キミと過ごした日々『第4話』ラム (Page 2)
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碧色の長い髪が潮風に吹かれている。






あたるはヘリから降りるとサクラの後ろについて行った。


見たことろ、この船は軍艦のようだな。戦闘機がこんなに沢山……………なんでオレがこんな所に……………。



ボスッ

心の中でぼやくあたるは立ち止まるサクラに気付かずに頭から突っ込んでしまった。

「いってぇ〜」

鼻を強く打って涙目になる。

「ハァーイ、久しぶりだっちゃねサクラ!」

「おぬしも変わらぬなぁ、ラム」

「女の子らしくなったっちゃ♪」

あたるは会話は聞こえるものの、サクラの背中で話している少女の顔が見えない。

「ところでその子―――――――」

ラムが言いかけている時、あたるがやっと顔を出す。

「―――――――」

「ん?」


この子、どっかで…………………


やがて、ラムの顔が歓喜に満ち溢れた。

「ダ、ダーリィィン!」

「のわぁ!」

ラムが急に抱きついてきたのであたるは後ろに倒れた。

「も、諸星………………おぬし、そんな男だったのか」

「はあ!!オレの今の状況が目に入らないのかぁ?!」

「おかしいと思っていた。あんなに男には冷たいしのぶが―――――」

ラムの頭がピクリと動いた。

「わざと言ってるだろ?!」

「責任は最後までとるんだぞ、諸星」

「おのれはオレの話を聞く気がないだろ?!」

「ダーリン?しのぶって誰だっちゃ?」

ラムが冷たく聞く。

「ただの―――――」

友達、そう答えるはずだった。

「ただの恋人じゃ♪」


お・の・れ・は〜


こめかみをこれ以上ないくらい激しく痙攣させながらあたるは言い返そうとする。

「ただの――――」

「ダーリンのバカァ!!」


バリバリバリバリ


初の電気ショック。

「のわぁー!!」

服がプスプスと焦げた。

「あのなぁ!!本人の主張も聞かんのに事を判断すな!大体オレは“ダーリン”なんかじゃない。人違いじゃ!!」

「むぅ〜、何で知らないふりするっちゃ?!」

「ふりじゃなくて―――――」

あたるはハッとなる。


最近似たようなセリフを言われたじゃないか。もしかして……………


「お前、デーモン司令の娘だろ?」

「今更何言ってるっちゃ?」

「オレは―――――」







「何でだっちゃ!?うちは一時でもダーリンを忘れたことはなかったっちゃ!!うちのことおよめさんにしてくれるって言ったっちゃ!!なのに何で……………」

「あ――――――」


何故だ?この子の寂しそうな顔は見たくない気がする……………


「オ、オレ、キミのことは忘れたかもしれないけど……………これから、仲良くしようよ」

仲良くしようね!

ラムにはあの頃のあたるとダブって見えた。

「ダーリン……………」

ラムは再びあたるをキツく抱きしめる。



「プロポーズか?」

「違うわい!」







食堂

四人用の四角いテーブルにあたる達はいた。
ラムとサクラが隣どうしに座り、あたるはラムの前に座っている。
他の席は全て空席だ。

「ねぇ、しのぶってどんなヤツだっちゃ?可愛いのけ?」

ラムは両肘をテーブルにつき、手の上に顔をのせた格好であたるに聞く。

「ああ。どんな子かっつーと、家庭的な子」

「ふーん、うちとどっちがイイっちゃ?」

「えっ」

「サクラ〜!」

あたるが返答に困っているとき、丁度サクラの名を呼びながら駆け寄ってくる男。

「ツバメ!!どうしておぬしがここに?」

「ラムちゃんの護衛でね。その子は?」

あたるが何を思ったのかニヤリと笑う。

「ああ、この子が―――――」

「どうも、サクラの恋人です」

「え?サクラの??」

「いつもお世話になってます」

ペコリと頭を下げる。

「え?え?」

動揺しまくるツバメ。突然のことに声も出ないラムとサクラ。


ビービービービー!


突然のサイレンと同時に衝撃が船を襲う。

「使徒……………」

あたるが呟くと、急いでエレベーターの方に走り、ボタンを押す。
他もつられてエレベーターまで走る。


チーン


エレベーターが着くと、あたるは再びニヤリと笑い、ニコニコしながら振り返る。

「エレベーターが着いたよ、ハニー」






あたるとラムはARMORを装備している。

「ちぇ、殴ることないじゃないか」

あたるの頭には大きなゲンコツがある。

「アレはやり過ぎだっちゃ。ツバメ、目に涙を浮かべてたっちゃよ?」

「やっぱりまずかったかなー。軽い冗談のつもりだったんだけど……………」










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