§前回までのあらすじ§  ついに第2の試練もクリアしたあたるは、第3の試練に挑んだ。第3の試練は、ラムに安らぎを与えると言うものななのだが、何故か思う様に行動出来ず困惑するあたる。そんな中、ラムが自分にとっての安らぎなのだと悟ったあたるだが・・・      エピソード 10  あたるは、次の出来事を思い出そうとしたが、どうしても思い出せない。そこで、あたるは考えた。次の行動を自分で決めるのではなく、ラムに決めさせればいいのだと。そしてあたるは あたる 「おい、ラム。お前行きたい所無いのか?」とラムに聞いた。するとラムは ラム 「え?ウチは、ダーリンとなら何処でもいいっちゃよ♪」と言った。あたるは あたる (ええい、何処でもいいではなく決めて欲しいのじゃ)と思い あたる 「たまには、お前の行きたい所に行こうではないか」と言った。するとラムは 「ウチ、ダーリンにクリスマスのプレゼント買いに行きたいっちゃ」と言うと、ニコッと笑った。あたるは あたる (そう言えば、クリスマスにラムに財布買って貰ったんだった)と思った。ラムは街中のデパートに向かったが、あたるはそこで思い出した あたる (そ、そうだ。俺はこのデパートでラムとはぐれて、これ幸いとガールハントをしてる所をラムに見つかり電撃を・・)と思い、更に あたる (とにかく、ラムとはぐれん様にしなくては)と思った。ラムは、デパートに入るとあたるから離れて歩き出した。さっきあたるがラムに あたる 『人前でベタベタするな』と言ったからだろう。普段のあたるなら気にもしないが、今のあたるはラムとはぐれる訳にはいかない。あたるは思わずラムの手を握った。するとラムは驚き ラム 「ダーリン?」と言った。あたるは あたる 「これだけ人が多いと、はぐれそうだからな」と言った。ラムは ラム (ダーリン優しいっちゃ。ダーリンから手を繋いでくれるなんて滅多にないっちゃ)と思った。そして ラム (ウチ、ダーリンを好きになって良かったっちゃ)と思い、ニコニコと笑顔になった。あたるはそんなラムを見て あたる 「何をニヤニヤしとるんじゃ」と言った。ラムは ラム 「何でもないっちゃ♪」と笑顔で答えた。あたるとラムは、エスカレーターで上の階に上がった。ラムは ラム 「ダーリン、こっちだっちゃ」とあたるの手を引き財布売り場に行った。ラムは財布を見ながら ラム 「ダーリンのお財布だいぶくたびれてきてるから、ウチからプレゼントだっちゃ」と言って、あたるの方を見たて、目丸くした。なんとラムが手を繋いでいたのは腰の曲がったお婆さんだった。ラムは ラム 「え?お婆さんだれだっちゃ?」と言うと、お婆さんは お婆さん 「あれ?あんた爺さんじゃないね」と言った。ラムは ラム 「あ、ごめんなさいだっちゃ、間違えたっちゃ」と言って頭を下げた。ラムは周りを見回したが、人が多くてとてもあたるを見つける事は出来ない。ラムは ラム 「ダーリーン!」と叫びながら、エスカレーターの所まで行った。一方あたるは、人混みに揉まれやっと抜け出し あたる 「ふぅ、えらい人だな。やっと抜け出したな」と言って振り返りラムを見ると、そこには・・・およそこの世の者とは思えない人が居た。その人は、俗に言うオカマと呼ばれる人で、お世辞にも綺麗とは言えず、むしろ化け物に近かった。あたるはそのオカマの手をしっかりと握りしめていた。オカマは オカマ 「あなた、随分積極的なのね。私、強引な人好きよ♪」と言うと、その逞しい腕であたるを抱きしめた。あたるは あたる 「うわぁー!やめろー!間違えだぁー!!」と叫び、オカマの腕からスルリと抜け出すと あたる 「あぁ、驚いた。いつラムと入れ替わったんだ」と言って、ラムを探し始めた。あたるはラムを探しながら あたる (まずい、はぐれてしまった。何でことごとく俺の知ってる過去と同じになって行くんだ)と思った。と、その時夢邪気の言葉はが頭をよぎった。 夢邪気 『過去を変えるのは、簡単やおまへんで。ちょっとした変化くらいじゃ修正されて結局おなじ結果になってまうんや』  あたるは あたる (ま、まさか夢邪気はこれを言っていたのか?)と思った。そして更に あたる (もしかすると、さっき思ってもいない言葉を口走ったりしたのも、過去が変わらない様に何らかの力が作用したのか?)と思った。あたるはとにかく早くラムを見つけ出す事にした。  一方ラムは、人混みのなかあたるを呼びながら探していたが一向に見つかる気配は無かった。ラムは ラム 「ダーリン、何処にいるっちゃ?こんなに人が多いと見つけられないっちゃ。外なら飛んで探せるけど、ここじゃ天井が低くて飛んで探す訳にもいかないし」と言いながらも、周りを見回した。すると「ラムちゃ〜ん」とラムを呼ぶ声がして、ラムがそちらを見るとテンが飛んでくるではないか。ラムは ラム 「あ、テンちゃん!いいところに」と言った。テンはラムの所に来ると テン 「おもちゃ見よう思て来たら、なんやラムちゃんの声聞こえたもんやさかい、飛んで来たんや」と言った。するとラムは ラム 「ありがとうテンちゃん。ダーリンとはぐれて困ってたっちゃ。テンちゃん、ダーリン探してくれるっちゃ?」と言った。テンは テン 「わい、おもちゃ見にきたんやけどなぁ、ラムちゃんの頼みじゃしゃーないなぁ」と言った。それを聞いてラムは ラム 「わぁ、テンちゃんありがとだっちゃ。後でチョコレート買ってあげるっちゃね」と言った。するとテンは テン 「え、ほんまに?ほな、わいは上から探すわぁ」と言って飛んで行った。テンは人混みの上をプカプカと飛びながらあたるを探した。テンは テン 「ほんま、あのアホは人騒がせやなぁ。どうせ、どこかでまたガールハントでもしとるんちゃうか?」と言いながらあたるを探した。するとテンは、階段の所に腰を掛けているあたるを見つけた。テンはあたるの所に急いで行くと テン 「おい!アホ!こんな所で何しとんねん」とあたるに声をかけた。するとあたるはテンに気づき あたる 「何だ、ジャリテンではないか。お前こそこんな所で何をしとるんじゃ」と言った。それを聞いたテンは テン 「お前、ほんましょうもないやっちゃなぁ。さっきたまたまそこでラムちゃんにおうて、ラムちゃんに頼まれてお前を探しに来たんやないか」と言い、更に テン 「ラムちゃん、お前の事探しとったで。なのに、呑気にこんな所で座っとるなんて、でも他の女にチョッカイ出して無かっただけましやなぁ」と言った。あたるは あたる 「うるさい、探しに来たんなら早く連れてけ!」と言った。するとテンは テン 「なんや!偉そうに」と言いながらもラムが居る方に進んだ。あたるは あたる (こんな所でジャリテンに会うとは思わなかった。俺の記憶には無い事だ) と思った。その時、テンが テン 「ところで、お前ラムちゃんにプレゼントは買ったんか?今日はお互いにプレゼントあげる日なんやろ?」と言った。するとあたるは あたる 「プレゼント?そんな物は買っとらん」と言った。それを聞いてテンは テン 「お前、ラムちゃんにプレゼントした事無いやろ。たまには、プレゼントくらいしたらどうなんや」と言ったがあたるは あたる 「ふん、俺はいちいちプレゼントなんぞ、やらん主義でな」と言った。それを聞いてテンは テン 「ほんま、どうしょうもないやっちゃなぁ。ラムちゃん、何でお前みたいな奴の事、好きになったんやろ」と言った。あたるはテンの言葉を聞いて あたる (そう言えば、俺はラムに何もプレゼントした事がないなぁ)と思った。そして、ふと気づいた あたる (いや、まてよ・・なら俺がラムにプレゼントすれば過去は変わるのでは?)と思った。あたるは、とりあえずラムと合流したら考える事にして、今はラムに会う事だけを考えた。人混みを掻き分けて進むと、少し拓けた所に出た。するとそこには、ラムの姿が会った。ラムはあたるを見つけると ラム 「ダーリン!」と言って、すぐに飛んで来てあたるに抱きついた。あたるはそれを受け止めた。ラムは、テンの方を見ると ラム 「テンちゃん!ありがとうだっちゃ」と言った。テンは、照れながら テン 「いやぁ、ラムちゃんの頼みやし」と言った。あたるは あたる 「ここに居ると、またはぐれるかも知れんから、一旦外に出よう」と言った。ラムは ラム 「うん!」と言ってあたると一緒に外に出た。あたるは あたる 「それにしても、あの混みかたは異常だろう」と言った。ラムも ラム 「だっちゃよね?あんなの初めてだっちゃ」と言った。あたるは あたる 「喉が渇いたなぁ、どこかで何か飲むか」と言うと、ラムも ラム 「そうだっちゃね」と言い、近くの喫茶店に入った。あたるとラムは、喫茶店の中に入りやっと落ち着いた。あたるはコーラを、ラムは紅茶を飲んでいる中、あたるが あたる 「で、何でお前までここにおる。しかも断りもせずにパフェなぞ食べおって!おい!ジャリテン!」と言った。口の回りに生クリームをつけてテンは テン 「わいがお前の事探してやったんや、このくらい当然の報酬や」と言った。するとあたるは あたる 「なにを〜!お前なんぞ居らんでも、俺一人で探せたわい!」と言い、それに対しテンは テン 「何を言ってんねん。階段の所で途方に暮れとったくせに」と言った。するとラムが ラム 「まぁ、まぁ、ダーリンもテンちゃんも、その位にするっちゃ」と二人の中に割って入り ラム 「実際、テンちゃんにダーリン探してもらった訳だし、お陰でこうして一緒にいられるんだから」と言った。あたるは あたる (確かにジャリテンが来た事で俺はラムに電撃を食らわずに済んだ訳だが、だからと言ってジャリテンごときに礼など死んでも言えん。ここはパフェ食わせて、とっとと帰らせるのが得策か)と思い あたる 「ふん、ラムに免じてそのパフェだけは、おごってやる。ただし、食い終わったらさっさと帰れよ」と言った。それを聞いてテンは テン 「言われんでも、帰るわい」と言った。テンは、パフェを食べ終わると テン 「ほな、ラムちゃん。わい先に帰っとるで」と言うと、ジタバタと足をバタつかせながら飛んで行った。それを見てあたるは あたる 「やっと帰ったか」と言うと あたる (しかし、ラムにプレゼントと言っても一体何をあげたら)と思い、ラムを見た。するとラムもあたるの方を向き、目と目が合った瞬間あたるは急に照れ臭くなり、目を逸らした。するとラムは ラム 「どうしたっちゃダーリン?」とあたるに聞いた。あたるは あたる 「いや、何でもない」と言ったが、内心はドキドキだった。あたるは あたる (お、俺は何を意識しとるんじゃ。ただ、ラムにプレゼントをあげるだけではないか)と思った。そんな時ラムが ラム 「ダーァリン♪」と言った。あたるは あたる 「ん?何だ?」とラムを見ると、ラムは幸せそうな笑顔で ラム 「楽しいっちゃねぇ♪」と言った。それを聞いてあたるは あたる (楽しい?あんな混んでるデパートではぐれて、喫茶店でお茶飲んだだけなのにか?)と思った。そこであたるは あたる 「楽しいって、まだ何もしとらんだろう」と言ってみた。するとラムは ラム 「何もしなくったって、こうしてダーリンと居るだけでウチは楽しいっちゃよ」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「一緒に居るだけでって、いつも一緒に居るだろうが」と言った。それを聞いてラムは ラム 「うん。だから、ウチ毎日幸せだっちゃ♪」と満面の笑みで答えた。それを聞いてあたるは改めて理解した。ラムにとっては、平凡な日常こそが安らぎの時なのだと。その時、あたるはふと思い出した。この世界が現実と同じ早さで時間が流れている事を。デパートのゴタゴタから、喫茶店でお茶を飲んでかなり時間をロスした事になる。あたるは、近くの店の時計を見た。すると、時間は午後2時ちょっと前だ。この世界に来て既に四時間近くたっていたのだ。残りの時間は、後14時間程度だろう。その間に、この試練をクリアして、更に最後の扉を開けた後の事もある。あまり時間に余裕は無かった。あたるは あたる (とにかく、早くラムにプレゼントを買わねば)と思い あたる 「ラム、ちょっとここで待っててくれるか?」と言って、近くの店の方に行こうとすると、ラムは ラム 「ダーリンどこ行くっちゃ?ウチも一緒に行くっちゃ」と言って付いて来ようとした。あたるは あたる (ラムが来たら、恥ずかしくてプレゼント買えんではないか)と思い あたる 「トイレなんたが、トイレの中まで来るか?」と言った。するとラムは、少し頬を染めて ラム 「あ、トイレだっちゃ・・あはは、ウチ待ってるっちゃ」と言って、さっき居た場所に戻った。あたるは急いで、ラムの死角になるアクセサリーショップに入った。色々なアクセサリーが有るが、どれもピンと来ない。そもそも、ラムがアクセサリーを着けてるのを殆ど見た事の無いあたるにとって、どんなアクセサリーがラムに似合うか解るはずもなかった。あたるは あたる (う〜ん、ラムのやつアクセサリー着けんからなぁ)と言いながら、近くに有ったブローチを手に取り あたる 「普段ビキニ姿のあいつにブローチなんてやったって、着ける機会が無いよなぁ」と言って、ブローチを戻した。その時、あたるの脳裏に以前レイとのよりを戻すペンダントで大騒ぎした時の事がよぎった。あたるは あたる (そうか、ペンダントならいつでも身に着けて居られるか)と思い、更に あたる (確か、あの時のペンダントは中に写真を入れらるロケットだったよな)と思った。あたるは早速ペンダントを見てみた。その中に一つ変わったペンダントが有った、一見普通のペンダントなのだが、ペアのペンダントでしかもロケットだった。更にあたるが気に入ったのは、ペンダント単体ではロケットを開く事が出来ないのだ。2つがそれぞれ鍵になっており、合わせる事で蓋が開き中の写真が見える仕組みだった。あたるは あたる 「これなら、俺がペンダントを合わせない限り、ラムが勝手に中の写真を見る事は出来ない訳か」と言ってそのペンダントを買う事にした。そして、あたるはなに食わぬ顔でラムの所に戻ると あたる 「悪ィ、悪ィ、トイレ混んでてさぁ」と言った。するとラムは ラム 「ううん、大丈夫だっちゃよ」と言った。あたるが、いつプレゼントを渡そうか考えていると「ダーリン!!」と、突然ラムの声が耳に入って来た。その声は、怒りに満ちた声だった。はっとあたるは我に返ると、なんと見知らね女の子の手を握っているではないか、しかもなかなか可愛かった。あたるは あたる (な、いつの間に俺は)と思い手を離そうとすると あたる 「ネェ、住所と電話番号教えてくれない?」と、またしても自分の意思とは関係なく、勝手に言葉が出てきた。あたるは、なんとかその手を離そうとするが体が思うように動かない。するとラムが ラム 「ダーリン!せっかくいい雰囲気だったのに!」と言うと、バチバチと放電を初めた。あたるは何とか言葉を絞り出した あたる 「あ、バカやめろ!これは」と言った時、手を握っていた女の子が 女の子 「いつまで手握ってんのよ!」と言って、あたるに平手打ちをした。そして、次の瞬間ラムの電撃があたるを襲った。   バリバリバリバリバリバリー! あたる 「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」  あたるの悲鳴が街中に響き渡った。ラムはあたるの所に行くと ラム 「せっかくのクリスマスデートなのに!今度他の女にチョッカイ出したら、こんなもんじゃ済まないっちゃ!」と言った。あたるは あたる 「な、なんで・・」と言った。するとラムは ラム 「何でも、何も、自業自得だっちゃ!」と言った。もちろん、あたるの『なんで』は言い訳ではない。あたるは あたる (こんな所で、女の子に声をかけてラムに電撃くらう事は無かったはずだ。すると、さっきデパートの中で電撃を食らわなかったから今になって?)と思った。あたるは、この後に起こる事を思い出そうとするが、どうしても思い出せない。ラムはまだ怒っている様だった。あたるは立ち上がると、スタスタと歩き出した。それを見てラムは慌てて ラム 「あ、ダーリンどこ行くっちゃ」と言って、ついて来た。あたるはラムに あたる 「ラム、俺が少しでも他の女の子にチョッカイ出しそうになったら、構わず電撃をお見舞いしてくれ」と言った。それを聞いてラムは ラム 「ダーリン、何言ってるっちゃ?そんなのダーリンが浮気心出さなければ済む事だっちゃ」と言ったがあたるは あたる 「いいから、言われた通りにしろ!!」と声を荒らげた。あたるの気迫にラムは ラム 「わ、分かったっちゃ」と言った。ラムは ラム (なんか、今日のダーリンおかしいっちゃ)と思いながらも、あたるの後に続いた。あたるは あたる (こうなりゃ、一か八かじゃ。ラムの電撃の恐怖で、無意識の行動を拒否しちゃる)と思い、街中を進んで行った。あたるは自分がまた意思に反する行動をとる事に対して集中するあまり、ラムの事に気が回らず二人は無言のまま歩き続けた。その時ラムが ラム 「ダーリン・・・」と言った。するとあたるは あたる 「何だ?」と答えるとラムは急に立ち止まり ラム 「どうしたっちゃ?ダーリン・・何か、今のダーリンはダーリンじゃないみたいだっちゃ・・・」と言った。それを聞いたあたるは、ラムの顔を見た、するとラムはうつむき悲しそうな顔をしている。あたるはその顔に見覚えが有った、それは前回の試練のラムを初めて見た時と同じ顔だった。今のラムも、どこか陰りの有る顔をしている。あたるは今になって気付いた、あのラムの顔をあたるは知らないのではなく、今まで気づかなかったのだ。あたるはポリポリと頭を掻きながら あたる 「ったく、なんて顔しとるんじゃ」と言った。あたるの言葉を聞いてラムは ラム 「だって、ダーリンが・・・」言った。するとあたるは あたる 「お前に、そんな顔は似合わん。お前は、ずっと俺の隣で笑っとればええんじゃ」と言った。それを聞いたラムは ラム (え?ダーリン、それってプロポーズだっちゃ?)と思い、頬を赤く染め目に涙を浮かべ ラム 「うん!」と言った。 一方あたるは、ラムを元気付けようと言っただけでプロポーズをしたつもりは無いので、ラムが何故頬を染め目に涙を浮かべているのか分からず あたる 「お前、どうしたんだ?」と言った。するとラムは ラム 「だって、ダーリン・・いきなりそんな事言うから・・・ウチ・・」と言った。あたるは訳が分からず首をかしげ あたる 「おかしなヤツだなぁ」と言った。ラムはあたるに抱きつき人目もはばからず ラム 「ダーリン、ありがとう」と言うと大きな目一杯に涙を浮かべた。あたるは、今の状況を見た覚えが有った。それは、やはり未来のあたるとラムの姿だった。あたるがラムに『結婚しないか?俺達』と言った時だ。その時、民衆の誰かが言った 民衆A 「あんちゃん!こんな大衆の中でプロポーズたぁ、やるじゃねぇか」 民衆B 「クリスマスにプロポーズなんてステキね」 民衆C 「こんな可愛い彼女なら、結婚したくなるよなぁ」  あたるとラムを見て、民衆が騒ぎ出した。あたるは、訳が分からず あたる (なに?俺がプロポーズ?)と思い、自分の言った事を思い出してみた あたる 『お前にそんな顔は似合わん。お前は、ずっと俺の隣で笑っとればええんじゃ』  あたるは、ハッとなった あたる (ま、まさかラムは俺の言葉をプロポーズと勘違いを?)と思い、焦って あたる 「ちょっ、ちょっと待て!ラム!」と言ったが、ここで本当の事を言えばラムは少なからずショックを受けて、安らぎを与える事は更に困難になる。かと言って、そのままって訳にも行かない。するとラムが ラム 「ウチ信じてたっちゃ。ダーリンは絶体に心のどこかでウチの事想ってくれてるって」と言った。あたるは、どんどん自分の言った事で自分の首を絞めてる気がしてならなかった。街の人々は暖かい目で、あたるとラムを見ている。しかし、あたるにはそれが恥ずかしくて仕方なかった。 あたるは、そっとラムを引き離すと あたる 「ラム、ここじゃ何だから人の居ない所行こう」と言った。あたるは、人の居ない所でちゃんと説明しようと思った。ラムは ラム 「わかったっちゃ」と言った。ラムは恥ずかしそうに、うつむいている。それを見たあたるは あたる (ま、まずい!ラムのやつ完全に勘違いしてやがる。こんな時に、実はそんなつもりじゃなかったなんて言えば、絶体に話がこじれて試練どころではなくなる)と思った。民衆は、まだ騒いでいた 民衆 「お幸せに〜」 あたるは あたる (もう、ええっちゅんじゃ!)と思い、とりあえず公園に向かった。公園には、予想に反してカップルで溢れていた。あたるは あたる 「ず、随分人が多いなぁ、他の所へいこうか」と言った。するとラムは ラム 「どうしてだっちゃ?いい雰囲気だっちゃ」と言った。それを聞いてあたるは あたる (だからじゃ!ますます説明しづらくなるではないか!)と思い あたる 「ラム、お前に言いたい事が有る。だが、ここでは言えん・・・」と言い、あたるは公園の時計を見た。時刻は、既に4時をまわり辺りも暗くなり始めている。残りの時間は12時間を切っている。あたるの言葉を聞いてラムは ラム 「分かったっちゃ」と言った。あたるは あたる (外では、落ち着いて話しも出来ん。一旦帰るか)と思い、自宅に向かって歩き出した。ラムは、あたるの後をついて行ったが、自宅に向かっているのに気づき ラム 「ダーリン、もしかして帰るっちゃ?」と言った。するとあたるは あたる 「あぁ、部屋で落ち着いてお前と話がしたい」と言った。ラムはあたるの言葉を聞いて ラム (なんか、ダーリンの態度が変だっちゃねぇ)と思いながらも ラム 「分かったっちゃ」と言った。  あたるとラムは、家に着き部屋でお互いに向き合っていた。あたるは、なかなか話しを切り出せずにいたが あたる (悩んでても仕方ない!本当の事を言わないと、ラムを騙しているみたいで耐えられん。ちゃんと説明すれば、きっとラムも分かってくれるはずだ)と思った。一方ラムは ラム (ダーリン、あんな顔して、よほど話し辛い事なんだっちゃね)と思った。唐突にあたるが話し始めた あたる 「ラム・・・実は・・さっきの事なんだが・・」と言った。ラムは ラム (さっきの事って、プロポーズの事だっちゃ?)と思い、更に ラム (考えてみれば、ダーリンがあんな所でいきなりウチにプロポーズなんて変だっちゃ)と思った。あたるがラムの顔を見ると、ラムはうつむいている。あたるは あたる (ラムのやつ、もしかして俺が言おうとしてる事分かってるのか?)と思った。するとラムが ラム 「プロポーズの事だっちゃ?」と言った。あたるは驚いて あたる 「え?」と言った。と言うのも、まさかラムの方から切り出してくるとは思わなかったからだ。ラムは ラム 「あれがプロポーズじゃない事は、気付いてたっちゃ」と言った。あたるはラムの顔を見た。うつ向いたラムの目から一粒の涙がおちた。あたるは あたる 「ラム・・」と言った。ラムは、顔を上げるとニッコリと笑い ラム 「ダーリンが、あんな人前でプロポーズなんてするはず無いっちゃ。またウチの早とちりだっちゃね」と言った。ラムは笑顔だが、目には涙が浮かんでる。そして更にラムは ラム 「ウチのせいで、ダーリンに恥ずかしい思いさせたっちゃ。ダーリン、ごめんねだっちゃ」と言って、ラムは頭を下げた。それを聞いてあたるは、慌ててラムの肩に手を置き あたる 「ラム、お前が謝る事は無い!悪いのは俺だ!俺が紛らわしい言い方したから!」と言った。ラムは顔を上げると、あたるに抱きつき ラム 「ダーリン、やっぱり優しいっちゃ」と言った。そして急にあたるから離れると ラム 「そうだったっちゃ!ダーリンに渡す物が有るっちゃ」と言って、あたるに包装された小ぶりの箱を渡し ラム 「クリスマスプレゼントだっちゃ」と言って、満面の笑みを見せた。あたるはプレゼントを受けとると あたる 「開けていいか?」と言った。するとラムは ラム 「うん♪」と言って、あたるの反応を見ている。あたるがプレゼントを開けると、中身は財布だった。しかし、あたるが貰った財布とは少しデザインが違っていた。あたるは あたる 「財布かぁ、ありがとう♪いい加減くたびれてたから良かったよ」と言った。ラムは、満足そうに ラム 「喜んでもらえて、良かったっちゃ♪」と言った。するとあたるは あたる 「ラム、ちょっと待っててくれ」と言って、押し入れをゴソゴソと何かを探し始めた。それを見てラムは ラム 「ダーリン、どうしたっちゃ?」と言った。あたるは あたる 「あった!」と言って、次は部屋を出て洗面所に向かった。あたるは、押し入れで写真を探していたのだ。あたるとラムの写っている写真だ。あたるはポケットから小さな箱を出し、蓋を開けた。中にはあたるが買った二つのペンダントが入っていた。あたるは箱からペンダントを出すと、ロケットを開き写真を丁度いい大きさに切ると、一つにはラムの写真を、もう一つにはあたるの写真を入れて、あたるの写真を入れた方をペンダントが入っていた箱に入れようとしたが、箱の底に小さく折り畳んだ紙が入っているのを見て あたる 「なんじゃこりゃ」と言って広げてみると、それはペンダントの説明書だった。あたるは あたる 「危ない危ない、こんなのラムに見つかったら写真入れようとか言って、開けようとするに決まってる」と言って、ラムの写真の入ったペンダントと一緒に上着のポケットに入れ、箱には、あたるの写真の入ったペンダントを入れ、再び自分の部屋に戻るとラムの前に行き あたる 「ラム」と言い、ペンダントの入った箱をラムに差し出した。するとラムは ラム 「え?」と大きな目を更に大きくして驚いた。なんの包装もされてない小さな箱をラムは受けとり、開けてみた。中には、あたるの買ったペンダントが入っている。ラムは、そのペンダントを見つめ目に涙を浮かべている。あたるは あたる 「クリスマスプレゼントだ」と照れくさそうに言った。ラムは ラム 「・・・・ダーリン・・・ありがとうだっちゃ!!!」と言うと、あたるに勢いよく抱きつき ラム 「始めてのダーリンからのプレゼントだっちゃ、ウチの一生の宝物だっちゃ!」と言った。あたるは、あまりにラムが勢いよく抱きついて来たので、尻もちをつき あたる 「おおげさだなぁ」と言った。ラムは、あたるから離れると ラム 「早速してみるっちゃ」と言ってペンダントを箱から出してみて ラム 「なんか、変わったデザインだっちゃねぇ」と言った。あたるは あたる (そりぁ、二つで一つだからな)と思った。ラムは ラム 「このペンダント、なんか開くみたいだけど、どうやっても開かないっちゃねぇ」と言った。あたるは あたる 「そう言うデザインなんだろう、いいから早くしてみろよ」と言った。ラムは ラム 「うん♪」と言ってペンダントを着けようとした時、あたるの足下に何か落ちてるのを見て ラム 「なんだっちゃ?これ?」と言って手に取った。それは、ラムが貰ったペンダントに良く似ていたが、少しデザインの違うペンダントだった。更にラムは、その近くに落ちていた小さな紙切れを拾った。それを見たあたるは あたる 「あ!それは!」と言って、ラムの手からペンダントを奪おうとしたが、ラムがサッと手を引いて奪う事が出来なかった。さっき、ラムが抱きついて来て尻もちをついた時にポケットから落ちたのだ。ラムは小さく折り畳まれた紙切れを広げると、それはペンダントの説明書だった。説明書には、ペンダントがペアだと言う事、二つを合わせる事でロケットが開くと言う事が書かれていた。ラムは ラム 「キャー!これペアのペンダントだっちゃ!やっぱり、これ開くんだっちゃね」と言った。あたるは あたる 「こら!ラム!よこせ!」と再びラムからペンダントを奪おうとするが、ラムはあたるをスルリとかわし ラム 「せっかくだから、お互いの写真入れるっちゃ♪」と言った。あたるは あたる 「おい!やめろ!」と言ったがラムは、二つのペンダントを合わせロケットを開けてしまった。ラムは、ロケットの中を見て驚いたが、すぐに目に涙をいっぱい浮かべて ラム 「ダーリン・・やっぱり、ウチの事・・・ダーーーーリーーーーン」と言ってあたるに抱きつき ラム 「ダーリンの意地悪」と言った。あたるは あたる 「た、たまたま写真が有ったから入れてみただけだ」と言った。ラムは、あたるの顔を見た。あたるは顔を赤くして、そっぽを向いてる。ラムは更に強くあたるを抱き締め ラム 「ウチは、いつまでもダーリンの隣で笑っているっちゃ」と言った。すると、あたるは あたる 「ラム、いつも俺の隣で笑っていろって言ったのは、あれは・・」と言うと、ラムは ラム 「でも、あの時は本当にダーリンにプロポーズされたと思ってびっくりしたっちゃよ。でも、凄く嬉しかったっちゃ」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「ラム、もしも俺がお前にプロポーズするとしたら、あんな曖昧な言い方はせん!はっきり言ってやる」と言った。ラムは ラム 「うん」と言った。あたるは、ラムを優しく抱き締めた。すると、突然あたるの腕の中からラムが消えた。あたるは慌てて周りを見ると、そこは最初の部屋だった。あたるは帰って来たのだ。  あたるは部屋を一回り見たが、今まで有った通路は全て無くなり、有るのは1つの扉だけだ。しかも、その扉の色は白に変わっていた。あたるは あたる 「ラム・・・あんなに嬉しそうに」と言った。その時「あんさん、見かけによらず、やるもんやなぁ」と言う声がした。声の主は、もちろん夢邪気である。あたるは あたる 「そうだ!夢邪気、今何時間経った?」と聞いた。すると夢邪気は 夢邪気 「今、12時間ちょとやな」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「て事は、残り8時間位か」と言った。夢邪気は 夢邪気 「扉の色も見事に白になったし、先に進みまひょうか」と言った。あたるは あたる 「お前、ただ単にラッパが欲しいだけだろ」と言った。すると夢邪気は 夢邪気 「な、何言うてまんのや!わしは、あんさんに早うラムさんを目覚めさせて欲しいだけやがな」と言った。それを聞いたあたるは あたる 「ほんまかいな?」と言うと扉の前に立ち、扉に両手をかけ、ゆっくりと扉を開いた。あたるは扉の中を見渡した。そこは、一面綿帽子の様な花の咲く丘だった。それは、あたるにとっては幻想的な景色にみえた。その丘の上に人影が見える。あたるは あたる 「あれは・・・ラム?」と言うと、あたるはその人影の方に歩いて行った。近付くにつれて、その人影がラムだと言う事がはっきり分かった。ラムは、綿帽子の様な花を優しそうな顔で見てる。あたるが あたる 「ラム・・・」と言うと、ラムはあたるを見て ラム 「誰だっちゃ?」と言うと、再び綿帽子の様な花を見た。あたるは あたる 「何言ってるんだ、ラム!俺だ!」と言った。ラムは、あたるを見ずに ラム 「ウチ、知らないっちゃ」と言った。それを聞いたあたるは あたる 「ラム・・俺が、分からないのか?」と言った。ラムは、何も言わずに綿帽子の様な花を見つめている。あたるは あたる 「ラム・・・どうしちまったんだ・・」と言うと、後ろから「長い事、心に鍵がかかった状態やったから、その影響やろな」と言う声がした。声の主は、夢邪気だった。それを聞いてあたるは あたる 「どう言う事だ」と夢邪気に聞いた。すると夢邪気は 夢邪気 「人の心っちゅうもんは、とても脆くて壊れやすいもんなんや。そやから、極度のストレスや外的要因でダメージを受けると自らを守る為に、大切な情報を保護しようとするんや」と言った。するとあたるは あたる 「それが、この状態と言う事か?」と言った。夢邪気は 夢邪気 「今、ラムさんの心はかなり深い所にあるで」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「深い所?じゃ、このラムは?」と言った。すると夢邪気は 夢邪気 「そのラムさんは、いわば鍵やな」と言った。あたるは あたる 「鍵?このラムが?」と言うと、夢邪気は 夢邪気 「さいでんがな、深い所にいるラムさんの心を呼び戻す為の鍵や」と言った。あたるは あたる 「呼び戻すったって、どうすれば・・・」と言った。すると夢邪気は 夢邪気 「それは、わてにも分かりまへんな」と言うと、更に 夢邪気 「わては、ここに居ても何も役に立てへんし、反って邪魔になりそうやから外に出てますわ」と言うと、入って来た扉に向かった。するとあたるは あたる 「おい!俺は何をすればいいんだ!」と言った。夢邪気はあたるに背を向けたまま 夢邪気 「心に語りかけられるのは結局の所、やっぱり心だけや。ラムさんの心を呼び戻すのは、あんさんの心だけやで」と言うと扉の向こうに姿を消した。あたるは あたる 「心に語りかけられるのは、心だけ・・・」と言うと、頭を抱え あたる 「あぁぁぁぁ、さっぱり解らん!」と言った。あたるは、再びラムを見た。ラムは相変わらず、綿帽子の花を見ている、まるで感情が無い様だ。あたるは、とにかくラムに語りかける事にした。あたるは、ラムの肩に手を置くと あたる 「ラム!俺だ、思い出してくれ!」と言った。ラムは、あたるをじっと見ている。あたるは更に あたる 「俺達、一緒に暮らしてるんだぞ」と言った。ラムは反応する事無く、あたるを見つめている。あたるは あたる (くそ!どうすればいいんだ)と思った。ラムは、まるで人形の様に何の反応も示さない。あたるはとにかく、ひたすら語りかけるしか無いと思い あたる 「俺と、お前の鬼ごっこ覚えてるだろう?」と言った。ラムは何の反応も示さない。あたるは あたる 「なんでだ!俺と、お前の出会いだぞ!」と言って、ラムの目を見つめた。しかしラムの目はうつろで、あたるの声が届いているとは思えなかった。あたるは あたる (これで、本当にラムの心に俺の言葉は届くのか?)と思った。  その頃、現実世界では弁天達が、ランがあたるに持たせた小型マイクを通じてあたるの様子を伺っていたが、あまりに時間が長いので殆ど寝ていて、起きてるのは、しのぶ、お雪、錯乱坊の3人だった。ふと、しのぶが言葉を発した しのぶ 「あたる君が眠ってから、そろそろ15時間くらい経つわね」と言った。するとお雪が お雪 「そうね。タイムリミットは20時間だから、後5時間以内にラムを救わなければならない訳ね」と言った。しのぶが しのぶ 「あたる君大丈夫かしら?」と言うと、錯乱坊が 錯乱坊 「あやつの人並み外れたパワーは、半端ではない。とくに、金と女に対する執念は恐るべき物がある。ましてや、今回はラムの運命がかかっておるのだ。何がなんでも、やり遂げるであろう」と言った。すると、いつの間に起きたのか面堂が 面堂 「チェリーもたまには、まともな事を言うのだな」と言った。面堂の言葉を聞いて、しのぶが しのぶ 「あ、面堂さん起きたのね」と言った。面堂は 面堂 「すみません、つい、うとうとしてしまいました」と言った。その時、面堂達の会話を聞いて弁天が 弁天 「ふぁ〜〜〜〜〜っ」とあくびをして目を覚まし 弁天 「諸星は目ぇ覚ましたか?」と言った。すると、お雪が お雪 「まだみたいね」と言った。それを聞いて弁天は 弁天 「で、後何時間残ってんだ?」と言った。弁天の問いには、しのぶが しのぶ 「後5時間くらいかしら」と言った。そんなやり取りをしてるうちに他のメンバーも目を覚ました。すると弁天が 弁天 「お、みんな起きたな」と言ってニヤリと笑い、更に 弁天 「よし、残り時間も少ねぇみてぇだし、脱獄の算段でもするか」と言った。それを聞いてランが ラン 「この鉄格子、結構頑丈そうね」と言った。するとパーマがしのぶの肩を叩き パーマ 「任せた」と言った。しのぶは しのぶ 「どう言う意味?」と言ってパーマを見た。パーマは パーマ 「いやぁ、しのぶなら行けるんじゃないかなぁと思ってさぁ」と言った。するとしのぶは しのぶ 「何言ってるのよ、私はか弱い女の子なのよ?」と言った。それを聞いてメガネが メガネ 「か弱い女の子ねぇ」と言うと、しのぶは しのぶ 「なによーっ」と言った。  その頃、惑星ルイーザ遥か上空の宙域にラムの父の母船が到着し、今まさに戦闘体制に入ったところだった。ブリッジでは、ラムの父が ラム父 「ええかぁ!おどれら!敵が攻撃仕掛けて来たら、遠慮はいらん!いてこましたれ!」と言った。そして更に ラム父 「弁天、はよ連絡くれんか・・」と呟いた。  一方、弁天達を救いだすチャンスを伺っていたラウは、ついに行動に出た。牢獄周辺の警備を手際良く眠らせると、弁天達の居る牢獄の前に来た。それに気づいた弁天が 弁天 「ん?おめぇ、ラウじゃねぇか!」と言った。すると他のメンバーもラウを見て お雪 「あら」 ラン 「あら」 しのぶ 「あら」 面堂 「おぉ」 メガネ 「おぉ」 パーマ 「おぉ」 カクガリ 「おぉ」 チビ 「おぉ」 錯乱坊 「不吉じゃ」  ドガッ!バキッ!ゴンッ!グシャッ! 全員 「お前の存在が不吉じゃー!!」  錯乱坊は、全員に袋叩きにされた。それを見ていたラウは ラウ 「・・・・・・・・・」まさに、言葉も無かった。ラウは、ハッと我に返ると ラウ 「今、鉄格子を開けます!」と言うと、鉄格子の解除スイッチを操作し始めた。少し操作パネルをいじった後、ラウは ラウ 「ダ、ダメだ・・ドイル様の認証が無いと開かない・・・」と言った。それを聞いて弁天は 弁天 「なら、力づくで壊すしかねぇな」と言った。しかしラウは ラウ 「この鉄格子を力づくで壊すのは不可能です!」と言った。するとメガネが メガネ 「俺に考えがある」と言った。それを聞いた弁天は 弁天 「なに?」と言い、お雪は お雪 「まぁ」と言った。メガネは面堂に メガネ 「面堂、お前ここに立ってくれ」と言って面堂を鉄格子の前に立たせた。面堂は 面堂 「僕は、ここで何をすれば?」と言った。メガネは、それには答えず メガネ 「みんな鉄格子から離れて」と言うと、続いてラウに小声で メガネ 《この牢獄全体の明かりを全て消してくれ》と言った。ラウは ラウ 《明かりを全部?そんな事したら真っ暗になってしまいますよ?》と言った。メガネは メガネ 《いいから、やれ!》と言った。少しすると牢獄全体の明かりが消え、完全な闇に包まれた。すると、その瞬間「暗いの恐いよ〜!狭いの恐いよ〜!」と声がした、面堂である。面堂は更に 面堂 「うわぁぁぁぁ!暗いの恐い!!」ガキッ!!! 面堂 「狭いの恐い!!」ゴキッ!!! 面堂 「恐いよ〜〜〜〜〜!!!」ガッシャーーーン!!!と音がして、すかさずメガネが メガネ 「おい!明かり点けてくれ!!!」と大声で叫んだ。するとすぐに明かりは点き、目の前の光景にみんな驚いた。鉄格子は、グニャリと曲がり扉は破壊されていた。それを見た弁天は 弁天 「地球人は、ホント分かんねぇぜ」と言った。鉄格子が壊れる音と、面堂の叫び声でテンも目を覚まし テン 「ふぁ〜、どないしたん?」と言って、更に テン 「騒がしいなぁ」と言った。するとしのぶが しのぶ 「あら、テンちゃん。起きたのね?」と言った。テンは、しのぶの方を向くと テン 「あ、しのぶねぇちゃん」と言いながら、しのぶの方へ飛んで行った。その時弁天が 弁天 「ラウ、サンキュー。助かったぜ」と言うと 弁天 「じゃ、行くぜ」と言って牢獄を出た。他のメンバーも弁天に続いて牢獄から出た。するとラウが ラウ 「皆さん、こっちです!」と言うと出口に向かって走り出した。走りながら、ラウは ラウ 「僕は、立場上ラムさんの救出に手を貸す事は出来ません。でも、皆さんを案内する事は出来ます」と言った。すると弁天が 弁天 「充分だぜ!」と言った。ラウは一つのドアの前で止まり ラウ 「皆さんの所持品は、この部屋の中に有ります」と言った。それを聞いた弁天達は、ドアを開け中に入ると自分達の所持品を取り戻した。その時弁天は 弁天 「ラウ、何から何まで済まねぇなぁ」と言った。するとラウは ラウ 「僕には、これくらいしか出来ませんから」と言った。             つづく  なんとか牢獄の脱出に成功した弁天達は、ラムとあたるを救う為にラウの案内で、カロンの部屋を目指す。一方あたるは、ラムの心を呼び戻すべく呼び掛け続ける。  次回、エピソード11をご期待下さい。          エピソード10 END