〔ザット・クレイジー・サマー〕 第五話 パーマ「ねみいなぁ…おいメガネ、もうちっと集合時間を遅らせてもよかったんじゃないのか?いくら準備があるといってもなあ…」 メガネ「…そうは言うがな、このグラウンドを見て果たしてそう思えるか…?」 話しながら、グラウンドまで歩いた。そして見た。 パーマ「確かに四時半からしなきゃいけない理由はまあわからんでもないが…」 メガネ「《が》、なんだ。国語的に《が》という単語が来るときには今までとは反対の言葉が来る、これすなわち逆接…とまあ、要するに、     なんか文句あるのか、ええぇ?!!」 パーマ「ああ、文句大有りだ!なんでお前とその他の男子がごみを散らかしたグラウンドを俺が…」 メガネ「まだまだ分かってないねえ、こういう気配りをすることによって、お前がいうところの『その他の男子』たちに対して俺たちの徳の深さを見せつける。     さすればやつらもちったあ反省、大人しくなるという算段だよ、わかる?」 パーマ「理屈はよくわかった。しかし俺を巻き込まんでくれよ。俺は関係ない部外者なんだぞ!」 メガネ「関係ないとはなんだ!昨日の結果発表は本来お前の担当だったんだぞ、それをお前というやつは!」 パーマ「じゃんけんの結果だろ、恨みっこなしだぜあれは」 メガネ「やかましい!大体なぜじゃんけんにしたんだ、面倒ごとを回避したいという魂胆見え見えではないか!」 パーマ「第一、原案のまんま『校長を肩たたく券』にしなかった張本人がそんなこと言うなよ〜!」 メガネ「…そのときはだなぁ、!そうでもしなければ文句が出ると…」 パーマ「それにしてももうちょっとソフトなものはなかったのかよお!」 メガネ「あのなあぁ!おまえ、『体力強化全校羽根つきダブルス大会』を忘れたとは言わせんぞ!!」 パーマ「理由などどうでもいい、結果がすべてだ!」 メガネ「そんな屁理屈こねるのならこっちだって言わせてもらうが!元はといえば賭けにしようというあの校長の今思うと許しがたい提案にいち早く乗ったのは誰だ!」 パーマ「結局お前だっていうほど遅くもなく賛同していたくせに!」 メガネ「あの時はお前が賛同したから賛同したんだ!」 パーマ「俺だって、そもそもお前が実行委員に誘うから…」 しのぶ「はいはい、仲間割れはそこまでにして。さっさと片付けないと終わらないわよ〜」 メガネ・パーマ「「うるさい!俺たちは今…あわわわ…」」 しのぶ「そ〜こ〜ま〜で〜よ〜、い〜い〜?」 メガネ・パーマ「「はい、わかりました…」」 パーマ「まったく、朝礼台を持ち上げるなんて…説得というより脅迫だな、あれぁ」 メガネ「事実上一択の質問と変わらん…」 さあ、しのぶのキョウハ…いや、説得により黙々とごみが散乱したグラウンドを清掃した二人。 その後、ラムのUFOに戻り、朝食をとることにした。だがしかし…しかし… パーマ「はあ…働いた後の朝飯が…」 メガネ「……た、たまご、かけごはん、たまごかけごはん、だとお…」 脱力する2人。そこに… 竜之介「邪魔するぜぃ」 メガネ・パーマ「「え、竜之介?」」 しのぶ「そう。なんでも朝ご飯を食べに。」 メガネ「…確かに、任意で朝飯もここで食べていい規定にはなっていたが…まさか適用者がいようとは…     お、おい…それはわさびご飯にトンガラシ・からし明太子のタバスコスープ…」 竜之介「確かに辛いけどよお…おやじの手料理に比べたら百倍ましでい!」 メガネ「これが百倍ましって…お前いつも何食ってんのか?」 竜之介「亀の子たわしとジャガイモの漂白剤煮込みだとか、古背広の機械油ステーキもどきとかでい!!」 パーマ「あの親父、息子になんちゅ〜ものを食わせとるんだろうか…」 メガネ「パ、パー、パーマ…お前…今なんと」 パーマ「あ…」 竜之介「なあにが『息子』だ!お〜れ〜は女だ〜〜!!」 メガネ「同志パーマよ、安らかに眠れ…」 しのぶ「竜之介君も大変ねえ…」 さて、時は先ほどから二時間ばかり飛んで午前八時。 今回は校長のまともな号砲によって第二日目のレースは開始された。 温泉「ここら辺、道が悪いな…まぁ ガタガタ ぁったぁくうみ ガタガタ ぃちいが タガタ(まったく道が…)」 あたる「ほんとガタガタ」 面堂「まったくだ…」 温泉「お前たち…いつの間に!」 カクガリ「ほんっとガタガタだ」 半魚人「まったくガタガタだっぴゃ!」 面堂の父「悪路というものの見本のような道ですなあ」 温泉「何だ…?なぜこんな申し合せたように…ぐわあ!」 ボコボコボコボコボコ あたる「思えば温泉も不幸だな…」 面堂「まったくだ…ただ集団で追い越そうとしただけでこんなになってしまうんだもんなあ…」 面堂の父「…まったく不幸な『事故』でしたな」 あたる「そうだ、事故だな、事故だな!」 半魚人「なんというか、ごしゅうしょー様だっぴゃ」 カクガリ「…さあ、いこうぜ。いくら可哀そうでも勝負の世界に情けは無用。情けは人のためならず、って言葉もある。      温泉を思うからこそ、レースは続行すべきだと俺は思う!」 あたる・面堂ら「「「異議なーし!」」」 温泉「待て、待てえ〜〜〜〜〜〜〜い!たかだか道が凸凹だったくらいで俺の体はこんなにボロボロにならにゃいかんのだ〜!大体この木槌の山は何なんだ?    グルだったな貴様ら、待て〜〜〜い!あいたた…きさ、きさまらお、覚えと…けよ…ぉ…ぅ…!!」 面堂「しかし諸星、貴様にしてはなかなか僕の言うことを素直に聞いて手筈を整えてくれたな!これで僕も温泉の奴隷にならずに済んだ。     貴様には言いたくなかったが、今日ばかりは礼を言うぞ!ワハハ!」 あたる「ニャハハハ、礼には及ばんぞめんど〜、ニャハハ」 面堂「…ときに諸星」 あたる「ニャハ…なんだ?」 面堂「常日頃から思っていたのだが…貴様のその下品な笑いは何とかならんのか?」 あたる「ならんな」 面堂「…そういうだろうとおもった」 あたる「だったら聞くな!まったく…」 面堂「そうだな。貴様のその下品さは死んでも治らんな!」 あたる「……これで貸し借りなしだな」 面堂「ん、何かいったか、この低俗の見本?」 あたる「今回ばっかりは礼を言ったお前の素直さに免じてやろうと思ったのだが…」 面堂「貴様何をたくらんどる!」 あたる「面堂!俺にそんな口を叩いたのを後悔させてやる!おや、道がガタガタだー!!」 面堂「貴様、裏切りよった…ぐえ!」 ボコボコボコボコボコ あたる「思えば面堂も不幸だな…」 飛麿「まったくだな…ただ集団で追い越そうとしただけでこんなになってしまうんだもんなあ…」 面堂の父「…まったく不幸な『事故』でしたな」 あたる「そうだ、事故だ、事故だ!」 半魚人「なんというか、ごしゅうしょー様だっぴゃ」 カクガリ「…さあ、いこうぜ。いくら可哀そうでも勝負の世界に情けは無用。情けは人のためならず、って言葉もある。      面堂を思うからこそ、レースは続行すべきだと俺は思う!」 あたる・カクガリら「「「異議なーし!」」」 面堂「…諸星ぃぃ、貴様最初っから僕をこうするつもりだったんだろう!!卑怯者!!出てこい!」 メガネ「やっぱり外患が去ると内戦か…蒋介石は面堂だったようだな」 パーマ「まったく部外者から見ても仁義なき戦いだな…」 サクラ「どうしようもないやつらじゃ、本当にのう」 しのぶ「諸星選手、最下位スタートもなんのその、驚異的スピードで再び首位に立ちました!」 あたる(あ、俺首位なのか。面堂の話に乗って必死に温泉を追いかけたからなあ……     さ〜て、一位になるのもまずいし、そろそろガールハントでもやるかあ…) ズガガガガガ! あたる「わっ!だれかと思えば弁天様じゃないですかあ〜。ちょ〜どよかった、探そうと思っていたところなんですよ!もお〜、そんな愛情の裏返しの照れはやめて、素直にデートしたいといってもらえば…」 弁天「…おい、それが自分に対してマシンガンぶっ放した奴に言う言葉か?」 あたる「そ〜んなにつっけんどんにならなくても、あなたの本心は痛いほどわかりますよ〜。さあ、デートデート!」 弁天「気安く体に触れるんじゃねえ!て、いうかこの銃弾の雨をよく突破できたな!」 あたる「…愛というものはいかなる障壁も超えるものなんですよ…さあ、デ〜トしましょ!」 弁天「まったく、つくづく歯の浮くよ〜なことを言うやつだぜ…こんな言葉をラムにかけてやったらどんなに…いや、言わないからこそ…」 あたる「弁天さまぁ〜、デート…あぁ、僕とのデートのために身支度を整えているんですね、まったく素直じゃないんだからぁ〜」 弁天「てめえの頭の構造を一遍覗いてみてえよ…そんなにデートしたかったらあたいを捕まえてみな!」 あたる「あ〜もぉ、ほんとに素直じゃないな〜、弁天さま〜!久々のあばんちゅ〜るじゃ、燃えてきたぞ!」 しのぶ「最早お決まりの展開になってきました、諸星選手!あっという間に急降下、最下位です…コメントすることはもう、ありません!おとこなんか、お〜と〜こ〜なんかあ〜〜!!」 パーマ「おーおー、エキサイトしとるしとる…テントに朝礼台、コーンに樽…待った、樽なんかどこにあったんだ、なあメガ…おい!どうした?!!」 メガネ「あたるがまければころされる…あたるがかてばきらわれる…あたるがまければころされる…あたるがかてばきらわれる…あたるがまければころされる…あたるがかてばきらわれる…」 錯乱坊「さっきからこんな感じじゃ」 パーマ「どっから湧いて出た錯乱坊!…そりゃ、ノイローゼになるのはわからんではないが」 メガネ「……ぱぁぁ〜ぁ〜〜まぁぁぁ〜」 パーマ(イヤな予感しかせん!)「あははは、どうしためがね?」 メガネ「かおがひきつっとるぞ…それより、なあ」 パーマ「どうした?…」 メガネ「……、空が青いなぁ……」 パーマ(いかん、どんどん悪化している!…) メガネ「さあ、芥川みたく睡眠薬か、太宰のごとく入水か…メガネ十七歳、悔いはなかった…」 パーマ「錯乱坊!まさか人生の中でお前に頭を下げる日がくるとは思ってもいなかったし思いたくもなかったが、後生だこの通り!今すぐラムちゃんを連れてきてくれ!!」 錯乱坊「どうしたのじゃ、藪から棒に…」 パーマ「いいから早く、メガネの危機なんだよ!」 錯乱坊「わしはラーメンを好いて…」 パーマ「わーったわーった!!ラーメン一杯後でおごってやるからすぐ連れてこい!!」 錯乱坊「あとでなくても今なら屋台が出とるのじゃが・・・」 パーマ「うるさい!報酬は後払いだ!」 さて、そのころあたるは… あたる「弁天様ぁ〜、待ってえ!愛情がゆがんでるんだからあ〜」 弁天(諸星もしつこいやつだぜ、疲れるな…そろそろ切り上げてもいいだろ…) ●●「ダ、ー、リン!」 あたる・弁天「「その声は[ランちゃん/ラン]!!!」」 ラン「うふふ、ランちゃん来ちゃった!ねえ、ダーリン」 あたる「はいはいなんでしょう」 ラン「私を捕まえて見せたら、ランちゃんデートしてあげる!」 あたる「みんな愛情表現がゆがんでるな〜…今日はなかなかいい日じゃ!むひょひょひょ…」 弁天「…」 状況が呑み込めないのか、それともあたるに呆れたのか、 キックスケーター(といっても宇宙製なので地球のものとはスピードは段違いだが)で逃げるランと追うあたるを弁天はただ呆然と苦悩が入り混じった顔で呆然と見る事しかできなかったという。 ラン「デートしたけりゃここまでいらっしゃい、ダ〜リン!」 あたる「待ってよ、ランちゃん!…今月一今日はついているな、俺、ははははは」 しのぶ「諸星選手また猛加速。もうこれ以上しゃべることはありません。あきれました。おとこなんて、おとこなんて。」 メガネ「お月さんがとってもきれいだな‥‥」 パーマ「いかん、ノイローゼが悪化してきている!錯乱坊はどうしたてえんだ?」 ラン「どうしたの、もっと早くなけりゃ追いつけないわよ〜!」 あたる「待ってよランちゅわ〜ん!」 ラム「ダーリン!!ランちゃん!!」 あたる・ラン「「ゲ、ラム!どっから湧いて出てきた!」」 ラムが現れ、二人と同じスピードで横に並んで飛んでいる。 ラム「《ゲ、ラム!どっから湧いて出てきた!》ってどういう意味っちゃ!!ランちゃん、一部始終を説明するっちゃ!!!!」 ラン「一部始終っていってもぉ、ただランちゃんとのデートをかけてダーリンと追いかけっこしてるだけよぉ〜」 ラム「どーしてそうダーリンを誘惑するっちゃ!無意味だっちゃ!」 ラン「無意味とはなんやねん、おんどりゃ!!わしが意味もなくこんな鬼ごっこを…鬼ごっこ…そうや…」 ラム(また始まったっちゃ) 〔ここより、「さそり座の女」などといった曲でも脳内でBGMにしてお読みください〕 ラン「ラム!お前わしが小さいころ、ウニ星で鬼ごっこしたの、覚えとるよな!忘れたとは言わさへんでえ!わしが鬼でおんどれを追っかけて遊んだばっかりに!    おんどれが『立入禁止』テープを無視して逃げたせいで!わしは崖から落ちてしもうたんやぞ!!!おんどりゃ飛べるからそりゃ前が崖なら夢中で飛んでしまえばよかったけどな!!!!    あとから分かったねんけど、あの時わし、骨にひびが入ってたんやぞ!!ラム!!さてはおんどれ、わしを骨折させようとしてわざと立入禁止区域に入ったんやあるまいな、いや、入ったんやろ!!」 ラム「だって、その時はつい捕まりそうになって、夢中で…」 ラン「わざとでも悪気がなくてもけがはけがや!大体おんどりゃいつもわしにくどくどくどくどくどクドクドくどくどくどくど・・・」 ラム「ランちゃん!!うちはランちゃんの恨み辛みの話なんか聞きたくないっちゃ!聞きたいのはなんでこういうことをしたかだっちゃ!」 ラン「そりゃ、おんどれに復讐するために決まっとるやんけ!たとえ穏どれが故意でやったんやないとしても!わしのこの悲しい思いは晴らされないんじゃあ〜〜!!!」 ラム「それがど〜してダーリンを誘惑するのにつながるっちゃ」 ラン「ダーリンを優勝させるために、誘惑しとるんじゃい!」 ラム「何でうちに復讐するために、うちのダーリンを応援するっちゃ!レイを応援すればいいんじゃないのけ?」 ラン「考えてみれば簡単なことや!要するに、復讐いうもんはな!相手が嫌がることをして悦に浸るいうことや!それぐらいわかるやろ!    んで、ダーリンが勝てばおんどれは嫌がる。やから今ダーリンを勝たせようとしてんねん!わかったかラム!」 ラム「ランちゃんにしては至極真っ当な論理だっちゃね…珍しく筋が通ってるっちゃ!」 ラン「にしてはとか珍しくとか、おんどりゃわしのことどう思ってんねん!!!!        …とにかく、わしの計画をじゃまするなよ!邪魔した暁には、わしの記憶の奥底に眠っとるおんどれの恥ずかしい話をみんなぶちまけてやるさかい、覚悟しとれや!    さあダーリン、でーとがしたいなら手のなるほうへいらっしゃい!」 あたる「デートしてくれるんならどこへでもついていきま〜す!」 ラム「まったくダーリンもなさけないっちゃね…まあ、次の手があるっちゃ」 そういうと、ラムはUFOへと向かっていったが… パーマ「ラムちゃ〜ん!!」 ラム「あ、パーマさん、どうかしたっちゃ?」 パーマ「今すぐテントにきてくれ〜!!」 ラム「どうしてだっちゃ?うち、ちょっと急いでるんだけど…」 パーマ「いいから、ちょっとだけでも!メガネにかかわる!」 ラム「…?メガネさん?」 パーマ「いいから!お願い!」 テントにラムが来た。メガネは眼鏡がずれているのにも気づかず、そりゃあ放心状態という言葉が似合うカッコだった。 メガネ「まんもすちゃ〜ん、こっちいらっしゃ〜〜い!」 パーマ「メガネ。」 メガネ「…マンモスちゃ〜んと戯れ…あ!!」 即座に直立不動で敬礼したメガネ。 メガネ「ラ、ラムさん…まさか三度お会いできるとは思っていませんでした…!感激で頬を熱き血潮が流れるのを禁じえません!!!     生きててよかった!生きてりゃこんないいこともあるのだ!!メガネもうくよくよするのをやめます!!メガネ完全復活です!!」 パーマ「というわけ。ラムちゃん、ありがとう」 ラム「…よくわからないけど、お役にたててうれしいっちゃ!」 メガネ「生きてりゃいいこともあるんだなぁ!メガネうれしいな!ヤッホホイ!」 パーマ「あたる、面堂、ジャリテン、メガネ…こいつら根は多分一緒だな、こりゃ」 さて、レースも昼の三時を回った。一時半の昼食も終え、依然トップはあたる。 竜之介の父「さあ、いらはいいらはい!鶯餡のおにぎりはいかが!」 何でこんなもの売っているのか、皆目見当がつかないがどうでもいい。とにかく浜茶屋の親父はレースの選手を見越してこんなものを売りつけようとしていた。 おユキ「さて、どこを凍らせたらいいのかしら…ラムから、地上に顔は出すなって言われてるけど…それじゃご主人様がどこかわからないわ…ここらへんかしら…」 おユキがレース道中の一か所を凍らせた。 おユキ「…さて、長居は無用だわ。帰るとしようかしら…」 竜父「ああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」 おユキ「…?なにかしら。ご主人様の声でもないし…」 竜父「わしが、わしが精魂込めて作った鶯餡おにぎりが!これで今日の商売はぱあ…誰がこんなことを!営業妨害じゃ!」 おユキ「…あらあら、これはいくらなんでも出てこないとまずいわね…」 おユキ「ごめんなさい、商品を凍結させてしまって…」 竜父「…はて、あなたは?」 おユキ「あら、名乗るのを忘れていましたわ…私は………」 竜父「…簡単に言えば、竜之介の同級生の同級生と。」 おユキ「まあ、そういうことですわね。…凍結させた商品は後日弁償させていただきますわ。それでいいかしら…」 竜父「…ときにあなた。」 おユキ「どうかなされました?」 竜父「見たところ、自由にものを凍らせることができる…」 おユキ「ええ、そうですわ。これでも海王星の女王ですのよ。」 竜父「それじゃあですな、弁償の代わりにですな…」 ラン「ダーリン、遅いわよ〜」 あたる「も〜ランちゃん!…ん、なんだか涼しい、いや寒い…」 ラン(この寒さ…もしやおユキ!)    「じゃあね〜ダーリン!」 あたる「…?あ、ランちゃん!ランちゃん待って!…なんて冷酷な…俺はもてあそばれとったのか…?まあ、ランちゃんにもてあそばれたのなら本望じゃがな…」     …それはそうと、何じゃ、この地面は!夏だというのに凍結しておるではないかっ!!これじゃまともに進めん!」 竜父「お困りのようですな」 あたる「何じゃおまえは」 竜父「自転車用チェーンが用意してありますぞ」 あたる「そうか、ありがたい!…こら、さっさとよこさんか!」 竜父「いやしくもこれは売り物。代金を…」 あたる「…いくらか?」 竜父「出血大サービスで5,994円!」 あたる「高い、買えるか!」 竜父「…前輪用、後輪用セットで9,849円!一本当たり何と驚異の4.924円50銭!!」 あたる「ぼったくりやがって…あ、おユキちゃん!!」 おユキ「とりあえず、売り上げのの60パーセントは頂戴しますわよ…」 竜父「せめて57.5パーセントで…さあ、どうします?」 あたる「そんなものなくたって俺はおユキちゃんのとこへ行ってやる…     うわわわわ、ハンドルとブレーキが利かんし滑って一向に進まん!!」 竜父「皆様、あれがチェーンを装着しなかった方のなれの果てでございます。ああならないためにもぜひチェーンの装着をお勧めします。」 面堂「ほれ、代金だ!チェーンをくれ」 カクガリ「背に腹は代えられん!」 温泉「まったく…はい!」 竜父「毎度」 面堂「さて、行くか!」 竜父「あ、ちょっと…代金を…」 面堂「何を言うか!9,849円つり銭なしで確かに払ったわ!」 温泉「そうですよ、藤波さん!」 竜父「消費税分の787円92銭をお支払い願います」 面堂「…あんな半端な額で本体価格だったのか…」 さて、その後どうなったのかというと… 面堂「おい、チェーンをつけてもまともに前へ進めんではないか!詐欺だ詐欺だ!」 カクガリ「なけなしの小遣いがパアだ!!」 温泉「藤波さん、あなたこんな粗悪品を高額で売りつけてたんですか!!」 竜父「そんなときはチェーン用プロテクターを…」 面堂「貴様はこの期に及んで!」 温泉「庶民から巻き上げやがって!!もう勘弁ならん!」 竜之介「おやじ、何を考えてるんだ!!!」 面堂「…そうです竜之介さん、いってやってください!」 竜之介「おやじ、こんなに地面を凍結させて、こんなことするのにいくらお金を使ったんだ!コスト対費用を考えやがれ!」 面堂「…もう疲れた、走る気になれん…」 温泉「あの親子は手が付けられんほどずれとるな…」 おユキ「…『コスト対費用』…それっておなじことだけど…」 あたる「おい、実行委員会!何とかしてくれ!答えんか!」 メガネ「わかっとる、今対策を校長らと協議中だ!…しかし、営利目的の妨害とは、考えたな…」 あたる「感心しとる場合か!!」 結局、校長とメガネが現地に赴き、ラムの仲介もあって竜之介の父とおユキを何とか引き揚げさせたが、そのころにはもうレース終了時間になってしまった。 よって… メガネ「結果発表!本日の順位は全員一位タイ!」     (ふう…今日は何事もなくて済んだ!) 幸い、今日は何事もなく式は終わった。 そのころラムのUFOでは… あたる「お前のおかげでめちゃくちゃだ!」 ラム「ダーリンがトップになるからこうでもしなきゃいけないんだっちゃ!」 あたる「なんだと!」 ラム「大体ダーリンの女好きが根本的な原因だっちゃ!」 あたる「それを言うならお前その嫉妬深い癇癪持ちな性格がこのような結果を…」 ラムの父「まあまあ、婿殿もラムも落ち着いて…」 いつものように痴話喧嘩をしていたのであった。 これから、二人の間が少しばかり愛情を深めたりおかしくなっていったりぎすぎすしたりするだが、そんなことは誰も知らない。 錯乱坊「…ときに、…ラーメンの話は…」 パーマ「あの話はなし!何にも役に立ってない!」 錯乱坊「せっかく腹をすかして待っておったのに…」 メガネ「ラムちゃんのUFOでどうせ食べるから同じだろう、まったく…」 パーマ「それもそうだ」 錯乱坊「わかっとらんのう、人のおごりで食べる飯というのが格段にうまいもんで…」 メガネ・パーマ「「よくもいけしゃあしゃあとそんなことを言いやがって…覚えてろよ!」」 =次回予告= レースもいよいよ三日目。 レースが始まってから、どことなくおかしいダーリン、テンちゃん、終太郎、レイ。 謎の関係に、ついにメガネさん・パーマさんたちが動き出す! 次回、第六話であうっちゃ!