時は夢のように・・・。「エピローグ」 (Page 1)
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時は夢のように・・・。
『エピローグ』
数年後・・・。
「髪飾りのティアラは・・・こんな感じでいいわね。」
「うん。いい感じ。」
「プリンセスラインのドレスにぴったりね。」
「やっぱりラムさん、スタイルいい。」
「そ、そんなことないっちゃよ。」
いつかのブライダルフェアで訪れたチャペルに来ていた。
でも今日はブライダルフェアなんかじゃない。
あまり着たことのないタキシードなんで、動きづらくてしかたない。ちなみに色は白だ。
チャペルの控え室で、俺は隅の椅子に腰かけて、女の子たちのさざめきを眺めていた。
「オッケー。じゃあラムちゃん、立って。ブーケ持ってみて。」
ラムは座っていた椅子からスッと立ち上がると、ブーケを受け取った。
ドレスは、純白。腰からボリュームアップされたプリンセスラインだ。レースと細かな刺繍で可愛らしくまとまっている。ふんわりと広
がったレースを格子状にパッフィングしたスカートが、歩くたびにふわふわと揺れた。
髪の毛はアップして、可愛らしい花の形をしたヘアピンでとめてある。ダイヤをあしらったティアラと、肩下まで流れているベール、ツ
ノには小さなフラワーリングが飾られていた。
「うんうんっ。すごく綺麗だよ、ラムさん。」
ラム「ありがとだっちゃ、唯。沙織も。」
とうとう、俺とラムは結婚するのだ。
唯はこの日のために、フロリダから帰国してくれて、いろいろ結婚式のアドバイスをしてくれた。
ラム「二人がいなかったら、この結婚式はなかったかもしれないっちゃ・・。ダーリンに『好きだ』って言ってもらえたのは、唯のおかげ
だっちゃ。ダーリンの傍にいられるのも・・・ぜんぶ唯のおかげだっちゃよ。唯は最高のウエディングプランナーだっちゃね。」
唯「そ、そんな・・、私は別に・・・二人が幸せになったらいいなと・・・思って・・・その・・。」
だんだん声が小さくなって、最後はゴニョゴニョで聞き取れない。
沙織「まったく、だいたい私に家の留守番させておきながら、京都まで行っちゃうなんてどういうこと? わたしは忘れてないわよ。パフェ
奢ってくれるって言ってたよね。」
唯「あうっ、よく覚えてる〜。」
沙織は、冷やかな目で唯に目配せする。
ちょっとひきつった表情で微笑んで、唯。
ラム「ほんっっっとに、ありがとだっちゃ。」
にっこり笑って、ラム。
カラ〜〜ン・・コロ〜〜ン・・カラ〜〜ン・・コロ〜〜ン・・・。
礼拝堂の鐘が、頭上の方から鳴り響いた。
沙織が、部屋のドアを開ける。
沙織「さぁ、フラワーシャワーだよ。」
唯「みんな待ってるよ、急いでっ。」
ラム「うんっ、ダーリン行くっちゃ。」
ラムに手を引かれて控え室を出た俺は、バージンロード正面扉の前に立ってスタンバった。
ラムは俺の左腕に、寄り添って腕を組んでいる。
扉が開かれると、外から光がサーッと差し込んで、ラムのウエディングドレスにキラキラと降り注いだ。
その逆光の中から、一斉に歓声がわきあがった。
目の前には赤絨毯が敷かれていて、その両側にはたくさんの友達が立っていた。
俺とラムは、歓声とフラワーシャワーの中を、ゆっくり歩いていった。
あたる「アホ、べたべたくっつくな。」
ラム「なに恥ずかしがってるっちゃ、ダーリン!」
ラムは嬉しそうに、満面の笑顔で泣いていた。
俺とラムの時間は動き出したばかりだ。
でも、『今』という時間は、二度と戻らないんだ。
だから、最初から大切にしていきたい。
時は、夢のように過ぎてしまうから。
ラストエンディングテーマ:Remember My Love
『時は夢のように・・・。』Fin
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