うる星やつら チェンジ・ザ・ライフ 第4章 真実 あたるの余裕を見たラムは 「ダーリン、一体どうやって入るっちゃ?」とあたるの作戦に興味津々の様子だ。そんなラムにあたるは得意げに説明を始めた。あたるの作戦はこうだ ※まずラムがブレスレットを使ってゲートを通過する。その時にあたるはラムにピッタリと密着して一緒に入る※ と言う物だった。ただそれだけだった。その説明を聞いたラムは、思わず言葉を失った。そんなラムの反応にあたるは 「なぁ、完璧だろ?」と得意げに言ったがラムはため息をつき 「ダーリンに期待したうちがバカだったっちゃ」と言った。するとあたるは 「何だ?俺の作戦が気に入らないのか?」と言ってラムに詰め寄った。そんなあたるにラムは 「気に入るも何も、そんなの無理だっちゃ!いくら人が居ないって言ったって、カメラで見てるはずだっちゃ!」と言った。それを聞いてあたるは 「なに?う〜ん、それは予想外だ」と言うと頭を抱えた。そんな二人に突然 「おい!お前たちこんな所で何してる!」と声をかけた人物が居た。あたるとラムは、その声に反応して振り向くと、そこには白い研究服らしき服を着た男があたるとラムを睨んでいた。あたるは男の服装見るとラムに小声で 〈おいラム!あいつって、もしかしてここの?〉と言うとラムも小声で 〈研究員だっちゃ〉と言った。それを聞いたあたるはラムの方を見た。そしてラムもあたるの方をみると、お互い言い合わせた様にニヤリと笑った。そんな二人に研究員は 「おい!何をしてるか聞いてるんだ!」と言ったが、言い終わるとほとんど同時にあたるとラムは研究員に襲いかかった。意表を突かれた研究員はなす術もなく、あたるとラムに身ぐるみ剥がされ、ロープでぐるぐる巻きにされた。 あたるは研究員から剥ぎ取った研究服を着て、首から研究員IDをぶら下げそのIDを使って堂々とゲートを通過した。ラムも続いてゲートを抜けると、いつも行ってる部屋に向かい、あたるも少し離れて後を追った。やがてラムは1つの部屋の前で止まると、あたるの方を見て軽く頷いた。それを見て、あたるも頷くとラムはドアを開けて中に入って行った。あたるは音をたてない様に注意しながらラムが入った部屋に近づき、耳をすませ中の様子をうかがって居たが、話し声もせず静かになったのでドアを少しだけ開き中の様子を覗いてみた。そこには特殊な椅子に座らされているラムの姿と、そのすぐ側で何やら端末らしき物を操作している研究員らしき男が居た。ラムは、何かで眠らされているらしく目を閉じピクリとも動かない。ブレスレットはまだ腕に着いたままだった。男はいわゆる美形の顔立ちで、あたるは見ているだけでイライラしそうな絶対にウマの合わない人種なのは間違いなかった。すると、男は端末から離れ、ラムの所へ行くと何やらカードの様な物をポケットから取り出した。それを見たあたるは (あれがラムが言っていたカードキーか…)と思うと、男の行動を観察した。男がおもむろにカードをラムのブレスレットにかざすと、ラムのブレスレットはあっさりと外れた。あたるは (なるほど、やっぱりあのカードが有ればブレスレットは簡単に外せるんだな)と思ったが、何か違和感を感じた。あたるはその違和感が何なのか知る為に、注意深く研究員の男を観察した。男の見た感じは、あたる達と同じ20歳前後に見えた。服装はあたるが着ている研究服とは少し違う感じの研究服を着ていて、特におかしな所は無い様に見えた。あたるは、何に違和感を感じたのか悩んでいる時、ラムの言葉が頭を過った。 『うちは、何かの感染症に感染してるらしいっちゃ…』 あたるはラムの言葉に違和感の原因が有る事に気づき (そうか!違和感の原因はこれだったんだ!)と思い、再度研究員の服装をチェックした。靴は、普通の白い上履きの様な靴。ズボンも普通の白いズボン。上着は、いかにも研究員と言った感じの白い研究服。そして、手は素手で頭には何も被っていない。それを見てあたるは (間違いない。あれは明らかに感染症患者に対する服装じゃない。ブレスレットをしたままなら分からないでもないが、あいつはブレスレットを外した。ラムが感染症ならあいつは感染してしまうはずだ!研究員がそんなリスクを犯す訳がない。つまり考えられるのは、あいつが感染症に対する免疫を持っているか、或いはラムが感染症じゃないかのどちらかだ!この部屋の感じからして、感染症患者に処置を施す部屋とは思えん…だとすると、やっぱりラムは感染症なんかじゃないと言う事か……だったら何であんなブレスレットを?ラムの超能力が使えないのもきっとブレスレットが原因だろう。でも、やつらはラムにブレスレットを着けて何をしてるんだ?)と思った時、研究員がラムから外したブレスレットを何かの機械にセットした。その時、あたるは何気なく椅子に座らされているラムを見て驚いた。何とラムの髪の色が変化していたのだ。ここで会った時のラムの髪の色はグレーだったが、今は紺色に近い色になっていた。あたるは戸惑いながらも再びブレスレットの方を見ると、ブレスレットには何かの機械が接続されている様だが、とても感染症を抑える何かを注入してる様には見えず、むしろ何かを吸い出している様に見えた。その時研究員が 「もういいだろう。素体の状態も戻りつつあるし」と言うとブレスレットをセットした機械から取り出し、ラムを見ながら 「しかし毎度毎度驚かされる、1日でこれだけの電気エネルギーを生み出すとは」と言った。それを聞いたあたるは全てを悟った。研究員はラムの電気エネルギーをあのブレスレットで吸いとっていたのだ。それを知ったあたるは怒りがこみ上げ (あのブレスレットは感染症を抑える物なんかじゃなくラムの超能力を抑える物だったんだ!そして、ラムの電気エネルギーをブレスレットに溜め込んで1日一回ここで回収してた訳か!……ラムは何も知らずに一年もこんな事させられてたのか…許せん!そんな計画、俺が絶対にぶち壊してくれる!)と思った。気がつくとラムの髪の色は、以前の緑色に戻っていた。研究員もそれに気づき 「そろそろいいか」と言うとラムに近づきラムの腕にブレスレットをはめ始めた。その隙にあたるは音を立てずに部屋の中に入り込み研究員の死角になる棚の後ろに身を潜め (よし、ラムが目を覚まして研究員の注意がラムに向いたら後ろから襲っちゃる!)と思うと、そのチャンスを待った。 研究員がラムにブレスレットを着けると、ラムの髪の色はまた徐々に変わって行き、やがてここに来る前と同じグレーになっていた。それを見ていたあたるは、研究員を思い切り殴りたかったが、必死に堪えた。 それから5分位たった頃にラムは、ゆっくりと目を開けた。それを見て研究員は 「やぁ、目を覚ましたね」と言った。 あたるはこの時を待っていた。素早く、しかし静かに棚の影から出ると音を立てずに研究員の背後に近づいた。手には何故か巨大な木槌が握られている。あたるは木槌を振りかぶると思い切り研究員の頭に木槌を振り下ろした。 ガツン!! あたるの木槌の攻撃をモロに受けた研究員は、一撃で気絶した。ラムは、まだ頭がハッキリしていないのか状況が飲み込めず戸惑いながらあたるを見て 「ダ、ダーリン!」と言った。あたるはすぐに研究員のポケットを調べカードキーを取ると 「ラム!ぐずぐずしてる時間はないぞ!」と言うと、まだ椅子に座ったままのラムの手を取り無理矢理立たせ、そのまま手を引き入口ゲートに向かった。そしてゲートをくぐり建物の外に出ると立ち止まり、大きく肩で息をした。ラムもあたるに引かれるがままに建物の外に出て大きく肩で息をしながら 「ダ、ダーリン、そんなに急いだら逆に怪しまれるっちゃよ」と言った。しかしあたるは 「いいから、早く戻るぞ!」と言った。ラムはあたるに言われるがままに亜空間を次々と抜けて、元いた世界に帰って来た。あたるは、元の世界に戻った事を確認するとラムの方を向き 「いいかラム、俺の話を良く聞け」と言った。ラムはあたるのただならぬ顔つきを見て黙って頷いた。あたるは研究所で見た事を話し始めた。 「結論から言おう。お前が着けているブレスレットだが、それは感染症を抑える物じゃなくお前の超能力を抑える物だ。だからお前は超能力が使えないんだよ」そこまで言うとラムが 「え?じゃあ、うちは感染症じゃ…」と言い、あたるは 「あぁ、お前は感染症なんかじゃない。それどころか、病気ですらない、健康そのものだ。やはりバカは風邪ひかないと言うが本当だったようだ」と言った。それを聞いたラムの耳はピクリと動き 「ダーリン、うち今何だか良く聞こえなかったみたいだけど、何は風邪ひかないって?」と言ってあたるを睨みつけた。するとあたるは (ヤバい、つい口が滑った…ラムのやつ、今は超能力が使えないけど超能力が戻ったら何されるか分からん。ここは誤魔化しとくか)と思い 「いや、別に何も言ってないが?ラ、ラムの空耳じゃないのか?」と誤魔化した。そんなあたるの態度を怪しみながらもラムは 「まぁ、いいっちゃ。それより、あいつらはうちにこんなブレスレット着けて何してるっちゃ?」とあたるに聞くと、あたるは 「それなんだが、どうやらラムの電気エネルギーをブレスレットに溜め込んでは、あの研究所の機械で抽出してたみたいなんだ」と言い、更に 「しかし、ラムの電気エネルギーなんかどうしようってんだ?」と言うと首をかしげた。しかしそれを聞いたラムは 「…聞いた事が有るっちゃ。能力を持つ人を拐っては、その人の能力を無理矢理引き出して裏マーケットで売りさばいている集団が居るって…」と言った。そしてあたるが 「じゃあ奴らは…」と言うと、ラムは 「宇宙犯罪組織、確か名前は 〔ラツヤ・イルワ〕 だっちゃ!」と言った。ラムの話を聞いたあたるは 「犯罪組織って事は、ここに居る連中だけじゃないって事か?」と聞くと、ラムは 「実態は良く分からないけど、かなり大きな組織みたいだっちゃよ」と言った。するとあたるは 「だとすると、ラムは最初から狙われていたんじゃないのか?お前が飛び出した一年前から……」と言い、ラムも 「多分そうだっちゃ。絶対に許せないっちゃ!うちとダーリンの大切な時間を奪った事を後悔させてやるっちゃ!」と言って、拳を握りしめた。あたるは、そんなラムの腕に着いているブレスレットを見て 「その為にも早くこんなブレスレット外さないとな」と言ってラムの腕を掴み、カードキーをブレスレットにかざした。 ………………… ………………… ………………… しかし、カードキーをかざしてからいくら待ってもブレスレットが外れる気配は無く、あたるはカードをかざす向きが悪いのかと、何度もやり直したが結果は同じだった。そしてあたるは 「何でだ!あいつは間違いなく、このカードキーでブレスレットを外したハズだ!」と言った。そんなあたるを見ていたラムは 「ダーリン、ちょっとそのカード見せて欲しいっちゃ」と言った。あたるはラムの言うがままに、ラムにカードを渡した。ラムは、カードをまじまじと見つめると 「…やっぱりだっちゃ」と言った。しかしあたるは、ラムが何を言おうとしているか分からず 「やっぱりって何だ?」と聞くとラムは 「このカード、生体認証が使われてるっちゃ」と言った。あたるは聞きなれない言葉に 「生体認証?何だそれは?」と更に問いかけると、ラムは 「生体情報を予め記憶させておいて、本人以外が使えない様にする高度なセキュリティだっちゃよ」と言った。それを聞いたあたるは 「生体情報ってなんだ?」と更に聞き、ラムは 「色々あるっちゃ、例えば目の網膜の毛細血管のパターンとか、瞳の虹彩パターンの濃淡値のヒストグラムを用いる物とか、一番簡単なのが指紋認証だっちゃね」と言った。しかしあたるはラムの説明が全く分からず 「つまり、このカードキーを使えるのはカードを持ってたアイツだけだって事か?」と聞くと、ラムは 「簡単に言えば、そうだっちゃ」と言った。するとあたるは 「くそ!こんな物!」と言うとラムの手からカードを奪い、地面に叩きつけた。まるでメンコである。 ※メンコとは、地面にカードを並べ手持ちのカードを地面に叩きつけ並べられたカードをひっくり返すと自分の物に出来ると言う、良き昭和の時代の子供達の遊びである。 そしてあたるは 「カードキーが使えないんじゃ、どうやってラムの腕からブレスレットを外せばいいんだ」と言い頭を抱えた。するとラムは 「ダーリン…もういいっちゃ。うちはダーリンがうちの為に危険を犯してまでこのブレスレットを外そうとしてくれただけで充分だっちゃ」と言い、涙を浮かべた。しかしあたるは 「ふざけるな!ラム、お前は諦めるのか?一生こんな所で奴らに利用され続けるつもりか?」と言った。するとラムは 「うちだって…うちだって、そんなの嫌だっちゃ!でも、でも…」と言うとポロポロと涙を落とした。そんなラムにあたるは 「俺が人一倍諦めが悪いのは知っておろう。俺は何がなんでもブレスレットを外してやる!何だったら奴を拐ってでも!」と言った。それを聞いたラムは 「ダーリン、そんなにうちの事を…」と言いあたるに抱きつこうとしたが、あたるは突然ガクリと膝を落とした。それを見てラムは咄嗟にあたるを抱き抱え 「ダーリン!まさか怪我でもしたっちゃ?」と言った。しかしあたるは 「い、いや、また例の睡魔が…」と言って、更に 「何でこんな時に」と言うと、何とか立ち上がり建物の横に有ったベンチに移動した。そして 「ラム、俺は多分もうすぐ寝てしまう。もし日が暮れても俺が起きなかったら、お前はなに食わぬ顔で戻るんだ」と言った。しかしラムは 「何言ってるっちゃ!うちはダーリンと一緒に居るっちゃ!」と言い、あたるの横に座った。そんなラムにあたるは 「お前が帰らなかったら騒ぎになるだろう?きっと探しに来る。そうしたらお前は、寝たままの俺とどうやって逃げる」と言った。しかしラムは 「だからって、こんな所にダーリンだけ置いて行けないっちゃ」と言って涙を浮かべた。しかしあたるは 「心配するな、俺なら大丈夫だ。こんな所で寝てる奴は、酔っぱらいだと思って誰も相手にしないさ。だから、明日朝またバス停に来てくれ…」と言って眠りに落ちた。ラムはあたるをそっと横たえると (ダーリンのバカ…)と思い、あたるの頭を自分の膝の上に乗せた。 それから、時間が過ぎ日が暮れてもあたるは目を覚ます事はなかった。ラムはあたるの頭をそっと膝から降ろすと立ち上がり 「ダーリン…ゴメンね…」そう言って、その場から立ち去った。 あたるは目を覚ました。目の前に見えるのは、見慣れた自分の部屋の天井…あたるは体を起こすと 「あの夢…」と呟いた。その時 「ダーリン!」とラムの声が聞こえあたるが振り返ると、あたるが寝ていた布団の枕元にラムが座っていた。あたるが 「ラム、お前…」と言うと、ラムは 「何だかダーリンが心配で寝られなかったっちゃ」と言った。それを聞いたあたるは呆れる様に 「ただ寝ていただけではないか」と言ったがラムは 「それでも、何だかダーリンがもう目を覚まさないんじゃないかって思って…」と言った。するとあたるは 「何を大袈裟な」と言うと立ち上がり布団をたたみだした。そんなあたるにラムは 「所でダーリン、例の夢って見たっちゃ?」と聞くと、あたるは 「あぁ」と短く答え、それを聞いたラムは 「じゃあ、あの落書きは?」と問いかけた。しかしあたるは 「その事なんだが、色々有ってな。だから学校でみんな集めて話したいと思う」と言った。それを聞いてラムは 「分かったっちゃ」と言うと、立ち上がり 「じゃあ、うちもUFOに行って着替えて来るっちゃね」と言うと窓からUFOに向かって飛んで行った。 あたるとラムが学校に着くと何やら教室の中が騒がしかったので、あたるは近くに居たパーマに 「おい、何か有ったのか?」と聞くとパーマは 「あぁ、転校生だとよ」と答えた。それを聞いたあたるは 「転校生?それは珍しいな」と言って、更にパーマに小声で 〈それで、男か?女か?〉と聞くと、そんなあたるの態度を見たラムは 「ダーリン?何こそこそしてるっちゃ?」と言ってあたるの顔を覗き込んだ。するとパーマが 「あたる、残念だが男だ」と言った。あたるか 「なんだ、つまらん」と言うとラムは 「ダーリン、どうせ転校生が女だったら良かったとか思ってるんじゃないっちゃ?」と言ったが、あたるは悪びれた様子も無く 「当然じゃ、だれが男が転校してきて喜ぶと言うんじゃ」と言ったが、ラムは 「クラスの女子は喜んでるみたいだっちゃねぇ」と言って女子が集まってる方を見た。それを見たあたるは 「なんと尻の軽い女ばかりじゃ」と言ったが、ラムが更に 「しのぶも居るみたいだっちゃね」と言うと、あたるは急に 「何?」と言って良く見ると、確かに集団の中にしのぶの姿も有った。それを見たあたるは 「し、しのぶ!」と言って集団に向かって走り出した。するとラムは 「あ、ダーリン!待つっちゃ!」と言うと更に 「うちの前で、よくもぬけぬけとー」と言って、あたるの後を追った。あたるはしのぶの所へ行くと 「おい、しのぶ!俺と言うものが有りながらこんな何処の馬の骨とも…」と言いながら転校生の顔を見て言葉を失った。そして (こいつどこかで見た記憶が…)と思った時、しのぶが 「なんで私があたる君に気を使わなきゃならないの?私が誰と話そうと私の勝手じゃない」と言ってあたるの方を見たが、あたるはしのぶの言葉を聞いていない様で、それを見たしのぶは 「って、聞いてないじゃない!」と言ってあたるに向かって机を投げつけようとしたが転校生と目が合い、慌てて机を置いてニコリと笑った。 その様子を見ていたメガネが 「しかし、あの転校生、随分女子にもてるなぁ」と言うと、面堂は 「ふ、ふん!ちょっと顔がいいだけではないか」と言ったが、それを聞いたパーマは 「お前にとって、顔のいいヤツが現れたのは致命的では?」と言うと、面堂は 「失敬な!僕はただ顔がいいだけの男ではない!」と言った。すると、カクガリが 「じゃあ、顔の他に何が有るんだ?」と聞くと面堂は 「ふふふ、僕には有り余る財力が有る」と言って胸を張った。それを聞いたメガネは 「面堂、お前それ、言ってて虚しくならないか?」と蔑んだ目で見た。 面堂達がそんなやり取りをしている間も、あたるは転校生をどこで見たか必死に思い出していた。そして (あ、夢の中だ!夢の中の俺がカードキーを奪ったヤツだ!)と思った。 第5章 逆襲につづく