§前回までのあらすじ§  第一の試練をクリアし、第二の試練に挑戦したあたる。因幡に不審者の様な服を着せられ、未来のあたるとラムの運命を変える事が試練だった。何も分からないまま、二人を観察するあたるだったが・・・      エピソード 9  しばらくして、ラムはUFOに、あたるは会社に出掛けて行った。不審者あたるは、あたるの後をつけて今日のあたるの行動を観察する事にした。あたるは駅から電車にのり二つ隣の駅で降りた。不審者あたるは、乗客から不審な目で見られながらもあたるの後を追って電車を降り、駅を出た。そこはビルが立ち並ぶオフィス街で不審者あたるもあまり来た事の無い街だった。駅から少し歩くと、あたるに若い女性が駆け寄り声をかけた。 女性 「あたる君おはよう」知り合いなのか女性は気軽にあたるに声をかけ、あたるも気軽に答えた あたる 「おう、しのぶ。おはよう」不審者あたるは、あたるの言葉を聞き改めてその女性をみると 不審者あたる 「し、しのぶ?後ろ姿だったからと言って、この俺がしのぶに気付かないとは」と言って若干落ち込んだ。不審者あたるは二人の会話が聞き取れる様に、危険を承知で近づき二人の会話に聞き耳を立てた。すると、しのぶがあたるに話しかけた しのぶ 「それで、どうなの?式場と日程は決まったの?」しのぶがそう言うとあたるは あたる 「あぁ、なんとかな日程は6月がいいと思うんだがどうだろう?」と言い、しのぶも しのぶ 「あ、いいんじゃない?June brideなんて素敵だし」と言って微笑んだ。そして しのぶ 「じゃぁ、私こっちだから」と言って交差点を曲がって行った。あたるは あたる 「あぁ、じゃぁまたな」と言って真っ直ぐ進んだ。不審者あたるは、二人の会話を聞いて 不審者あたる 「June bride?結婚?俺が?まさか、しのぶと?」と半分パニックになった。あたるは、しのぶと別れた後少し歩いた所にあるビルに入って行った。そのビルがあたるの勤務先らしい、そのビルにはデカデカとひょっとこのシンボルマークがついていた。それを見て不審者あたるは思わず声をあげた 不審者あたる 「な、なにーーーーーーーー!」不審者あたるの声に辺りの人達が一斉に振り向いた。不審者あたるは回りの事など目に入らないのか、ひょっとこのシンボルマークを見て愕然としている。 不審者あたる 「こ、このマークは、このマークは・・・・ま、まさか面堂の・・・」そう言って、その場に立ち尽くした。少しして、不審者あたるは我に帰り周りを見渡した。あまりにも、その場には不釣り合いな出で立ちに加え、不審者そのものの姿からか、今や周りは人だかりになっていた、不審者あたるは慌ててその場から離れ人気の無い路地に逃げ込み心を落ち着かせ、一言つぶやいた 不審者あたる 「よりにもよって、何で面堂の会社に・・あれじゃ、面堂に頭が上がらなくなるではないか・・未来の俺は一体何を考えているんだ」不審者あたるは、悔しさのあまり近くに有ったポリバケツを蹴飛ばした。すると「うわ〜」と声がして誰か出て来た。不審者あたるは誰かと思いポリバケツをどかしてみると、そこには因幡が倒れていた。それを見て不審者あたるは 不審者あたる 「お前、因幡じゃないか!」と言った。因幡は 因幡 「ひどいなぁ、あたるさん蹴飛ばす事ないじゃないですか」と言った。すると不審者あたるは 不審者あたる 「お前が居るなんて知る訳なかろう!てかお前、あれだけ人の未来に関わっちゃダメとか言っときながら、こうしてしっかり関わってるじゃないか」と言った。それを聞くと因幡は 因幡 「あたるさんに伝え忘れた事が有って、急いで飛んできたんです」と言った。不審者あたるは 不審者あたる 「急いで飛んで来たって、もう2日も経ってるぞ?」と言った。すると因幡は 因幡 「ここでは、2日でも向こうでは1分も経ってないですよ」と言った。不審者あたるは 不審者あたる 「なに?そうなのか?随分違うものなんだな」と言い、更に 不審者あたる 「それより、俺に伝え忘れた事って何だ?」と因幡に聞くと、因幡は 因幡 「あ、そうだ!実はこの試練は、だだクリアすればいいって訳じゃないんです。ラムさんの未来を最悪のものから回避出来ればクリアなんですが、あたるさんの行動次第でこの未来の結末が変わりますから、最悪の未来が最高の未来になる事だって有る訳ですよ」と言った。それを聞いて不審者あたるは 不審者あたる 「なんだって?最悪の未来を回避したらその未来が無くなるんじゃないのか?」と言った。すると因幡は 因幡 「最悪の未来のシナリオは無くなって、新しい未来になるんです」と言い、不審者あたるの手を握り 因幡 「だから、頑張って下さい!僕応援してますから!と、これを言い忘れたんです」と言った。不審者あたるは 不審者あたる 「頑張るったって、何を頑張ればいいんだ?どんな結末なのか分からなければ回避のしようが無いだろう?」と因幡に聞いた。因幡は 因幡 「え?あ、あぁ確かにそうなんですけど・・・でも、絶対に有ってはならない未来なんです!全て、あたるさんにかかってるんです!ラムさんの命が!」と言って自分の言った事に気付き思わず口を押さえた。それを見た不審者あたるは 不審者あたる 「なに?因幡、お前結末を知っているのか?ラムの命ってどう言う事だ!説明しろ!」と因幡の襟首を掴み前後に激しく振った。因幡は苦しそうに 因幡 「う、く、苦しい・・・」と言った。不審者あたるは手を離し、再び因幡に聞いた 不審者あたる 「おい!お前しってるんだろう?結末を!」と聞くと因幡は 因幡 「あ、いや、実はその」と曖昧な返事をした。不審者あたるは 不審者あたる 「知ってるならおしえろ!ラムはどうなるんだ!」と言った。因幡は、不審者あたるの気迫に押されついに話始めた 因幡 「全てを話す訳にはいかないですが、結末だけなら・・・」と言った。不審者あたるは 不審者あたる 「あぁ、わかった」と言うと因幡は 因幡 「僕から聞いたって言わないで下さいね、このまま行くとラムさんは失意の中事故で命を落とす事になります」と言った。それを聞いた不審者あたるは愕然として 不審者あたる 「ラ、ラムが・・そんな・・・」と言った。不審者あたるの頭の中を、この世界に来てからのラムの姿がよぎった。あたるの誕生日にあんなにはしゃいでたのに、あたるに食事に誘われてあんなに喜んでたのに、そのラムが命を落とす事になるなんて不審者あたるには、どうしても信じられなかった、いや信じたくなかった。不審者あたるは因幡に聞いた 不審者あたる 「なんで、そんな事に!俺が原因なのか?」あたるの問いに因幡は 因幡 「そ、それは答えられません。これ以上の事は絶対に言えないんです。もし、それをあたるさんが知ってしまったら予備知識が有ると認識されて、強制的にこの世界から退去させられて、試練は失敗になります」と言った。不審者あたるは 不審者あたる 「そうか・・・そんな未来!俺は認めん!俺がぶち壊してやる!!」と言った。すると因幡は 因幡 「そうです!あたるさんならきっと出来ますよ!僕は、これ以上ここには居られないので帰りますが、あたるさんの事を信じてますから」と言うと、空間の歪みに姿を消した。残された不審者あたるは路地裏から、あたるの会社のビルを監視しながら思った 不審者あたる (そう言えばさっきしのぶと結婚式らしき話をしていたが、それが原因なのか?だとすると、俺が誰と結婚するのか調べねば。だが、どうやって?) そんな事を考えながら刑事ドラマさながらに張り込みを続けた。  時間は既に5時を回ったが、まだあたるが出てくる気配は無い。不審者あたるも、8時間の張り込みはさすがにこたえたらしく、疲れが見え始めた。と、その時あたるがビルから出て来た。不審者あたるは 不審者あたる 「来た!」と言うと急いであたるの後を追いかけた。なんとか見失わずに済んだものの、また電車に乗るのかと思うと気が重くなってきた。  不審者あたるは、周りの視線を一点に受けながらなんとか友引町の駅までついた。あたるは真っ直ぐ家に向かっている様だ、きっと家ではラムがいつも通りにあたるの帰りを待っているのだろう。あたるは家に着き玄関を開けるといつもの様に あたる 「ただいまー」と言って家の中に入って行った。不審者あたるは急いで木に登るとあたるの部屋を覗いた。やはりラムはあたるの帰りを待っていた様でドアの所であたるが入ってくるのを待っていた。不審者あたるは、そんなラムの姿を見ているとこの未来でラムの身に起こる事がどうしても信じられなかった。 不審者あたる 「因幡は、ラムが失意の中事故で命を落とすって言ってたが・・・失意の中って事は俺とラムの間で何か起こるんだよな?とてもそんな風には見えんが・・ただ、朝のしのぶとの会話で言ってた式場がどうとかってのが気にかかるな」と言った。不審者あたるはさっきから部屋を見ているが、帰って来たはずのあたるがまだ部屋に入って来ない。ラムも、ちょっと首をかしげて手を後ろに回してモジモジしている。不審者あたるは 不審者あたる 「おかしいなぁ、まだ上がって来ないなんて」と言った。それから少しして部屋のドアが開きあたるが入って来た。するとラムはすぐに ラム 「ダーリン、おかえり〜♪お疲れ様だっちゃ」と言って、ニッコリと微笑んだ。あたるは あたる 「あぁ、ただいま」と言った。ラムが ラム 「ダーリン、すぐ上がって来なかったけど」と言うと、あたるは あたる 「あぁ、ちょっと電話してたんだよ」と言った。するとラムは ラム 「あ、そうだったっちゃ。ウチはてっきりまた出掛けたのかと思って少し心配だったっちゃ」と言った。あたるは あたる 「今日は出掛けないけど」と言った。ラムは ラム 「良かったっちゃ♪」と喜んであたるの腕に抱きついた。しかし、思い出した様に ラム 「でも、さっきダーリン『けど』って言ったっちゃよねぇ?」とあたるに聞くと、あたるは あたる 「あ、あぁ・・・実は、明日どうしても外せない予定が出来てしまって、お前と出掛けられなくなったんだ」と言った。それを聞いたラムはあたるの腕から離れて ラム 「え?どうしてだっちゃ?ウチと出掛けるより大切な用事だっちゃ?」と言った。あたるは あたる 「悪いな・・・また今度一緒に出掛けよう」と言った。するとラムは ラム 「ウチ、ウチ凄く楽しみにしてたのに・・・ダーリンの・・バカ・・」そう言うと泣きながら窓から夜の空に飛んで行ってしまった。不審者あたるは、その様子を見ていて心の中の不安が大きくなるのを感じていた。あたるは、ラムが飛び去った夜空をじっと見つめていたが、その顔はとても寂しそうに見えた。その夜、結局ラムは帰って来なかった。翌朝、あたるが出掛けるのを見て不審者あたるは、あたるの後を尾行した。あたるはティッシュ配りのバイトをしているビルとはまるで違う方向に歩いていき、やがてある建物の前で止まった。不審者あたるがその建物を見ると 不審者あたる 「友引ブライダル?結婚式場?」と言った。あたるは結婚式場に来たのだ。あたるは中入って行ったが、不審者あたるはまさか今の格好では入れないので外の電話ボックスの後ろで待つ事にした。不審者あたるは、あたるが何のために結婚式場に来たのか分からなかった。人の結婚式の事で来るはずもないから、やはりあたる自身の結婚式の事で来ているのだろう。不審者あたるは 不審者あたる 「ラムとの結婚式ならラムを連れてくるはずだが、ラムは知らなそうだし・・となると、いったい誰と結婚するんだ?俺は」と言うと、不安が膨れ上がってきた。不審者あたるは 不審者あたる 「まさか、これがラムの失意の原因?」と言うと、じっとして居られなくなりその場を行ったり来たりし始めた。事情を知らない人が見れば、まさに不審者そのものである。するとその時、建物からあたるが出てきた。なにやらキョロキョロと周りを見てる。何かを探している様だ、するとこちらを見て走って来た。不審者あたるは、張り込みを気づかれたかと思い焦った。しかし、ここで逃げればなお怪しく思われるので、自分が隠れている電話ボックスに背を向けて立つ事にした。するとあたるは、慌ただしく電話ボックスの扉を開けて中に入った。どうやら、電話を探していた様だ。不審者あたるは、ホッと胸を撫で下ろした。不審者あたるは 不審者あたる (電話を探してたのか、焦らせおって。しかし、考えてみれば好都合ではないか!ここなら、電話の内容が聞き取れる。結婚相手も解るかもしれん)と思うと耳に全神経を集中させた。あたるは、小銭を入れると何処かに電話をかけた。少しすると相手が出たようで、話始めた。 あたる 「あ、しのぶか?悪いけど今から友引ブライダルに来てくれないか?」あたるが電話した相手はしのぶだった。それを聞いた不審者あたるは 不審者あたる (しのぶ?)と思い、更に耳を澄ませた。流石に相手の声は聞き取れず、しのぶが何を言ってるのかは分からなかった。すると、再びあたるが あたる 「悪いな、俺じゃドレス決められなくてさぁ」と言った。不審者あたるは、それを聞いて 不審者あたる (な、ドレスって・・まさか俺はしのぶと結婚するのか?)と思った。その時あたるが あたる 「あぁ、デザインとか俺よりお前が見た方がいいんじゃないかと思ってさぁ」と言った。不審者あたるは 不審者あたる (本当にしのぶと結婚するのか?だったら、だったら何でラムと一緒に居るんだ、ラムの気持ちは分かってる筈だろう!!)と思い、怒りがこみ上げてきたがグッと堪えて聞き耳を立てた。するとあたるは あたる 「あぁ、じゃあ友引ブライダルの所の電話ボックスで待ってるから」と言って電話を切った。不審者あたるは、ふと思った 不審者あたる (はっ!まさか、この試練の目的は結婚式をぶち壊す事か?)そんな事を考えているうちに、しのぶが現れた。あたるは あたる 「あ、しのぶー!こっちこっち」と言って手を振った。しのぶは、あたるに気付き小走りで近づいてきて しのぶ 「もぉ、私だって暇じゃないのに」と言った。するとあたるは あたる 「悪い悪い、しのぶくらいしか頼めるやつ居なくてさ」と言った。それを聞いてしのぶは しのぶ 「いくらサプライズだからって、何でわたしがラムのドレス決めなきゃならないのよ〜」と言った。それを聞いた不審者あたるは 不審者あたる (え?ラムのドレス?)と思った。するとあたるが あたる 「そんな事言うなよ、な。俺とお前の仲じゃないかぁ」と言って、しのぶの肩に手を回した。しのぶはすかさずあたるの手をつねり上げた。あたるは あたる 「いたたたっ」と言うとニヤニヤしながら手を引っ込めた。不審者あたるは 不審者あたる (結婚式は俺とラムの結婚式だったのか)と思った。その時しのぶが しのぶ 「でも、ご両親にも言ってないんでしょ?費用とか大丈夫なの?」と言った。するとあたるは あたる 「うちの親に言ったら、うっかり口滑らせてラムの耳に入りかねないからな」と言った。不審者あたるもそれに関しては同感だった。あたるは続けて あたる 「費用は、貯金と足らない分はアルバイトで稼いだよ」と言った。するとしのぶが しのぶ 「え〜、あたる君がバイト?信じられない」と目を丸くした。それを聞いていた不審者あたるは 不審者あたる (なるほど、それでティッシュ配りを・・自分の事ながら、自分とは思えん)と思った。あたるとしのぶは、二人で建物の中に入って行った。不審者あたるは 不審者あたる 「結婚式が俺とラムのだとすると、ラムの失意の原因は結婚式じゃないよな?」と言ってふと空を見上げて愕然とした。なんとそこにはラムの姿が有ったのだ。不審者あたるが 不審者あたる (ラ、ラム!いつから見てたんだ?)そう思った時、ラムは飛び去って行った。不審者あたるは 不審者あたる 「まずいぞ!これは!!」と言って、急いで家に向かった。木に登りあたるの部屋を見たが、ラムの姿は無い。不審者あたるは 不審者あたる 「これか・・・これでラムはショックを受けて・・」と言った。しかし、空を飛ぶ事の出来ない不審者あたるにはラムを探すべがない。ただ、そこでラムが来るのを待つしかなかった。ラムが帰って来る気配はまるで無い、もしこのまま帰って来なければ運命を変える事は出来ないだろう。だんだん日も陰り始めて、不審者あたるは焦っていた。不審者あたるは 不審者あたる 「このままでは、ラムは・・・」と言った時、ラムが帰ってきて窓から部屋に入った。あたるがまだ帰って来てないのを確認すると、窓から出て来て屋根の上に座り ラム 「あれは、しのぶだったっちゃ。何でダーリンしのぶと結婚式場に?」と言って、更に ラム 「ダーリン今日の予定って、あれだったっちゃ?だとしたら、ウチ・・・」と言って目に涙を浮かべた。そしてラムは ラム 「ダーリン・・ウチ、もう・・」と言った。ラムの目からは、止めどなく涙が溢れて来る。しばらく黙ってうつむいていたが、やがて ラム 「ダーリン・・さよならだっちゃ・・」と言うとゆっくり立ち上がった。それを見ていた不審者あたるは 不審者あたる (まずい、今はなんとか引き止めないと)と思い、木の枝から屋根にしがみつきなんとか這い上がると 不審者あたる 「お嬢さん!」とラムに声をかけた。するとラムは這い上がってきた不審者あたるを見て ラム 「お前誰だっちゃ?」と言いながら涙を拭った。不審者あたるは 不審者あたる 「私は通りすがりの者です。決して怪しい者では有りません」と言った。するとラムは ラム 「お前、充分怪しいっちゃ」と言った、そして更に ラム 「その通りすがりの者がウチに何の用だっちゃ?」と言った。不審者あたるは 不審者あたる 「実は、諸星あたるとあなたの事でちょっと」と言ったが心の中では 不審者あたる (思わず飛び出してしまったが、この後どうすれば・・)と思っていた。ラムは ラム 「ダーリンとウチの事?」と言って、怪訝な顔をして更に ラム 「どうして、通りすがりの者のお前がダーリンとウチの事を?」と言った。不審者あたるは 不審者あたる (う、さすがラム、鋭いとこ突いてくる)と思いながらも 不審者あたる 「実は私は、諸星あたるの事を良く知っているのです。あなたよりも」と言った。するとラムは ラム 「それを信用しろって言うっちゃ?」と言った。不審者あたるは 不審者あたる 「私を信用して下さい」と言った。ラムは、不審者あたるをじっと見つめ ラム 「そのマスクとサングラス外したら信用してやるっちゃ」と言った。不審者あたるは 不審者あたる (な、ラムのやつ・・)と思いながらも 不審者あたる 「それは出来ないんです。でも、まず話を聞いて下さい」と言った。するとラムは不審者あたるの顔に顔を近づけてサングラスの奥をじっと覗く様にして ラム (こいつ、悪人じゃなさそうだっちゃね。嫌な気配が無いっちゃ)と思い ラム 「ふ〜ん、分かったっちゃ。話を聞くっちゃ」と言った。不審者あたるはホッとして 不審者あたる (良かった。しかし何を話せばいいやら)と思い 不審者あたる 「諸星あたるのあなたに対する気持ちですが」と言った。それを聞くとラムは ラム 「ダーリンの気持ち?」と言った。それを聞いて不審者あたるは 不審者あたる 「はい、諸星あたるはあなたの事を大切に思っていると思います」と言った。するとラムは ラム 「何でお前にそんな事が分かるっちゃ?」と言った。不審者あたるは 不審者あたる (自分の事だからに決まっとろうが)と思いながらも 不審者あたる 「それが、分かってしまうんです。私には超能力があるので」と言った。ラムは ラム (超能力?ますます胡散臭いっちゃ)と思い、ニヤリと笑って ラム 「その超能力で、ダーリンの何が分かったっちゃ?」と悪戯っぽく言った。不審者あたるは 不審者あたる (ラムがあの顔をする時は、相手を試す時だ)と思い 不審者あたる 「あれ?もしかして信じてない?」と言った。するとラムは ラム 「うん、全然」と言うと、満面の笑みを見せた。不審者あたるは、その笑顔を見てこの後のラムの運命を呪った。不審者あたるは 不審者あたる (何故ラムが・・こんな笑顔を作れるラムが・・いつも俺だけを 一途に思ってくれてるラムが・・)そう思うと知らず知らずに涙を流していた。それを見たラムは ラム 「お前、泣いてるっちゃ?」と言うと、不審者あたるの顔を覗き込んだ。不審者あたるは、自分が涙を流している事に気付き、慌てて後ろを向くと涙を拭った。そして再びラムの方を向き 不審者あたる (何か言い訳をしなくては)と思い 不審者あたる 「いや、実は花粉症なんです」と言った。それを聞くとラムは ラム 「花粉症?」と聞くと不審者あたるは 不審者あたる 「はい」と言った。ラムは ラム 「花粉症ねぇ・・・じゃあ、ウチが聞くっちゃ。ダーリンは何で終太郎の会社に入ったっちゃ?」と言った。不審者あたるは 不審者あたる (俺が聞きたいわい!)と思いながらも 不審者あたる 「そんなどうでもいい事は、分かりません。ただ言える事は、諸星あたるはあなたを裏切ってないと言う事です」と言った。それを聞いたラムは ラム (何でだっちゃ?こいつの言う事は、妙に説得力あるっちゃ。でも、ウチはダーリンとしのぶが結婚式場に入るのを見たっちゃ)と思い思わず口走った ラム 「じゃあ何でしのぶと結婚式場に行くっちゃ!」ラムの瞳は、悲しみに満ちていた。不審者あたるは 不審者あたる (よし、そうだラム!不満は全部おれにぶつけろ!)と思い 不審者あたる 「その理由を私の口から言う事は出来ません。でも、諸星あたるはあなたを裏切っていない!それは信じて下さい」と言った。するとラムは ラム (こいつは何を言ってるっちゃ?しのぶと結婚式場に入ったって事は、しのぶと結婚するつもりだっちゃ。でも、こいつの話を聞くと不思議と不安が無くなるっちゃ)と思い ラム 「ダーリンがしのぶと結婚式場に入ったのは何か理由が有るって言うっちゃ?」と言った。不審者あたるは 不審者あたる 「そうです、だからこのまま去るのは賛成出来ません。諸星あたると話をするべきです」と言った。それを聞いてラムは ラム (何で、こいつはこんなにウチとダーリンの事を?)そう思って、はっと何かに気づいた様に ラム 「分かったちゃ、確かにちゃんとダーリンに聞く事は大切な事だっちゃ。ウチ、ダーリンの口から今ウチが思ってる事を聞くのが怖かったっちゃ。でも、お前の言う通りだっちゃ。どうするか決めるのは、ダーリンとちゃんと話してからでも遅くないっちゃ」と言うと不審者あたるに近づき、不審者あたるをそっと抱き締めた。不審者あたるも思わずラムを抱き締めそうになったが、なんとか思いとどまり 不審者あたる 「あ、見知らぬ者にそんな事しては」と言った。するとラムは、不審者あたるの耳元で ラム 「見知らぬ者じゃないっちゃ。ウチには分かるっちゃ、もう一人のダーリンだって・・・ありがとだっちゃ」と言った。それを聞いた不審者あたるは 不審者あたる 「え?何で」と言った。ラムは ラム 「好きな人の事は自然とわかるものだっちゃ。最初に話した時から感じてたのが何だったのか、やっとさっき分かったっちゃ」と言った。不審者あたるは訳が分からず 不審者あたる 「感じてたもの?」と聞いた。するとラムは ラム 「それは、安心感だっちゃ。何だか、とても安心できたっちゃ。それで分かったっちゃ、どんな理由か分からないけど、この人はダーリンなんだって」と言うと、またあの満面の笑み浮かべた。それは、不審者あたるも知っている天真爛漫なラムの笑顔だった。不審者あたるは嬉しかった、ラムが自分があたるだと気づいてくれた事に。しかし、これは喜んでばかりはいられない。不審者あたるの正体がバレたら失格となり、試練は失敗に終るのだ。そこで、不審者あたるは 不審者あたる 「な、何を言ってるんですか、私はただの通りすがりの者です」と言った。それを聞いたラムは ラム 「きっと、正体明かせない理由があるっちゃね。なら、不審者さん本当にありがとうだっちゃ。おかげで、凄く勇気がでたっちゃ」と言った。その時丁度あたるが帰って来た。それを見たラムは ラム 「あ、ダーリンが帰って来たっちゃ」と玄関を見ながら言った。そう言うと再び不審者あたるに抱きつき ラム 「ありがとうだっちゃ。ウチ、ダーリンに本当の事を聞いてみるっちゃ」と言うと、窓からあたるの部屋に入った。不審者あたるは、ラムに抱きつかれた事が心地よくて少しの間そこを動く事が出来なかった。不審者あたるはふっと我に帰り再び木の枝を伝わって、あたるとラムの様子を見た。すると、部屋のドアが開きあたるが部屋に入ってきた。ラムは ラム 「ダーリン、おかえりだっちゃ・・」と言った。ラムの不安感は外で見ている不審者あたるにも伝わるほどだった。ラムの言葉にあたるは あたる 「あ、ただいま。ラム」と言った。ラムはあたるの目を見つめながら ラム 「ウチ・・ダーリンに聞きたい事があるっちゃ」と言った。するとあたるは あたる 「ん?何だ?実は俺もお前に言わなきゃならん事が有るんたが」と言った。それを聞いたラムは ラム (え?まさか、今日の結婚式場の事?)と思い更に不安が増したが ラム (でも、さっきのもう一人のダーリンの言った事を信じるっちゃ)と思い ラム 「あ、じゃあダーリンから言って?」と言った。あたるは あたる 「そうか?分かった」と言うと、話し始めた あたる 「ラム、実は今までお前に隠していた事が有るんだ」と言った。ラムは ラム 「え?何だっちゃ?」と言った。平静を装おっているがラムの心臓は、はち切れんばかりだった。あたるは続けた あたる 「今まで、夜に出掛けてたのも、お前に素っ気ない態度をしていたのも、全部これの為だ」あたるはそう言うと結婚式場のパンフレットをラムに渡した。ラムはそれを受けとると、不安いっぱいの顔であたるを見た。ラムは、不審者あたると話して、あたるは裏切っていないと信じたが、それでもしのぶと結婚式場に入って行く姿を思い出すと、別れを告げられるのではと思い、それが怖かった。ラムは ラム 「結婚式場のパンフレット・・・これが何だっちゃ?」と精一杯の言葉を返した。するとあたるは突然 あたる 「結婚しないか?俺達」と言った。ラムは、予想外のあたるの言葉にただ驚き動揺した。あたるは更に あたる 「式場の手配、日程、段取りも全部終わってるから今更断っても無駄だからな。ちなみに、日取りはお前が前に言ってたJune brideの6月だ」と言った。それを聞いたラムは ラム 「え?だってダーリン今日しのぶと結婚式場に」と言った。するとあたるは あたる 「え?見てたのか?お前のドレスがなかなか決まらなくてさぁ、お前を驚かそうと思ってたからお前に聞く訳にもいかないだろう?だから、しのぶに見てもらったんだよ」と言った。それを聞いたラムは ラム 「ダーーーリーーン」と言うと、あたるに抱きついた。あたるはラムを受け止めると あたる 「で、どうなんだ?」とラムに聞いた。するとラムは ラム 「ありがとうダーリン。よろしくお願いしますっちゃ」と言った。大きな目からは、涙が溢れている。それは今までの悲しみの涙ではなく、喜びの涙だった。その時、あたるが あたる 「で、お前が俺に聞きたい事って?」と言うと、ラムは ラム 「ううん、もういいっちゃ」と言って窓の外に目向けた。そこには木の枝の上でラムを見つめる不審者あたるの姿が有った。不審者あたるは、そんなラムの姿を見て 不審者あたる 「俺とラムが結婚か・・・こんな未来もいいかもな」と言った。その時、あたるの体は徐々に消えていき、完全に消失した。それを見ていたラムは ラム (ありがとう、もう一人のダーリン。ダーリンがウチに話しかけてくれなかったら、ウチきっと星に帰ってたっちゃ。ダーリンは、ウチの事を幸せにする為に来てくれたんだっちゃね)と思い、あたるを強く抱き締めた。  不審者あたるは、気がつくと管理局のロッカールームに居た。するといきなり後ろから「あたるさーん!やりましたね!」と声がして振り向くと、因幡が涙を流しながらあたるの手を握ってきた。不審者あたるは 不審者あたる 「おい、この服はもう脱いでいいのか?」と言った。すると因幡は 因幡 「あ、どうぞ!どうぞ!」と言った。あたるは、不審者の服を脱ぐと近くのロッカーに叩き込み あたる 「ったく、もっとマシな服は無かったのか」と言った。そして あたる 「で、試練はクリアだよな?」と言った。すると因幡は 因幡 「ええ!最高の未来になりましたよ♪」と言った。あたるは気になっていた事を聞いた あたる 「これで、ラムが命を落とす様な未来は無くなったんだよな?」と言った。それを聞いて因幡は 因幡 「はい!」と笑顔で答えた。するとあたるは あたる 「なら、俺は次の試練に行かねば」と言った。すると因幡は 因幡 「あ、そうですね。このロッカーから戻れますよ」と言うと、一つのロッカーを開いた。するとそのロッカーの中はまるで異世界のようだった。あたるは あたる 「じゃあな因幡、助かったよ。またな」と言うと、ロッカーの中に飛び込んだ。  気がつくとあたるは最初の部屋に居た。やはり赤の通路と同様に黄色の通路も消えていた。残るは青の通路のみ。あたるは扉の色を確認するため振り返ると、扉の色は黄色くなっていた。その扉の前では、夢邪気が呑気に段ボール箱の上で寝て居るではないか。あたるは、急に腹が立って夢邪気の寝ている段ボール箱を蹴り飛ばし あたる 「起きんかい!」と言った。夢邪気は、床に転がり落ち目を覚まし 夢邪気 「なんや?なんや?」と言った。するとあたるは あたる 「人が苦労しとるのにのんびり昼寝なんぞしおって!」と言った。そんなあたるを見て夢邪気は 夢邪気 「なんや、あんさん帰っとったんかいな」と言った。あたるは あたる 「さっき帰ってきたところじゃ。ところで、今何時間くらいたったんだ?」と夢邪気に聞くと、夢邪気は 夢邪気 「まだ、1時間半も経っておまへんで」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「て事は、後18時間以上有るって事だな。残る試練は、後1つだから楽勝だな」と言って、ニヤリと笑った。すると夢邪気が 夢邪気 「あんさん、忘れてはおまへんか?後1つ試練終わった後で最後の扉を開けてからが、最後の試練やで」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「え?そうなのか?」と言うと夢邪気が 夢邪気 「最初に言うたやろ?」と言った。あたるは あたる 「だったらグズグズしておれん!急いで次の試練に行かなくては」と言うと青の通路に向かった。あたるが青の通路を進んで行くと、やはり突き当たりに青の扉が有った。ただ他の二つと違う事が1つ有った。なんと、扉の前に立て看板が有るのだ。立て看板には、何やら注意事項の様な事が書いてある、あたるはその注意事項を読んでみた あたる 「なになに?『この扉の先は、過去と繋がっています。この過去の試練には担当者は居ませので、必ず最後までお読み下さい。過去の試練では、あなたは過去のあなた自身として行動して頂きます。試練の目的は、あなたのパートナーに心の安らぎを与える事です。パートナーが安らぎを得た時点で試練クリアとなります。頑張って下さい。 ※なお、過去の時間経過は現実世界と同じ流れになりますので、時間に注意して下さい。』か」と言ってから あたる 「何で俺は、立て看板の注意事項をいちいち声に出して読んでるんだ?」と言い、続けて あたる 「とにかく時間がもったいないから急ごう」と言って扉を開けた、その瞬間あたるは意識を失い再び意識が戻った時は、自分の部屋に居た。あたるは、部屋の中を見回した。部屋にはあたるしか居ない様だった。時計を見てみるとちょうど10時を回ったところだ。あたるは あたる 「ここが過去?だがいったいいつ?」と言うと、今がいつなのか調べようと机の上の雑誌を手に取った。週間ヨンデー、あたるの愛読書の1つである。あたるは、ヨンデーの後ろを見てみると発行日が12月になっていた。あたるは あたる 「12月?」と言った時、窓からラムが入って来て ラム 「あ、ダーリン♪支度できたっちゃ?」と言った。あたるがラムを見るとラムは珍しく服を着ているではないか。あたるは訳が分からず あたる 「支度?何の?」と言った。するとラムは ラム 「何言ってるっちゃダーリン、今日はクリスマスだからウチと出掛ける約束だっちゃよ?」と言った。それを聞いてあたるは あたる (何?クリスマス?今日はクリスマスなのか?)と思い あたる 「そうだったか?」と言った。するとラムは ラム 「どうしたっちゃダーリン?ダーリンが出掛けるから着替えて来いって、さっき言ったっちゃ」と言った。今更ながら、あたるはラムがいつものビキニ姿ではなくオシャレな服を着ている意味を悟った。あたるは あたる (そうか、今日は去年のクリスマスなんだな。確かにラムと出掛けたなぁ)と思った。あたるがクリスマスの事を思いだそうとしてると「ラムちゃ〜ん、どこか出掛けるんかぁ?」と言う声が聞こえた。声の主は、テンである。テンの質問にラムは ラム 「うん、ウチこれからダーリンとデートだっちゃ♪」と言った。するとテンは テン 「わいも、一緒に行きたいなぁ」と言ったがラムは ラム 「ダメだっちゃよ、今日はダーリンと二人だけのデートだもん♪」と言うと、あたるに抱きつき ラム 「ねぇ、ダーリン」と言うと、あたるは あたる 「残念だったなぁ、ジャリテン」と言って、意地悪そうに笑った。テンは テン 「ふん!ええわい、ええわい。ワイだってなぁ、お前となんか出掛けとうないわい!」とあたるに言った。するとあたるは あたる 「ほう、それは結構。じゃラム行くか」と言って部屋を出た。ラムは ラム 「じゃあテンちゃん、いい子で留守番してるっちゃよ」と言うと、ドアを閉めあたるの後を追った。あたるとラムは外に出て商店街に向かった。あたるは歩きながら考えていた あたる (去年のクリスマスか・・いかん!何も思い出せん)あたるは必死に思い出そうとしたが、どうしても思い出せないので あたる (まぁ、そのうち思い出してくるだろう)と軽く考えた。そんなあたるを見てラムが ラム 「ダーリンどうしたっちゃ?難しい顔して」と言った。それを聞いてあたるは あたる 「あ、あぁ何処から行こうか、ちょっと考えててな」と言った。するとラムは ラム 「あぁ、そうだったっちゃ」と嬉しそうに言った。  しばらく歩いた時、あたるは前方にサクラの姿を見た。あたるはすかさずダッシュで駆け寄り あたる 「サ・ク・ラ・さ〜ん」と叫びながらサクラに抱き付こうとした。あまりの早さにラムは、掴んでいた手を振りほどかれて転びそうになった。サクラは背中に悪寒が走り、振り返るとあたるの姿を見て サクラ 「何処から涌いた!!この色餓鬼がぁー!」と言って、あたるの顔面に正拳突きを御見舞いした。あたるは、サクラに殴られラムの足元まで飛ばされた。ラムは、そんなあたるを睨み付け ラム 「ダーーリン!これからウチとデートだって言うのにー!」と言うとバチバチと放電を始め、あたるの襟首を掴み立ち上がらせると ラム 「ダーリン!こんど誰かにチョッカイ出したら電撃だっちゃ!」と言った。あたるは あたる (そうだ、思い出した。サクラさんにチョッカイだそうとした事を)と思い、だらしない笑顔で あたる 「にゃはははは・・」と笑って誤魔化した。それを見てラムはあたるから手を離すと ラム 「ったく、ダーリンったら、ちょっと目を離すとすぐこれだっちゃ」と言った。あたるとラムを見たさサクラは サクラ 「おぉ、お主らこれからデートか?」と言った。するとラムが ラム 「だっちゃ♪」と言った。それを聞いてサクラは サクラ 「今日はクリスマスじゃからの、楽しんで来るといい」と言った。ラムは ラム 「うん♪楽しんで来るっちゃ」と言うとあたるの方を見て、更に ラム 「まぁ、ダーリンの浮気の虫が騒がなかったらだけど」と言った。それを聞いてサクラは サクラ 「ラム、お主も苦労が絶えんのう」と言った。するとラムは ラム 「でも、ウチはダーリンと一緒に居られて幸せだっちゃ♪」と言った。サクラは、そんなラムに優しい笑みを浮かべた。その時あたるは あたる (これじゃ、ラムに安らぎを与えるどころか、イライラさせてるじゃないか)と思った。と、その時あたるの脳裏にこの後の出来事が過った あたる (そうだ!思い出したぞ、俺はこの後喫茶ピグモンのところでランちゃんに会って、ランちゃんにチョッカイ出してラムに電撃を食らうんだ)と思い、更にあたる (だったら、喫茶ピグモンの前は通らない方がいいな)と思った。あたるは あたる 「じゃ、ラム行くか」と言うと、喫茶ピグモンの手前の露地に入り違う道を進んだ。するとラムが ラム 「あれ?ダーリンこっち行くっちゃ?」と言った。あたるは あたる 「あぁ、たまには違う道通るのも変化が有っていいんじゃないか?」と言った。するとラムは ラム 「それも、そうだっちゃね」と言うとあたるの腕に強く抱きついた。あたるは腕にラムの体の感触を感じて急に恥ずかしくなり あたる 「お前はには恥じらいと言うものが無いのか?人前でベタベタするなと、いつも言うとろーが」と言った。するとラムは ラム 「人前って言ったって、誰もいないっちゃよ」と言った。しかしあたるは あたる 「誰も居なくても、誰かに見られるかも知れんだろーが」と言った。それを聞いてラムは ラム 「ウチは平気だっちゃよ。だってウチとダーリンは夫婦だっちゃ」と言った。するとあたるは あたる 「誰が夫婦・・・」とそこまで言った時に、現実のラムの状態を思い出し、今ここに居るラムと現実のラムが重なり涙が溢れそうになった。ラムはあたるが途中で話をやめたので、首をかしげている。あたるは あたる 「と、とにかくあまりベタベタするな」と言って、再び歩き始めた。少し進むと、横道から人が出てきた。あたるはその人を見て、まさかと思った。それは、ランだったのである。あたるは あたる (ばかな!ランちゃんとは喫茶ピグモンの前で会うハズだ!なのに何で?) と思った。すると、あたるとラムを見つけたランは ラン 「あら、ラムちゃんとダーリンじゃない。二人仲良くデート?」と言った。ラムは ラム (あちゃー、よりによってランちゃんに会うなんて)と思い ラム 「あ、うん。実はそうなんだっちゃ」と言った。しかしあたるは あたる 「ランちゃん、いやラムとはさっきそこで会ったばかりなんだよ〜」と言った。するとラムは ラム 「さっきそこで会ったばかりかどうか思い出させて欲しいっちゃ?」と言うと、バチバチと放電を始めた。あたるは あたる (何?何故俺はあんな事を・・思ってもいない言葉が口から勝手に)と思った。このままだと確実にラムから電撃を食らう事になると思ったあたるは、とにかくその場から離れようと思ったが、その思いとは裏腹に体が勝手にランの手を取り口説く体制になっていた。 あたるは、自分の意思とは関係なく動く自分に戸惑った。何か、未知なる力で操られているような気分だったのだ。あたるは あたる 〔違う!俺の体が勝手に〕と言おうとしたが、実際に口から出た言葉は あたる 「ランちゃん、クリスマスプレゼント買いに行こうか」だった。ランは ラン 「あら、ダーリン本当?でも、ラムちゃんに悪いわ」と言った。ラムは怒りから放電は激しくなり今にも電撃を放ちそうだ。あたるは焦り あたる (くそ!なんで全然違う言葉が出てくるんだ!)と思い、ヤケクソで近くの電柱に頭突きをした。すると、体の自由が戻りあたるはランから手を離すとよろよろと歩き始めた。それを見たラムは思わぬあたるの行動に驚き、その場で呆然とした。一方ランは ラン (な、なんやダーリン。あれは、危ないで。関わらん方が身の為や)と思い ラン 「ダーリン大丈夫?私二人の邪魔したら悪いから行くわね」と言うと、足早に去って行った。ラムはランの言葉で我に返り、慌ててあたるに駆け寄ると ラン 「ダーリン!大丈夫だっちゃ?」と言った。あたるはズキズキする頭に手を当てて あたる 「あ、あぁ。ちょっとよろけてぶつけちまった」と言った。ラムは ラム (さっきのは、よろけたんじゃないっちゃ。ダーリンは自分で電柱に頭をぶつけたんだっちゃ。でも、何で?)と思った。一方あたるは あたる (何とか自由は取り戻したが、いったい何だったのだ?誰かに操られているのか?)と思った。あたるはラムの方を向くと あたる 「大丈夫だから、行くか」と思った。ラムは ラム 「本当に大丈夫だっちゃ?もし、辛かったら今日のお出掛け中止でもいいっちゃよ?」と言った。それを聞いたあたるは あたる (ラム・・俺の事を本気で心配してくれてるんだな)と思い あたる 「何言ってんだ、大丈夫に決まっとるだろう」と言った。それを聞いてラムは ラム 「良かったっちゃ、でも無理しちゃダメだっちゃよ」と言って満面の笑みを浮かべた。それを見たあたるは、二つ目の試練の未来のラムの笑顔を思い出し あたる (さっきのラムも、同じ笑顔で俺に微笑みかけた。考えてみれば、ラムはいつも俺の側で笑っていた。どうして今まで気づかなかったんだろう。この笑顔が俺に安らぎを与えてくれている事に) と思い、ラムの顔をじっと見つめた。そして更に あたる (俺が、ラムに安らぎを与えてやるにはどうしたら?)と思った。ラムは、自分の事をじっと見つめるあたるを見て ラム (ダーリン、やっぱり何かおかしいっちゃ)と思い ラム 「ダーリン?どうしたっちゃ?」と言った。するとあたるは、はっと我に返り あたる 「あ、あぁ、何でもないよ」と言うと歩き始めた。             つづく   第3の試練に挑んだあたるだが、思う様に行動出来ず、なかなかラムに安らぎを与えてやる事が出来ない。はたして、あたるはラムに安らぎを与える事は出来るのか。  次回、エピソード10にご期待下さい。           エピソード9 END