エピローグ  宇宙空間を進む宇宙船。その中にはラウが居た。あたる達を地球に送り届けて既に、一週間近く経っていた。ラウはずっと気になっていた事が有った ラウ 「あの時通信したラムさんのお父さんは、間違いなく惑星ルイーザの宇宙港で見た人に間違いない。あの時は咄嗟に誤魔化したけど、あれほど特長のある人を見間違えるはずは無いから、間違いないと思う。しかし、何故?あれは、僕が地球に行く1ヶ月以上前だった。ルイーザにあの人が居るだけなら不思議は無いけど、その後のラムさんの事件からすると全く無関係とは考えにくい・・・もしかして、今回の事件には何か裏が有ったのかも」と言った。ラウは、ラムの父が一体誰と会っていたのかまでは知らないので、あくまで憶測に過ぎず何の根拠も無い事なのだが、ラムの事を考えるとどうするべきか悩んだ。 ラウ 「この事実をラムさんに知らせた方がいいのだろうか?」ラウは、そう言うと考え込んだ。しばらくして、ラウは ラウ 「やっぱり止めておこう。何の証拠も無いし、仮にあの事件にラムさんのお父さんが絡んでいても、ラムさんを悲しませるだけだろうから。知らない方が幸せな事も有る」と言って、地球とは反対方向に向けて宇宙船を進めた。  惑星ルイーザでは、カロンが誰かと交信をしていた。カロンは カロン 「あなたの希望通り、いやそれ以上の成果が見られましたね」と言った。交信相手は「今回は、えろう世話になったな」と言った。交信相手は、ラムの父だったのである。ラムの父は ラム父 「しかし、全て任せるとは言ったが、あんなナノマシーンなんて代物使うとは思わんかったで」と言った。すると、カロンは カロン 「あれが一番効果的だと思いましてね」と言うと、ニヤリと笑った。それを聞いてラムの父は ラム父 「どうなる事かと、ヒヤヒヤしたで」と言った。カロンは笑いながら カロン 「私の部下は優秀でしてね、いかなる事態にも対処出来る様に、ラムの安全を第一に考えてましたから」と言った。しかし、ラムの父は ラム父 「しかし、命を狙われたそうやな?絶対に危険の無い様に頼んだはずだが?」と言った。それを聞いたカロンは カロン 「その事については、謝ります。私の事となると、ときに暴走してしまう部下が居るので」と言った。すると、ラムの父は ラム父 「まぁ、何も無かったみたいやからエエけどな」と言い、続けて ラム父 「婿どのの行動は、随一報告を受けてたさかい、だいたいは分かったわ」と言った。それを聞いたカロンは カロン 「しかし、あの諸星あたるには舌を巻きました」と言うと苦笑いをし、更に話を続けた カロン 「まさか、あそこまでやるとは・・・彼のラムへの気持ちは、かなり強いし本物ですね」と言った。すると、ラムの父は ラム父 「そうか、実際婿どののラムへの想いが知りたくて、あんさんと計画たてた訳やから、成功っちゅう事やな」と言った。それを聞いてカロンが カロン 「そうですね、しかしもしも諸星あたるがラムを救えなかったら、どうするつもりだったのですか?」と聞くと、ラムの父は ラム父 「その時は、ラムを連れて帰ろう思てたわ」と言った。カロンは、ラムの父の言葉を聞いて カロン 「ふっ、あなたらしいですね。しかし、これで借りは返せた訳ですな」と言った。するとラムの父は ラム父 「しかし、随分大規模やったなぁ」と言い、カロンは カロン 「あなたには、国を救って貰ったんです。この国を、国をあげて全力でやらねば借りはかえせません」と言った。それを聞いたラムの父は ラム父 「そげに大袈裟に考えんでも、ええがな」と言った。カロンは半分呆れた様に カロン 「あなたは、もう少し物事を真剣にとらえた方が・・・」と言い、更に カロン 「ところで、この事をラムは?」と言った。すると、ラムの父は ラム父 「知っとる訳無いやろう。こんな事ラムが知ったらエライ事やで」と言った。カロンは、それを聞くと笑いながら カロン 「分かりました。この事は、私の胸の中にしまっておきましょう」と言った。  その頃、夢邪気は次に夢を見せる人を探してた。夢邪気は、ふと思い出した 夢邪気 「そう言えば、ラムさん無事に目ぇ覚ましたみたいやなぁ。あのあんちゃん驚いとるやろな。ラムさんには、あのあんちゃんのした事全部知っておいて欲しかったさかい、全部の試練にラムさんの意識飛ばしたねん。これも夢邪気の粋な心意気っちゅうやつや」と言って、人混みに消えて行った。  一方、運命製造管理局の因幡は運命の管理に大忙しだった。そんな因幡にウサギAが ウサギA 「因幡くん、因幡くん」と言った。因幡は 因幡 「はい、はい、何でしょう?」と言うと、ウサギAは ウサギA 「君この前、時の試練の担当だったよね?」 ウサギB 「だったよね?」と言った。すると因幡は 因幡 「はい、それが何か?」と言うと、ウサギAは ウサギA 「何か?君、何したか分かってるんだろうね?」 ウサギB 「分かってるんだろうね?」と言った。因幡は、わけが分からず 因幡 「何でしょう?」と言った。それを聞いてウサギAは ウサギA 「君、試練中に未来の事喋ったよね?」 ウサギB 「喋ったよね?」と言った。すると因幡は、あたるに言った事を思い出し 因幡 「あ、い、いや、詳しい内容は喋ってませんよ」と言うと、ウサギ達は円陣を組むように、ヒソヒソと相談をして ウサギA 「これは、明らかな規則違反だよね?」 ウサギB 「だよね?」と言い、更に ウサギA 「規則では、試練の未来は破棄されるんだよね」と言った。すると因幡は 因幡 「えっ?それは、勘弁して下さい!あの未来は、最高の未来になったんです!」と言った。しかし、ウサギAは ウサギA 「知らないよ、そんな事」と言ったが、続けて ウサギA 「でも、試練受けたのは、あの人だよね?また来られても困るから、今回は大目にみるよ。でも、因幡くんには貯まった書類全部片付けてもらうからね」 ウサギB 「片付けてもらうからね」と言った。それを聞いて因幡は 因幡 「はい!ありがとうございます」と言い、頭を下げた。  友引高校の教室では、毎度おなじみの光景が繰り広げられていた。放課後あたるは帰り仕度をしているしのぶの所へ行き あたる 「ねぇねぇ、しのぶ今からお茶しない?」と言うと、しのぶは しのぶ 「何言ってるのよ、あたる君ラムがいるじゃない」と言った。するとあたるは あたる 「あぁ、ラムの事なんて気にしないでさぁ」と言うと、後ろから「ウチが何だって?」と声がした。あたるの後ろでは、ラムが腕を組んでいた。それを見たあたるは あたる 「あ、居たの?」と言うと、ラムには構わず竜之介の所へ行き あたる 「ねぇ、竜ちゃん竜ちゃん。これから何か食べに行かない?」と言った。それを見たラムは ラム 「う〜っ、ダーリン!何だっちゃ!その態度は!!」と言った。あたるは気にもせずに竜之介にチョッカイを出している あたる 「ねぇ、竜ちゃんってばぁ」と言うと、竜之介は 竜之介 「悪ぃなぁ、俺は今から購買部の手伝いが有るからよう」と言って立ち去ろうとした時、あたるは竜之介の腰にしがみつき あたる 「竜ちゃん待ってよ〜」と言った。すると竜之介は 竜之介 「離しやがれ!鬱陶しいんだよ!」と言って、あたるに蹴りを入れた。あたるは、竜之介に蹴り飛ばされたが何かを掴んでいた。それは、学生服のズボン・・・その瞬間クラスの男子生徒から一斉に「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」と歓声が上がった。竜之介は、あたるが掴んでいるズボンを見て自分の下半身を確認すると、ズボンを履いていない・・・あたるが掴んでいたのは竜之介のズボンだった。竜之介は 竜之介 「あ、な、て、てめぇ!返しやがれ!」と言うと、あたるからズボンを奪い取りすぐにはいた。すると突然「竜之介、何だその女物のパンツは。男なら赤フンにせんか」と言う声がした。そう、竜之介の父である。 おやじ 「そんなナヨナヨしたもの穿いとるから、お前はいつまでたっても本物の男になれぬのじゃ」と竜之介の父が言った瞬間、竜之介が 竜之介 「俺は、女だぁぁぁぁぁぁぁぁ!」と言って竜之介の父を殴り飛ばした。竜之介の父は、校舎の屋根を突き破り おやじ 「海が好きぃぃぃぃぃぃぃ!」と叫びならか飛んで言った。校庭で、それを見ていたサクラは サクラ 「毎度毎度、騒がしいのぅ」と言うと、ため息をつき サクラ 「今回は、わたしの出番は少なかったのぅ。次に期待するとするか」と言った。その時、教室の窓の外から「よぉ!」と声がした。窓の外には、真っ赤なエアバイクにまたがった弁天と、お雪が居た。それを見てラムが ラム 「あぁ、弁天にお雪ちゃん。どうしたっちゃ?」と言うと弁天は、教室の中を見て 弁天 「近くを通ったんで寄ってみたんだが、やっぱり地球は飽きねぇや」と言って笑った。竜之介に窓際まで蹴り飛ばされたあたるは、弁天とお雪を見て あたる 「弁天様にお雪さ〜ん」と言ってエアバイクにしがみついた。その様子を見ていたメガネは メガネ 「毎度毎度、飽きもせず良くやるわ」と言った。それを聞いたパーマも パーマ 「ほんと、相手にする気も起きん」と言った。ラムは、パリパリと小さく放電してる。そんなラムを見ていた面堂は、ラムに近づき 面堂 「ラムさん、そんなアホは放っておいて僕とお茶でもいかがですか?」と言ってラムの肩に手を置いた。その時あたるがエアバイクからよじ登り弁天の腰に手を回した、それに怒ったラムが ラム 「ダーリン!!!」と言って、バチバチバチバチと激しく放電した。面堂はラムの肩に手を置いたまま 面堂 「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」と悲鳴を上げ感電した。その面堂の悲鳴を聞いてラムは振り返り、焦げて倒れている面堂を見て ラム 「あれ?終太郎?どうしたっちゃ?」と言って、キョトンとした。面堂は 面堂 「ラ、ラムひゃん、ラムひゃん」とまるでうわ言の様に繰り返していた。ラムは首をかしげながら、あたるの方を見るとあたるは弁天の腰にしがみついたままで、弁天は、エアバイクを学校の校庭の上をあちこちと飛び回ったが、いっこうに離さないあたるに対し 弁天 「てめぇ!いい加減にしやがれ!」と言ってあたるをエアバイクから蹴り落とした。ラムはすぐにあたるの所に飛んで行き手を掴み、ゆっくりと下ろした。すると弁天は 弁天 「まだ行くとこ有るからよぉ、また来るぜ」と言った。それを聞いたラムは ラム 「うん」と言い、手を振った。それを見て、お雪が お雪 「じゃぁ、ラム。またね」と言うと弁天は、アクセルを吹かし飛び去って行った。校庭の隅であたるは あたる 「あ〜あ、行ってしまったか」と言った。するとラムが ラム 「ダーリンには、ウチがいるっちゃ」と言ってニコッと笑った。あたるはその笑顔を見てドキッとした。あの事件以来、あたるはラムの事を急に意識する様になっていた。あたるはラムの目を見つめた。ラムは、あたるの目を見てゆっくり目を閉じた。あたるはラムの両肩に手を置き、目を閉じゆっくりと唇を近付けキスをした。そして あたる (俺には、ラムが居る)そう思って肩に置いていた手をラムの背中に回し、抱きしめた。ラムは ラム (ダーリンと、ずっと一緒にいられますように)と思った。  校庭の片隅、春の風が優しく二人をつつみ、ラムの胸にはあたるに貰ったペンダントが夕陽でキラキラと輝いていた。               Fin