〔ザット・クレイジー・サマー〕 第一話 夏の気だるい午前中、いつものごとく校長室で茶をすする校長とコタツネコ。 ネコ「…」 お茶をすする 校長「…」 お茶をすする 校長「暇ですねえ」 ネコ「ん」 校長「ほんとに暇ですねえ」 ネコ「ん」 校長「なんかやりましょうかねえ」 ネコ「ん」 校長「ミスコンはしましたし…校内武闘大会というのもやったような気が・・・」 ??「あれはサクラの悩み相談室だったと記憶しておるがのう…」 校長「おや!お久しぶりで。お元気でしたか」 ??「うむ、校長も相変わらずでなのよりじゃ。わしも平成の世になってもまだ案外元気なものでな。     …これ作者、??を外さんか。もう口調でわかるじゃろう。」 錯乱坊「うむ、よろしい。ほう、…お茶会か。お茶請けには草加せ――」 カタン 電光石火のスピードで草加煎餅登場。 校長「お口に合うといいのですが」 錯乱坊「い、いやいや、ねだるつもりではなかったのだが、その、出されたものを食べんというのも、なに、      気まずいものであるからして、まあ、遠慮なくいただくとするかのう…」バリバリ ズッ バリバリ ズズーッ バリボリバリバリ ウイーン ズーッ バリバリ ブイーンウイーン バリ… ウイーンブイーンブーン ズ… ウイーンブイーンウイーンビーンウイーン 錯乱坊「何じゃ、ガガッうっとうしいのうウイーン」 校長「扇風機ですよガガッ」 ネコ「ん」 校長「備品はガガッせつにつかガガッないと」 錯乱坊「何じゃ?」 校長「ですから備品はグイーンウイーンガリガリガクンと!」 錯乱坊「だかガクガクブスブスビーンガガガガガじゃといてクギギギガチャン…!」 ポチ 錯乱坊、たまりかねて扇風機のスイッチを切る。 錯乱坊「…故障ではないのか?」 校長「そんなはずはありません!経年劣化と言っていただきたいものです!」 錯乱坊「そうか、経年劣化…何年製か?」 校長「昭和62年製だったかと…」 錯乱坊「…なんだ、そんなものか。そんなもので経年劣化な訳はあるまい。      わしなんか昭和58年製の扇風機を持っているがのう、まだよく動くわい。たまに火をふくがの。」 校長「そうですか…。そういえばふっるーいカセットテープもうちにあったな…」 錯乱坊「何じゃ、そのぐらいで威張りおって。わしなんかベータマックスだぞ、ベータ!」 校長「ほおー、それはそれは。しかしいくらなんでも昭和43年製の冷えない冷蔵庫をてなづけてはいますまい!」 錯乱坊「ふん、昭和34年製、時の皇太子殿下御成婚に沸いていたころのもう映らないモノクロテレビを持っているわしにそんなことを言っていいのかなあー?」 校長「昭和30年製のノイズだけしか流さない失敗作のトランジスタラジオに勝るとおっしゃるのですかあ?」 錯乱坊「『米国』と見えることで話題になった昭和21年印刷のA拾円札!」 校長「…とうとう来ましたか…伝家の宝刀、昭和18年出版『写真週報』を見よ!」 錯乱坊「まだまだ…昭和2年印刷の『うる星やつら』 全巻じゃぞ!」 竜之介の父「前畑秀子嬢サイン付ブロマイド」 校長「大正4年製造のカルピスの空き瓶」 錯乱坊「明治元年のパソコン」 竜父「嘉永三年長崎より舶来あたり前田のクラッカー」 錯乱坊「寛永通宝」 校長「蘭奢待」 錯乱坊「永楽通宝」 校長「北条政子愛用のファンデーション」 錯乱坊「和同開珎!」 校長「富本銭!」 竜父「聖徳太子のかつら!」 錯乱坊「蘇我入鹿のはにわ!」 校長「卑弥呼のピアス!」 錯乱坊「貝塚の貝!」 竜父「北京原人使用のシンセサイ」 ○○「ええかげんにせんかい!」 校長・錯乱坊・竜父「「「その声は…」」」         「諸星!!」「あたる!」「あたるくん!!」 あたる「ええい、やかましい!なんだその古いもの競争は!せっかく温泉が職員室に行っているいうのに…     お前らの下らん勝負のおかげで昼寝ができんではないかあ!!     …念のためきくがまさかチミたちだけで一話終わらせてしまおうという了見ではあるまいなあ?いいか、この物語の主人公は」 □□「うちだっちゃ」 ××「僕に決まってますよ」 あたる「え…ラム、面堂……いやいや、この物語の主人公は俺だあ!高橋先生もそうおっしゃっておる!」 ラム「そーいってもうちがいなかったらこの物語は成立しないっちゃ」 面堂「その通り!同様に僕抜きでもこの物語は成立(略)」 しのぶ「そーよ、面堂さんの言うとおりだわ。よって私抜き(略)」 メガネ「まったくもって同感だ!よって(略)」 パーマ「そうそう、その通り!よっ(略)」 カクガリ「同じく!よ(略)」 チビ「僕もカクガリ君の意見に賛同しまーす」 竜父「仝上」 錯乱坊「〃」 あたる「四の五のぬかすな!つーかお前ら!呼ばれもしないのになぜついてくる?     …大体錯乱坊、貴様はなんとしゃべったのだ?この文字の呼び方など俺は知らんぞ!」 錯乱坊「そんなのどうでもよいではないか。」 あたる「…ま、とにかく!この物語の主人公は」 ◎◎「おやおや皆さんお揃いで」 あたる「…こっこっこのこえは」 温泉「諸星君?確か私は教材をとってくるから静かに席についておきなさいといったと思うが…。英語で言ったほうがよかったかな?    I'll go to teacher's room becauce…」 あたる「そんな滅相もない」 温泉「…そうかそうか、ごめんなさいの一つもなしかあ…君は英語でよっぽど『1』が取りたいと見える…よしよし、その願い、この温泉がかなえてやるぞ!」 あたる「あ、…ご遠慮しておきます。」 温泉「遠慮せんでいいぞ…!     おい、もろぼしぃ!来週の終業式、楽しみに待っておけよォ!グワッハッハッハ!クワハッハ!カンラカラカラ!」 あたる「………相変わらず変じゃのお、温泉。」 パーマ「ある意味尊敬するぜ…」 しのぶ「ほんとよねー。」 温泉「貴様ら、何しとる!さっさと教室にもろらんかあ!」 あたる「おまえ、ろれつがまわっとらんぞ…酒でも飲んでるんじゃないのか?」 温泉「何をたわけたことを…さあ!『1』もらいたくなければさっさとこい!!」 全員ぞろぞろと去る 校長「みんな帰りましたね…藤波君の父上も購買部へ帰っていきましたし…」 校長「…そうだ、みなさんお口直しに焙じ茶でもどうですか?」 ネコ「ん」 錯乱坊「わしもそうさせていただこうかのう」 校長「ラジオでも聞きます?」 ネコ「ん」 錯乱坊「わしもそうさせていただこうかのう…今度は何年製じゃ?」 校長「平成27年製です、ご安心なく。」 錯乱坊「どうしてこれはこんなに新しいのじゃ?」 校長「まあ、細かいことは気にしない気にしない」 ポチ ラジオを入れる ラジオ「……小比留一着!小比留一着!二着は千葉、三着は平野です!     東京競輪場よりお届けいたしております『デイリー競輪』。さて、配当は…」 校長「こ・れ・だ!!!!!」 ガチャンゴトン ベチャ… 立ち上がったせいで茶やら煎餅が台無しになる 錯乱坊「おーおー…わしの煎餅が」 校長「これだ、これだ!!エウレーカ!!」 ネコ「んん?」 校長「射幸心をあおるこのスリルだ!私が求めていたものは!」 錯乱坊「?」 「――人は泰平の世にありては騒乱を好み、騒乱の世にありては泰平を好む。    泰平とは失ってみて初めてその有難さが判明するものなり――― メガネ著 『友引全史』 第二巻『新世界と新時代への展望』 第二章『泰平が日常であった時代』 最終部より抜粋せり…」 パーマ「なーに気取ってんだよ、メガネ。」 メガネ「これでも短いほうじゃあっ!それともなんだ、またいつぞやのように『友引全史』第一巻序説第三章『終末を超えて』を朗読してやろうか!     くおんどは抜粋といかず全文だぞお!」 パーマ「い、いや結構。」 =次回予告= ベールに包まれた校長の「思い付き計画」がついに全貌を表す。 うちやダーリン、終太郎、メガネさん、しのぶ、校長先生、そして錯乱坊にサクラ…それぞれの欲望と思惑が交錯していく。 しかもあろうことかレイやランたちも絡んで… 友引高校はどうなっちゃうのけー? 次回、第二話であうっちゃ!