§前回までのあらすじ§  ついに目覚めたラムを連れ、脱出に成功したあたる達。ラウの提案でラウの宇宙船での星からの脱出を計画した弁天だが、ドイルは兵を集め待ち構える。一方カロンはラム奪還に難色を示すのであった。       エピソード 12  弁天の計画を聞いたあたる達は早速計画を実行する為に転送装置に乗る事にしたのたが、誰が一番に行くかで揉めていた。あたるが口を開く あたる 「ここはまず、誰が一番に行くかを決めようではないか」あたるがそう言うと、メガネが メガネ 「うむ、まずは安全を確認したい」と言った。続いてパーマが パーマ 「そうだよな、ちゃんと宇宙船に転送されるのを確認しなきゃなぁ」と言うと、ラウが ラウ 「大丈夫ですよ、ちゃんと行けますから」と言った。しかし面堂は 面堂 「しかし、やはりこの目で確認しないと信用は出来ない」と言った。するとあたるが あたる 「じゃあ、生け贄が必要だな」と言い錯乱坊を見た。あたるの視線に釣られる様に他のメンバーも一斉に錯乱坊をみた。皆の視線を浴びながら錯乱坊は 錯乱坊 「な、なんじゃな?」と言った。それを聞いたあたるは あたる 「チェリー、お前は修行を積んだ坊さんだ。この転送装置に乗るくらい修行に比べたら、何て事ないだろう」と言って錯乱坊の襟を掴み、まるで子猫をつかむ様に持ち上げると転送装置の上に放り投げた。すると転送装置は周りを囲む様にシールドの様な物が出現し、錯乱坊は中に閉じ込められた状態になった。それを見たあたるは あたる 「チェリー、お前ならいかなる事態が起きても平気だろう。身をもってその装置の安全性を証明してくれ」と言った。それを聞いて錯乱坊は 錯乱坊 「これ!聖職者を粗末に扱うと天罰が下るぞ」と言ったが、あたるは聞く耳を持たず あたる 「おい、転送してみてくれ」と言った。するとラウは ラウ 「分かりました。宇宙船の内部はこのモニターに写し出されます。無事に転送されればモニターに写るはずです」と言い ラウ 「では、行きます」と言うと、転送装置のボタンを押した。すると転送装置は一瞬光ったと思うと、その光はすぐに消え錯乱坊の姿も消えていた。それを見たあたるは達は、すぐさまモニターに目をやると錯乱坊が映っているか確認した。転送は成功の様で、モニターには錯乱坊が映っていた。すると弁天が 弁天 「どうやら、この転送装置は使えるみてぇだな」と言った。それを聞いたラウは ラウ 「だから大丈夫って言ったじゃないですか」と言った。すると弁天は 弁天 「まぁ、気にするなって」と笑うと 弁天 「じゃ、次はあたいが行くぜ」と言うと転送装置の上に乗った。ラウは素早く装置を操作すると弁天は無事に転送され、他のメンバーも次々と転送装置に乗り、残るのはランとラウだけだった。ラウが ラウ 「さぁ、ランさんも転送装置へ」と言うと、ランは ラン 「あら、ラウさんはどうするの?」と聞いた。するとラウは ラウ 「あ、僕は最後に」と言ったが、ランは ラン 「嘘を言うな、嘘を!ワシの目は節穴ちゃうど。さっきっから見とったが、この転送装置は遠隔操作は出来んタイプや。つまり、お前がお前自身を転送する事は不可能っちゅう事や」と言った。それを聞いたラウは ラウ 「さすがです、ランさん」と言った。ランが ラン 「お前、何考えとんのや?」と言うと、ラウは ラウ 「さっきの弁天さんの作戦ですが、かなり効果的だと思います」と言った。それを聞いてランは ラン 「せやから、皆でやろうっちゅう話やないか」と言った。しかしラウは ラウ 「効果的ではありますが、ひとつ足らない事が」と言った。するとランは ラン 「足らん事って何やねん?」と聞き、ラウは ラウ 「弁天さんが陽動をかける前に、敵の注意を宇宙船から逸らせておく必要が有ります」と言い、更に ラウ 「確かに、この転送装置は遠隔操作は出来ません。と言うか、転送装置の上からでは出来ないと言った方がいいですかね。とにかく、ランさんの言う通りに僕が僕自身を転送するのは難しいです。だから、僕は外からドッグに入り敵の注意を引き付けますので、タイミングを見計らって陽動をかけてもらえば」と言うと、ランが ラン 「そんな事すれば、お前捕まってまうやないか」と言った。するとラウは、モゾモゾとポケットから何かを取り出すと ラウ 「大丈夫です。僕にはこれが有りますから」と言った。ランは、ラウが取り出した物を見て ラン 「なんやねん、これは?」と言った。ラウは ラウ 「これは、簡易転送装置です。持ち運び出来る携帯型の転送装置なんですが、範囲が狭いので対称物の近くじゃないと使えないんですよ・・・でも、ドッグ内なら宇宙船内には転送出来るはずです」と言うと転送装置を再びポケットに入れた。それを聞いてランは ラン 「なるほど、ほなお前信じるで」と言うと転送装置の上に乗った。ラウは ラウ 「任せて下さい」と言うと転送装置を起動させた。 ランが宇宙船内部に転送されると、 それを見た弁天が 弁天 「 随分遅かったじゃねーか、 ラウはどうした?」 と、ランに聞いた。ランは ラン 「 まだやる事があるんですって」 と言い、転送装置から降りた。すると弁天は 弁天 「 やる事ってなんだよ?」と言ったが、ランは ラン 「 ランちゃんわかんな〜い」と言ったが、心の中では ラン ( アホ 言えるわけないやろが ) と 思った。 それを聞いた弁天は 弁天 「 け、 じゃあ 奴がくるまで待つとするか」と言い、更に 弁天 「 あたいは、エアバイク見てくるからラウが来たら教えてくれ 」と言うと、 格納庫に向かった。そんな中、面堂が外の様子を伺うと 面堂 「 すごい数の兵士たちだ」と言った。ドッグ内は、多数の兵士たちにより完全に占拠されていた。そして面堂は 面堂 「 この転送装置が無かったら入り込む事さえ 難しかったな」と 言った。  しばらくしてしのぶが声をあげた しのぶ 「 ねえ、見てあれ!」しのぶの声で全員が一斉にしのぶの指さす方を見ると、ドッグの 入り口の方で 何やら騒ぎが起きている。その時、ラムが叫んだ ラム 「 あれ、ラウだっちゃ!」ラムの言葉に続き、メガネが メガネ 「あ、あいつなんであんなところに」と言った。 騒ぎを聞きつけた弁天が 弁天 「 おい、どうした?」と、 格納庫から出てきて 窓の外を見ると、ラウに向かって 周辺の兵士達が 集まっていくのが見えた。それを見た弁天は 弁天 「 あの馬鹿!無茶しやがって」と言うと、 格納庫へ駆け込み 弁天 「 作戦開始だ!」と言い、 エアバイクを発進させた。 突然あらわれた エアバイクに兵士たちは動揺し、 隊列が完全に乱れた。それを見たドイルは ドイル 「ふ、陽動か。なかなかやるな」と言うと兵士たちに ドイル 「慌てるな、陽動だ!絶対にゲートを開けさせるな!」と言うとラウの方を見て ドイル 「ラウ、やはりお前だったか」と言った。するとラウは ラウ 「ドイル様、申し訳ありません、あなたを裏切る様な事になってしまって。しかし、僕はラムさんの悲しむ顔は見たくないんです」と言った。それを聞いたドイルは ドイル 「それがどう言う事か分かって言っているのだろうな?お前は王を、いやこの星を敵に回す事になるのだぞ」と言った。しかしラウは ラウ 「・・・覚悟の上です」と言った。ラウの覚悟を知ったドイルは ドイル 「そうか・・・お前の覚悟は分かった。だが、いくらお前とは言え反逆行為は決して許されない!私は全力でお前を叩き潰す」と言った。その時、指令室周辺で激しい爆発が起きた。ドイルは ドイル 「何事だ!」と言い指令室の方を見た。ドイルが爆発に気をとられている隙にラウは、何かを足元に投げつけた。すると周辺は一瞬にして煙に包まれた。ドイルは ドイル 「煙幕か、小癪な」と言い、兵士に向かって ドイル 「視界の確保出来るところまで下がれ!」と言いラウの近くから離れた。指令室周辺の爆発は、ランがバズーカを撃った為だった。ランは、ラウ周辺の煙幕を見て ラン 「ラウのやつ、うまくやりおったやないかい」と言い、更にバズーカをドイル達に向かって撃った。 ラウはその隙に携帯型の転送装置を使い宇宙船内に移動した。宇宙船内では突然現れたラウにみんな驚いたが、ラウは気にもせずに宇宙船を動かし始めた。ドッグでは、お雪とランの攻撃で指令室周辺は完全に無人になっていた。それを見てラムが ラム 「ダーリン、今だっちゃ!」と言うと、あたるの手を持ち指令室まで飛んで行った。あたるは あたる 「おい、おい、ラム」と言ったがラムは構わず飛んで行き、指令室の所であたるを下ろした。あたるとラムは急いで操作パネルの所へ行きゲートを開けようとしたが、あたるが あたる 「おい、ラム。どれがゲート開けるスイッチだ?こんなヘンテコな字は読めんぞ」と言った。するとラムも ラム 「ウチも初めて見る文字だっちゃ」と言い、二人はお互いの顔を見た。あたるが、首をかしげて考えているとラムは突然 ラム 「こうなったら、順番にスイッチ入れてくっちゃ」と言い、端のスイッチを入れた。すると激しいサイレンと共にドッグの天井に有ったクレーンが動き出し、ラウの宇宙船に向かって下降を始めた。それを見たあたるは あたる 「ラム!すぐにスイッチを戻せ!!」と声をあげた。ラムは慌ててスイッチを戻し ラム 「あぁ、ビックリしたっちゃ〜」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「あのなぁ!何のスイッチか分からんのにいきなり押すな!もし自爆スイッチとかだったらどうするつもりじゃ!」と言った。するとラムは ラム 「ごめんちゃ」と言って舌を出し、続けて ラム 「でも、自爆スイッチなんてある訳ないっちゃよ」と言ってニコリと笑った。あたるは あたる 「ったく、もう少し考えて行動せんか」と言って椅子に座り肘をついた。   カチッ あたる 「ん?カチッ?」 その音と共に今度は、指令室が揺れ出した。あたるは思わず あたる 「じ、地震か!?」と言ったが、ラムが ラム 「ちがうっちゃ!この指令室が下がってるっちゃ!ダーリンが押したボタンは緊急脱出用のボタンだったっちゃ!」と言った。それを見ていたエアバイクに乗った弁天は 弁天 「おいおい、何してやがる!」と言い、宇宙船内のラウは ラウ 「やっぱり僕が行くべきでした」と言った。ドイルに至っては、続けて起こる不可解な事態にもはや言葉も無く、ただ呆然と見つめるだけだった。その時ラムが、あたるに ラム 「早く解除ボタン押さないとだっちゃ!」と言った。あたるは、あたふたしながら自分が押したボタンを見ると、そのボタンは赤いボタンで隣に青いボタンが有った。あたるは あたる (まさか、この青いボタンが解除ボタンか?脱出ボタンの隣に解除ボタン?そんな安易な考えでいいのか?)と思ったが、早くしないと指令室が完全に床下に入ってしまう状況で迷ってる余裕は無かった。あたるは あたる 「え〜い!ままよ!」と言って青いボタンを押した。すると指令室の振動は一旦停止し、すぐにまた振動を始めたが今度は指令室が上昇を始めた。それを見てラムが ラム 「考えて行動した方がいいっちゃね。ダーリン」と言って、あたるを見つめた。あたるは あたる 「う、うるさい!それよりお前宇宙人なんだからなんとかしろ!」と、むちゃくちゃな事を言った。それを聞いたラムは ラム 「そんな事言ったって、読めないものは読めないっちゃ」と言ったが、何か思い出した様にブラの中に手を入れて何かを取り出した。それを見ていたあたるは あたる 「お前のブラは、どうなっとるんじゃ?」と言った。するとラムは取り出した手のひらサイズの物をあたるに見せ ラム 「コンパクト翻訳機だっちゃ」と言って操作をすると翻訳機をスイッチの文字の所にかざした。すると読めない文字は、違う読めない文字になった。それを見たあたるは あたる 「なんじゃ、また読めんぞ?」と言ったが、ラムは ラム 「この文字はウチの星の文字だっちゃ」と言って、ニコッと笑い、文字を読んだ ラム 「これ、自爆スイッチだっちゃ」と言った。それを聞いたあたるが あたる 「みろ!自爆スイッチがあるではないか!」と言うと、ラムは ラム 「良かったっちゃ。ウチ次にこのスイッチ入れようと思ってたっちゃ」と言った。それを聞いたあたるは あたる 「な、お前そんな恐ろしい事を」と言い、続けて あたる 「とにかく、早くゲートを開けるスイッチを探せ」と言った。ラムは翻訳機を見ながら次々とスイッチを見て行き、やがて ラム 「有ったっちゃ!」と言うと一つのスイッチを入れた。すると   ゴゴゴゴゴゴ と言う低い地鳴りの様な音がしてゲートがゆっくりと開き始めた。それを見て全員が一斉に ラウ 「やった!」 面堂 「おぉ!」 しのぶ 「やったわ!」 メガネ 「さすがラムさん!」 パーマ 「やったな!」 カクガリ 「やった!」 チビ 「うわぁ、やった〜!」 テン 「ラムちゃんなら、当然やな」 弁天 「やりやがった!」 お雪 「さすがね」 ラン 「フン、ワシらのおかげやど」 そして、錯乱坊は 錯乱坊 「食い物は無いかのう?」と言い、例の如く  ドガッ  バキッ  グシャッ 宇宙船内にいる全員に袋叩きにされた。錯乱坊が 錯乱坊 「は、腹が減っては戦は出来ぬと言うではないか・・」と言うと、メガネが メガネ 「貴様の様な緊張感のかけらも無い奴には制裁じゃ!」と言った。  ゲートの開放を見たドイルは ドイル 「なかなかやるではないか」と言うと、近くの兵士に ドイル 「おい、手動でゲートを閉めて来てくれ」と言った。すると兵士は 兵士 「はっ!」と言い、すぐにゲートに向かった。それを見てドイルは ドイル 「簡単には行かせんぞ」と言うと薄い笑みを浮かべた。  一方、指令室のあたるが あたる 「ラム!こんな所でグズグズしてられん!行くぞ!」と言うと、ラムは ラム 「まだダメだっちゃ!ゲートが完全に開かないと」と言った。あたるは あたる 「そんなの放っておけば開くだろーが!」と言い、ラムの手を引いた。するとラムは ラム 「この操作パネルを壊して行かないと、すぐに閉められてしまうっちゃ」と言い、あたるから手を離した。あたるは あたる 「くそ!早く開け!」と言って、ラムの横に立った。ラムはそんなあたるに ラム 「ダーリン・・ありがとだっちゃ」と言って優しい笑顔を見せた。あたるは あたる 「お前だけ置いて行くわけにはいかないからな」と言った。その時、ゲートは宇宙船が通るには充分な広さに開いたので、ラムは ラム 「あれだけ開けば大丈夫だっちゃね」と言うと、続けて ラム 「ダーリン、少し離れてるっちゃ」と言うと両手に電気を貯め始めた。あたるは慌ててラムから離れ、機械の陰に隠れた。するとラムは ラム 「行くっちゃよ〜」と言うと、両手に貯まった電気を操作パネルに向かって放電し始めた。電気は電撃となり操作パネルに直撃し、操作パネルはバチバチと火花を散らし、やがて煙を上げて全てダウンした。それを見てラムは ラム 「これでよしっと」と言って、あたるの方を振り返るとあたるは、感電しながら あたる 「か、壁を伝わって感電した」と言った。それを見てラムは、あたるの所に飛んで行き ラム 「あ、ダーリンごめんっちゃ」と言った。あたるは あたる 「いや、気を付けなかった俺が悪い」と言いながら、なんとか立ち上がり あたる 「グズグズしてる隙は無い!行くぞラム!」と言いながら、ラムの手を引き指令室を出た。するとちょうどそこに弁天が来て 弁天 「おい!乗れ!」と言った。あたるは素早くエアバイクの後部シートに座った。ラムは ラム 「ウチは、飛んで行くから早く行くっちゃ」と言った。それを聞いて弁天は 弁天 「じゃあ、行くぜ!飛ばすから、しっかり捕まってろよ!」と言うと同時に急発進した。弁天はエアバイクの上から敵の進行を食い止めてたランとお雪に 弁天 「おい!撤収するぞ!」と大声で叫んだ。弁天の声を聞いてランが ラン 「ほな、最後にまとめてお見舞いするで」と言い、持っていた武器の全弾を発射した。お雪も お雪 「氷の壁を作ります」と言って、敵兵の前に巨大な氷の壁を作った。敵兵が氷の壁に足止めされている隙に、弁天とラムに続いてランとお雪も宇宙船に乗り込んだ。ラウは、それを確認すると宇宙船をゆっくりと前進させ始めた。それを見てドイルは ドイル 「そう簡単には行かせん」と言うと、開いていたゲートがゆっくりと閉じ始めた。するとラムが ラム 「何でだっちゃ?操作パネルは破壊したのに」と言った。するとラウが ラウ 「きっと手動でゲートを閉めたんです。緊急時に備えて、手動でもゲートを開閉出来る様になってるので」と言った。窓の外を見ていたメガネが メガネ 「このままだとゲートを抜けられそうにないぞ!」と言った。それを聞いてラウは ラウ 「誰かが、再び手動でゲートを開けなくてはなりません」と言った。しかし弁天が 弁天 「手動で開けるったって、そいつは返ってこれねぇんじゃ」と言ったが、再びラウは ラウ 「僕が行きます!」と言った。それを聞いて面堂が 面堂 「しかし、それじゃあ宇宙船の操縦は?」と言い、ラムも ラム 「そうだっちゃ、お前が宇宙船操縦しなければゲートを出ても飛び立てないっちゃよ?」と言った。するとラウは ラウ 「心配しないで下さい。僕は、簡易転送装置を持ってますから」と言い、それを聞いたランが ラン 「そうや、転送装置があったんやなぁ」と言った。ランの言葉を聞いた弁天が 弁天 「ラン、てめぇラウがあたいらの陽動の囮になるの知ってやがったな!」と言ったが、ランは ラン 「え〜、何の事?ランちゃんわかんな〜い」と言った。弁天は呆れて 弁天 「アホくさ、相手にする気にもならねぇぜ。とにかく急いだ方が良さそうだな」と言うとラウは ラウ 「じゃあ、僕がゲートを開けたら一気にゲートを通過して下さい」と言い、外に出る準備を始めた。そしてラウは全員の顔を見ると ラウ 「じゃあ、行ってきます」と言ってゲートに向かって黒いエアバイクを走らせた。ラウが手動スイッチに近づくと、どうやらスイッチの所には二人だけしか兵士が、居ない様だ。ラウはエアバイクを兵士達の死角に停め、二人の兵士達の上空に向かって無人のエアバイクを走行させた。兵士達がエアバイクに気付き、そちらに気を逸らせた隙に麻酔銃で兵士二人を眠らせ手動スイッチの所へ移動した。  ラウは、ゲートのストップボタンを押し、続けてオープンボタンを押した。ゲートは一旦止まり再び開き始めた、ラウは通信機を使い宇宙船内部と連絡を取った。 ラウ 「ゲートは開いていますが、僕は宇宙船が通過するまでここで手動スイッチを守ります」ラウがそう言うと、弁天が 弁天 「いいか、危なくなったら迷わず逃げろよ!」と言った。するとラウは ラウ 「心配しないで下さい。宇宙船が充分通れるだけ開いたらスイッチを破壊しますから」と言い爆薬を仕掛けようとしたが、スイッチの有る柱をみて  ラウ 「この柱を破壊してしまうと上に有る通路が崩れて、宇宙船の進行を妨げてしまうかもしれないな。爆薬をスイッチだけ破壊できる程度にした方が良さそうだ」と言って、爆薬を仕掛けた。  一方ゲートが開き出したのを見たドイルは ドイル 「まだ氷は破壊出来ないのか!」と兵士達に言った。兵士は 兵士 「申し訳有りません、爆薬を使うには近すぎるので少しづつ壊して行くしかないんです」と言った時、氷の壁は砕けて道が拓けた。それを見てドイルは ドイル 「全軍ゲートへ急げ!」と号令をかけた。敵兵は一斉にゲートに押し寄せ、それを見たラウはスイッチに爆薬を仕掛け、その場を離れた。ラウは、陰に隠れ ラウ 「もう少し、もう少しだ」と言った。しかし、後少しの所で敵兵がスイッチのすぐ近くに迫ってきた。ラウは ラウ 「まだ爆破出来ない・・・仕方ない」と言うと ラウ 「おい!こっちだ!」と言って姿を現した。敵兵達は一斉にラウの方を見た。するとラウは ラウ 「気を付けた方がいいぞ!そこには爆弾が仕掛けてある!それ以上近づいたら、このスイッチを押す!」と言って手に持ったスイッチを見せた。それを見て兵士達はその場で止まった。しかし、ドイルは ドイル 「止まるな!それほど強力な爆弾は仕掛けられてはいない!いいところ手動スイッチを壊せる程度だ。柱は破壊出来ないだろうからな」と言った。それを聞いた兵士達は、再びジリジリとラウに近づいて行った。ラウは ラウ (これ以上離れると爆薬を除去されてしまうかもしれない)と思い動けずに居た時、突然「全軍撤退せよ!!」と誰かの叫び声がした。その声にラウとドイルはもちろん敵兵も一斉に声の方を見るとそこには、なんとカロンが居た。ドイルはカロンの姿を見ると ドイル 「カロン様!何故ここに?」と言った。するとカロンは カロン 「ドイルの事だから、絶対に彼らの逃走を許すまいと強行手段に出るだろうと思ったからな」と言った。それを聞いたドイルは ドイル 「当然です!全てはカロン様の為では有りませんか!」と言った。しかしカロンは カロン 「ドイル、お前は私に忠実で実に頼りになる部下だ。しかしそれ故に、ときに暴走する事がある・・・私は言った筈だ、もう彼らに構うなと」と言った。その様子を見ていた宇宙船内部のあたる達は何が起きているのか理解出来なかった。その時面堂が 面堂 「何やら、揉めているようだな」と言うと、メガネも メガネ 「あぁ、もしかして今チャンスなんじゃないか?」と言った。すると弁天が 弁天 「よし!ゲートは宇宙船が通れる位は開いてるし、この隙に一気に通り抜けるぜ!」と言うと宇宙船の推進レバーを倒すと、宇宙船はゲートに向かって加速を始めた。宇宙船が加速を始めたのを見たラウは ラウ 「よし、今だ!」と言うと手に持っていたスイッチを押した。すると、スイッチの横にセットした爆薬が  ボンッ!! と小さな音をたててスイッチを破壊した。ゲートが停止したのを見てラウは ラウ 「皆さん聞いて下さい。宇宙船はゲートを出ればオートパイロットで宇宙まで上がります」と言った。それを聞いたランは ラン 「何で、そげな事いちいち言うねん。はよ戻らんかい」と言った。しかしラウは ラウ 「ランさん、すみません。僕は嘘をつきました、転送装置は有りません」と言った。するとランは ラン 「なんやて?さっき転送して来たんちゃうんか?」と言った。それを聞いてラウは ラウ 「はい、さっきは転送で移動しましたが、簡易転送装置は緊急時の物なので使い捨てなんです。僕の持っていた簡易転送装置は一つだけ、もうそちらに帰る手立ては無いんです。だから、僕に構わず皆さんは行って下さい!」と言い通信を切ろうとした時、あたるが あたる 「おい!お前ふざけるなよ!さんざん俺達を振り回しておいてそれで済むと思ってるのか!お前は何がなんでも帰って来て、俺達にちゃんと謝れ!」と言った。それを聞いたラムは ラム 「ダーリン・・・」と言うと ラム (ダーリンはなんだかんだ言ってもラウの事仲間だと思ってたっちゃね)と思い、改めてあたるの優しさに触れた気がした。一方ラウは、あたるの言葉に心を打たれ目に涙を浮かべていた。ラウは、なんとか言葉を絞り出し ラウ 「あたるさん・・ありがとうございます・・」と言うと、通信を切った。ラウは気持ちを入れ替えてカロンの方を見た。カロンはドイルと会話を続けていたが、ラウの視線に気づきラウの方を見た。ラウを見つめるカロンの目は、 敵対心はまるで無く 逆に優しさを感じた。ラウは ラウ ( 理由はわからないが、カロン様は 僕を捕らえるつもりは無いらしい )と思った。敵兵士達は、突然カロンが現れ撤退命令を出した事に戸惑いを隠せなかった。そんな兵士達を見てドイルは ドイル 「お前達、何をしている!船は今やゲートを通過しようとしている。早く攻撃しろ!」と言った。しかし兵士は 兵士 「しかし、船を破壊したら中のラム様まで」と言い、それに対してドイルが ドイル 「誰が破壊しろと言った!船体に穴でも開けてしまえば星からは出られん」と言うと、兵士は 兵士 「了解しました」と言って、一斉攻撃の体勢をとった。その時再びカロンが カロン 「全軍撤退と言ったはずだ!」と叫んだ。するとドイルが ドイル 「何故です!カロン様。このまま逃しては、あなたの名声も地に落ちます!」と言うと、カロンは カロン 「名声?そんな物などどうでも良い」と言った。それを聞いたドイルは、珍しく動揺して ドイル 「カロン様!王ともあろう者が簡単にその様な事を口にしてはなりません!」と言った。するとカロンは カロン 「王か・・確かに私は王だ。だが、王である前に一人の男だ!私は、ラムの為に危険を覚悟で我が星まで来て、尚ラムの心の鍵を開ける為にラムの心の中に入り、見事それを成し遂げ、そして今またラムと帰る為に命をかけている諸星あたるが羨ましい・・私にはその様な愛する女性は居らぬ」と言った。それを聞いたドイルは ドイル 「ならば、カロン様もラム様を愛すれば」と言ったが、カロンは カロン 「ラムではダメなのだ!」と言った。するとドイルは ドイル 「何故です?」と言うとカロンは カロン 「ラムの中には諸星あたるが居る。仮にこのまま私の所に居ても、私を愛する事は決して無いだろう」と言った。しかしドイルは ドイル 「それでも、カロン様にはラム様と結婚してもらわねば」と言った。カロンは、ドイルを睨み カロン 「何故だ!」と叫んだ。するとドイルは ドイル 「人の噂と言う物は怖いものです。もし彼らを逃せば、カロン様を無能扱いして笑う者も出てくるはずです。最初は些細な事でも、時間と人によって大変な問題になる可能性があります」と言った。ドイルの話を聞いてカロンが カロン 「バタフライエフェクトの事を言っているのか?遥か遠い所の蝶の羽ばたきが、長い時間と距離によって竜巻を引き起こすと言う」と言うと、ドイルは ドイル 「そうです。カロン様の軽はずみな行動が国を危機に陥れるかもしれないと言う事です」と言った。しかしカロンは カロン 「なるほど、だが我が国はそれほど脆弱なのか?もし、その程度で崩壊する様な国なら、いっそ壊れてしまった方が良い。その様な弱い国では、遅かれ早かれ崩壊は免れん」と言った。それを聞いたドイルは、唖然としてカロンを見ていたが突然大声で笑い出し ドイル 「確かにその通りです。やはりカロン様は王たるお方だ、私が間違っていた様です」と言い、宇宙船を見ると今まさにゲートをくぐる所だった。ドイルは兵士達に ドイル 「全軍撤退だ。今後彼等には一切関わるな!」と言い撤退命令を出した。カロンは、そんなドイルに カロン 「ドイル、すまない」と言うと、笑いながら カロン 「やはり、お前は頼りになる。誰よりも国の事を考えているからな」と言った。するとドイルは ドイル 「もし、今回の事で国が崩壊しても私はカロン様の側は離れませんからね」と言って笑った。それを見てカロンは カロン 「そう言えば、お前があんな笑い方したのは始めて見たな」と言った。ドイルは、カロンと引き上げながら後ろを振り返ったが、そこにはもうラウの姿は無かった。  宇宙船はゲートを抜けると、浮上を始め一気に加速して大気圏を抜けた。宇宙船の中では、みんな脱出出来た事を喜んでいた。そんな中、お雪がラムに お雪 「でもラム、無事に帰れて何よりね」と言った。するとラムは ラム 「ありがとうだっちゃ、みんなも本当にありがとうだっちゃ」と言い、頭を下げた。それを見たメガネが メガネ 「ラムさん!やめて下さい!ラムさんのピンチに駆けつけるのは当然の事です」と言うと、続けて面堂も 面堂 「そうですよ、僕はいつだってあなたの為なら命を捨てる覚悟は出来ています」と言った。それを聞いたあたるは あたる 「よく、そんな臭いセリフ吐けるな。そう言う事を口にする奴ほど危なくなったら真っ先に逃げるんじゃないのか?」と言い、それを耳にした面堂は 面堂 「なにぃ!僕が逃げるだと?貴様、どれだけ僕を愚弄すれば気が済むのだ!そこになおれ!刀の錆びにしてくれる!」と言い刀を抜こうとした時、宇宙船は急停止し面堂は刀を持ったまま激しくコケ、顔面を強打した。メガネがうつ伏せに倒れた面堂を仰向けにすると顔面を強打したせいか、あたるにも勝るとも劣らないアホ面になっていた。ラムが心配そうに覗き込み ラム 「終太郎大丈夫だっちゃ?」と声をかけると、面堂はサッと立ち上がり 面堂 「ラムさんは、なんて優しいんだ」と言った。顔は元通りに治っていて、それを見たパーマは パーマ 「相変わらず信じられん回復力だな」と言った。宇宙船が停止した事で弁天が 弁天 「確かラウが言っていたな、オートパイロットで宇宙まで上がるって・・・こう言う事だったのか」と言い、壁を叩いて 弁天 「こんな所で止まっちまって、どうしろってんだ!」と言った。それを見てお雪が お雪 「弁天、無闇に壁とか叩かない方がいいわよ」と言うと、弁天は 弁天 「うるせー!」と言い、更に 弁天 「ラウのヤロウ、勝手な真似しやがって」と言いながら、通信装置をいじり始め 弁天 「とにかくラムの親父に連絡とらねぇとな」と言った。しかし、しばらく通信装置をいじっていた弁天が 弁天 「なんだこりゃ?ちっとも通信出来ねぇじゃねぇか」と言った。するとランが通信装置の所へ行き、少しいじった後 ラン 「認証が必要みたいやな」と言うと、弁天が 弁天 「認証?誰のだ?」と言い、ランは ラン 「ラウに決まっとるやないか」と言った。それを聞いて弁天は 弁天 「なにぃ!じゃあ、ラウが居ねぇと通信も出来ねぇ訳か?」と言った。    その頃ラウは、地下の隠れ家にいた。ラウは転送装置を操作しながら手に持ったリモコンの様な物をみた。それは、転送装置の遠隔リモコンだった。ラウは ラウ (これを使えば離れた場所からでも転送装置を起動出来る。しかし・・・転送装置の上で使った場合、最初の段階でシールドが張られてしまう。そうなると、シールド越しにリモコンを使う事になる。問題は、ちゃんとした座標の信号を転送装置に送れるかどうかだ、もし座標が狂ったら・・・とんでもない所に転送される事になる。今、宇宙船は宇宙空間だろうから下手すると・・)と思い、冷や汗を垂らし ラウ 「迷ってても、仕方ない。やるしか無いんだ・・」と言うと、転送装置に乗った。そして、最初のスイッチを押すとシールドが張られた。ラウは覚悟を決め、座標を送るスイッチを押そうとした瞬間、突然シールドが消えた。ラウは何が起きたか分からず、一瞬戸惑ったが転送装置の方を見て驚いた。なんと、そこにはカロンとドイルが居たのだ。転送装置のシールドが消えたのは、ドイルが転送装置のスイッチを切ったからだった。ラウは驚きのあまり、声が出なかった。そして、やっと言葉を絞り出し ラウ 「カロン様にドイル様、何故ここが?」と言った。するとドイルが ドイル 「私が、ここの事に気づかないと思ったのか?」と言うとニヤリと笑い、更に ドイル 「お前、転送装置の上からリモコンで転送しようとしたのか?」と言った。ラウは ラウ 「僅かな可能性に賭けようと思いました」と言った。するとドイルは声を出して笑い ドイル 「やはり、お前はどこか抜けてるな。可能性は僅かも無い、可能性は0だ。もし装置を起動していたら、間違いなくお前の存在自体が消えていたぞ」と言った。それを聞いたラウは滝の様な汗を流し始めた。その時カロンが カロン 「ラウ、お前のとった行動は国に対しての反逆行為だ」と言った。ラウはうつむいて黙って聞いていた。カロンは続けて カロン 「だが、お前のとった行動は正しい行動でもある」と言うと、それまでうつむいていたラウが顔を上げた。カロンは、更に続けた カロン 「しかし、いくら正しい行動とは言え反逆行為には違いない。反逆行為に対しては、それなりの処罰がある。私とドイルはそれを告げに来たのだ」と言った。話を聞いてラウは ラウ 「処罰・・・」と言った。そして、カロンは カロン 「ラウ、お前をこの星から追放する」と言った。ラウは、カロンの言葉の意味が良く分からず ラウ 「つ、追放ですか?」と言った。すると、ドイルが ドイル 「相変わらず鈍いな、カロン様の気持ちが分からんのか?」と言った。それでもラウは分からず ラウ 「カロン様の気持ち?」と言った。それを聞いてドイルは ドイル 「つまり、お前にはこの星から出て行ってもらう。だが、お前に宇宙船をくれてやるつもりは無い。しかし、ここには都合がいい事に転送装置があるではないか。これで、お前を転送してやる、お前の宇宙船に」と言った。それを聞いたラウは、カロンとドイルの気持ちを知り目から涙が止めどなく流れ落ちた。それを見てドイルは ドイル 「まったく、お前と言う奴は」と言うとラウの肩に手を置いた。その様子を見ていたカロンは カロン 「追放と言っても、この星で暮らす事が無ければ自由に出入りしていいからな」と言った。ラウはカロンの言葉に、もはや言葉にならない言葉で ラウ 「あびばどうごだいばふ」と言った。するとドイルが ドイル 「何を言ってるのか、まるで分からん。いいから早く転送装置に乗れ、転送してやる」と言った。ラウは、カロンとドイルに深々と頭を下げると転送装置に乗った。ドイルが転送装置を起動させると、転送装置は一瞬ひかり次の瞬間にはラウの姿は消えていた。それを見てドイルは ドイル 「行ってしまいましたね」と言った。するとカロンは カロン 「あいつには、宇宙でもっと成長してもらわないとな」と言って笑った。  その頃宇宙船内では、弁天がイライラして行ったり来たりしていた。それを見てお雪が お雪 「弁天、少しは落ち着いてはどう?」と言った。そんなお雪を見て 弁天 「これが落ち着いていられるか!てか、お前落ち着きすぎだろう!」と言った。と、その時突然船内が光り次の瞬間ラウが現れた。それを見て、全員が驚き、駆け寄りながら 弁天 「ラウじゃねぇか!」 ラム 「ラウ!」 お雪 「あら」 ラン 「ラウやないか」 あたる 「お前!」 面堂 「ラウ!」 しのぶ 「え?ラウ?」 メガネ 「なんと!」 パーマ 「おお!」 カクガリ 「ラウ!」 チビ 「あ!ラウだ」 錯乱坊 「ふ・・・」  グシャ! パーマ 「ん?何か踏んだか?」 メガネ 「気のせい、気のせい」 全員が、ラウのまわりに集まった。錯乱坊を除いて・・・ すぐに、ランがラウの所に駆け寄ると  パンッ! ランは、ラウの頬にビンタをして ラン 「今度ワシを騙す様な事が有ったら、こんなもんじゃ済まさんど」と言った。みんなランの意外な行動に驚き固まっていたが、ラウが頬を撫でながら ラウ 「皆さん、本当に迷惑をかけてしまいました。ごめんなさい」と言って頭を下げた。そして、あたるとラムの方を向くと ラウ 「あたるさん、ラムさん、僕のした事は許される事では無いと思います。許して欲しいなんてむしのいい事は言いません。ただ、謝らせて下さい。本当に申し訳ありませんでした」と言って、深々と頭を下げた。するとラムは ラム 「もう、いいっちゃよ。こうして無事に帰れるんだし。それに、ウチはいい事も有ったっちゃ」と言ってニコリと笑った。一方あたるは、そっぽを向いている。それを見たラムは ラム 「ほら、ダーリン。意地はってないで」と言った。しかしあたるは、そっぽを向いたまま あたる 「ふん、別に意地なんか張っとらんわい」と言った。するとラムは ラム 「じゃあ、何でラウの方を見ないっちゃ?」と言ったが、ラウは ラウ 「ラムさん、いいんです。あたるさんが許せないのは当然ですから」と言った。ラウの言葉を聞いてあたるは あたる 「誰が許さないと言った」と言いラウの方を見た。そして あたる 「事によっては、無かった事にしてもいいと思ってる」と言った。それを聞いてラムは ラム 「なんか嫌な予感がするっちゃ」と言った。一方ラウは ラウ 「何ですか?僕に出来る事なら何でもします」と言った。すると、あたるは あたる 「だったら、ひとつだけ教えてくれ・・・お前、姉さんか妹は居ないか?」と言った。ラウは、あたるが何を言おうとしているか分からず戸惑っている。ラムは、バチバチと放電をしながら ラム 「やっぱり、そんな事だったっちゃねー!」と言い、あたるに噛みつき電撃を放った。あたるは あたる 「うぎゃぁぁぁぁぁぁ」と叫び声を上げた。その光景をみて、面堂が 面堂 「救いようが無いな」と言い、メガネは メガネ 「アホが、ラムさんの前で堂々と。こうなる事も予測できんとは」と言った。 やがて、電撃で倒れたあたるにテンが近づき テン 「ほんま、お前アホやなぁ」と言った。その時、弁天が 弁天 「おい、遊びはそのくれぇにしてラウに聞きてぇ事が有るんだけどよぅ」と言うと、ラウは ラウ 「あ、はい。何ですか?」と言った。すると弁天は 弁天 「ちょっと通信装置使いてぇんだが、認証がいるみてぇでさ」と言った。それを聞いてラウは ラウ 「あ、すみません、ロックがかかってたんですね」と言うと急いで通信装置のところに行き、操作パネルをいじりだした。少ししてラウが ラウ 「はい、これで使えるはずです」と言った。弁天は、早速通信装置で通信を始めた。やがて、モニターにはラムの父が映し出された。それを見たラウは ラウ 「あ、あなたは!」と言った。それを聞いた弁天は 弁天 「ん?知り合いだったか?」と言ったが、ラムの父は ラム父 「ワシはそんな奴しらんど」と言い、ラウは ラウ 「あ、い、いや、随分立派な角だしラムさんのお父上かと思い」と言った 。それを聞いて弁天は、コケて 弁天 「おいおい」と言って、苦笑いをした。その時、ラムが ラム 「父ちゃん!」と言ってモニターの前に行った。そのラムの姿を見てラムの父は ラム父 「おぉ!ラム!無事やったんやな?どこぞ怪我なぞしとらんか?」と言った。するとラムは ラム 「うん。ウチはダーリンが守ってくれたから何ともないっちゃ」と言った。ラムの父は ラム父 「おぉ!そうか。うんうん」と言って何度も頷いて ラム父 「じゃぁ、全て終わったんやな?」と言った。それを聞いた弁天は 弁天 「あぁ、殺されかけたけどな。こいつのお陰で、無事脱出出来たぜ」と言ってラウを見た。ラムの父は ラム父 「何?殺されかけたやと?」と言い身を乗り出したが、すぐにまた座り直し ラム父 「まぁ、みんな無事やったならそれでええ」と言うとラウに ラム父 「ほんにすまなかったな」と言った。それを聞いてラウは ラウ 「いえ、僕は当然の事をしただけです。この後は、僕が責任を持って皆さんを送り届けますので、安心して下さい」と言った。するとラムの父は ラム父 「うむ。みんなラムの為に、ほんにすまなかった。ほな気を付けて帰るんやで」と言うと通信を切った。ラムの父との交信が終わると、ラウは ラウ 「では、地球に向かいます」と言うと、地球に向けて宇宙船を発進させた。  宇宙船の中、みんなほとんど寝てないせいか、あたるとラム意外は宇宙船を操縦しているラウを除いて全員が眠りについていた。そんな中、あたるがラムに話しかけた あたる 「それにしても、色々あったな」あたるが、そう言うとラムは ラム 「うん。でも、ウチ少し嬉しかったっちゃ」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「そう言えば、さっきラウにも、そんな様な事を言ってたなぁ」と言った。するとラムは ラム 「うん。ウチ長い間眠ってたみたいだけど、初めは真っ暗で何も無い所で一人きりで居て、凄く怖かったっちゃ。でも、途中からダーリンの夢見てたっちゃ」と言った。それを聞いたあたるが あたる 「夢?一体どんな夢見たんだ?」と言うと、ラムは ラム 「何だか、不思議な夢だったっちゃ。ダーリンが注射を撃たれた時の夢とか、ダーリンとウチの未来の夢とか、去年のクリスマスの夢とか」と言った。あたるは、ラムの話を聞いてがく然とした。ラムは試練の話をしているのは明らかだったが、何故その内容まで知っているのかが不思議だった。夢邪気の話では、あの試練の扉の先は現実世界だったはずだ。眠っていたラムが知ってるはずが無い。それよりも、その内容を知ってると言う事は、その時のあたるの言葉も知っている事になる。それを考えて、あたるは急にたまらなく恥ずかしくなった。そんなあたるをよそに、ラムは話を続けた ラム 「未来の夢では、ダーリンがウチにプロポーズしてくれたっちゃ」ラムは、そう言うと目を閉じ頬を紅く染めた。そして、更に ラム 「去年のクリスマスの夢は、ダーリンがウチにペンダントをプレゼントしてくれたっちゃ」と言い、あたるの肩に頭をもたれた。あたるは、益々恥ずかしくなった。そしてラムは ラム 「そして、その夢が終わったらまた暗い場所にもどったっちゃ。でも、そこでダーリンの声が聞こえたっちゃ。ウチは、ダーリンの声を頼りに進んで行ったっちゃ。そしたら、遠くに小さく光が見えて、ウチは光に向かって飛び込んだっちゃ。そしたら、目が覚めたんだっちゃよ。だから、ウチはダーリンに助けてもらったっちゃ」と言うと、満面の笑みを浮かべた。今回の事で何度も見てきたラムの笑顔、あたるは今までこのラムの笑顔をないがしろにして来た気がした。あたるは あたる (ラウも言っていた。ラムの笑顔を取り戻したいと。俺は、もう絶対にラムから笑顔を奪う様な事はしない!)と思うと、ラムの事を無性に抱き締めたくなり、まだ何かを喋っているラムを抱き締めた。急にあたるに抱き締められたラムは驚き ラム 「ダーリン?」と言った。すると、あたるは あたる 「夢の事はもういい。俺達が今居るのは現実だ・・・夢は・・夢だ」と言った。ラムは、あたるの温もりを感じながら ラム 「・・うん・・」と言った。やがてあたるとラムは見つめ合い、お互いに申し合わせた様に目をつむり、お互いの唇を近づけた。そして、唇と唇が触れようと言う時「ラムさん、これ返すの忘れてました」と言う声と共に、ラウが部屋に入って来た。あたるは、ラウの声に驚きキスの寸前でコケ、ラムではなく壁にキスをしてしまった。それを見たラウは ラウ 「あれ?あたるさん、壁にくっついて何してるんですか?」と言った。あたるは あたる 「おまーなぁ」と言ってラウを睨みつけた。ラウは ラウ 「あ、僕何か悪いことしました?」と言ったが、ラムは ラム 「もう、いいところで」と言うと口を尖らせた。そして、ラウに ラム 「ところでウチに返す物って何だっちゃ?」と言い、ラウは思い出した様に ラウ 「あ、これです。星に入る時に無くしたら大変だと思って、宇宙船に保管しておいたんです」と言って、ラムに手渡した。ラムは、それを受け取ると驚愕した。それは、あたるがくれたペンダント。あたるが、第三の試練でラムにプレゼントしたペンダントだった。ラムは ラム 「これって、夢でダーリンがくれた・・・」と言った。ラムの記憶では去年のクリスマスには、あたるからプレゼントは貰っていないはずだった。あたるは固まっているラムの所へ行くと あたる 「ん?どうしたんだ?ラム」と言って、ラムの持っているペンダントを見て言葉を失った。あたるは あたる (ば、はかな!・・まさかあれは本当に過去で、俺は過去を変えたって言うのか?)と思った。ラムは、ペンダントを見て驚いているあたるに ラム 「ダーリン・・これ・・どういう事だっちゃ?」と言った。あたるはラムの声に我に返り、ラムに全てを話す事にした。 あたる 「ラム、良く聞いてくれ。お前が見た夢は、夢じゃない現実なんだ」あたるがそう言うと、ラムは ラム 「現実?」と、聞き返した。あたるは続けた あたる 「あぁ、俺もそのペンダントを見るまでは夢邪気の言ってた事が信じられなかったが」と言うと、ラムが ラム 「夢邪気?・・夢邪気・・なんか聞いた事ある様な・・」と言った。すると、あたるは あたる 「あ、夢邪気の事はいい。とにかく、俺は眠り続けるお前を起こそうとラウの星に行き、そこでお前を起こす方法を知った。その方法は、お前の心の鍵を開く事だったんだ」と言った。ラムは ラム 「心の鍵・・」とつぶやいた。あたるは更に あたる 「あぁ、ただ心の鍵を開く為にはお前の心の中に入り3つの試練をクリアしなければならなかった。その3つの試練が、お前の見た夢だ」と言った。それを聞いてラムは ラム 「3つ試練?一体どんな試練だったっちゃ?」と、あたるに聞いた。あたるは あたる 「まぁ、簡単に言えば現在の試練、未来の試練、過去の試練で、現在の試練は俺がラウに撃たれた時で、実際に起こった通りに事が進む様にする事だった。そして、未来の試練は決められた未来の出来事を変える事だった」と、そこまで言うとラムが ラム 「ちょっとまって、未来ってダーリンがウチにプロポーズしてくれた時だっちゃよね?」と言った。すると、あたるは あたる 「あぁ、そうだよ」と言ったが、ラムは ラム 「あんな幸せな未来を変えるって・・」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「あれは、変えた結果なんだ」と言った。するとラムは ラム 「じゃぁ、本当の未来は?」と言ったが、あたるは あたる 「もう存在しない未来の事なんてどうだっていい」と言い あたる (ラムが死ぬ未来なんて言えるか!)と思い、話を続けた。 あたる 「そして、過去の試練はお前に安らぎを与える事だった。それで俺はお前にペンダントをあげたんだよ」と言うと、ラムは大きな瞳一杯に涙を浮かべて ラム 「ダーリンは、ウチの為に・・ウチの為に」と言うと、溜まっていた涙は溢れ出しラムは、あたるに抱きついた。あたるはラムの透き通った蒼い瞳を見て あたる (こいつは、俺が一生守ってみせる)と思った。その時あたるは、妙な視線と殺気を感じゆっくりと振り返ると、そこには目を覚ましたみんなが二人を見ていた。 弁天は、ニヤニヤしながら お雪は、優しく微笑み ランは、ぶりっ子の笑顔で 面堂は、日本刀を抜いて、険しい表情で メガネは、悔しそうに パーマは、怒りの表情で カクガリは、歯ぎしりをしながら チビは、怒りで涙ぐみ しのぶは、あきれ顔で 錯乱坊は、合掌しながら それを見たあたるは、急に恥ずかしくなり あたる 「え〜い、いつまで引っ付いとるんだ!離れんかい!人前で恥ずかしい」と言った。しかしラムは ラム 「嫌だっちゃ、ウチぜ〜ったいダーリンから離れないっちゃ!」と言うと、嬉しそうにあたるにしがみついた。     エンディング曲    All You Need Is Love           作詞:田村直美           作曲:田村直美             Joey Carbone           編曲:鷹羽 仁              月光恵介           歌 :田村直美           エピソード12 END