うる星やつら チェンジ・ザ・ライフ 第6章 変化 ラムの言葉にあたるは呆然とした。以前にラムが、世界を大きく変えてしまう様な事の場合、強制的に修正されてしまうと言っていた事を思いだしたのだ。あたるは (今回の過去の行動が世界を変えてしまう程の事で、あの落書きの木を消してしまう事で修正されたと言う事か?しかし、だとしたらどうやってブレスレットを外せばいいんじゃ)と思った。一方ラムは 「木そのものが消えてるって言うのが気になるっちゃね」と言うと、首をかしげた。そんなラムを見てあたるは 「どう言う事だ?」と尋ねると、ラムは 「うん、もしうちのブレスレットを外す事が重大な出来事に繋がるとしても、木が消える理由にはならないっちゃ」と言った。するとあたるは 「と言うと?」と更に聞き、ラムは 「多分、ここに有った木に何か意味が有ったんだと思うっちゃ」と言った。それを聞いたあたるは 「意味って…木一本に世界を変えてしまう程の意味が有ったっていうのか?」とラムに問いかけたが、ラムは 「分からないっちゃ…木その物が重要なのか、その木にまつわる何かが重要なのか、今の段階では何とも言えないっちゃ」と言った。その時突然、あたるが何かを思い出した様にラムの肩を掴み 「そうだ!そう言えば、あの研究施設で、お前を寝かせてブレスレットから電気エネルギーを抽出していたヤツを覚えているか?」と聞くとラムは 「もちろん覚えてるっちゃ。だって空から落ちたうちを、ここに連れて来たのが、あいつだったっちゃからね」と言った。それを聞いたあたるは 「そうだったのか…」と言い、納得した様子だった。そんなあたるを見たラムは 「それがどうかしたっちゃ?」と聞くとあたるは 「実は、夢の中の世界。つまり過去でアイツが友引高校に転校して来たんだ」と言った。それを聞いてラムは 「え?本当だっちゃ!?」と驚きを隠せずに居ると、あたるは更に 「恐らくアイツは初めからラムを狙っていたんじゃないか?」と言った。ラムはあたるの話を聞くと少し考え 「そうなると、うちが空から落ちたのもアイツの仕業って事だっちゃ?」と言うと、拳を握りしめ 「それでこんな所に連れて来られて、こんなブレスレットまで着けられて、一年もダーリンと離ればなれにされて……うちは、うちは、本当にバカだっちゃ…」と言うと肩を震わせて目に一杯涙を溜めた。そんなラムに、あたるは 「ラム…お前が悪い訳じゃないんだ。悪いのはお前にそんなブレスレットを着けたアイツだ!だから、何としてもブレスレットを外すぞ!」と言った。ラムも、あたるの言葉に元気付けられたのか 「そうだっちゃ!こんなブレスレット早く外してアイツに超特大の電撃をおみまいしてやるっちゃ!」と言って再び拳を握りしめ、あたるに 「ダーリン、過去のうちが木の根元にディメンションカッターを埋めたのは間違いないっちゃ?」聞くと、あたるは 「いや、埋める所を見たわけじゃないが、ラムが木の根元に埋めるって言ってたんだよ。俺は強烈な睡魔に襲われて寝ちまったからな」と言った。するとラムは 「すると、木の根元に埋めたかは定かじゃないっちゃね?」と言い、続けて 「もしかすると、ここに埋めてないかもしれないっちゃよ」と言った。それを聞いたあたるは 「埋めてない?何でだ?ラム自身が木の根元に埋めるって言ったんだぞ?」と言ったが、ラムは冷静に 「きっと不測の事態が起きたっちゃ」と言った。あたるは思わぬ展開に戸惑った。ディメンションカッターでブレスレットを切断すれば、簡単に全て解決すると思っていたからだ。しかし、事はそれほど単純では無く、むしろややこしい事態に発展して行く気配さえ有る。ラムの言う様に、確かに不測の事態で咄嗟にラムが隠す場所を変えた可能性も有る。しかし、いずれにせよ今のあたるにその隠し場所を知る術はない事実だけは変わらない。その時、あたるはある事実に気付いた。それは、過去から変わらないのは、ここに有った木だけでは無いと言う事だ。あたるは回りを見渡すと (確かに駅の様子や、バス停など明らかに変わってしまった所が多い。だが、それはこの駅周辺の事。俺は、肝心な場所を忘れていた…俺の家だ!俺の家の俺の部屋。あそこは、俺が学生の頃とほとんど変わっていない!)と思うと、あたるはラムに 「ラム!俺は、とんだ思い込みをしていた!」と言った。するとラムは 「急に、どうしたっちゃ?ダーリン」とあたるの突然の発言に戸惑いながら答えると、あたるは 「俺は、ここに、この場所にこだわっていた。それはラムがここに居るから…でも、ここじゃなくても良かったんだ!過去から変わらない所ならどこでも!」と言うと、ラムも何かに気付いた様に 「あ!」と言うと、あたるが更に 「昔から変わらず、絶対に他人に見つからない場所……」と言うと、続けてラムが 「ダーリンの部屋だっちゃ!」と言った。それを聞いたあたるは、ニヤリと笑うと 「そう、俺の部屋だ」と言った。そしてあたるは 「もし過去のラムに不測の事態が起きて、あの木の根元に隠せなかったら、お前ならどうする?」とラムに聞くと、ラムは 「うちなら……UFOに持って帰るっちゃね」と言った。それを聞いたあたるは思わずコケた。そして立ち上がりながら 「なんだよ、おれの部屋に隠さないのかよ」と言い、更に 「まぁ、お前らしいって言えば、お前らしいか」と言った。するとラムは 「でも、ダーリンが一緒だったら分からないっちゃよ」と言って笑った。それを聞いたあたるは 「状況によるって事か…」そう言うと、ラムの手をとり 「とりあえず家に行ってみよう」と言い駅の方に歩き出した。しかしラムは急に立ち止まり 「ダメなんだっちゃ…うち、この町から出られないんだっちゃよ」と言った。それを聞いてあたるは 「何でだ?ここで会った時もそうだったが、この町に何か有るのか?」とラムに問いただすと、ラムは 「…このブレスレットだっちゃ…このブレスレットが」と言うと、ブレスレットを無理矢理外そうとした。しかし、そんな簡単に外れる訳は無くラムの手首は真っ赤になっていた。それを見てあたるは 「もういい!やめろ!」と言うとラムの手を止めた。そして 「そのブレスレットが有る限り、この町を出られないんだな」と言って、真っ赤になったラムの手を握りしめた。あたるは、心底ラムの腕に着いているブレスレットが、そしてそれを着けた連中が憎かった。 そんな時、ラムは俯きながら 「ごめんねダーリン…」と言ったが、あたるはそんなラムを元気付けようと 「おいラム、お前らしくないぞ?お前は…」と言うとラムは顔を上げた。そして、あたるは続けて 「いつも笑って、いつでも前向きで…」と言った。すると、さっきまで落ち込んでいたラムの顔には笑顔が戻り、あたるは更に 「バカみたいに能天気で…」と言うと、笑顔になったラムの顔は一転険しくなり、次にあたるが 「短気で…」と言うと、ラムは再び俯き、しかし今度は拳を握りしめ、肩を震わせる。しかしあたるは更に 「おっちょこちょいで、嫉妬深い……」とそこまで言った時、ラムは怒りの表情で 「言いたい事は、それだけだっちゃ?」と言ってあたるを睨みつけた。それを見たあたるは、慌てて 「あ、いや、ち、違うんだ…」と言ったが、ラムは 「何が違うっちゃ!電撃が使えなくても、これは使えるっちゃ!」と言うと、両手を見せた。そこには鋭い爪がキラリと光り、次の瞬間 「ダーリン!覚悟するっちゃ!!」と言う声と共に、あたるの顔にラムの爪が食い込み、まるで猫にでも引っかかれた様な傷痕を残した。更にラムは、どこからか星形の奇妙な物が乗った皿を取り出し 「さぁ、これを食べてうちに詫びるっちゃ!」と言った。 それを見たあたるの顔は恐怖に歪んだ。それは以前ラムがあたるに作った手料理に酷似していたのだ。あたるは逃げようと、もがいたがラムの力は予想以上に強く逃げられずに、あたるの口にはあえなくラムの料理がねじ込まれた。次の瞬間あたるは上空高く飛び上がり、やがて落ちて来て地面に激突した。あたるの唇は無残にも腫れ上がり、まるでくちばしの様になっていた。 あたるは 「ほひはへふ、ほへはふひひはへっへへはほひはへへひふ(とりあえず、俺は家に帰って部屋を調べてみる)」と言うと、更に 「ほはへは、ほほへほほはひふひへひほ(お前は、ここでおとなしくしてろ)」と言い、駅に向かって歩き方出した。そんなあたるの後ろ姿を見てラムは (ダーリン、あんな事言ったけど、本当はうちを元気付ける為だったっちゃね)と思うと、心が暖まる思いだった。 一方、改札をくぐったあたるは (くそ!ラムのヤツあんな物まで食わせやがって。しかし、つい本音が出ちまった、今度から気を付けんとな)と思い、電車に乗り込んだ。 やがてあたるは、友引駅に着くと回りは見向きもせずに一目散に家に急いだ。その訳は、早く部屋を確かめたいだけの理由ではなく、あの睡魔がいつ襲って来るか分からないからである。とにかく家に帰ってからなら睡魔が襲って来ても安心だからだ。 だが、あたるが家まで30m程の所に差し掛かった時、ついに恐れていた事が起きた。睡魔が襲って来たのだ。あたるは 「く、くそ!こんな所で寝てたまるか!」と言うと、必死で眠気を抑えて歩き出した。しかし家まで残り10m位の所で、あたるは遂に立っている事も出来ない程になってしまった。しかしあたるは諦めず 「お、俺は、這ってでも行く!」と言うと、ズリズリと這って進みだした。その光景は、まるでホラー映画のワンシーンの様に見える。そんな芋虫の様に這っているあたるの所に1人の人物が歩いて来た。芋虫の様なあたるを見たその人物は、見た瞬間は驚いたが、あたるの顔を覗き込むと 「え?あたるくん?」と言った。そう、その人物はしのぶだったのだ。そんなしのぶにあたるは 「い、家に…帰ら…ない…と」と絞り出す様な声で言った。それを聞いたしのぶは 「どこか悪いの?分かった、家に連れて行けばいいのね」と言うと、あたるを軽々と抱え上げた。怪力は健在である。 そして、しのぶはあたるの家の玄関を開けると 「おばさん!あたるくんが大変!」と叫んだ。その時、あたるは既に深い眠りに落ちていた。 ※過去のあたるが眠った直後※ 突然眠ってしまったあたるにラムが必死に呼びかける。 「ダーリン!しっかりするっちゃ!ダーリン!」しかし、いくらラムが呼びかけてもあたるが目を覚ます気配は無い。ラムの膝の上で眠り続けるあたる。ラムはそんなあたるのあたまを撫でながら (一体ダーリンの身に何が起きてるっちゃ?)と思った。そんなあたるとラムの姿をじっと見つめる姿が有った。それは、転校して来たばかりの【泉 健太】だった。泉は、あたる達が体育館裏で集まっている時から、あたる達、いやラムを監視していたのだ。そこで、あたるとラムが午後の授業を抜け出して出かける事を知り、気づかれない様に後をつけてきたのだ。そして、雀の宮のバス停で突然あたるがベンチに横たわったのを目撃したのだが、やはり泉も状況を飲み込めずに静観していたのだ。あたるとラムは、周りから見れば高校生のカップルがイチャついている様に見えるが、実際は全く違う事に泉も気づいていた。泉は (さっきの諸星あたるの寝方は普通じゃなかった。まるで麻酔銃でも撃たれた様だった。しかし、僕が見ていた限り、そんな気配は全く無かった。それじゃあ、さっきのは一体…)と思った瞬間、ラムが泉の方を見た。泉は、慌てて隠れたがラムは泉の方をじっと見ている。泉は (さ、さすが!勘がいいと言うか、気配に鋭いと言うか。いずれにせよ、もっと気を配らないといけないな)と思った。一方ラムは (なんか誰かに見られてる気配を感じたんだけど…気のせいだっちゃ?)と思い、再びあたるに視線を移した。しかし次の瞬間 「そこだっちゃ!!」とラムは叫ぶと泉が隠れている場所に電撃を放った。 泉が隠れていたのは金属製の柱だったので、柱を通じて泉は感電してしまい、その場に倒れた。一方電撃を放ったラムは、ラムが電撃を放った柱の向こう側で バタ! と、人の倒れれ音がしたので 「命中だったゃ」と言うと、ニヤリと笑った。そしてあたるの頭を膝から下ろすと 「ダーリン、ちょっと待っててっちゃ」と言うと、音がした柱の所に行った。すると、そこにはかろうじて意識を保っている泉の姿が有った。ラムは泉を見ると 「お前、転校生の…」と言った。一方、初めてラムの電撃を浴びた泉は、その衝撃で体が動かず 「ちょ、ちょっと待って…」とやっと声を絞り出した。しかしラムは泉の言葉など聞かず 「お前、こんな所で何してるっちゃ?何でうち達を監視してるっちゃ」と泉を問い詰めた。すると泉は 「い、いやここで偶然君たちを見かけたものだから、ついのぞき見を」と言った。しかしラムは 「ふ〜ん、さっきは気絶しない程度に手加減したけど、お前がそう言う態度なら今度は手加減無しで行くっちゃ」と言うと、両手からバチバチと放電を始めた。それを見た泉は 「ちょ、ちょっと待ってくれ!分かった!話す!話すから」と言うと、頭を下げた。ラムは放電をやめると 「さぁ、話すっちゃ。お前は何者で、何でダーリンとうちを監視しているのか」と言った。泉は何とか体が動く様になり、その場に座り込み 「実は…」と言った時、いきなり 「危ない!!」と言って、ラムを突き飛ばした。ラムは突然泉に突き飛ばされバランスを崩したが、何とか体勢を建て直し 「何するっちゃ!」と叫んだ。しかし泉は、ラムではなく別の方向を見ていた。ラムが泉の視線を追うと、そこにはどう見ても地球人には見えない生き物が銃の様な物を持ってこちらを見ていた。その生き物は、撃った弾がラムに当たらなかったのを知ると 「くそ!」と言って、逃げ出そうとしたがそれより速く泉がその生き物に向かって何かを撃った。それはその生き物に絡み付き、身動きが出来ない様にしてしまった。何やら、拘束する為の道具の様だ。ラムは再び泉の方を向くと 「お前、一体何者だっちゃ」と言った。すると泉は、起き上がりながら 「僕は、この星域を担当している銀河パトロールの隊員です」と言った。それを聞いたラムは 「銀河パトロール?何で銀河パトロールがこんな所に居るっちゃ?」と言うと、泉は 「実は、宇宙犯罪組織のラツヤ・イルワがラムさんを狙っているって情報が入りまして、ラムさんの保護の為にやって来ました」と言った。それを聞いたラムは 「何でうちが狙われるっちゃ?」と泉に聞いたが、泉はラムに向けて撃ち込まれ、あたるが落書きを彫った木に刺さった弾を取ると 「これは!」と言い、更に 「ラムさん、奴等はラムさんの能力を奪うつもりみたいです」と言った。するとラムは 「能力を奪う?どう言う事だっちゃ?」と泉に問いかけると、泉は 「実は、奴等は強い能力を持った人達を拐ってはそのエネルギーを何らかの方法で吸い取り、それを裏マーケットで売り捌いているらしいんです。しかし、奴等は非常に用心深くなかなか尻尾を出しません。だから、実際のところははっきり分からないんです」と言った。それを聞いたラムが 「じゃあ、その弾は…」と言うと泉が 「はい、一時的に能力を使えなくしてしまう物だと思います」と言った。その時、ラムの脳裏にあたるの言葉が過った 『アイツには絶対に気を許すな!』 ラムは、一度大きく息を吸うと 「なるほど、でもお前が言ってる事が本当って証拠はないっちゃ」と言うと、泉はラムの予想外の反応に動揺したのか 「な、何言ってるんですか!今だってラムさんを助けたじゃないですか!」と大声を上げた。しかしラムは 「そんなの演技かもしれないっちゃ。予め、その宇宙人と立てた計画かもしれないっちゃ」と言った。それを聞いた泉は 「確かに、今日初めて会ったばかりの僕を信用しろって方が無理かもしれません。それでも、ラムさんを護る事が僕の任務である以上、今後も監視は続けます。とにかく、ここに長く居るのは危険ですから、今日は帰って下さい」と言った。するとラムは 「お前に言われなくても帰るっちゃ」と言って、あたるの所に行った。そしてラムが泉の方を振り返ると、そこに泉の姿は無く宇宙人の姿も消えていた。そしてラムがあたるを抱き抱えようとした時、あたるは突然目を覚ました。それを見たラムは 「ダーリン!目が覚めたっちゃね!」と言って、あたるを抱き締めた。するとあたるは 「ええい!いきなりやめんか!」と言うとラムを引き離した。そして 「それより、例の道具はどうした?」と聞くと、ラムは 「実は…色々有って、まだ埋めてないっちゃ」と申し訳なさそうに言った。それを聞いたあたるは 「良かった!向こうでは予想外の変化が有ってな」と言った。するとラムは 「一体、何が有ったっちゃ?」と興味深そうに聞いた。あたるは、落書きの木の方を向くと 「あの木が消えたんだ」と言った。それを聞いたラムは 「え?どう言う事だっちゃ?消えたって…」と言うと、木の方に歩き出した。あたるは、ラムの後に続いて木の方に歩きながら 「そのままの意味だ、消えちまったんだよ。まるで、そこには何も無かったみたいにな」と言うと、木の落書きを指でなぞりながら 「向こうのラムの話だと、向こうの世界に大きな影響を与える様な事がこの木に起きたからだろうとさ」と言った。あたるの言葉を聞いたラムは、さっきの宇宙人が撃った弾がこの木に当たった事が気になりつつも、先程の事をあたるに話す事にした。ラムはあたるの方を向くと、泉があたるとラムを追って来ていた事、泉を問い詰めた時、宇宙人に襲われその時の弾がこの木に当たった事、そして泉が銀河パトロールの隊員だと言った事を詳しく話した。それを聞いたあたるは 「泉が銀河パトロールだって?そんな事有るか!アイツは未来でお前にブレスレットを着けて電気エネルギーを吸いとってたんだぞ!」と言ったが、ラムは 「だからうちも、信用はしなかったけど…嘘をついている様には見えなかったんだっちゃよね」と言って首をかしげた。そんなラムを見てあたるは (どう言う事なんだ…)と思いながらも 「ここで襲われたって事は、アイツの言う通りここに居るのは危険かもしれないな。すぐにここから離れよう」と言ってラムの手を掴むと、駅の方に走り出した。ラムも、あたると一緒に駅に向かって走り出したが、あたるがラムの顔を見ると何だか嬉しそうに笑っていた。そんなラムにあたるは 「おい、何笑ってるんだ?こんな状況なのに!」と言うと、ラムは 「だって、何だか映画のワンシーンみたいで楽しいっちゃ」と言ってニコリと笑った。しかしあたるは 「何を呑気な事言っとんじゃ!お前は狙われとるんだぞ!」と言ったがラムは平然として 「うち、何も心配じゃないっちゃよ。だって、うちの事は絶対にダーリンが護ってくれるっちゃ」と言った。あたるは呆れながらも、そんなラムの笑顔に救われた気がした。 第7章 復活に続く