§前回までのあらすじ§  3つの試練をクリアし、最後の扉を開けたあたるだったが、そこに居たのは感情の無いラムだった。夢邪気が言うには、そのラムはラムの心を呼び戻す鍵で、心に語りかけられるのは心だけだと言う。一方、ラウの手引きで脱獄に成功した弁天達は、ラム救出に向かったのだった。       エピソード 11  弁天達は、ラウに続いてラムとあたるの居るカロンの部屋に向かっていた。 弁天 「おぃ、ラウおめぇ、大丈夫なのか?こんな事して」弁天がラウに聞くと、ラウは ラウ 「ははは、多分大丈夫じゃないですね」と言った。すると弁天は立ち止まり 弁天 「じゃ、もうここまででいいぞ」と言った。するとラウは ラウ 「え?乗りかかった船です、最後まで案内しますよ」と言った。しかし弁天は 弁天 「もう、いいって言ってんだろ!!」と声を荒らげた。それを聞いてラウは ラウ 「え?僕は大丈夫です!それに僕は、もう一度ラムさんの笑顔が見たいんです!」と言った。だが弁天は 弁天 「分かんねぇ奴だなぁ、はっきり言って足手まといなんだよ!」と言った。それを聞いたラウは ラウ 「え?・・・・」と言って愕然とした。弁天は 弁天 「分かったら、さっさと帰って寝な」と言い、他のメンバーに 弁天 「じゃ、行くぞ!」と言って、再び進み始めた。ラウは、その場に固まったまま微動だにしなかった。 弁天とラウの会話を聞いていたランは ラン 「あんな言い方せんでも良かったんちゃうんか?あいつなりに、頑張ってたみたいやったし。危険を承知で助けに来てくれたんやんか」と言った。するとお雪が お雪 「あれは、弁天の優しさよ。そうよね?弁天」と言った。それを聞いてランは ラン 「どう言う事やねん」と言った。その時面堂が 面堂 「そうか!一緒に動いていたら、いつかは我々と通じていた事が分かってしまう。だから、まだバレていない今のうちに遠ざけてしまえば、証拠は残らないからバレる事も無い訳だ!」と言った。それを聞いてしのぶは しのぶ 「だから、あんな酷い言い方したのね」と言った。すると弁天は 弁天 「ここまでしてもらっただけで充分だぜ。これ以上、あいつに迷惑はかけられねぇ」と言い、続いて 弁天 「ラン、 発信器で位置は分かるんだろう?」と言った。ランは ラン 「ラムのカプセルの発信器は、まだ作動してるから、部屋を探すのはわけないで。それより弁天、お前にそんな優しい心が有るとは思わなかったわ」と言った。ランの言った事に対して弁天は 弁天 「ラン、おめぇ、あたいに喧嘩売ってんのか?」と言ってニヤリと笑った。少し進むと、突然メガネが メガネ 「おい!この部屋・・」と言って、一つの部屋の前で止まった。それを聞いたパーマは パーマ 「ん?どうした?メガネ」と言って、その部屋を見た。するとそこは通信室の様な部屋だったが誰も居ない様子だった。パーマは パーマ 「おーい、ちょっとこっち来てくれ」と言った。その声に、他のメンバーは集まってきて、しのぶが しのぶ 「どうしたの?」と言い、弁天も 弁天 「なんでぃ」と言った。するとメガネが メガネ 「どうやら、通信室らしい」と言った。それを聞いて弁天は 弁天 「なに?」と言って部屋に入った。弁天に続きお雪も部屋に入り お雪 「この通信機つかえそうね」と言った。弁天は 弁天 「よし、この通信機使ってラムの親父に連絡取るか」と言って、通信機をいじり始めた。少しすると  ガガー、ガ〜、 「誰や?」と声が聞こえた。弁天は 弁天 「意外と近くに居るみてぇだな、すぐに繋がったぜ」と言うと、通信機のボタンを押して 弁天 「こちら弁天」と、言った。すると、通信機から声がしてきた。ラムの父の声である ラム父 「なに?弁天か!お前ら今まで何処に居ったんや」と言った。弁天は 弁天 「あぁ、悪ぃ悪ぃ、ちょっと捕まっててよ」と言った。それを聞いてラムの父は ラム父 「なんやて!けど今通信しとるっちゅう事は、うまく抜け出したんやな」と言った。弁天は 弁天 「あぁ、それで今からラムを助けに行くから、またこっちから通信するまでは大人しくしててくれよな」と言った。それを聞いたラムの父は ラム父 「全然連絡先して来んと、連絡してきた思たら、いきなりそれかい」と言った。弁天は 弁天 「あぁ、頼むぜ」と言って通信機のスイッチを切った。その時ランが ラン 「今の通信で、わいらの事バレたかもな」と言った。しかし弁天は 弁天 「へっ、どうせ遅かれ早かれバレるんでぃ」と言って笑った。それを聞いて、ランは ラン 「弁天のやつ、確実に今の状況を楽しんどるで」と言った。するとお雪が お雪 「まったく、しようの無い人」と言った。その時、弁天達の前に数人の兵士が現れた。それを見て弁天は 弁天 「おいでなすったか」と言った。するとお雪は お雪 「らしいわね」と言い、ランは ラン 「もう、ヤケクソや」と言ってバズーカを構えた。続いて面堂が 面堂 「ふっ、この面堂家の伝家の宝刀に切られたい奴は前に出ろ」と言って日本刀を抜いた。その様子を見ていたパーマは パーマ 「おい、メガネ俺達武器も何もないが、どうするんだよ!」と言った。するとメガネは メガネ 「俺達は、別動隊で動く」と言った。それに対してカクガリは カクガリ 「別動隊って、具体的にどうするんだ?」と言った。カクガリの質問に対してメガネは メガネ 「我々は戦闘が始まったら、まず一旦後方に下がり敵の隙をつき前進。そして、先の安全を確保する!」と言った。するとそれを聞いたチビが チビ 「それって、逃げるって事?」と言った。しかしメガネは メガネ 「たわけ!これは非常に危険な任務だ!丸腰で敵の横をすり抜けなければならない。言わば自殺行為に近い作戦だ!だが、誰かがやらなければ先の安全は確保できん。俺は、この危険な任務に喜んで身を捧げようではないか!」と言った。するとチビが チビ 「でもよぅ、メガネぇ、もしもだよ、もしも敵をすり抜けた先にも敵が居たらどうするんだよ〜」と泣きついた。するとメガネは メガネ 「そ、その時はその時だ!」と言った。弁天は髪の毛を束ねている鎖をスルスルと外し 弁天 「さぁ、かかって来やがれ!」と言った。まずは、ランがバズーカを連射し、続いてお雪が冷気を放ち敵の動きが鈍った所を面堂が日本刀を振り回し、弁天も鎖を振り回した。それでも、その連係をすり抜けた兵士には、テンが火炎放射。さらに、しのぶに襲いかかる兵士は何かの機械で殴られた。その光景を見ていたメガネは メガネ 「あいつら、軍隊の一個師団に匹敵するかも、俺達の様な凡人の出る幕は無い様だ」と言った。  通路には、一瞬にして敵兵士の山が築かれた。弁天は 弁天 「へ、他愛もないな」と、言って気絶している兵士達の横を悠々と通り抜けた。他のメンバーもそれに続き、一行は発信器を頼りにカロンの部屋を目指した。  一方ラムの心を呼び戻す事に必至のあたるは色々試したが、まるで成果が無かった。あたるは あたる 「ラム、何で俺の声が届かないんだ!」と言って、膝をついた。ラムは、あたるの事を見ているが感情は感じられず、本当に人形の様だった。あたるは あたる 「お前、本当にラムだよな?」と言うと、ラムの手を握った。その時、一瞬だがラムの体がピクッと反応した。あたるは あたる 「!!!」驚きのあまり、声が出なかった。そして、あたるは あたる 「今、今確かに反応した!わずかだが。だが、これで少し希望が見えたぞ!」と言うと、何が効果的なのか考えた あたる (何故、あれだけ何の反応も示さなかったのに、手を握ったら反応したんだ?)と思った。そこで、あたるは あたる 「ラム、思い出してくれ!俺達いつも一緒だったよな?お前が地球に来てから俺は、しのぶには振られるし他の女の子に声をかければ電撃食らうわで、ろくな事が無かった・・・でも・・でも・・何が有っても、お前は俺のそばに居てくれた。いつしか俺にとって、お前と一緒に居る事が心地よくなってた」と言った。更に、あたるはラムの目を見つめ あたる 「全部忘れちまったのか?」と言った時、ラムの目に涙が浮かんだ。それを見たあたるは あたる 「ラム!分かるのか?俺の声が届いてるんだな?」と言うと、更に あたる 「分かったら、返事してくれ!お前いつも、俺とお前は夫婦だって言ってるじゃないか!だったら、亭主の事忘れるな!」と言った。するとラムは、ポロポロと涙を流し始めた。それを見て、あたるは あたる 「ラム、去年のクリスマス覚えてるか?お前に言ったろ?俺の隣で笑ってろって。だから、また俺にあの笑顔を見せてくれ!」と言った。その時ラムの口が僅かに動いた。しかし、動いただけで言葉にはならない。あたるは あたる 「何だ?ラム」と言うと、ラムは消えてしまいそうな声で ラム 「ダーリン・・・・」と言った。あたるは、その言葉を聞き逃さなかった あたる 「そうだ!俺だ!」と言うとラムを抱きしめた。するとラムは体を硬直させ、次の瞬間全身の力が抜けてあたるの腕の中で崩れた。あたるは慌てて あたる 「おい!どうした、ラム!」と、叫んだがラムはピクリとも動かない。あたるは尚も、ラムを呼び続けた。しかし、ラムは目を覚ます気配すらない。あたるは あたる 「おい!ふざけるなよ!俺がこうしてお前の為に来てるのに、返事くらいしろ!!」と言った。あたるの目からは涙が溢れ、その涙は一粒の雫となってラムの頬に落ちた。その時、ラムの体は光に包まれた。そして、しばらくするとその光は消えた。あたるは何が起きたの分からず居ると、後ろから「とうとう殻を破ったんやな」と言う声が聞こえた。あたるが振り返るとそこには、いつの間にか夢邪気がいた。あたるが あたる 「お前、何を今頃ノコノコと」と言うと、夢邪気は 夢邪気 「あんさん、そげな言い方せんでも、ええんちゃいまっかぁ?」と言い、更に 夢邪気 「わてかて、気ぃ使っとんのやで。わてが居ったら、あんさんも集中でけんやろ思て」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「ふんっ、おおかた、外で昼寝でもしとったんだろが」と言った。すると夢邪気は 夢邪気 「ほんま、あんさんひねくれとんなぁ」と言った。するとあたるは あたる 「そんな事はどうでもいい!それより、さっき言ってた殻がどうこうって、どう言う事じゃ」と言った。夢邪気は 夢邪気 「どうでもいいって、あんさんから言って来たんやで。まぁ、えぇわ。殻っちゅうのは、言わば壁の様なものや」と言った。あたるは、それを聞いて あたる 「お前、なめとんのか?殻が何かぐらい分かるわ!俺が聞いとるのは、その殻を破ったらどうなるかっちゅう事じゃ!」と言った。すると夢邪気は 夢邪気 「あぁ、そっちでっか。殻を破ったら、ラムさんの心が解放されまんのや」と言った。それを聞いたあたるが あたる 「じゃあ、ラムは目覚めるのか?」と言うと、夢邪気は 夢邪気 「目覚めると思いまっせ。ここでも、現実でも」と言った。あたるは、夢邪気の襟首を掴んで あたる 「本当か!本当なんだな?嘘じゃないだろうな!」と言いながら、夢邪気の襟首を締め上げた。夢邪気は苦しそうに 夢邪気 「うっうっ、くっ苦しい・・」と言い、それを見てあたるは、手を離した。すると夢邪気は咳き込みながら、呼吸を整えると 夢邪気 「何さらすんじゃ!おんどれ!死んでまうやろが!人が親切に教えてやっとるのに、なんちゅう仕打ちや!」と言った。するとあたるは あたる 「あぁ、悪ぃ悪ぃ、つい興奮しちまった、で本当なのか?」と言うと、夢邪気は 夢邪気 「ほんまやがな、けどあんさんがこの世界に居られる時間は、もう残っとらんで」と言った。するとあたるは あたる 「何?もう20時間経つのか?」と言った。しかし夢邪気は 夢邪気 「いや、そうやおまへん。現実のラムさんが目覚めるからや。せやから、あんさんは分かりやすく言うと追い出せれてまうんやな」と言った。あたるは納得したのか あたる 「なるほど」と言った。夢邪気は、あたるを見つめ 夢邪気 「ほんに、あんさんは無茶ばっかりやけど楽しかったわ。わても、そろそろ行かなあかんねん」と言った。するとあたるは あたる 「お前も、居られんのか?」と言った。夢邪気は 夢邪気 「わては、夢の中で生きとんのや。ラムさんが目覚めれば、ここには居れんっちゅう事やな」と言った。それを聞いたあたるは あたる 「そうか・・色々、ありがとな」と言った。あたるの言葉を聞いた夢邪気は 夢邪気 「な、あんさん、ズルいで。最後の最後に」と言うとサングラスの下の目から、ボロボロと大粒の涙を落とした。あたるはそんな夢邪気を見て あたる 「ところで、ラッパは有ったのか?」と聞いた。すると夢邪気は、帽子を取るとその中からラッパを出し 夢邪気 「ちゃんと回収させてもろたで〜」と言うと、徐々に姿が消えて行き、最後に 夢邪気 「今度、また夢の中で会うたら、あんじょう頼みまっせ〜」と言う声を残し、姿を消した。あたるは あたる 「次は、俺か。ラム、現実世界で待ってるからな」そう言うと、あたるの体は徐々に消えて行った。  あたるは、ゆっくり目を開けた。そこは見覚えのある部屋だった。あたるは、ソファーに横になっている。あたるは、ハッと何かに気付いた様に起き上がると周りを見た。あたるは、ラムのカプセルを探していた。ラムのカプセルは、ちょうどあたるの後ろの位置に有った。あたるは、すぐにラムのカプセルの所に行くと あたる 「ラム!」と言った。その時 「ほう、無事に戻ってきたか」と言う声がした。あたるは、声の方を向くと、そこにはカロンが椅子に座りこちらを見ていた。カロンは、立ち上がると カロン 「しかし、驚いたよ。まさか本当にやるとは・・・見上げたものだ」と言った。するとあたるは あたる 「約束だ、ラムは返してもらうぞ」と言った。しかしカロンは カロン 「まだラムは、目覚めていないが?それに、私はチャンスはやると言ったが、ラムを返すとは言ってない」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「何?卑怯だぞ!お前それでも王か!」と言った。するとカロンは カロン 「私は、君の王ではない。そう言ったのは君のはずたが?」と言うとニヤリと笑った。その時「う〜ん」と声が聞こえた。あたるは振り返り、ラムを見た。するとラムがゆっくりと目を開けた。あたるはラムの所に駆け寄ると あたる 「ラム!」と言った。ラムはあたるの顔を見ると ラム 「ダーリン・・・」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「良かった、俺の事が分かるんだな?」と言った。するとラムは ラム 「ダーリン、何言ってるっちゃ。ウチがダーリンの事分からない訳ないっちゃ」と言うと、ニコリと笑った。その時カロンが カロン 「感動の再会の所、水を挿すようで悪いが、ちょっといいかな?」と言った。ラムは、聞いた事の無い声を聞き、カロンの方を見た。そして、あたるに ラム 「あれ、誰だっちゃ?」と聞いた。あたるは あたる 「あいつが今回の事件の黒幕だ」と言った。するとラムは ラム 「事件?なんの事だっちゃ?」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「何の事って、俺の記憶が消えそうになって、お前が助けてくれたろ?」と言った。ラムは、遠くを見る様にして、やがて ラム 「あ、あぁぁぁぁぁぁ!」と、何かを思い出し声をあげた。そして ラム 「ナノマシーン!!」と言った。あたるは あたる 「そう、あのナノマシーンはお前をここに連れてくる為だったんだ」と言った。するとラムは ラム 「ウチを?」と言った。その時カロンが カロン 「その通り。ラムには、私の花嫁になってもらう」と言った。それを聞いてラムは ラム 「冗談じゃないっちゃ!ウチにはダーリンがいるっちゃ!」と言った。するとカロンは カロン 「そんな些細な事は、問題ではない」と言った。カロンの言葉にラムは、バチバチと放電を始め ラム 「ダーリンの事、些細な事とは何だっちゃーーーーーーーー!!!!」と叫び、カロンに向かって電撃を放った。しかし、電撃はカロンの僅か手前で見えない壁に遮られた。ラムは ラム 「!!!電撃がガードされてるっちゃ」と言うと ラム 「ウチは、絶体お前の所になんて行かないっちゃ!」と言った。カロンは不敵な笑いを浮かべていた。  その頃弁天達は、カロンの部屋へ向かっていたが、次々に押し寄せる兵士達に足止めされ、なかなか進めなかった。その時ランが ラン 「あら、スピーカーからラムちゃんの声が!」と言った。すると、他のメンバー全員がランの所に集まり 弁天 「なにぃ!」 お雪 「まぁ」 しのぶ 「え?」 面堂 「ラムさん!」 メガネ 「ラムさん!」 パーマ 「ラムちゃん!」 カクガリ 「ラムちゃん!」 チビ 「ラムちゃん!」 テン 「ラムちゃん!」 錯乱坊 「・・・」全員が錯乱坊に注目している。錯乱坊は 錯乱坊 「な、なんじゃな?」と言い、更に 錯乱坊 「不吉な」と言った。  ドガッ、バキッ、グシャ! 錯乱坊は、全員に袋叩きにされた。錯乱坊は 錯乱坊 「と、年寄りは、いたわるものじゃぞ」と言った。すると面堂が 面堂 「だったら、いたわられる年寄りになったらどうだ!」と言った。その時ランが ラン 「ダーリンの声もするから、二人とも無事みたいね」と言った。それを聞いて弁天は 弁天 「こんな所でぐずぐずしてる場合じゃねぇな!」と言った。他のメンバーも同じ気持ちの様だった。ランは、発信器の信号を見て ラン 「もう、近くよ」と言った。その時、前方に他のドアとは明らかに違う扉が見えた。それを見て弁天が 弁天 「あの部屋か?」と言うと、ランは ラン 「みたい」と言った。弁天は一旦止まり 弁天 「よし、皆準備はいいか?」と言うと全員頷き、それを見て弁天は 弁天 「よし、行くぜ!!」と言うと、扉を蹴破って中に入った。中には、あたるとラム。そしてもう一人いた、カロンである。弁天は 弁天 「ラム!無事か?」と言った。すると、それを見たラムは ラム 「あ、弁天!」と言い、その後に続いて入ってくる他のメンバーを見て ラム 「お雪ちゃん、ランちゃん、しのぶまで!」と言った。しかし、まだメンバーは入ってくる。ラムは ラム (皆来てくれてたんだっちゃね)と思った時、あたるが あたる 「弁天様〜、僕も無事ですよ〜」と言った。それを聞いて弁天は 弁天 「おめぇは、殺しても死なねぇだろうから心配はしてなかったけどな」と言った。するとあたるは あたる 「もう、弁天様ったら〜」と甘えた声を出した。それを見てラムは ラム 「ダーリン!こんな時まで!いい加減にするっちゃ!」と言った。そんなやり取りを見ていたランは ラン 「なんや、バカらしゅうなって来たな」と言った。と、その時、弁天達が入って来た扉とは反対側の扉から、兵士達がなだれ込んで来た。そして、その後方には牢獄からあたるを連れ出した男が居た、ドイルである。弁天達は、すぐにあたるとラムの所へ行き、戦闘体勢をとった。その時弁天が 弁天 「あの後ろのヤツが指揮官だな。確かドイルとか言ったか・・・」と言った。するとお雪が お雪 「今までほど簡単には行きそうもないわね」と言った。すると弁天が 弁天 「とにかく、ここで戦うのは不利だ。一旦逃げるぞ」と言った。全員で弁天達が入って来た扉から出ると、出口を目指して走り出した。しかし、次から次へと兵士が押し寄せ、なかなか進む事が出来ない。弁天は 弁天 「これじゃ、らちがあかねぇぜ」と言った。すると、突然横の壁が破壊され人影が現れた。舞い上がる粉塵の中、「こっちです!」と声がした。弁天は、迷わず声の方へ行き 弁天 「こっちだ!」と叫んだ。全員が、弁天の方へ行くとそこにはなんとラウが居た。お雪が お雪 「あら、あなた何で?」と言うと、ランも ラン 「お前、こんな事したら」と言った。弁天も 弁天 「へっ、本当のバカらしいな」と言って笑った。3人の話を聞いていたラムは、まるで事態が飲み込めず ラム 「こいつ、誰だっちゃ?」と言った。するとあたるが あたる 「こいつが、俺に薬を打ち込んだ犯人だ」と言った。それを聞いてラムは ラム 「え?こいつがウチを狙って?」と言うと、怒りを露にして ラム 「こいつのせいでダーリンは・・・こんなヤツの事は、信用できないっちゃ」と言った。ラウは、何も言わずにうつむいている、すると弁天が 弁天 「落ち着けよ、ラム」と言った。しかしラムは ラム 「落ち着いてなんかいられないっちゃ!こいつさえ来なければ、ダーリンとウチは・・・ダーリンとウチは」と言った。それを聞いて弁天は 弁天 「確かに、今回の事件の原因はコイツに有る。だがな、コイツも命令で動いてただけなんだよ。コイツはコイツなりに考えて、あたい達に協力してくれたんだ。ラム、お前を目覚めさせる為になぁ」と言った。それを、聞いてもラムは ラム 「でも・・・」と言った。しかし弁天は続けた 弁天 「お前が許せねぇのは、解る。だけどな、コイツは自分が追われる事を覚悟で、奴等を裏切ってあたいらに力を貸してくれてんだ。ここまで来れたのも、コイツのお陰なんだよ!」と言った。すると今度はラウが ラウ 「もう、いいです。全ての原因が僕に有るのは事実ですから。ラムさんが怒るのも当然です。いくら僕が、皆さんの手助けをした所でラムさんと、あたるさんを苦しめてしまった事は、紛れもない事実です。でも僕は、もう一度ラムさんの笑顔を取り戻したい。だから、全て終わったら償いはするつもりです。だから、今は僕を信じて下さい」と言った。ラムは黙って聞いていたが、ラウが話終わると ラム 「分かったっちゃ。今は、お前を信じる事にするっちゃ」と言った。それを聞いて、ラウは ラウ 「ありがとうございます!」と言うと ラウ 「皆さん!こっちです!」と言い、走り出した。それを見て、全員ラウに続いて走り出した。ラウの進む通路は、どうやら隠し通路らしく敵兵は全く現れず、あたる達は無事に建物から脱出する事が出来た。  安全な場所まで移動すると弁天は 弁天 「ラウ、助かったぜ」と言った。それを聞いてラウは ラウ 「いえ、僕があたるさんとラムさんにしてしまった事を考えると、この位の事は当然です」と言った。その時ランが ラン 「それより、どうやってこの星から脱出するか考えんといかん、ちゃうんかい」と言った。するとお雪が お雪 「宇宙船が必要ね」と言うと、弁天が 弁天 「ラムの親父に連絡とるか」と言った。それを聞いてラムが ラム 「父ちゃんが来てるっちゃ?」と言うと弁天が 弁天 「あぁ、今はこの星の近くで待機してもらってるけどな」と言った。するとあたるが あたる 「じゃぁ、すぐにでも来てもらえば」と言った。しかし弁天が 弁天 「それは無理だな。今はまだ近くに居るだけだから何も起きてねぇが、ちょっとでも近づいてみろ。間違いなく戦争になるぜ」と言った。それを聞いてラウも ラウ 「僕も、そう思います」と言い、続けて ラウ 「だから、僕の宇宙船で脱出しましょう」と言った。それを聞いたお雪は お雪 「でも、宇宙船のある宇宙港は多分大勢の兵士が居ると思うけど」と言った。するとラウは ラウ 「はい、恐らくは」と言った。その言葉を聞いたあたるは あたる 「なに?じゃぁ、どうやって宇宙船に乗り込むんだ?」と言った。ラウは ラウ 「任せて下さい。僕に考えが有ります」と言うと、更に ラウ 「僕に付いて来て下さい」と言い、何処かに向かい歩き始めた。その時メガネが メガネ 「それはそうと、腹減らねぇか?」と言うと、パーマが パーマ 「そう言えば俺たち、昨日から何も食べて無いぜ」と言い、カクガリも カクガリ 「いい加減腹減ったよなぁ」と言った。チビも チビ 「腹減った〜」と言い、しのぶも しのぶ 「あたし、もう動けな〜い」と言って、座り込んだ。それを見てラウは ラウ 「そうですね、皆さんは囚われていたんですものね。気づかずごめんなさい。あまり目立つ訳にいかないので、人の多い店で食事しましょう」と言った。  ラウは人通りの多い道に出ると、一つの店の前で止まった。その店にはデカデカと牛のシンボルマークが付いていた。その店を見たメガネは メガネ 「な、な、なにぃぃぃ!牛丼屋だとぉぉぉ!?」と言った。続いてあたるが あたる 「う〜む、どうやら牛丼は地球だけではなく全宇宙規模で愛されとるらしい」と言った。店から漂って来る牛丼の香りを嗅いでパーマが パーマ 「おい!早く入ろうぜ!」と言うと、真っ先に店に入った。  店に入るなり全員カウンターに一列に座った。そこでメガネが メガネ 「牛丼大盛り、たまご味噌汁おしんこ付き」と注文すると、店の店員が「かしこまりました」と言った。それを聞いてあたるが あたる 「あるんかい!」と突っ込んだ。他のみんなも「同じもので」と、全員同じ物を注文した。メガネは一口食べて メガネ 「な、なんと!この肉の柔らかさ、米に染み込んだタレと玉ねぎの甘みのシンフォニー、そして付け合わせの紅しょうががしょっぱ過ぎず、メインの肉の旨みをさりげなく引き出している。そして、たまごを加える事によってマイルドさが増し、一層食べやすくなっている。それにこの味噌汁だ、決して具は多くはないが、箸休めに丁度いい。これ程の牛丼を地球以外で食する事が出来ようとは、宇宙は我々の想像を遥かに超えている」と言った時、あたるが あたる 「メガネ、もう行くぞ」と言った。メガネが横を見ると、全員食べ終わっており既に席を立っていた。メガネは メガネ 「え?ま、待って」と言って、牛丼を一気に口に入れ味噌汁で流し込んだ。それを見てパーマが パーマ 「メガネのやつ、あんなウンチク言っても結局一気に食っちまって、味なんて分からんだろう」と言った。  一行は、牛丼屋を出ると再びラウに続いて歩き始めた。ラウが向かったのは、ある建物だった。ラウは、その中に入り ラウ 「皆さん、どうぞ。ここは安全です」と言った。弁天は中に入り建物の中を見渡すと 弁天 「なんだ?ここは?」と言った。弁天が聞くのも無理はない、その建物の中には何も無かったのだ。あたるも あたる 「何も無いではないか」と言い、ラムも ラム 「何もないっちゃねぇ」と言った。するとラウは ラウ 「ここには何も有りません、皆さんちょっと中央に集まってもらえますか?」と言った。みんな言われるままに中央に集まると、ラウはいつの間にか手に持っていたスイッチらしき物を押した。すると突然床が下がり出し、しばらく下がると停止した。ラウはスタスタと歩き出すと ラウ 「皆さん、こちらです」と言った。全員ラウの後に続いて進むと、   ゴゴゴゴゴゴゴゴ  と言う音と共に床が再びせり上がって行った。それを見て面堂が 面堂 「まるで、我が面堂家友引地区パニックセンターのマッハ軒のようだな」と言った。それを聞いてあたるが あたる 「じゃぁ、ここにもハリアーが有ったりしてな」と言ってニヤリと笑った。するとメガネが メガネ 「んなバカな事、有る訳無かろう!」と言ったと同時にラムが ラム 「有ったみたいだっちゃね」と言った。そこには、まさにハリアーにそっくりな戦闘機が有ったのだ。メガネは メガネ 「んな、バカな・・」と言って固まってしまった。メガネを後に一行はラウに続き更に奥に進んだ。メガネは、置いて行かれた事に気づき メガネ 「あ、ま、待って〜」と言って走って追いかけた。  ラウは、一番奥の部屋に入り ラウ 「ここです」と言った。その部屋の中央には、物々しい機械が有った。それを見てランが ラン 「なぁに?この機械」と言った。するとラウは ラウ 「これは、転送装置です」と言い、それを聞いた弁天が 弁天 「転送装置?」と言うと、それに対してラウは ラウ 「はい。この転送装置はある特定の場所にしか転送できませんが、その転送先が僕の宇宙船の中なんです」と言った。それを聞いて、全員が「何だって!!」と叫んだ。しかしお雪が お雪 「でも、その事は知られていないのかしら?」と言った。ラウはお雪の質問に ラウ 「はい、それは無いと思います」と答えた。すると面堂が 面堂 「なぜ、そう言い切れる」と言った。するとラウは ラウ 「何故なら、この転送装置は一度も使った事が無いからです」と言った。それを聞いたメガネは メガネ 「ちょっと待て!一度も使った事が無い装置を今使うのか?」と言った。続けてパーマが パーマ 「ちゃんと宇宙船まで転送されるんだろうな?」と言った。それを聞いたラウは ラウ 「使った事が無いと言っても、ちゃんとテストはしているので安心して下さい」と言い、ニコリと笑った。ラウの笑顔を見て、弁天が 弁天 「安全が確認されてるなら、こんんな手っ取り早いもんはねえぜ」と言った。だがラウは、今度は浮かない顔をして ラウ 「ただ、一つ問題が・・・」と言った。それを聞いたランは ラン 「問題やと?」と言い、皿に ラン 「どんな問題やねん」とラウに聞いた。するとラウは ラウ 「今僕の宇宙船が有るのは、ドッグです」と言った。それを聞いたあたるは あたる 「だから!それが何だっちゅうんじゃ!さっさと言わんかい!」と、イライラしながら言った。するとラムが ラム 「ダーリン、どうしたっちゃ?ずっとラウに対しての態度がおかしいっちゃ。ウチが寝てる間に何か有ったっちゃ?」と言った。それを聞いていた弁天が 弁天 《そう言うなってラム、あいつはおめぇをこんな目に会わせたラウの事がどうしても許せねぇんだよ》とラムの耳元で小声で言った。ラムは、弁天の言葉を聞いて ラム 《ダーリン・・そんなにウチの事心配してくれて・・・》と言った。すると弁天は 弁天 《あいつの性格考えると、今は放っておいた方がいいんじゃねぇか?》と言った。ラムは小さくうなずくと ラム 《そうだっちゃね》と言ったが、ラムは嬉しくてついあたるの腕にしがみついた。急にラムにしかみつかれたあたるは あたる 「な、なんじゃ!」と言うと、更に あたる 「ええい!今はそんな事をしてる場合では無かろう!」と言うと腕を振りほどいた。そして あたる 「時と場合を考えんか!」と言って、今度は再びラウに目を向けた。あたるとラムのやり取りを見ていたラウは、あたると目が合い慌てて ラウ 「あぁ、ドッグを出る為には宇宙港に続くゲートを開けなくてはなりません。しかし、その操作はドッグの指令室からでないと出来ないんです」と言った。それを聞いた面堂は 面堂 「ちょっと待て!て事は、誰かが指令室でゲートを開けてる間に宇宙船を宇宙港に運ばなければならない訳か?」と言った。するとラウは ラウ 「はい、そうなります」と言った。それを聞いたしのぶは しのぶ 「え?それじゃあ、誰か残らなくちゃならない訳?」と言った。しのぶの言葉に対してラウは ラウ 「僕が残ります。元々僕のせいだし、僕はこの星の人間なので」と言った。しかし弁天が 弁天 「おめぇ残るって・・おめぇが奴等裏切ったのは、多分バレてるぜ。そうなるとおめぇ、捕まればタダじゃ済まねぇぞ」と言った。するとラウは ラウ 「分かってます。でも、僕はもう自分の心に嘘はつけません」と言った。それを聞いてあたるが あたる 「ちょっと待て、お前が残ったら誰があの宇宙船を操縦するんだ?」と言うとラウは ラウ 「多分、僕が居なくても誰か動かせるでしょう?」と言い、弁天が 弁天 「あたいは、あのタイプは操縦した事ねえぜ」と言い、更にランが ラン 「ワイもあんなの操縦出来んどー」と言った。もちろんラムも ラム 「ウチは、その宇宙船すら見てないっちゃ」と言い、弁天が 弁天 「おい、お雪。お前も無理だろ?」とお雪に聞くと、お雪は お雪 「私も自分の宇宙船以外は、保険が効かないので」と言い、それを聞いた弁天が 弁天 「おめぇ!そこかよ!」と言った。するとお雪は お雪 「あら、大切な事よ。前もランの宇宙船で事故をしてしまった時め大変だったわよね?ラン」と言った。それを聞いて、すかさずランが ラン 「あほんだらぁ!ありゃあ、ワシの保険で直したんやないかい!」と言った。しかしお雪は お雪 「あら、そうだったかしら?」と平然と言った。それを聞いたランは、怒りを露にして ラン 「あらやないやろ!」と言った。するとラムが ラム 「まぁ、まぁ、ランちゃん」とランをなだめたが、ランは ラン 「ラム!おどれは黙っとれ!関係ないやろ!」と言って、まるで話を聞こうとしない。それを見ていた弁天は 弁天 「完全に話がそれてやがる」と言い、ランとお雪は無視してラウに 弁天 「ま、まぁ、見ていて分かったと思うが、あたいらの中に宇宙船を操縦出来るヤツは居ねぇってこった」と言った。するとラウは ラウ 「でも、誰かがゲートを開けないと・・・・」と言った時、面堂が 面堂 「おい、諸星。今こそ貴様の常人離れした逃げ足が役にたつ時だと思わんか?」と言ったが、あたるは あたる 「何故に俺がそんな危険な真似をせんといかんのだ?」と言った。すると面堂は 面堂 「ラムさんの為だ!お前以外に誰がいる!」と言い、日本刀を抜いてあたるに突きつけた。あたるは、その日本刀の切っ先を指でつまみ上げると あたる 「面堂、刃を向ける相手が違うと思うが」と言った。しかし面堂は 面堂 「ふふふ、僕はそうは思わんが」と言った。それを見ていたしのぶが しのぶ 「二人とも、今はそんな事してる場合じゃないでしょ?」と言い、続いてラムも ラム 「そうだっちゃ、遊んでる場合じゃないっちゃよ」と言った。それを聞いたあたるは あたる 「これの何処が遊んどるっちゅうんじゃ!」と言った。そして遂に弁天が 弁天 「てめぇら!いい加減にしやがれ!!」と怒鳴った。弁天は続けて 弁天 「あたいに考えがある」と言った。するとランが ラン 「また、しょうもない作戦ちゃうか?」と言ったが、お雪が お雪 「あら、ラン聞く前に判断してはいけないわ」と言った。ランは、渋々話を聞く事にした。弁天はラウの方を向き 弁天 「おいラウ、あたいのエアーバイクはどうした?」と聞くと、ラウは ラウ 「あ、格納庫に有ると思いますよ」と言った。それを聞いて弁天は 弁天 「よ〜し、じゃあ作戦はこうだ。まずあたいがエアーバイクで奴等を撹乱する。当然奴等はエアーバイクを追ってくるだろうけど、全員じゃねぇと思うから、残った奴等はお雪とランで適当にドンパチやってくれ、なるべく派手にな。ラウはその騒ぎに乗じて宇宙船を動かす準備を、そしたら諸星が敵の混乱に乗じてゲートを開けるんだ」と言った時、あたるが あたる 「え?俺が?」と言った。すると弁天は 弁天 「あぁ、おめぇの足は実証済みだからな」と言いニヤリと笑うと説明を続けた。 弁天 「それで宇宙船がゲートを抜けたら自力で戻って来い」弁天は、あたるの肩を叩いて 弁天 「危なくなったら助けてやるからよ」と言った。あたるひきつった笑顔を見せた。その時ラムが ラム 「ウチがダーリンと一緒に行くっちゃ。ゲートを開けた後、電撃で操作不能にしてやるっちゃ」と行った。それを聞いた弁天は 弁天 「なるほどな、ナイスアイデアだぜ」と言った。するとランは ラン 「やっぱりしょうもない作戦やないかい。でも、ワシ好きやでそう言うの」と言った。   その頃カロンは、自分の部屋でドイルを呼び出していた。   コンコン 扉をノックする音が聴こえ「入ります」と言う声と共にドイルが入って来た。部屋に入るなりドイルが口を開いた ドイル 「宇宙港への兵の配置は既に完了しています」と言った。するとカロンが カロン 「その事なんだが・・・」と言うと、ドイルは ドイル 「何でしょか?」と顔色一つ変えずに言った。カロンは言いにくそうに カロン 「もう、ラムの事は諦めようと思うのだが」と言った。それを聞いたドイルは ドイル 「カロン様!何を言ってるのですか!それが王の言葉ですか!」と言った。この時ばかりは、ドイルも困惑の表情を隠せなかった。しかしカロンは カロン 「なぁドイル。愛の無い結婚をして幸せになれると思うか?」とドイルに問いかけた。するとドイルは ドイル 「あなたは王です。王たる者、皆の手本にならなければなりません。故に、一度決めた事を御自分から放棄するなどもっての他!決して許される事では有りません」と言った。カロンは黙って聞いていたが、やがて口を開き カロン 「私は、王である前に一人の男だ。愛の無い結婚などしたくは無い」と言った。するとドイルは ドイル 「ならば、一度御自分の元に取り戻してから追放するなりすれば良いのです。このまま、おめおめと見逃しては王の威厳にかかわります」と言った。カロンは、うつ向いたまま何も答えなかった。それを見てドイルは ドイル 「私は、宇宙港へ出向きラム様奪還の指揮をとります」と言い、軽く頭を下げると部屋を出て行った。  ラウの宇宙船で脱出を計るあたる達、そしてそれを阻止しようとするドイル。ついに物語はクライマックスへ向け加速していく。  次回、エピソード12をご期待下さい。          エピソード11 END