセルに手を置いた。その時パーマが外を見て パーマ 「おい!何か星が見えて来たぞ!」と言うと、みんな一斉に外を見た。 メガネ 「な、なんだあの星は?」 面堂 「あの星に行けば、ラムさんは」 みんな騒いでる中、弁天は 弁天 「よし、チャンスが有ればいつでも行くぜ」と言った。するとランが ラン 「おい弁天、作戦は有るんやろなぁ」と言うと弁天は 弁天 「あ?作戦?そんな物は、何とでもならぁ」と言った。それを聞いてランは ラン 「まぁ、そんな事やろうと思ったが」と言うと溜め息をついた。それを見た弁天は 弁天 「なんだ?てめぇは作戦あるって言うのか?」とランに言うと ラン 「あったり前やろ!作戦も無しに知らん星で暴れられるかい!」ランはそう言い、ドアの所に行き ラン 「まずは、そのバズーカでこのドアを消し、わしがこの麻酔銃であいつを撃つ。この麻酔は、撃って1秒で相手眠らせるねん。ただ効果は10分くらいしかもたんさかい、眠らせたらすぐに縛り上げんとやけど」と言った。すると弁天は 弁天 「なるほどな、で次は?」と言いい、ランが ラン 「あいつと取り引きするねん」と言うと弁天は 弁天 「取り引き?どんな取り引きするってんだ!無理に決まってんだろ!」と言った。するとランは ラン 「無理かどうか、やってみな分からんやろ」と言い更に ラン 「そもそも、取り引きっちゅうもんは、双方に利益が有るか、双方損しなければ成立するもんや」と言った。それに対して弁天は 弁天 「あいつにとって、損は有っても利益はねぇだろ?そんなんで取り引きなんて成立すんのかよ」と言った。するとランは ラン 「もし、取り引き成立しなければ無理矢理にでも言う事聞かすしかないやんけ」と言った。それを聞いた弁天は 弁天 「へん、やっぱり力押しじゃねぇか。それなら、あたいと変わらねぇぜ」と言った。ランは ラン 「一緒にすんなや、何も考えずに強行するんとは全然ちゃうわい」そう言うと ラン 「やるんなら、今やど」と言って麻酔銃を出した。弁天も 弁天 「そうだな、皆準備はいいか?じゃ行くぜ!」と言ってドアに向かってバズーカを構えた。 弁天 「みんな離れてろよ!巻き込まれたら消えちまうからな!」弁天は、そう言うと「行くぜ!」と掛け声をかけて、バズーカを発射した。眩い閃光と共に光の塊がドアに向かって飛んで行く、発射音はほとんどなかった。  光の弾がドアに当たると当たった所を中心にドアが消滅していき、直径2mほどの穴が開いた。すると、すかさずランがラウに向かって麻酔銃を発射し、見事に命中した。その瞬間ラウは床に崩れる様に倒れた。それを見て、弁天が 弁天 「よし!早く縛り上げろ!」弁天の声にメガネ達四人組がいち速く反応して、あっと言う間にラウを縛り上げた。それはまるで時計塔裏のあたるを彷彿させる。それを見て、弁天は 弁天 「へぇ、おめぇら随分手際がいいじゃねぇか」と言うと、あたるが あたる 「おおかた、サド山と日夜研究でもしとるんだろう」と言った。すると弁天が 弁天 「へぇ、あいつらそんな趣味が」と言うとニヤニヤと笑った。  その時、ラウが目を覚ました。ラウは回りを見回したが、状況が理解出来ない。自分を取り囲む人達の顔を一人一人見て行き ラウ 「これは?何がどうなってるんですか?」と言うと、見知らぬ顔が有るのに気づいて ラウ 「この方たちは?どうして僕の宇宙船に?」ラウは、訳が分からず半分パニック状態だ。そこで弁天が口を開いた 弁天 「あたいらが何も気付かねぇと思ってたのか?随分なめられたもんだぜ」と言うと、続いてランが ラン 「今、あなたが置かれてる状況は分かるわよね?」と言うと、ラウは ラウ 「何故僕は縛られているのですか?」と言った。すると弁天が 弁天 「おめぇが奴等のまわしもんだって事は分かってんだ」と言った。ラウは ラウ (な、何?何でばれたんだ?とにかく、ここはなんとか誤魔化してこの窮地から抜け出さなくては)と思い ラウ 「や、奴等とは?一体何の事だか・・・僕は、ラムさんを目覚めさせる為に・・・」と言った。それを聞いた弁天は 弁天 「大条際が悪ぃなぁ、おめぇの知らねぇ奴等がいんだろう?こいつらはなぁ、拷問のプロだ、あたいがこの時の為にこっそり忍び込ませておいたんだ」と言うとメガネ達を見た。ラウは ラウ (どうやら、誤魔化しきれそうにないな。ここは、言う事に素直に従うふりをして隙を見て逃げるしかなさそうだ)と思い ラウ 「そうですか・・・バレてしまったのなら仕方ありませんね」と言った。すると弁天は 弁天 「やっと観念したか、じゃあ色々と聞かせてもらうぜ。おっと、答えたくなくても拷問で吐かせるから素直に答えた方が苦しまなくて済むぞ」と言うとラウは ラウ 「ふっ、僕は超一流のエージェントだ。拷問なんて恐くは無い」と顔色一つ変えずに言った。弁天は 弁天 「へぇ、意外に根性あるみてぇじゃねえか」そう言うとメガネ達に向かって 弁天 「おい!おめぇら、やっていいぜ」と言った。するとパーマがメガネに小声で パーマ 《お、おいメガネ。拷問なんて出来んのかよ》 メガネ 《やるしか無かろう。今日はサド山は居らんが、いくつかは出来そうだ》と言った。その時ラウは ラウ (どんなに痛みつけられようが、情報を漏らす様な事はしない)と思った。するとメガネがおもむろに メガネ 「よし、まずは悶絶地獄責めから行くか」と言った。その言葉を聞きラウは ラウ (も、悶絶・・地獄責め・・まさか、そんな)と思うと急に汗をかき始めた。その汗は尋常では無く、まるで滝の様だ。それを見た弁天は 弁天 「おい、どうした?随分顔色が悪いぜ」と言い、更に 弁天 「吐くなら今だぜ、こいつら一回始まっちまったら途中じゃやめねぇからな」と言った。ラウは、過去の恐怖の記憶が甦り既に心が折れていた。それを悟った弁天が 弁天 「なぁ、悪ぃようにはしねぇから教えてくれよ。ラムを連れて行く理由はなんだ」と言うとラウは ラウ 「惑星ルイーザの王のカロン様に嫁いでもらう為です」と言った。するとお雪が お雪 「ラムは、もう旦那さんが居るのよ?」と言ったが、ラウは ラウ 「関係有りません。カロン様の命令は絶対です」と言った。弁天は 弁天 「なるほど、絶対の王か。おもしれぇ」と言った。そこにランが ラン 「ねぇ、私達に協力してくれないかしら?」とラウに聞くと、ラウは ラウ 「協力?」と言った。ランは ラン 「そう、取り引きしましょう。お互いに損の無い様に」と言うと、ニコっと笑った。 ラウ (取り引きだと?信用出来るはず無い。取り引きしたとしても、彼女達が約束を守る保証は無いしな。少し探りを入れてみるか)ラウはそう思い ラウ 「取り引きですか?僕は、こんな状況で身動きも出来ない。あなた達の事を信用する事は出来ませんが、一応聞きましょう」と言った。するとランは ラン 「あのね、あなたと私達の利害は一致してるのよ」と言い、それを聞いたラウは ラウ 「利害が一致?そんなバカな」と言った。ランは ラン 「よ〜く考えてみて、あなたはラムちゃんをその王様の所へ連れて行きたいんでしょ?でも、私達が居るから簡単には行かない。私達は、あなたの星に潜入したいけど、あなたが居ないと潜入出来ない。つまり、お互いの協力が必要なのよ。ね、利害は一致してるでしょ?」と言った。ラウは ラウ (確かに彼女の言う通りだ。今の状況を打破出来る策が見つからない以上、取り引きに応じた方がいいのか?)と思い ラウ 「いくつか、聴きたい」と言った。するとランは ラン 「なぁに?」とニッコリと笑いながら応えた ラウ 「まず、ラム様は?」ラウが聞くとランは ラン 「ラムちゃんは、王様の所へ連れて行って」と言った。すると弁天が 弁天 「おい!ラン!てめえラムの事引き渡すってどう言うつもりだ?そもそも、ラムを助ける為に来たのにラム引き渡しちまったら意味ねぇだろ!」と凄い剣幕でランに食いかかった。するとランは ラン 「じゃかぁしい!今のワシらにラムを目覚めさせる方法が無い以上、しゃぁないやろ!とにかくラムを目覚めさせるのが先決や、ラムが目覚めたら取り返せばええだけや」と言った。そこでお雪が お雪 「そうね、ランの言う通りかもしれないわね」と言って弁天を見た。弁天は 弁天 「へっ、分かったよ」と納得した様だ。ランは、再びラウの方を向き ラン 「え〜と、あとは?」と笑いながらラウに聞いた。ラウはランの豹変ぶりに戸惑いながら ラウ 「あ、え〜と、あなた達の事は?」と聞くとランは ラン 「ん〜、簡単じゃな〜い。私達の事は黙ってればいいだけよ」と言った。ラウは ラウ 「しかし、バレずに帰れるかどうか」と言った。しかしランは ラン 「大丈夫。あなたが、私達の事黙ってれば絶対に見つからないから」と、自信満々で答えた。するとラウは ラウ 「なるほど、それじゃぁ後一つ。もし僕が裏切ったら?それに君達が裏切らない保証も無い」と言った。それに対してランは ラン 「あなたが、裏切るとしたら星に帰ってからだから、そしたら私達の事を知りながら帰還した事になるので大変な事になるでしょうね。もちろん、あなたが」そう言ってニッコリと笑った。そして更に ラン 「私達が裏切らない保証だけど、はっきり言って保証は無いわ。でも、私達があなたを裏切ってもメリットはな〜んにも無いの。それより、あなたを裏切る事によって私達の存在も気付かれてしまう訳だから逆に動きにくくなってランちゃん困っちゃ〜う。だから、信用してもらうしか無いわね。それから、あなたがラムちゃんを王様の所へ連れて行った後に何か起きても、あなたは責任無いでしょ?」と言った。するとラウは ラウ (なるほど、確かに彼女の言う通りだ)と思い ラウ 「分かった、取り引きしましょう」と言った。するとランは ラン 「うわぁ、ありがとう♪じゃあ、一つだけお願いしていいかしら」と言うとラウは ラウ 「な、何ですか?」と不安そうに言った。ランは ラン 「簡単な事よ、ラムちゃんはこのカプセルか出さずに、このまま王様の所へ運んで欲しいの」と言った。するとラウは ラウ 「それだけ?・・」と拍子抜けした様に言うと、ランは ラン 「そう、簡単でしょ?」と言った。そこに弁天が 弁天 「話もついたみてぇだし、早速星に降りる準備してもらおうか」と言うとラウの拘束を解き、 弁天 「妙な真似してみやがれ?ただじゃ済まねぇからな」と言い、ラウとラムのカプセルを残し、全員隠れた。ラウは頷き、通信を始めた。通信は間もなく繋がり、モニターには男が写し出された。ラウは ラウ 「ドイル様。報告が遅れ申し訳有りません」通信の相手はドイルだった。ドイルは ドイル 「それで?お前から連絡して来たと言う事は、無事ラム様をお連れ出来た様だな」と言った。ラウは思った ラウ (本来であるなら、ここで彼女達の事を知らせなければならない所)その時ラウの頭に、あたるとラムを観察している時のラムの笑顔がよぎった。それは、まるで穢れを知らない天使の様な笑顔に見えた。そして、ラウは思った ラウ (ドイル様には、申し訳ないがあのラム様の笑顔を絶やしたくない)そしてラウは ラウ 「はい、ご命令通りラム様をお連れしました」と言った。ドイルはラウの目をじっと見つめた、そして ドイル 「よし、ではすぐに許可をだすから速やかに帰還しろ」と言うと通信を切った。ラウは、大きなため息をついた、安堵のため息である。そして、振り返ると ラウ 「僕は上官を裏切った、もう引き返す事は出来ない。だから、必ずラム様を救い出して下さい!」と言った。それを聞いた弁天は 弁天 「おめぇ・・・」と言うと、ラウが ラウ 「もとはと言えば、全て僕のせいなのにこんな事言えた立場ではないなのですが、ラム様に・・ラム様にもう一度笑顔を戻してあげて下さい!」と言って、深々と頭を下げた。そんなラウを見て弁天はラウの前に行き 弁天 「頭を上げな。おめぇはもう仲間だ」と言ってラウの肩を叩いた。ラウは驚いた顔をしたが弁天は更に 弁天 「確かにラムがこうなった原因はおめぇにある。だが、おめぇは危険を承知であのヤロウに嘘の報告をした。そして、今の言葉。おめぇの望んでるものは、ここの全員が望んでいる事だ。同じ目的で共に行動するのが仲間なんじゃねぇのか? 」と言った。するとお雪も お雪 「そうね、ラウさんにはまだやってもらう事もあるし」と言い他の皆もそれぞれに納得した様だった。ただ一人あたるを除いては。  ラウの宇宙船は宇宙港に着き、あたる達一行はラウの宇宙船のエンジンルームに隠れた。ラウの話では、この後ドックで宇宙船の整備が行われるらしいが、時間的に整備は明日になるだろうからドックに着いた時が脱出のチャンスらしい。ここはラウを信じるしかなく一行は、宇宙船がドックに運ばれるのを待った。ラムのカプセルは既に運び出されていたが、カプセルにランが仕込んだ発信器のお陰で位置は把握出来ていた。  ドックに着くと、ラウの言った通り整備は明日行われるらしく整備員達も帰ってしまい、ドックには誰も居なくなった。弁天は、外の人の気配が無くなるを待って 弁天 「よし、いくぜ」と言うと宇宙船を出ようとした。その時メガネは重大な事を思い出した。 メガネ (ま、まずい、この宇宙船は中からドアを開けられなかったんだ)そう思い思わず弁天に言おうと思った時   プシュー  ドアが開いた・・・  メガネは、自分達があれほど調べても開けられなかったドアがどうして開いたのか不思議に思い、弁天に小声で メガネ 《あ、あのう・・》と声をかけた。弁天は、「あ?」と短く返事をするとメガネを見た。メガネは メガネ 《あのドア、どうやって開けたんですか?》と聞いた。すると弁天は 弁天 「あ?おめぇ何言ってんだ?普通に開けたに決まってるだろうが。おかしな事聞くやつだなぁ」と言うと、ゆっくりと宇宙船から出た。もちろん、メガネにはどうやって開けたか解る筈もなく、仕方なく後に続いた。  弁天の合図で全員が慎重に進んで行く。途中途中に監視カメラが有ったが、弁天が用意していたジャミングのおかげで見つからずに建物の外に出る事が出来た。外は既に日は落ち、回りは闇に包まれていた。一行は、人の気配の無い場所で一息ついていたが、その時ランが ラン 「さっきから、ラムのカプセルの信号が止まったままやなぁ。もしかすると、この位置が王様の居る場所かもしれんで」と言った。するとお雪が お雪 「でも、例の薬を造ったのは王様じゃないと思うけど」と言うと、今度は弁天が 弁天 「なぁに、王様人質に取っちまえば関係ねぇぜ」と言った。するとランが ラン 「アホか!そんな事してみぃ、戦争になってまうで!」と言った。それを聞いて弁天が 弁天 「じゃぁ、どうするってんだ!」と言うと、ランは ラン 「だから、今考えとんのや」と言って考え込んだ。 弁天 「とにかく、どうやって侵入し近づくかだ」弁天がそう言うと、いきなり錯乱坊が 錯乱坊 「虎穴に入らずんば虎児を得ず。難しく考える事は無い、侵入しようと思うから難しいのじゃ」と言った。するとあたるが あたる 「侵入しないでどうやってラムを助け出すんだ!」と錯乱坊に食って掛かった。すると弁天が 弁天 「いや、こいつの言ってる事はあながち、間違いじゃねぇ」と言うと、あたるは あたる 「と、言うと?」と弁天に聞いた。弁天は 弁天 「つまり、こっちから騒ぎを起こして捕まればいいのよ。そうすりゃ、向こうから入れてくれるぜ」と言うと嬉しそうに笑った。しかしメガネが メガネ 「でも、捕まったらラムさんを助けに行けないのでは?それどころか、こちらの命すら危ない様な気が」と言った。それに対して弁天は 弁天 「捕まったからって、いつまでも囚われてる訳ねぇじゃねぇか」と言い、更に 弁天 「頃合いを見計らって逃げるのさ」と言った。メガネは、なるほどと頷き納得している。 弁天 「じゃぁ、早速作戦開始と行くか!」弁天の掛け声で皆も動き出した。  少し前、ラウはラムのカプセルをカロンの元に届ける為、ドイルと一緒に居た。おもむろにドイルが ドイル 「しかし、お前にしては上出来だったな」と、ラウに言った。機嫌は上々の様だ。ラウは ラウ 「ありがとうございます。お誉めにあずかり光栄です」と言うと、頭を下げた。やがて、カロンの部屋に着きドイルがドアをノックして中に入った。中ではカロンが何かの本を読んでいたが、ドイルの顔を見て本を閉じるとスッと立ち上がった。ドイルは、胸のあたりに手を宛て頭を下げ、ラウは片膝をつき頭を下げている。カロンは カロン 「頭を上げてくれ、堅苦しい挨拶は抜きだ」と言うと、ドイルとラウの方に近づいて来た。ドイルとラウは頭を上げた。 カロン 「ラムを連れて来たのだろう?」カロンがそう言うとラウは ラウ 「はい」と言い、ラムのカプセルをカロンの所に移動した。カロンはカプセルに入って眠っているラムを見て カロン 「なんと美しい・・・」と言い、続いて カロン 「ラウ、よくやったな。十分な褒美をとらせよう。下がって良いぞ」と言った。ラウは、カロンに頭を下げて部屋を出た。ラウは廊下を歩きながら ラウ (彼女達は無事脱出出来ただろうか?しかし、一体どうやってラム様を取り戻すつもりなのだろう?)そう思い、宇宙船まで様子を見に行こうとしたが、もしも誰かに見られたら全て水の泡になると思い、弁天達が何か行動を起こすまで様子を見る事にした。    一方弁天達は奇襲をかける為に、ラムのカプセルの信号を追跡していた。するとある建物にたどり着いた。 ラン 「ここじゃ、ここにラムが居るで」ランがそう言うと弁天が 弁天 「だったら迷うことはねぇ、敵の2~3人倒して捕まるとするか」と言い飛び出して行き、いきなり警備兵を殴り倒した。それに続いて外の者も警備兵に襲いかかった、すると通報を受けた兵士が次から次に一行に襲いかかり、あっと言う間に一行は捕まり牢獄に入れられた。弁天は  弁天 「よし、まずは第一段階終了だな」と言い腰を降ろした。  その頃、カロンの部屋でドイルの通信機が鳴り、ドイルが通信機のスイッチを入れ ドイル 「何事だ、私が今カロン様の所に居る事は知っているはずだが」と言うと、通信してきた兵士は 兵士 「は!申し訳有りません、ただ賊が入り込みまして」と言った。するとドイルは ドイル 「賊?何者だ」と兵士に聞くと、兵士は 兵士 「実は、良く分からない集団でして・・・」と言うと、ドイルは ドイル 「集団?」と言うと兵士は 兵士 「はい、女性と子供、老人を含む12人です・・」と言った。それを聞いたドイルは ドイル 「なんと、騒がしい・・分かった、すぐに行く」と言うと、カロンの方を向き ドイル 「カロン様、お聞きの通り賊が侵入した様なので少々見て来ます。ラム様の事は、申し訳有りませんがその後で」と言い頭を下げた。カロンは カロン 「賊か・・・このタイミングで賊とは、気になるな。分かった、報告を待つとしよう」と言った。ドイルは、急ぎ足でカロンの部屋を出ると牢獄へ向かった。  この騒ぎは、ラウの耳にも入った。 ラウ (なるほど、騒ぎを起こして自ら捕まれば容易く入り込めると言う事か、しかしどうやって脱獄するつもりだろう?とにかく、今動くのは得策ではない。僕と彼女達の関係に気付かれる恐れがある)ラウは、そう思いもう少し様子を見る事にした。  牢獄に着いたドイルは、一行を見て普段あまり表情を出さない顔に、笑顔を見せた。 ドイル 「諸星あたる・・・まさか、君に会う事になるとはね」ドイルは何故か嬉しそうに言った。あたるは あたる 「お前、何で俺の名前を知ってる!それと、ラムは何処だ!」と言うとドイルは ドイル 「ラム様なら心配する事は無い。とにかく君たちの処遇については、少し考えさせてもらうよ」と言うと、スタスタと去って行った。  ドイルは、カロンの所に報告に行き ドイル 「賊の正体は、地球から追ってきた諸星あたる達でした」ドイルがカロンにそう言うと カロン 「諸星あたる?ラムと一緒に暮らしていた?しかし、どうやってここに?」カロンは少し考え カロン 「まさか、ラウか?」と言った。それに対してドイルは ドイル 「恐らくは・・・」と言った。 カロン 「しかし、何故?ラウが裏切る事は考えにくいが」カロンは、どうしても納得出来ない様子だ。そんなカロンの様子を見てドイルは ドイル 「ラウの態度から見て、裏切っている様には見えませんでしたが・・それよりも今は、彼らをどうするかが先決です」と言った。するとカロンは カロン 「そうだな、では諸星あたるをここに連れて来てくれないか?」と言った。その言葉には、さすがのドイルも驚き ドイル 「諸星あたるをここに?何を言ってるんですか!そんな危険な事出来る訳ありません!」と言ったが、カロンは カロン 「心配するな、ちょっと聴きたい事が有るのだ。心配なら、手錠でも何でもしておくといい」と言った。ドイルは、カロンが一度言い出すと後には引かない事を良く知っている。ならば、あたるがカロンを襲ったり出来ない様にするしかないと思い、あたるを拘束した状態で連れて行く事にした。ドイルは、カロンに頭を下げ部屋を出ると、すぐさま牢獄のあたるの所に行った。 ドイル 「諸星あたる、カロン様・・王がお呼びだ」ドイルはそう言うと兵士数名が牢獄に向かって銃を構え、牢獄のドアを開けた。あたるは あたる 「な、何だ何だ何だ?」といい後退りした。中に居た弁天達は座ったまま動きもしない。そんな中、あたるの手を握る者が居た、ランである。ランは ラン 「ダーリン、気を付けてね」と言うと何かを握らせた。あたるは、それを素早くポケットにしまった。その直後、あたるはおもむろに椅子に座らされ両手両足を縛られ、更に体は椅子に縛り付けられて文字通り身動きひとつ出来ない状態になった。 あたる 「何だこれは!これじゃぁ、動けんではないか!」あたるの声が虚しく響き、あたるは椅子に座って縛られたまま運ばれて行った。あたるが連れて行かれ、牢獄にはまた静寂が訪れた。 弁天 「おいラン、お前諸星に何渡したんだ?」弁天がランに聞くと ラン 「超高性能マイクじゃ」と言いランは、小さなサイコロの様な物を取りだし ラン 「そして、これが受信機」と言った。弁天は 弁天 「へぇ、そんな物まで持ってたのかよ」と笑いながら言うと 弁天 「じゃ、奴等の会話を聞いて脱出のタイミング取るとするか」と言った。  あたるは、ちょうどカロンの部屋の前に来ていた。 ドイル 「諸星あたるを連れて参りました」ドイルがそう言うと中から「よし、入れ」と声がしてドイルはドアを開けるとあたるを部屋の中央付近に椅子ごと置かせた。あたるは中を見回すと、自分の正面に一人の男が座っているのが見えた。その男は、もちろんカロンである。カロンは椅子から立ち上がると、あたる方に歩いてきて カロン 「ほぅ、お前が諸星あたるか。にしても、随分と不自由そうだな」と言うと、あたるが あたる 「へっ、俺も随分有名人になったもんだ」と言って あたる 「ラムはどうした!ラムを返せ!」とカロンに向かって怒鳴った。するとドイルが ドイル 「無礼者が!王に向かってなんと言う口の聞き方だ!」と言ったが、あたるは あたる 「ふん、王だろうが何だろうが関係無い!そもそも俺は、この星の人間じゃないからなぁ、この星の王に敬意を払う理由も無い!」と言うと、ドイルは更に ドイル 「貴様、自分の置かれた状況が理解出来んのか?」と言った。するとその時「あ〜はっはっはっはっ」突然の笑い声にドイルは驚き、声の主を見ると、笑ったのはカロンだった。 カロン 「面白いではないか、道理は通っている。確かに、私は諸星あたるにとっては王でも何でも無い。ただの一人の男に過ぎない。気に入った、縄を解いてやれ」カロンの言葉にドイルが ドイル 「し、しかし・・・」と言うとカロンは カロン 「私が良いといっているのだ!構わん!」と言った。ドイルは、仕方なくあたるの縄をほどいた。縄を解かれたあたるは、自由になった手足を思いきり伸ばした、そして あたる 「ラムを元に戻してもらおうか」と言った。するとカロンは カロン 「ラムを目覚めさせるには、この薬を注射すればよい」と言い小さな小瓶に入った薬を見せた。それを見たあたるは あたる 「なら、早くその薬でラムを目覚めさせろ!」と言ったが、カロンは カロン 「私もそのつもりなんだが、1つだけ君に教えておきたいんだよ」と言った。あたるは あたる 「なんだ!」とカロンに対して強気な態度をとった。それを見てカロンはニヤリと笑いながら カロン 「今のラムの状態は、分かりやすく言うと心のドアにカギが掛かっていて、ラムの意識が閉じ込められてる状態なんだよ。この薬は、そのカギを破壊して無理矢理ドア開けて意識を開放させるのさ」と言うと、あたるが あたる 「カギを破壊?」と言った、カロンは更に カロン 「そう、破壊するんだ。だからラムになんの影響も無い訳ではない」と言うと、すかさずあたるは あたる 「なに?」と言いカロンを睨んだ。カロンは気にせず更に カロン 「この薬を使うとラムは、今までの記憶を全て失う事になる。もちろん君の事も、自分の名前すら。一度全てをリセットして新たな時を、ここで私と刻んでいくのだ」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「ふざけるな!そんな事させるか!」と言った。するとカロンは カロン 「君はそう言うと思ったよ」と言い楽しそうな笑顔を見せた。あたるは あたる 「なに、笑ってやがる!」と言い今にもカロンに飛びかかりそうな勢いだ。カロンは カロン 「私が君をここに呼んだのは、君にもチャンスをやろうと思ったんだよ」と言った。するとあたるは あたる 「チャンス?」と聞き返した。カロンは カロン 「そう、実はラムを目覚めさせる方法は、もう一つある。君には、それにチャレンジしてもらおうかと思ってね。もちろん、やるか、やらないかは君次第だがね」と言った。あたるは あたる 「どんな方法だか知らんが、やるしかなかろう」と言った。カロンは カロン 「方法と言うのは、心のドアのカギを君が開けるんだ」と言った。するとあたるは あたる 「開けるってったって、一体どうやって?」と戸惑っていると、カロンは カロン 「心のドアのカギ開けるには、心の中に入るしかあるまい」と言った、そして更に カロン 「ただ、心の中に入っていられる時間は限られている」そう言うと、ドイルに カロン 「ドイル、時間はどの位だ?」と聞いた。ドイルは ドイル 「諸星あたるにも分かる様に地球の時間で言うと、約20時間程です」と言った。それを聞いてカロンは カロン 「聞いた通りだ。20時間以内にラムの心のドアのカギを開ける事が出来れば、ラムは記憶を失う事無く目覚めるだろう」と言った。するとあたるは あたる 「どうしてだ?」と言った。 カロン 「どうして?」カロンが首をかしげながら聞き返すと、あたるは あたる 「どうして俺にそんな事させる。そんな事教えずに薬を打てば簡単じゃないか」と言った。カロンは カロン 「確かにそうだな。だが私は、君のラムに対する想いがどれ程か知りたくなってね」と言うと カロン 「ドイル、例の装置を持って来てくれるか?」とドイルに言った。ドイルは ドイル 「御意」と一言言って部屋を出て行き、しばらくすると何やら妙な機械を持って戻ってきた。 ドイル 「カロン様、お持ちしました」と言うと、あたるの所に歩いて行き ドイル 「諸星あたる、そこのソファーに横になれ」と言った。あたるは あたる 「何だ偉そうに。説明くらいしろよ」と言いながらもソファーに腰を下ろし あたる 「ラムの心の中に入るって、一体どうやって入るんだ?」と言った。するとカロンが カロン 「今、ドイルが持って来た装置でラムの心にコンタクト出来る」と言った。 あたる 「なるほど、で心の中に入ったらどうすればいいんだ?」あたるは、疑問をカロンにぶつけた。するとドイルが ドイル 「どうすればいいかは、中に入ってみないと分からない。人それぞれ、心の中は違うからな」と、あたるの疑問に答えた。あたるは あたる 「おい!本当に大丈夫なんだろうな?」とカロンに聞いた。するとカロンは カロン 「安全は保証する。ただ、君が私達の事を信用出来ないのであれば、やめてもいいがね」と言うと、不敵な笑みを浮かべた。あたるは あたる 「そんな薬使われてたまるか!ラムは俺が助けてみせる」と言うとドイルに あたる 「おい、早くしてくれ」と言った。ドイルは無言であたるに装置を装着すると、奥の部屋からカプセルに入ったままのラムを連れて来て、カプセルの蓋を開けるとラムにも装着を装着し始めた。  その頃、牢獄の中の弁天達はランがあたるに渡した小型マイクであたるとカロン達の一連のやり取りを聞いていた。 弁天 「20時間がリミットか・・・」弁天がそう言うと、面堂が 面堂 「しかし、ここから抜け出さない事にはどうにもなりませんよ?」と言った。弁天は 弁天 「確かにな、武器はみんな取られちまったし・・よわったなぁ」そう言いながらも、何だか嬉しそうだ。それを見てメガネが メガネ 「全然困ってる様には見えんが・・・むしろ、嬉しそうに見える」と言うと、お雪が お雪 「弁天はね、窮地に立てばたつほど嬉しくなるみたいなの」と言った。するとパーマが パーマ 「それじゃ、完全にエ・・・」   バキッ  いきなり、メガネがパーマの頭を叩いた。 メガネ 《バカやろう!それ以上言ったら殺されるぞ!》パーマは、頭をさすりながら苦笑を浮かべた。  一方、あたるはラムの装置のセットが終わるのを確認するとソファに横になった。そんなあたるにカロンが カロン 「いいか?20時間を過ぎたら、コンタクトは強制解除されるからそれだけは覚えておいてくれ」と言った。あたるは何も言わずに目を閉じた。そして心の中で思った あたる (ラム、お前の事は絶対に俺が助けてみせる!お前が俺にしてくれた様に) やがて、あたるの意識は遠くなり完全に眠りに落ちた。 カロン 「さて、どこまで出来るか見ものだな」カロンは薄い笑みを浮かべた。  やがて、あたるが目覚めるとそこは見たことも無い空間だった。左、前、右に通路が分かれている。左の通路の床は赤、前の通路の床は黄色、右の通路の床は青だった。あたるは あたる 「なんじゃこりゃ?まるで信号機ではないか」と言うと、いきなり後ろから「何処から行くかは、あんさんの自由でっせ」と言う声が聞こえた。なんだか聞き覚えのある声だ。あたるは振り返り あたる 「誰だ!」と言うと、そこには赤のタキシードに赤のシルクハット、黒のニッカズボンに地下足袋、黒のサングラスに腹巻き姿の見覚えの有る顔が有った あたる 「お、お前は、夢邪気!!なんでお前がここに?」あたるがそう言うと 夢邪気 「あんさんに関わると、ほんまろくな事にならんわ」と言い、更に 夢邪気 「あの後わては本気で夢創るの辞めようおもったんやけど気付いたら、ラッパがあらへんやがな」と言った。するとあたるは あたる 「ラッパ?あの、バクを呼ぶ?」と言うと、夢邪気が 夢邪気 「そうや!本当は、あのラッパわて以外は吹いたらあかんねん。なのにあんさんが吹いたから何処かのうなってしもうたんや」そう言うと、あたるは あたる 「そんなの、お前の管理が悪いんだろう」と言った。すると夢邪気は 夢邪気 「冗談やおまへんでぇ!あんさんさえ・・まぁ、えぇわ。とにかく、あんさんはわての後ろに有る扉を入って試練を見事クリアすればラムさんの心のドアのカギは開くっちゅう訳や」と言った。あたるは あたる 「うわぁ、そんな所に扉が」と言うと、夢邪気は 夢邪気 「あんさん、気付くの遅すぎでっせ」と言うと、あたるは あたる 「お前に夢中で気付かんかったわ」と言い、更に あたる 「てか、もしかして今回の事もお前の夢なのか?」と言った。夢邪気は 夢邪気 「バカにするのもええ加減にせぇよ!わてがラムさんの苦しむ様な夢創る訳あらへんやろ!」と言い、続いて 夢邪気 「ほんま、あんさん相手にするのは疲れるわ。まともに説明も出来ひん」と言った。するとあたるは あたる 「説明?その扉の中に入ればいいんだろ?」と言うと夢邪気は 夢邪気 「はっきり言ってしまえば、そうなんやけど・・今の状態やと、試練は絶対にクリアでけんで」と言うと、あたるは あたる 「と、言うと?」と言い、夢邪気は 夢邪気 「さっき、あんさんが信号機みたい言うてた通路あるやろ?あの通路の先にも、それぞれ試練があんのや。で、後ろの扉の色が今黒やけどそれぞれの試練をクリアして行くことに、扉の色が変わるねん。最終的に3つともクリアすると扉の色は白くなるんや。そうすれば、最後の試練も楽になる訳やがな」と言った。あたるは あたる 「すると、4つの試練をクリアしなくてはならない訳か」と言うと あたる 「なら、こんな所で話してる時間なんて無いではないか!なんで、さっさとそれを言わんのじゃ!」と言って、赤の通路に走って行った。それを見て夢邪気は 夢邪気 「あ、あんさん!まだ説明終わってへんでー」と言ったが、あたるは行ったしまった。夢邪気は 夢邪気 「ほんま、せっかちなお人や」と言った。  あたるは赤の通路を進んで行くと、赤の扉の前に出た。あたるはその扉に手をかけ あたる (この扉の先に何が・・)と思い あたる 「えーい、ままよ」と言って、勢い良く扉を開けた。  するとそこには、、、、夢邪気が居た。 あたる 「な、なんでお前が・・」あたるがそう言うと夢邪気は 夢邪気 「あんさん、人の話ようけ聞かんと飛び出したらあかんがな」と言った。するとあたるは あたる 「え?じゃぁ、ここはもと居た部屋?」と夢邪気に聞いた。夢邪気は 夢邪気 「ちゃうちゃう、ここは現在の試練やで。たまたま担当がわてでしたんや」と言った。あたるは あたる 「現在の試練?」と、更に夢邪気に聞いた。すると夢邪気は 夢邪気 「そや、試練は、過去・現在・未来と有り、それぞれ条件は異なりまっせ」と言い、更に 夢邪気 「で、あんさんが今居るのは現在の試練や。この試練は、最近のあんさん自身に今の状況を知らせると同時に、間違った道を進まん様に導く事や。それと、この世界ではあんさんは命の有る者には一切接触できまへんので、よろしゅう」と言うとあたるは あたる 「接触出来ないって・・じゃ、どうやって知らせるのじゃ」と言った。すると夢邪気は 夢邪気 「夢で知らせるしかあらへんなぁ」と言った。あたるは あたる 「夢でって、どうやるんだ?」と聞くと、夢邪気は 夢邪気 「そらぁ、簡単でっせ。夢見せたいお人の夢に入り込めばええんや」と言った。するとあたるは あたる 「だからそれをどうやるか聞いとるんじゃ!」と言った。夢邪気は 夢邪気 「しゃぁない、ほな今回はわてが連れてったるさかい、うまくやってや」と言った。  しかし、あたるは気になる事が有った。そして、その疑問を夢邪気にぶつけつみた あたる 「さっきから気になってるんだが」あたるがそう言うと夢邪気は 夢邪気 「なんでっしゃろ?」と聞き返した。あたるは あたる 「俺は、ラムの心の中に入ったんだよな?て事は、ここもラムの心の中なのか?」と聞いた。すると夢邪気は 夢邪気 「ラムさんの心の中は、あんさんが最初に入った部屋で、ここは違いまんなぁ。ここは、現実世界でっせ」と言った。それを聞いたあたるは あたる 「現実世界!?ラムの心の中から現実世界に?」と言った。夢邪気は 夢邪気 「あんさんが開けた赤の扉は、ちょっと前の現実世界と繋がってたっちゅう事やな」と言った。するとあたるは あたる 「なんで、現実世界なんだ?」と聞いた。夢邪気は 夢邪気 「3色の扉は、それぞれラムさんにとっての心のドアを開ける為のカギになる出来事につながっとるんですわ」と言った。あたるは あたる 「なるほど、でここはいつ頃だ?」と言った。夢邪気は 夢邪気 「そらぁ、あんさんが自分で確認してや」と言って、姿を消した。突然あたりが暗くなり、あたるの目の前には布団に入っているあたる自身が居た。あたるは あたる 「とにかく、夢で伝えないとだな」と言うと、天井の方に顔を向け あたる 「おい!夢邪気、夢の中に入れてくれ!」と言った。すると、どこからか夢邪気の声がして 夢邪気 「ほな、い〜きまっせ〜」と言う声と共に、あたるはあたる自身の夢の中に入った。  あたるが自分の夢の中に入ると、そこは何も無い空間だった。あたるは  あたる 「おい!夢邪気!何だここは?」と言った。すると夢邪気は 夢邪気 「そこが、あんさんの夢の中やで」と言った。あたるが あたる 「夢ったって何も無いではないか」と言うと、夢邪気は 夢邪気 「そら、そうや。これからあんさんが創るんやさかい」と言った。するとあたるは あたる 「創るったって、どうやって」と言うと、夢邪気は 夢邪気 「なに、簡単な事や。あんさんが伝えたい事を考えるだけでっせ」と言った。あたるは あたる 「そうか、よし!」と言うと、目をつむり集中し始めた。             つづく  ラムを目覚めさせる為に試練に挑むあたる。はたして、限られた時間内で試練をクリアする事は出来るのか?そして、牢獄に囚われた一行は脱獄出来るのか?  次回、エピソード8にご期待下さい。          エピソード7 END