うる星やつらーアナザーワールドー        エピソード 4  ラムはUFOに着くと、すぐにカップに水を入れ簡易タイムマシンの日時の設定を始めた。  「あの空間の歪みの多きさから、歪みが出来て2週間くらいだっちゃね」ラムは、そう呟くと簡易タイムマシンの設定を2週間前の深夜に設定し、簡易タイムを起動させると、カップの水に夜の喫茶店ピグモンが写し出され、ラムはそのカップに向かって飛び込んだ。  ラムは、2週間前の深夜の喫茶店ピグモンの前に着地し、すぐにS.T.Dを取り出し空間の歪みを確認すると、歪みは僅が20cm程度だった。ただ1つ気になる事は、歪みから何か分からない物質が微量ではあるが放出されていたのだ。ラムは一応成分を調べてみたがハッキリとは分からなかった。ただかなり高速で動く微粒子でタキオンの一種に思われた。その微粒子は、歪みの半径4mくらいをまるで球体の様に漂っていた。しかし、人体には影響は無い様なので、ラムは  「よし、これなら空間を閉じる事が出来るっちゃ」と言うと、何かの機械を取り出した。それはトランプ程度の多きさの3台の機械だった。ラムは  「まずは、一台目」と言いながら設置する場所を探しながら  「まず、人が触れない様な場所で歪みから5m以内の場所を探さないとダメだっちゃね」と言うと3ヵ所に目をつけ、その3ヵ所を確認すると  「この3ヵ所で大丈夫だっちゃね」と言い、機械を設置し何かリモコンの様な物を操作し始めた。ラムは  「よし、空間の歪みを検知」と言いボタンを押すと3台の機械に一斉に赤いランプが点き、すぐにそのランプが青に変わった。それを見てラムは  「検知終了だっちゃ。次は、歪みに電磁パルスを照射するんだけど、この場所だと人が通るから人体に影響の無い程度じゃなきゃダメだっちゃね」と言って、リモコンを操作し  「これが限界だっちゃ。この照射量だと、空間が完全に閉じるまで3週間はかかりそうだっちゃ」と言いながらボタンを押した。すると、青色だったランプが今度は赤と青に交互の点滅になり、それを見てラムは  「よし、これでOKだっちゃ。後は、この機械が目立たない様に」と言いながらリモコンを操作し  「ステルスモード起動」と言ってボタンを押した。すると3台の機械は、みるみる透明になり完全に見えなくなり、ラムは  「これなら、誰か触る心配も無いっちゃね」と言って、S.T.Dで再度歪みを確認した後  「大丈夫だっちゃ。となれば長居は無用だっちゃ」と言うと、元の時間に帰って行った。  ラムが機械を設置した翌日、友引商店街はいつも通りの賑わいを見せて居た。誰もラムの設置した機械に気付く様子も無い。そこへ、一匹の猫が走って来て、その後を追いかける幼児の姿が。そうトラジマとテンである。テンは、幼児用スクーターに乗り  「待たんかー、トラジマー!今日と言う今日は許さへんでぇ」と叫びながらトラジマを追いかける。すると突然トラジマは立ち止まり、振り向きざまにテンにカウンターパンチを繰り出した。テンはトラジマの突然の行動に反応出来ず、トラジマのパンチをモロに喰らってしまい、弾き飛ばされた。テンは  「うわぁぁぁぁぁ」と叫びながら電柱に激突した。トラジマは、ニヤリと笑うと再び走り出した。テンは  「いたたたた、トラジマー!待たんかーい」と叫ぶと再びスクーターに股がりトラジマを追って行った。テンが激突した電柱には、ラムが機械を設置しておりテンが激突した衝撃で機械の方向がズレてしまい、電磁パルスの照射角度が変わってしまった。しかし、元の時間に帰ってしまったラムはこの事を知るよしも無かった。  元の時間に戻ったラムは、一目散にあたる達の所へ向かった。ラムが到着すると、あたる達は驚いて思わずあたるが  「もう行って来たのか?まだ10分位しかたってないぞ?」と言うと、ラムは微笑みながら  「もう行って来たっちゃ」と言い、更に  「もう安心だっちゃ。完全に空間が閉じるまでには、後1週間くらいかかるから後は気長に待つっちゃ」と言った。そして一行は学校に戻り何事も無かったかの様に1日を過ごした。  放課後、あたるはラムに  「なぁラム、お前が機械を設置したからもう、もう一人の俺と出くわす事は無いのか?」と聞くと、ラムは  「多分大丈夫だと思うけど……」と言ったが自信が無さそうだった。それを見て面堂が  「ラムさん、一応空間が閉じるまでは僕の所に居た方が安全だと思いますよ。それにしのぶさんも自宅に居るよりは僕の所へ来た方がいいのでは?」と言うと、あたるが  「おい面堂、危険なのはラムではなく俺なのだが」と言った。すると面堂は  「おぉ、そうだったな、諸星。すまん、すっかり忘れてたよ」と笑いながら言った。それを聞いたあたるが  「けっ、わざとらしい事ぬかしおって。何だかんだ言っても、結局お前はラムが目当てなんだろうが」と言うと、面堂は  「なんとでも言ってくれ。今、一番安全なのは僕の家だと言う事は確かだ。嫌なら別に無理して泊まってもらわなくてもいいぞ。ただし、もう一人のお前に出くわしても知らんがな」と開き直る様に言った。そんな面堂の言葉を聞いてラムは  「ダーリン、意地張らないでここは終太郎のところに泊まろう?」と言った。あたるは悔しそうに  「くそっ、面堂のヤツ人の弱みにつけこみやがって……」と言いながらも、しぶしぶ面堂の家に泊まる事にした。そんなあたると面堂のやり取りを見ていたしのぶも  「じゃぁ、私もお言葉に甘えて面堂さんの所に泊まろうかしら」と言うと、メガネも  「私も」と言い、パーマも  「私も」と言って、続いてカクガリも  「私も」と言った時、面堂が  「あぁ!分かった!お前達も来ても構わん」と言った。自分の発言を省略されたチビは  「なぁ、メガネ!俺まだ言ってないよ、俺まだ言って無いのに面堂が……」とメガネに泣きついたが、メガネは  「仕方ない、タイミングが合わなかったのだ。今回は諦めろ」とチビの肩を叩いた。チビは  「そ、そんなぁ……」と言って肩を落とした。それから間もなく校庭に面堂のヘリコプターが着陸し、面堂をはじめ、あたる・ラム・しのぶ・メガネ・パーマ・カクガリ・チビの8人は、ヘリコプターに乗り込んだ。  やがて、ヘリコプターは面堂家の敷地に着陸し、みんなヘリコプターから降りると面堂の後に続き屋敷内に入った。屋敷に入ると面堂は  「ラムさんとしのぶさんは、昨日のラムさんの部屋に。諸星達も、昨日と同じ部屋だ」と言うと、奥へと進んだ。すぐに昨日ラムにあてがった部屋に着き、ドアを開け  「ここが、ラムさんとしのぶさんの部屋です」と言った。すると、しのぶが  「面堂さん、ちょっとお手洗い行きたいんだけど」と言うとラムも  「あ、ウチも」と言った。面堂は  「あ、トイレならそこの突き当たりですよ」と言って指を指した。それはあたる達の部屋の反対方向に行った突き当たりだった。しかも、限りなく遠い……それを見てしのぶは  「と、遠い……」と言いながら歩き出した。面堂がラムとしのぶを見送っていると、あたるが  「おい、俺達はもう部屋に行っていいのか?」と面堂に問いかけると、面堂は  「あぁ、昨日の部屋は分かるよな」と言った。あたるは、かるく手を上げると部屋に向かって歩いて行った。あたる達が離れるのを見ると面堂が黒服達に  「おい、今日は絶対にこの部屋から誰も出すなよ!それと、僕以外は誰もこの部屋に入れるな、分かったか?僕以外はダメだぞ!」と言うと、黒服達は  「はっ、承知しました!若」と言った。面堂は、まだ不安が有り黒服達に  「よし、だったら命令を復唱してみろ」と言った。すると黒服達は  「若以外の人は絶対に部屋に入れない。そして、絶対に誰もこの部屋から出さない」と言った。それを聞いて面堂は、安心して1階の自分の部屋に向かった。  しばらくして、ラムとしのぶが戻って来た。歩きながらしのぶが  「お屋敷が広いのは素敵だけど、トイレがあんなに遠いんじゃ大変よね」と言うと、ラムも  「だっちゃね」と他愛もない会話をしながら部屋の前まで行くと、黒服が2人ドアの前に立っていた。それを見てしのぶが  「あのぅ、部屋に入りたいんですけど」と言うと、黒服は  「申し訳ありません。誰も部屋に入れるなと言われています」と言った。するとラムが  「ここ、ウチらの部屋だっちゃよねぇ」と言うと、黒服は更に  「はい、しかし誰も部屋に入れるなとの命令ですので」と言った。それを聞いたしのぶは  「はぁ?私たちの部屋なのに、私たちに入るなって、どう言う事?」と言ったが黒服達は、まるで動く気配が無い。それを見たラムが  「しのぶ、コイツらに何言ってもダメだっちゃ。仕方ないからダーリン達の部屋に行くっちゃ」と言うと、しのぶも  「そうね、仕方ないわね……気持ちよさそうなベッドだったのに」と言い残念そうに、あたる達の部屋に向かった。  それから1時間程たった頃、面堂がラム達の部屋の前に行き黒服達に  「変わりは無いか?」と聞くと、黒服は  「静かなもんです」と答え、面堂がドアの所に行くと、サッと黒服はドアの前からどいた。面堂は部屋のドアを叩き  「ラムさん、しのぶさん、入っていいですか?」と声をかけるが何の返事もない。不安になった面堂は黒服に  「お前達、彼女達を部屋から出して無いだろうな」と聞くと黒服は  「誰も部屋から出してません」と言った。黒服の言葉を聞いて面堂は、ドアを強く叩き  「ラムさん!しのぶさん!どうかしましたか?」と聞いたが、やはり中からは何の物音もしない。面堂は、ますます不安になり  「すみません!開けますよ!」と言うと、勢いよくドアを開けて中に飛び込んだ。面堂は、中に入ると同時に  「ラムさん!しのぶさん!」と言ったが、部屋の中を見わたして茫然とした。部屋の中は誰もおらず、もぬけの殻だったからだ。面堂は、黒服の方に振り返り  「おい、これはどう言う事だ?さっき彼女達を部屋から出して無いと言ったよな?」と言うと黒服は  「はい、誰も出してません」と言った。それを聞いた面堂は、声を荒らげ  「では、これはどう言う事だ!何故2人は居ない!」と言った。すると黒服は、動揺する様子もなく  「それは、初めから誰も居なかったらからかと」と言った。黒服の言葉に耳を疑った面堂は  「初めから誰も居なかったとはどう言う事だ、ラムさんとしのぶさんは部屋には戻らなかったと言う事か!」と聞くと黒服は  「いえ、来ましたが……若が誰も入れるなと言われましたので」と言った。面堂は、めまいを堪えながら  「僕が誰も入れるなと言ったから、彼女達も入れなかったのか?」と聞くと、黒服は  「はい、命令通りに」と言った。面堂は、怒りに震えながら  「彼女達の部屋に彼女達を入れない馬鹿が居るか!」と怒鳴り、黒服達を押し退け部屋を出ようとすると、突然  ドンッ 黒服が面堂を部屋の中に突飛ばしドアを閉めた。面堂は、あっけに取られたが、すぐに立ち上がり  「おい!お前らこれは何の真似だ!」と言うと、黒服は  「誰も、この部屋から出すなと命令されました」と言うと、黒服が5人集まりあっと言う間にドアを板で打ち付けて、開かない様にしてしまった。面堂は  「お前ら馬鹿か!それは僕が出した命令だろうが!」と言うと黒服は  「はい、若の命令です」と言ったが、全くドアを開ける気配は無い。面堂は更に  「僕が出した命令で、僕を閉じ込めてどうするんだ!早く出せ!」と怒鳴った。しかし黒服は  「すみません、命令なので出せません」と言った。するとちょうどそこに、あたるをはじめラムやしのぶ、メガネ達4人組がやって来て、あたるが  「何だ、騒がしい」と言うと、部屋の中の面堂にもあたるの声が聞こえたらしく  「諸星!そこに居るのか?」と言った。するとあたるは  「あぁ、だが面堂お前何してるんだ?」と言った。あたるの声を聞いた面堂は  「そこのアホな部下に僕を部屋から出す様に言ってくれ」と言った。あたるは、黒服に  「ああ言ってるが……」と言うと黒服は  「出せません」と言った。それを聞いたあたるは  「面堂、聞こえたか?だそうだ」と言った。面堂は、わなわなと震えながら  「諸星ぃ!貴様、この状況を楽しんでるだろう!」と言った。そんなやり取りの中、別の黒服があたる達の所に来て  「諸星さま、夕食の準備ができました」と言った。あたるが、部屋の中の面堂に  「夕食の準備が出来たそうだから、続きは夕食の後でいいか?」と言うと面堂は  「諸星!貴様ふざけるな!僕を差し置いて食事などさせるか!」と怒鳴った。しかしあたるは  「お前、部屋から出られないんじゃ仕方ないよな」と言うと、ニヤニヤとしながら階段を降りて行った。  この後、面堂は日付が変わった深夜12時に部屋から開放された。     ………………1日前………………  面堂を始め、あたる達一行はいつも通り学校に通学した。いつもの日常、何も変化はない。ただ、温泉マークが居ない事を除けば……何事も無く1日の授業が終わり、放課後生徒達が帰宅の準備をしている時、突然友引町が変貌した。その異変にいち速く気付いたのがサクラだった。それは、その1時間ほど前だった。その時サクラは保健室で薬品のチェックをしていた。すると突然何かの気配を感じたのだ。サクラは  「な、なんじゃ!この禍々しい感じは……」と言うと、保健室の窓から友引商店街の方を見ると、商店街の上空に怪しい渦の様なものが発生していた。サクラは急いで学校を出ると、商店街に向かい昨日ラムが空間の歪みが有ると言った、喫茶店ピグモンの前に来た。すると、そこには何やら丸い物体が何も無い空間から出て来ていた。サクラはそれを見て  「あれは……叔父上の頭ではないのか?」と言うと、その丸い物体を引っ張り始めた。サクラは、一気に引き抜くと  「叔父上!大丈夫か?」と言いながらよく見ると、それは……タコだった。サクラは自分が掴んでいるタコを見て  「タ、タコ?何でタコが……」と言った時、背後から  「全く、わしとタコの区別もつかんとは、まだまだ未熟じゃのぅ」と声がし、サクラはその声を聞いて  「肝心な時に何処をほっつき歩いて居たのじゃ!お主…………」振り返り、言葉を失った。そこには、2人の錯乱坊が居たのだ。サクラはそれを見て  「おのれ!前々から人間離れしていると思っていたが、ついに妖怪と化したか」と言うと一瞬にして巫女装束になり、お祓い棒を振りかざした。すると錯乱坊は、二人で  「血迷うたかサクラよ、このわしに霊力で敵うはず無かろう」と言うと数珠を取りだし、サクラを挟む様に霊力を放出し始めた。サクラは、なんとか避けると喫茶店ピグモンの窓を背にして、錯乱坊2人と対峙した。サクラは  「この霊力、やはり簡単にはいかんな。ならばやむを得ん」と言うと、2人の錯乱坊に対して霊力を放出し始めた。錯乱坊も霊力を放出し、2人いや3人の霊力が空中で激突した。その場所はなんと空間の歪みの場所で、ぶつかり合う霊力が歪みに作用したのか、歪みが更に大きくなった。しかし目には見えず、サクラと錯乱坊には分からなかった。3人の霊力が空中で膠着していると、錯乱坊が空間の異変に気付き  「サクラ!ちょっと待て!」と言ったが、サクラは  「何を呑気な!」と言って、更に霊力を放出しようとしたが、錯乱坊は  「待てと言うとるのが分からんか!!」と怒鳴った。そんな錯乱坊の迫力にサクラも霊力を放つのを中断した。すると錯乱坊は  「なにやら、この辺りから異様な気配を感じるのじゃが」と言うと、もう一人の錯乱坊も  「確かに感じるのぅ」と言った。それを聞いてサクラが  「実は、この場所は別の世界に繋がっているらしいのじゃ」と言うと、錯乱坊は  「別の世界?そりゃ面妖じゃのう」と言った。そして、サクラはあらためて錯乱坊2人をまじまじと見つめ  「ところで、何故叔父上は2人おるのじゃ」と聞くと、錯乱坊は  「うむ、実は……わしにも分からんかのだ。気づいたら2人になっておった」と言った。サクラは  「なるほど……さしあたり、どちらかが別の世界から来た叔父上なのじゃろうが、自覚は無いのか?」と錯乱坊に問いかけると、錯乱坊は  「さぁのぅ?」と言った。サクラは  「ただでさえ、不気味な叔父上が2人とは……」と、ボソっと言うと錯乱坊は  「何か言ったか?」とサクラの目を見た。サクラは、錯乱坊から目を逸らし  「仕方ない、皆には私から説明しておくとしよう。わたしは一旦学校に戻るが、くれぐれも目立つ行動は控える様に」と言うと、学校に戻る事にした。  サクラが学校に戻ると、ちょうど授業終了の鐘が鳴ったところだった。サクラが校舎に向かって歩いていると、下校する生徒達が驚きの目でサクラを見る。無理もない、サクラの肩にはタコが乗っているのだ。先ほど歪みから引っ張り出したタコである。何故か、サクラから離れようとせず仕方なくサクラが連れて来たのだった。すると、前からあたる達が歩いて来た。あたるはサクラを見るやいなや、ダッシュで走り寄り  「サ、ク、ラ、さ〜ん」と叫びながら抱きつこうとジャンプした。しかしサクラはなんなく避けると、あたるを踏みつけ  「お主も懲りんのぅ」と言った。そんなサクラの姿を見て面堂は、目を疑った。なんとサクラの肩の上に居るのは、行方不明になっていた鶴丸だったのである。面堂は  (あ、あれは……紛れもない、鶴丸だ!)と思うと、思わずサクラに駆け寄り鶴丸を抱き締め様と手を伸ばした。するとサクラは、それを見て面堂の顔面に右ストレートを叩き込み  「貴様もかーー!」と叫んだ。面堂は、サクラの右ストレートをモロに喰らい仰向けに倒れた。  数分後、面堂からタコの鶴丸の事を聞いたサクラは、ばつが悪そうに  「そう言う事なら、先に言わんか」と言った。面堂は、愛しそうに鶴丸を抱いて  「良かったなぁ、鶴丸」と言った。鶴丸も面堂に会えたのが嬉しいのか、触手を面堂の顔中に這わせていた。それを見てパーマが  「ほう、これが居なくなった鶴瓶か」と言うと、すかさず面堂が  「鶴丸だ!なんだ鶴瓶とは!落語家じゃ有るまいし、そんな名前つけるか!」と怒鳴った。そんな面堂にメガネが  「でも、良かったじゃないか。無事に戻ってきたのだから……鶴光だっけ?」と言うと、あたるが  「いや、鶴笑だろ?」と言った瞬間、面堂は何処からともなく日本刀を取り出すと  「貴様ら、そんなに僕のタコを落語家にしたいのか?」と言い、あたるの鼻先に刃を向けた。あたるは、ニヤニヤと笑いながら  「いやだなぁ面堂君、ほんの冗談じゃないか。みんな分かってるよ、帰って来たのが鶴丸って言う、イカだって事は」と言った。すると面堂は  「フフフフ……」と小さく笑いながら  「諸星、どうやら貴様は本気で斬られたいらしいな」と言うと、カッと目を見開き  「そこになおれ!!刀の錆びにしてくれる!」と言い、あたるに斬りかかった。しかしあたるは間一髪、面堂の一撃を真剣白羽取りで受け止めた。そんな二人にサクラが  「お主ら、そろそろじゃれ合うのをやめんか」と言うと、あたると面堂を引き離し  「実は、お前達に言っておかねばならん事が有るのじゃが……」と言った。するとあたるが一瞬にしてサクラの横に行くと  「水くさいな、言わなくても分かってるよ」と言った。するとサクラは  「おお!そうか、それなら話は早い。実は叔父上……」とそこまで言うと、あたるは一瞬にしてサクラの横から姿を消した。サクラが周りを見渡すと、あたるは面堂の所で  「しかし、このタコ。いったい何処から向こうの世界へ行ったんだ?」とタコの頭をつついていた。それを見てサクラは、あたるの所へ行き  「実は、叔父上の事なんじゃが」と言うと、あたるは今度はしのぶの所へ行き  「なぁ、しのぶぅ」と言った。それを見たラムが  「ダーリン!サクラの次はしのぶにちょっかい出して!」と言いあたるの襟首を掴んだ。そこにまたサクラが  「叔父上の……」と言った瞬間あたるは再びサクラから逃げようとしたが、サクラはお祓い棒を出し、逃げようとしたあたるの顔面に一撃を喰らわせた。お祓い棒はあたるの顔面にめり込み、あたるはその場に倒れた。すると側に居たラムが  「あ!ダーリン!サクラ、何するっちゃ!」と言って、あたるに駆け寄った。しかしサクラはラムの言った事は無視し、ラムをあたるから引き離すと、あたるの襟首を掴んで  「お主、何故逃げる!」と言って気絶しているあたるの頭を前後に激しく揺さぶった。するとあたるは目を覚まし  「だれがチェリーの話なぞ聞くか!」と言ったが、サクラは  「先程、言わずとも分かってると言ったではないか!」と言った。するとあたるは、急にニヤけた顔になり  「いやぁ、サクラさんから愛の告白かと思って」と言った。サクラをはじめ、ラム・面堂・しのぶ・メガネ・パーマ・カクガリ・チビは、全員コケて返す言葉もなかった。  サクラと錯乱坊の霊力で更に拡がってしまった空間の歪み。友引町に漂う禍々しい気配。それは、この後起きる悲劇の予兆だった。         to be continue