〔ザット・クレイジー・サマー〕 第七話 錯乱坊「こんばんは、錯乱坊です。大分話が長編化したので、ここでここまでのあらすじを説明するとしましょう。            時は七月、夏休みにまた例のごとく校長の思い付きで突如『校内人間競馬大会』が催されることに相成ったのあります。      賞金五万円・サクラ及びしのぶとデートできる券・好きなものなんでも一つという豪華賞品を目当てに、      長距離を自転車で走破せんとする猛者どもが、今、ここに集ったのであります。      その中で、面堂終太郎は諸星あたるとメガネをけしかけてラムを幻滅させラムを己が物にしようと画策。      しかしメガネが実行委員だったため急遽レイにターゲットを変更。テンを仲介して見事レイとあたるを取引させることに成功したのであります。(※第二〜三話参照)      さて…」 メガネ「あぁのぉなあ〜〜〜!食うか喋るかどっちかにしろ!!俺やパーマのぶんまでわがものがおでくいやぁがぁああってぇ〜〜〜!     おれぁなぁ、今日は機嫌が悪いんだぞ!大体どんだけ食ってんだ?!昨日夕の時点から少なくとも一斗五升二合はへっとるぞ!!まったく…」 サクラ「まったく、叔父上の意地汚さにはつくづく……」 メガネ・パーマ・しのぶ「「「あ、ん、た、が、言、う、な!!!!」」」 面堂(この手だけは使いとうない、使いとうなかったが、使いとうなかったが…) ただ今スタート前。最早緊迫のきの字すらない……面堂終太郎を除いて。 面堂(この際体面より実利…)「諸星!おい、諸星!聞こえとるの…あああああ!!」 あたる モグモグ「ん?ン何だ?」ムシャムシャ 面堂「その手に持っている球体の食い物は…?」 面堂「やっぱりだてに僕の相手をしているようではないな、」 あたる「…刀取り出した時点ですでにわかっとるやないか」 面堂「…きぃさまぁとゆ〜やつはあぁ、何べん僕の面前でたこ焼きを食うなと言っておるのがわからんのかあ!!」 あたる「わからん」 面堂「簡単に言うな!…まあいい、今日はこんなことにかまっている暇はない。話がある。」 あたる「何だ?」 面堂「…取引せんか」 あたる「取引?俺はすでに…」 面堂「もっと好条件を用意しよう。僕を一位にしてくれれば賞金五万円、デート券はもちろんのこと、     『友引近辺女学生総覧・生写真添付(三隣亡学園クーデター対応版)』、ラムさんが接近してきたときに鳴る『対ラムさん用アラーム』を贈呈しよう…」 あたる「…俺からは?」 面堂「まず学級委員長の役職。     そして…――――――――――――――」 あたる「な、なに…ラムを貸せぇ?」 面堂「一日でいい。」 あたる「…日中だけならよかろう」 面堂「うむ、そういうだろうと思った。それでは。」 あたる「待て、お前が勝つという保証はあるのか?」 面堂「…面堂家私設軍隊の力をもってすればなんていうことはない。心配するな。それと、一応まじめに勝負しているように見せかけるため、二位の位置をキープすること、いいな!」 あたる「…うむ」 面堂「じゃあ、そういうことだ。」 テン「えらいこっちゃな…もうアホの味方する意味ないな〜………よ〜〜し」 校長「えー、大変長らくお待たせいたしました、第四日目のレースを開催いたします、それでは…」 温泉「校長、正気ですかあ?」 校長「私は正気です、ご心配なく。」 温泉「どーぉ考えても正気の沙汰には見えません!!!!何で号砲が人間大砲なんです!なんで私がその弾丸役にならにゃならんのです!!    うちは木下大サーカス団じゃないんですよお!!私だって選手の一員ですよ!!」 校長「よ〜〜い」 温泉「わあ、やめやめ、やめろ、お前らいくら俺に恨みがあるからって…裏切りいものお!!」 メガネ「許せ温泉…仕方ないのだ…」 パーマ「不可抗力っていうもんだよ、あきらめなさい」 錯乱坊「運命じゃ」 温泉「どおせお前らの差し金に…」 ちゅどーん しのぶ「さあ、始まりました第四日目…」 温泉「きっさっまっらおっぼっえっとっけっよおぉぉぉお〜〜〜〜」 テン「おい」 パーマ「…」 メガネ「…」 テン「おい!」 パーマ「…どうする?」ヒソヒソ メガネ「いいか俺たちは何も見ていない聞いていない無反応を決め込むのだ裏切り者に同情の余地なし」 テン「おい!!折角協力してやろうちゅうてんのに、ま、無視をされるんならしゃあないか、ざ〜んね〜んやったなあ〜〜」 メガネ「ほら相手は協力する気もなく…へ、協力してやる?その言葉本当かあ?!」 テン「ホンマや」 メガネ「へ?は?え?…昨日の言葉ぁなんだったんだあ?」 テン「気が変わったんや。最新情報もあるで」 メガネ「…おい、パーマ、ちょっと…」 メガネ「…どうする?」ヒソヒソ パーマ「お前に一任する。以上」 メガネ「あ、あのなぁ」 パーマ「以下も未満もない。以上」 メガネ「……」 メガネ「…ジャリテン…ありのままを聞かしてもらおうか」 テン「…実はな…かくかくしかじかぺらぺらちょめちょめけんもほろろにぎっちょんちょんのどんじゃらほいとゆ〜わけなんや」 パーマ「ほお!最後の面堂とあたるのくだり以外はお前が見立ててた通りじゃねえか!やっぱ伊達に妙なことに知性を発揮してはいないな…」 メガネ「うゎあったりまえだ!こんなことがわからんようではラム親衛隊最高幹部会議長の地位が泣くぞ!     っそれにしても、あたると面堂とは意外だったなあ…そんなことをしても面堂の得にはならんと思うのだが…     …まあ、たとえ自分の利益が消滅したとはいえ、ひとまずその勇気ある行動に敬意を表し礼を言おう。…さあ、こうなったら一刻を争う!すぐにラムさんを呼んできてくれぇ!!」 テン「…ま、わかったわ。それとワイ、思うんやけど…」 メガネ「いいからさっさと呼べ!」 テン「ちぇ、人使いが荒いなぁ…」 一方そのころレース会場では… 栗林「賞金五万円なんかお前らには高額すぎる!健全な学園生活を維持するためにも、断じてお前たちを通すわけにはいかん!    温泉先生が回復するまで通さんぞ!…おや、久しぶりだね、諸星君」 あたる「……………………」 カクガリ「……………………」 面堂「……………………」 栗林「ま、特に話す言葉もないだろうがな、はっはっはっはっ」 あたる・カクガリ・面堂「「「あんた誰だ?」」」 栗林「………へ?」 あたる「だから、あんたは誰だといっておる。」 栗林「あの栗林だぞ!教育大臣認可、切り札教師株式会社推薦の…」 面堂「さ、こんなやつ放っといて次に行くか…」 栗林「ま、待て、俺を忘れやがって…先生方、作戦Wお願いします!!」 サクラ「了解した」 花和(…本当にこんなことしていいのだろうか…教師であるからこそフェアーな競争そ応援しなければいけないのではないか、これはあまりに…) 栗林「どうかされました、花和先生?」 花和「あ、いえ…」    (理想と現実の剥離はこうも大きいのか…) あたる「何じゃこのでっかい石垣は!」 サクラ「壁じゃ。」 あたる「さ、サクラさん、これじゃ通れませんよ!早くどけてください!」 サクラ「それは無理な相談というものじゃ。」 あたる「そんなこといわずに、ねえ〜」 サクラ「……人にすり寄り抱き着きながら頼みごとをするな〜〜っ!     まぁったく…ゼィゼィ…」 面堂「諸星をけ飛ばしたのは賛同いたしますが、我々レースの途中なんですよ、どうにか」 サクラ「ならん」 面堂「…………そんなにべもなくいわなくても」 サクラ「すまんが、私にもツキアイというものがあるのでな…ほれ」 指を差されて目にしたものは… 『生徒の優勝・商品獲得断固阻止』 『《校内人間競馬大会》粉砕!』 『明るい学校、厳しい指導』 『舐めるなよガキども』 『校長を倒せ』 『俺を忘れるな!』 『俺だって小槌てたたき返してやろうか』 [温泉マーク先生を支援し生徒の優勝・商品獲得を強く阻止する友引高等学校教員連合(温援友引連)] 面堂「あ、安保闘争じゃないんだから…」 サクラ「ま、とにかく無理じゃな、それじゃあ」 面堂「待ってください、…くそ、登るしかないか」 あたる「そのようだな」 栗林「フフフ、手も足も出まい、たとえ壁をのぼってもびくともせん!」 花和「…あ、まずい、お〜い、この壁は…」 それは石垣を登って数十秒後であった。 面堂「まさかベニヤ板だったとは…」 カクガリ「予算がないなあこの学校も…」 竜之介「くだらねえや、さっさといこう」 あたる「そーしよ、そーしよ」 キコキコキコキコキコキコキコキコキコキコキコキコキコキコキコ… 半魚人「…あんたら、大丈夫だっぴゃ?」 栗林「大丈夫も大丈夫じゃないもあるか!ベニヤ板が崩落するなんて誰が思うか!手抜き工事やりやがって!」 温泉「手抜き工事をした奴、誰だ…病人だから思い通り動けんのだぞ、こっちは…」 花和(やはりこれでよかったのだろうか…) さて、大会本部に話を戻す。 メガネ「だぁ〜〜かぁ〜〜らぁ〜〜!ほっっんとうだって言ってるでしょう!ジャリテンが自白したんです!最善の策は諸星あたるが優勝することなんです!」 ラム「竜之介あたりが優勝したほうがよっぽどましな結果になるっちゃ」 メガネ「そうおっしゃるだろうと思いました。こちらをご覧ください」 モニターをみる。映ったのは… 面堂の父「松千代に梅松、定平に兼五郎…由松に光御前までどうした?」 飛麿「飛鳥、なんでここに…」ベキボキベキ「ああ、肋骨があ…」 レイ モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ… 竜之介「何でおれたちが兵隊から攻撃されなきゃいけねえんだ?!」 カクガリ「誰か教えてくれ〜〜!」 温泉「教師生活当初、悪ガキのいたずらから逃げる覚悟はあったが、兵隊の鉄砲玉から逃げるとは想定外だったぞ!」 半魚人「もう、勘弁してくれだっぴゃ!」 パチッ メガネ「お判りでしょう。面堂とあたるを除くすべての選手は面堂家関係者とおぼしきものから何らかの妨害を受けています。…これでも納得いただけませんか?」 ラム「できないっちゃ」 メガネ「…ラムさん。我々とは結構長い間お付き合いがありますね…面堂もそうですね…だったらお判りでしょう、面堂の一番のライバルはだれかを。」 ラム「……………」 メガネ「あぁあ〜〜の面堂終太郎という人間が諸星あたるに大した攻撃も仕掛けず二位につけさせているなんて、おかしい!!なんかある!…ジャリテンの発言には信憑性があるのです!」 ラム「……」 メガネ「もうこうなったら苦渋の策です!シャクですが、諸星を応援しましょう!ね、ね!」 ラム「ダーリンが…ダーリンがそんなことするわけないっちゃ!」 ビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビ!!!!!!! パーマ「おい、おい!!」 メガネ「ああ、わかっている、やはり持つべきは友だな、俺は…」 パーマ「おい、しっかりしろよ!」 メガネ「大げさだっていうに…」 パーマ「おい、動けよ!      コンピューター!!!!」 メガネ「へ、コンピューター?」 パーマ「面堂からの借りものなんだぞ、あの面堂に壊れましたーなんて言ってみろ、末代までそのことを貸しにされるぞ…参ったなあ…だろ、パーマ!」 メガネ「……………………ぁあのなぁ、ぱ、ぱあま………」 パーマ「あ、よかったよかった、動き出したぜ!ヤッホッホイ!ヤッホッホゥ!」 メガネ「………ま、とにかく、ジャリテンもこういっているわけだし、」 ラム「どうせ脅迫して言わせたとかだっちゃ」 メガネ「ジャリテン、な、自分の意思で自白したよな、な、な、」 テン「さ〜あ〜な〜…」 メガネ「……………くう〜〜〜〜、この天邪鬼!大体ラムさん、なんでそんなにあたるの肩を持つんですか!」 ラム「……ダーリンは…」 メガネ「あのあたるは?」 ラム「……ダーリンは…、うち……の…抜けた…ツノを…もって…いてくれた………っちゃ…………口ではああいって…いる…けど…………本当は…うちのこと………………」 手を組み組み、もじもじ、体はそわそわ、顔は紅潮。 メガネ(んなーろー、あんのヤロウ!俺は新婚夫婦的なお惚気話をきいとるんじゃないんだぞ!!!)     「………もう結構です。そこまで諸星を信じるなら仕方ありません。どうなっても私ゃあ知りませんよ」 ラム「わかったっちゃ……あ、ランちゃん…またダーリンにちょっかい出す気だっちゃね、そうはさせないっちゃ!」 テン「あ、ラムちゃん待ってえな、……ああ、いってしもうた…」 メガネ「……俺には分からん!あの二人の感情がわからん!夫婦間の機敏がわからん!」 テン「あんなあ」 メガネ「なんだ?あんまり俺が不機嫌になるようなことは伝えんほうが得だぞ!」 テン「いや、…ワイに案があるんやけど…」 パーマ(………………あたる、お前も罪なやつだな…………一生添い遂げてやるんだぞ、ラムちゃんより先に死ぬなよ…) あたる「らーんちゃーん、僕は君のことをあ」 ビビビビビビビビ あたる「何をする!」 ラム「天誅だっちゃ!」 あたる「あのなあ、男女間の健全な交際をじゃまするなと何万回言ったらチミはわかるのかね!」 ラム「浮気をしている時点で健全じゃないっちゃ」 あたる「あのねえ、いつ俺たちは夫婦になったのか?式も挙げてなどおらんし婚姻届も出してなかろうが!」 ラム「式や婚姻届がなくてもいいっちゃ!うちらはいわゆる『じじつこん』夫婦だっちゃ!」 あたる「妙なものだけ覚えやがって」 ラン「ラム、わしの計画をじゃまするとはええ度胸やな!これでもダーリンの欲望を抑えることはできるかな?    いでよ、ラムに翻弄された女性たち!!」 突如現れたのは… ラム「ああー…」 あたる「お、お、お、お、!!!うひょう・・・」 クラマ「諸星あたるはもう御免なのだがな…」 カラス天狗「まあまあそういわずに、バイトなんですから…婿捜しには資金もいるんですよ」 しゅがあ「復讐じゃい、復讐じゃい、ラム先輩に復讐じゃい!」 じんじゃあ・ぺっぱあ「「おお〜〜」」 エル「あら、あなたは海王星の…」 おユキ「御無沙汰しておりますわ、エル様」 ラン「さあ、ダ〜リン、我慢しなくてもいいわよ!」 あたる「我慢なんてするもんですか、美女六人は俺のもんじゃ、いざいか〜〜ん!」 ラム(ま〜見事にこううちの苦手なタイプというか、めんどくさいのがよ〜くそろったっちゃね〜ランちゃんに負けず劣らずだっちゃ) ラン「だぁ〜れが負けず劣らずやねん」 ラム「え、ランちゃん、何のことだっちゃ?」 ラン「わし地獄耳やねんぞ、お前のさっき言ったこともちゃあ〜んと聞こえたでえ!苦手なタイプかつめんどくさくて悪かったなあ、ハーッハッハッハ!    さ、ダーリン、置いていっちゃうわよ〜」 あたる「待って〜〜」 ラム(もう深入りするのはよすっちゃ、終太郎が何とかするにきまってるっちゃ。    …それにしてもうち、ランちゃんが怖くなってきたっちゃ…それにしても、なんでおユキちゃんが?) メガネ「結果発表!本日の順位は          1位:諸星あたる!     2位:面堂終太郎!     3位:カクガリ!          最下位:レイ!         以上!これで今日の結果を……あのねえ、今日の結果で文句はないでしょう、ねえ、まあたまた、今度はハリセンボンにウニに…せんぷうきい?     もうモロトフ・カクテルはいらんぞ、…     お前ら、なあにが不満なんだああ!」 群衆「諸星あたるを本気にさせるのが遅いんだよ!」「もうちょっと早くやってくれなかったのかね!」「眼鏡をずり上げる癖、やめろ!」 メガネ「…たく!こっちの苦労も知らないで…よし、そっちがその気なら今日は俺もとことん行くぞ!」 ラムのUFO ラム(メガネさんがいったこと、本当なのかなあ…) あたる「ジャリテン、さっさともってこんか、ラーメンが伸びるじゃないか!」 テン「全く人をこき使いくさってからにほんま・・・」 ラム「ねえ、ダーリン。」 あたる「なんだ?」 ラム「うちのこと…好きだっちゃ?」 あたる「…アホ。そんな恥ずかしい事言えるかっ。聞きたくばおれに…」 ラム「俺に、何だっちゃ?」 あたる「…………なんでもない。ったく、お前のおかげでラーメンが伸びてしまったではないか!まったくこんなまずいラーメンを何の因果で…」 ラム(…………正常だっちゃ…ま、大丈夫そうだっちゃね。なんだかんだ言ってうちが『とられる』のはいやなみたいだし。    ……うちはダーリンを信じ続けるっちゃ。) メガネ「んで、後先考えずにOKしてしまったわけだが…信用できん!!もっとこの騒動に無縁で清廉潔白で面堂家私設軍隊の攻撃にも耐えうる人材はないもんかね…」 パーマ「…錯乱坊」 メガネ「だめだだめだ!別の意味で不都合だ!ま、あいつは似ても焼いても絨毯爆撃浴びても死にそうにないがな…」 =次回予告= メガネさんたちの起死回生の奇策で事態は急展開を迎える。 うちはダーリンを信じ続けたいけど…心細いっちゃ… 次回、第八話であうっちゃ!