〔ザット・クレイジー・サマー〕 第三話 夏の朝。それは 「こうちょう!!」 …「静寂と心地よい涼しさに包まれた一日の中のオアシス、月曜日という地獄の中の一筋の光」というつもりだったんだが…まあいい。 校長室に男が一匹…もとい、一人このようなドラ声というか雄叫びというか、まあとにかく叫びつつ入ってきた。 彼もまた、掲示板を見てきた人間の一人だった。 校長「おや、温泉先生。朝からお元気そうで何よりです。」 温泉「元気も電気もへったくれもありません!話が」 校長「しかしこう大声を出してもらっては、小鳥たちにとってはいささか気の毒ですねえ…」 温泉「校長!あんた話聞く気あんですかあ?!」 校長「…ああ、話があるんでしたね。でもお静かに願いますよ。珍しーい鳥がつがいでいるので。」 温泉「オホン、あー、そのなんです、『校内人間競馬大会』というのを催されるそうで」 校長「いけませんか?」 温泉「あー、いや、否定はするわけではないんですけどね、ただ、あのー…ちょっと問題なところが…」 校長「どこです?」 温泉「…参加しない生徒は誰が勝利するかを予想することができるんですよね?」 校長「ええ。」 温泉「その際、予想するための券を買うことになってると聞きましたが?」 校長「その通りです」 温泉「で、予想が的中したものにジュースやらお菓子やらを分配する…これ、トバ・・・」 校長「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」 温泉「………へ?」 校長「刑法第185条です。この『一時の娯楽に供する物』とはジュースや食品のことを指すと判例にもあります。」 温泉「…まあ確かに合法かもしれません、けど!やっぱり風紀上…」 校長「これでしょっ引かれるんなら全国のパチンコ屋は廃業です!」 温泉「…わかりました。でも、でも!」 校長「まだ何か問題でも?」 温泉「優勝賞品の『デート券』です!風紀上あのようなものを賞品に出すなど言語道断!    まあ、本来は賞金五万円も好ましくありませんが、これは百歩譲って許容しますからそれだけは削除を…」 校長「本人の了承済みでも?」 温泉「ダメです!」 校長「了承済みならいいでしょう…ねえ」 温泉「ダメなものはダメなんです!!」 校長「温泉先生…」 温泉「ダメです!!もうそろそろ二限目が始まりますのでこれにて失礼…」 校長「…そうかぁ…出場するもダメなんですねえ…いやザンネンムネン!」 温泉「だから何回言ってもダメ…へ、出場?」 校長「ええ」 温泉「‥私が?」 校長「ほかの誰に?」 温泉「校長!御冗談も大概にしてください!」 校長「冗談ではありません…いいですか、もうこの『デート券』のことに関してはもうどうしようもできません。     しかし先生がが出場して優勝すれば、まるぅーく収まるのです。権利など放棄することができますからね。」 温泉「…」    (五万円…悪くない話だ) 温泉「わかりました。不肖温泉マーク、出場させていただきます!」 校長「そうおっしゃっていただけるだろうと信じておりました。では手続きを済ませておきますね。」 温泉「失礼します!」 温泉「…グハハハハ!諸星!お前の二学期はこの俺がもらった!積年の恨み、果たしてやるぞ…」 ガラッ 温泉「おい席につけ!授業を…え…」 教師A「なんだ温泉先生だったっぴゃ…、何か御用でもあるっぴゃか?」 温泉「あ、いや、失礼をば致しました、クラスを間違えてしまって…いやあ大変すいませんでしたねえ…」 冷や汗をかきながら中年教師は『2年2組』と掲げられた板の下を通った。 温泉 (どうもいやな予感がせんでもないがもう時すでに遅しか…神よこの温泉マークをお助けください…) さて、二限目温泉マークとの仁義なき授業を終えた2年4組。 テン「な〜あたる」 あたる「何じゃ、ジャリテン」 テン「お前、あの『デート券』ほしいか?」 あたる「それがど〜したちゅうんじゃい」 テン「耳寄りな話があるんやけどなあ…」 あたる「シッ、黙れ!」 テン「へ?」 あたる「あれ、あれ!」 あたるの指差す先には、明らかにこちらを警戒している黄色のスカーフのセーラー服を身に着けた女子生徒。 あたる「わかるだろ?ここはまずい。家に帰ってから…」 テン「そやな…ラムちゃんに聞かれてもまずいしなあ…」 あたる「そうゆうこった。お前も話が分かるようになってきたな、感心するぞ。ラムには俺が取り繕っておくから心配するな。」 テン「くれぐれも頼むで」 そう言い終えると珍しくラムのほうに近づくあたる。 もう放電の準備ができているらしくパリパリッという音が聞こえる。 ラム「ダーリン?」 あたる「テンちゃんとなに話してたっちゃ?」 ラム「…言いたいことがわかってるんなら早くいうっちゃ。しょ〜じきに言わないと…」 あたる「まあ待て。うん、実はな…――――――――」 夜。夕食後の諸星家。もう詩的めいたことは言うまい。 二階の部屋に殴り込む浮遊幼児一名、ぶっきらぼうにドアを開ける。 漫画を読む軽率青年に対し開口一番… テン「おいアホ!」 あたる「…」 テン「アホ!アホ!聞こえとるかあ!!」 あたる「…」 テン「ワイをおちょくるのもいい加減にせ〜!アホ、返事しろ、アホ、アホ!!」 あたる「ぼくはアホという名前ではありませ〜ん」 テン「…アホのあ〜た〜る〜!」 あたる「人に対してアホとは…親の顔が見てみたいなあ…今度ラムに頼んで」 テン(ぐぬぬぬ…覚えとれよあたる!お前なんか―――して―――して…)        「あたるはん…ちょっとお話が」 あたる「(クックック)何じゃ、ジャリテン!」 テン(…おかあはんはいらっしゃってへんなあ…よし!)    「何じゃいもないわい!お前ラムちゃんになに吹き込んだんや!」 あたる「なにって、ただお前がラムを丸焦げにするから手伝ってくれといった、といったんじゃ。何か問題でもあるのか?」 テン「大ありじゃあ!!お前そんなことを言ったらワイがなにされるかぐらい容易にそ〜ぞ〜できるやろ!!」 あたる「できん」 テン「この恨みいつか晴らしてやるからな〜…それにしても痛かったなあ、ラムちゃんの超特大電撃…!まったくアホのあたるが」 あたる「うるさい!!あの時はこうでも言わなければいけなかったんじゃ!我々の真の目的を隠すためのカムフラージュだったんだ!」 テン「それにしてももうちょっとましな嘘つけられへんやったか!やっぱりお前はほんまアホやな〜。ワイのほうがよっぽどいい嘘をつくで」 あたる「うるさい!!」 火炎放射、フライパンの乱闘。 あたるの父「母さんなんだろう、また上が騒がしいけど。…母さん聞こえてる?…あ!」 この子にしてこの母あり。母は耳栓をしておりました。 あたるの父「子供無邪気で母強し、されど亭主はぺんぺん草…か」 さて二階。 「「ぜえぜえぜえ…」」 あたる「…こんなことをしとるばやいではない!とにかく今のうちに話せ!」 テン「そやな…」 さて、なぜラムはこの騒ぎに介入してこなかったのかというと… ラム「…ふぅーっ…。やっぱりお風呂は気持ちいいっちゃね〜」 …だいたいこんなことでもなければあたるとテンが秘密の会談をするわけもないし、できるわけもない。 ラム「さっきはテンちゃんには悪かったけどこうでもしなきゃダーリンの悪だくみはわからないっちゃ。    ……さ〜て、そろそろだっちゃ!」 なにやら怪しげな機械。盗聴器らしい。 ラム「えーっと…」ガチャガチャ「あれ、音が鳴らないっちゃ…まあ特売品だし、超小型だからなんかの拍子に一個ぐらい壊れても仕方ないっちゃね…」 ラム「次はチャンネル2っと…」ガチャ「…これもならないっちゃ…」ガチャガチャ「チャンネル3もダメ…」 そのころ二階では… あたる「なに、レイが?」 テン「そや、レイもその大会に参加するゆ〜てんねん。」 あたる「どこが耳寄りな話じゃ!ちぇっ、敵が増えたな…」 テン「そやないねん。レイ、勝ったらお前に『デート券』お前にやるゆ〜てんねん」 あたる「?」 テン「もちろんただやないで!交換として、ラムちゃんとデートさせろと言ってきとる。」 あたる「…」     (ラムがレイとのデートに応じる…金輪際考えられん!て〜こ〜するにきまっとる。…こちらはあの券さえ手に入れればいいのだ!本能に赴くままに愛を成就させる、そのための手段は正当化されるのだ!) テン「な、ええ話やろ、もちろんOKしてくれるよな、な、なあ!」 あたる「…君はなぜそんなに僕に勧めるのかね、テン君?」 テン(ゾクゾクゾク…積もり積もった恨みを晴らすため…なんちゅう〜ことは口が裂けても言えんわ)    「そ、それはなあ…レイさんに頼まれてうんと言ってしまった以上後戻りできへんのや!」(動揺してしもた…ばれるやろか?) あたる(本当のことを言っとるよ〜には見えんが…まあいい、こっちは券が手に入ればそれでいいのだ)    「そ〜かぁ…そうだな、そんなに取引がしたいんなら、させてやってもいいぞ、ただし…」 テン「た、だ、し、?」 あたる「今後1か月、俺に火を噴かないこと!俺のいうことを聞くこと!いいな!」 テン「(くう…アホのあたるめ〜)そんなら、取引成立やな」 あたる「へ?なんかいった?」 テン「だからこれで取引成立やなというたんや」 あたる「ほう、それが人にものを頼む態度か。ここはひとつ親御さんに出てきてもらってしっかりとしつけっちゅ〜もんを…」 テン「(〜〜〜〜〜!!アホ、お前がいえた口か!)…よろしゅうお願いします、あたるはん」 あたる「そんなんがお辞儀とは恐れ入ったなあ」 テン(我慢やで、僕はいい子や。それにこの計画がうまくいけば恨みも晴らせる。それまでの辛抱なんや…。あたる、覚えておくんやど!!) あたる(しっかし、なぜテンがこんな話を?…まあ、いいか!) 一方一階、浴室。 ラム「…チャンネル205も応答なし…はあ〜、205個仕掛けたのがぱあだっちゃ。やっぱり100クレジット均一商品はダメだったっちゃね〜」 あたるの母「ラムちゃ〜ん?もう30分もお風呂に入ってるけどだいじょうぶ?いつになく長風呂ねえ…一応あたるはまだなんだから、早く出てやって頂戴」 ラム「は〜いお母様」 ラム、ふろから上がりあたるの部屋。 あたる「ラム、どうかしたか?さっきから壁をじろじろと見ているが…」 ラム「アハハハ、ダーリンには関係ないっちゃ、だからこっちのことは全然ま〜ったく気にしなくていいっちゃよ、ダーリン」 あまりに笑いながら否定するので、ラムはそれ以上追及されることはなかった。   (…205個全部壊されてるっちゃ…超微細小型だから気づかれたはずはないし…) 幸か不幸か、『火炎放射、フライパンの乱闘』が功を奏し(?)知らぬ間に盗聴を不可能にしていたのだ。恐るべし、野生の本能! あたる・テン「「だ〜れ〜が〜『野生の本能』じゃ!!」」 水曜日。大会の出場届出の締め切りがこの日に設定されていた。 メガネ「大会出場希望者へ告ぐ。大会に参加する意思があるものでまだ出場許可申請の手続きを済ませていないものは至急校長室にて昼休みまでに必ず手続きを済ませるように。     期限が過ぎてからの申請は一切認めないから注意されたい。     なお、出場許可を受けた出場予定者は事務連絡等があるため本日放課後17時にグラウンド百葉箱裏に集合すること。集合しない場合・遅刻した場合は原則出場許可を取り消す!     くれぐれも時間は厳守するように!」 女子A「やーねえ、またあの『熱血おやじ』よ…エコーがかかってよりいっそう強調されるわあ…」 女子B「私、あの人の声聞いただけで気がげんなりしてきたぁ〜…全校放送だからうるさいし…」 哀れメガネ…というのは置いといて放課後。 面堂「…」 ラム「…」 面堂・ラム「なんで[トンちゃんと父上/レイ]がここに[いるのか/いるっちゃ]!!」 飛麿「なんでって、終ちゃんから招待を受けたから来たのになんだその言い方は!」 面堂の父「私も同じような感じだ。よろしく終太郎」 面堂「僕は招待してない!実行委員会、取り消してくれ!こんな面子じゃ命が何個あっても足りん!」 メガネ(第一、その二人が参加しようとしまいと命が何個あっても足りんと思うが…)     「もう受付しまったもんは無理だ。あきらめて三途の川を航行してくれ。」 あたる「めんど〜、達者でな。お前のことはしばらく忘れないぞ」 面堂「だれが死ぬといったか!」    (ううむ…想定外だぞこれは!しかも誰が情報を流したんだ?) ラム「レイ、なんでこんな大会に参加したのけ!お前にはこの大会参加する意味ないっちゃ!」 レイ「…」 ラム(ダーリンの監視のためにきてみたら…つくづくイヤな大会だっちゃ!) パーマ「えー、御静粛に。ただ今より第一回事務連絡会を開始いたします。まず、出場予定者の確認を行います。実行委員長」 メガネ「…それでは名簿を読み上げる。間違い等あれば申し出るように。     諸星あたる、面堂終太郎、温泉マーク、藤波竜之介、水之小路飛麿、レイ、半魚人、カクガリ、面堂の父上。以上で間違いないか?」 メガネ「…えー異論が出なかったということで、次に進む。まず注意事項…」 メガネ「続いて行程について確認しておく。一日目、友引高校を出発。以後、順に浦和、前橋、秩父、奥多摩、相模原、都庁前、波照間島、沖ノ鳥島、ニューヨーク、天竺、イスカンダル…     とまあ、順に通過して…」 なぜ優勝したらサクラとデートできるのにで男子生徒が殺到しなかった理由がこれである。 ようするに、こんな過酷な大会である以上、出場対象は電撃やら火炎放射やら平手打ちや日本刀や顔のアップを食らっても平然としているやつとか、いざとなれば私設軍隊を動員し切り抜けようという魂胆のやつとか、 職務を妨害されてもなお立ち上がろうとするゴキブリの如き生命力を持つ中年とか、食欲にしか思考がいっていないやつ等に限られてくるわけである。 メガネ「それでは次に、希望の賞品の希望を調査する。諸星」 あたる「ふっふっふ…そんなのきまっておる!俺の永遠の夢、そう!」 ビビビビビ! ラム「そ〜はさせないっちゃ!」 あたる「あのなあ…まだなんにもゆうとらんだろうが!」 ラム「言わなくてもそ〜ぞ〜つくっちゃ!ど〜せハーレムに決まってるっちゃ!」 あたる「その通り。メガネ、そういうわけだからよろしく。」 面堂「貴様は常識というものを考えろ!」 温泉「まったく…教鞭をとってから、教壇に上がってから幾星霜、そりゃ〜〜もういろんな生徒をみてきたが、が、こんなに浮っ付いたのは初めてじゃ!」 メガネ「あたる、ものには限度っちゅうもんがある。面堂財閥で用意できるぐらいのものにしてもらわないと。」 面堂「そう、面堂財閥で用意…待てぇ、どういうことだ?」 メガネ「いやー、親愛なる面堂君。我々、そのー、上層部がしぶちんなもんで資金がないんだな、だから、ここはひとつ君に身銭を切ってもらって…ね。」 面堂「勝手に僕が金を出すのを前提にするな!」 メガネ「」 面堂「なぜ君たちの資金難のために僕が出資しなければならんのだ!」 メガネ「面堂、イエスと言ってくれれば便宜を図ってやらんこともないが…どうだ?」 面堂「……良かろう」 メガネ「え〜それでは交渉成立ということで、希望をとる!」 *************************************************** =というわけで選手が頼んだ賞品一覧= あたる:透明な耐電スーツ 面堂:辞退 温泉:あたると面堂を二学期中使用人として雇う権利 竜之介:女子生徒として登校できるもの一式(セーラー服等) 飛麿:面堂の飼っているタコ レイ:タイ焼き5万個 半魚人:ヘリウムガス カクガリ:バイク 面堂の父:面堂の飼っているタコ *************************************************** 面堂「なんで僕のタコなんです父上!!」 面父「‥いや面白いかなーっと」 面堂「……いったいど〜なっとるんだ?」 パーマ「というわけで、第1回事務連絡会を終了いたします。明日の大会頑張ってください」 夜。諸星家のあたるの家。 あたる「…」 ラム「…」ぶすーっ あたる「明日が楽しみだなあ…さて、したくでも…」 ビビビビビ!ビビビビビ! ラム「ダ〜リンのバカ!バカ!バカ!」 あたる「なんだいきなり!」 ラム「いきなりもかみなりもないっちゃ!大体うちというものがありながら!サクラやしのぶとデートしたがるなんてサイテーだっちゃ!    明日の大会なんかずぇ〜ったいに参加させないっちゃ!」 あたる「…残念だなあ、優勝できたらデートの軍資金が手に入るのになあ…それに近々お前をデートに行かせようとおもっとったのだが」 ラム「でもど〜せ勝ったらサクラやしのぶとデートするんだっちゃ!」 あたる「あんな券、ただのおまけにすぎん!」 ラム「ホントだっちゃ!?」 あたる「俺は嘘はつかん!」 ラム「うちうれしいっちゃ!」 あたる(クックックック…引っかかりおったな!おまけとは言ったが使わんとは言っておらん!     それに何も『お前との』デートの軍資金とか『お前と』デートするとは言うとらんのだよ、ラム…カッカッカ、ウアーッハッハッハ) ラム「ダーリン、そんなに笑ってどうかしたっちゃ?」 あたる(まずい!)「いや、なに、デートのことを考えたらつい気持ちがはやってな…アッハッハ」 ラム「そーだったのけ!ダーリン大好き!ウフフフフ」 あたる(良かった…ばれてなさそうだ) ラム(にしてはなんかイヤな笑い方だったよ〜なきがするけど…まあ、約束すっぽかしたら電撃リンチだっちゃ!) 次の日。無事終業式が終わり、いよいよ大会が開催されようとしていた…が・・・ 面堂「な、な、ぬわんだあ!これは!!実行委員長を直ちに出せ!」 メガネ「実行委員長だが、呼んだか?」 面堂「貴様!!資金協力を要請しておいてこの面堂終太郎を愚弄する気か?!」 あたる「おっ、面堂。その自転車、お似合いだぞ!ケケケケ…」 観客「やっだーなにあの自転車」「イメージが崩れたわぁ」「おい、あの自転車…グワーッハッハッハ!!」    「いや、アッハッハ万能なハッハッハ人間ハハッなんてイーヒッヒヒいないもんだねハーッハッハッハ…この貴重な光景を写真に収めて末代まで語り継ごう」 面堂「ほ〜ら見ろ!!この観客の嘲笑を!!この僕の高貴で華麗なイメージが一瞬にして崩れ去ってしまったわ!!    皆さん誤解です!僕は自転車に乗れます!」 メガネ「い、いやあ…これが『便宜』のつもりだったんだが…」 面堂「冗談も大概にせい!!」 メガネ「ある筋からお前が自転車に乗れないとか…」 面堂「僕だって自転車ぐらい乗れる!いいから早く普通の自転車もってこい!」 メガネ「…お前も一応大財閥の跡取りだからそんな話もあるかと思ったのだが」 面堂「一応とはなんだ一応とは!君まで僕をあざけ笑っているではないか!」 さて、この一件が一息ついて… 校長「えー、それでは、選手の皆さん、スタートラインのほうへ」 ラム「がんばってー、ダーリン!」 ラン「レイさんファイトー!」 あたるの母「あたるー、頑張るのよ!あなたに結構な額賭けたんですからね!諸星家の家計はあなたにかかってるのよ!負けたりしたら一週間ご飯は抜きですからね!」 了子「あらぁーお兄様、乗れない自転車になんか乗ってどうされたんですか?やせがまんはいけませんわよー」〔棒読み気味に、人に聞こえるように大声で〕 面堂「情報のでもとは了子だったか…皆さん誤解です!了子、そんなにあることないこと言うな!」 了子「せっかく実行委員会の皆さんが誰でも乗れる補助輪付の自転車を用意してくださったのに…好意を台無しにするのはいけませんわよ!」〔前半を大声で、特に自転車のくだりを強調〕 群衆「やっぱりなあ」「残念だわぁ」 面堂「おのれ了子ぉ!さっきから妄言綺語ばかり言いおって!」 了子「やめてお兄様!いくら自転車に乗れないで補助輪付を出されたからと言って実の妹に向かって刀を向けるなんて…」〔可憐にかわいそうな声で、ただしさりげなく自転車のくだりは強調〕 群衆「キャー!かわいそう」「面堂も暴力的だな」「これで信用も地に落ちたな、いい気味だぜ」 あたる「いいですかみなさん!女性にも都合が悪いとあらば手を上げる!あれが面堂の本性なんですよ!!」 面堂「誤解だ〜〜〜!」 何とかこの騒動を収束させた後… メガネ「え、それでは出発の号令を」 校長「それでは…よ〜い…   どん    ぶり!…はいはい、そこ、フライングですよ!」    「…温泉先生」ひそひそ 温泉(まずい…若人から殺気が・・・)「はい?」 校長「………ウケませんね。」 温泉「そうですねえ…少々セピア色のジョークですからねえ…それはそうと、校長、少々TPOっちゅうを考えていただけませんか?」 校長「失礼しました。仕切り直しまして…よ〜い   どん    ぐりまなこ!  はいはい、戻って戻って・・・」 温泉「こおちょお!」 校長「ジョークですよ、ジョーク!     それでは行きます。よ〜い」 「バン!」 校長「どんしゅうのうお…」 あたる「負けるかあ!」 面堂「名誉挽回、汚名返上だあ〜〜!」 温泉「生きて帰ってやるぞ〜!」 飛麿「終ちゃんには負けないぞ!」 レイ「ぶも〜〜」 半魚人「だっぴゃ!」 カクガリ「埋没しないように頑張るぞ!」 面堂の父「終太郎の秘密…!」 ラム「がんばれ〜〜!」 校長「花和先生!なんで号砲用ピストルなんか使うんですか!一世一代のジョークが・・・」 花和「だって…あの状況でもう一回あんなことやったら…命は保証しかねますよ。」 校長「ほかにもいろいろネタがあったのに…」 花和「やってたら日が暮れます!!」 =次回予告= ついに始まった大レース。 賭けに参加した生徒と友引町住人の熱い視線が注がれる。 しのぶやサクラのデートのためにダーリンは大ハッスル―と思っていたら… 次回、第四話で会うっちゃ!