ヨロイ娘の新たな試練!体力テストは乙女の園で!(第1編) (Page 2)
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実のところ、飛鳥はうんざりしていた。再三の失敗にもかかわらず、飛鳥は母によって、ほぼ毎日朝から晩まで、男性恐怖症克服プログラムを受けさせられていたのだ。ここにいる間は、その苦しみから解放される・・・その喜びでいっぱいだった。
そのころ友引高校では、掲示板に、体力テストのお知らせがあった。ちょうどそこに面堂が現れ、珍しく遅刻もせずにそこにいたあたるに尋ねた。
「諸星、何をやっているんだ?そんなところで」
「あ、面堂。いやな、何でも、校長が体力テストを開くのだそうだ。今日の午後1時、女子中学校に忍び込むんだってよ。あーあ、なんかかったりぃよなー」
女子中学校?面堂の脳裏にいやな予感が走った。でもまさか・・・不安を感じながらも彼はあたるに尋ねた。
「おい、その学校、何という校名だ?」
「潔癖女子中学だってさ!ほら、あそこの掲示板に書いてあるぜ」
掲示板のほうを指差し、あたるは面堂にあっさりと答えた。
何だと?一瞬耳を疑った。潔癖女子中学と言えば、飛鳥さんが今日から通っている学校ではないか。そんなところに男ども、特に諸星が行ったら大変なことになるぞ。
あわてて自ら掲示板を見に行ったが、やはりあたるの言葉どおりだった。
あわてた様子が顔色に現れた面堂に対して、あたるが、
「何だ面堂。お前、この学校知っとるのか?」
「あ、ああ、知っているも何も、われわれブルジョアの間では知らぬものはないというほどの名門校さ。と、特に、その・・・執拗な警備体制ときたら・・・」
この男を行かせるのが1番まずい。何とかして学校潜入を諦めさせなくては。面堂はその思いから、周囲にいた他の男子生徒にも聞こえるような声で、潔癖女子中学の警備体制について動揺しながらも必死に話した。その話を聞いてあたるは、
「ほう、そんなに危険なら、遠くのバラより近くのタンポポじゃ。ちょっと残念な気はするが、やっぱり今日はエスケープするか」
「今日も、だろ?あはは、まったくアホらしくてやってられんよなー、なあ、諸星」
そう言ってあたるの左肩を叩いた後、、面堂はほっと胸をなでおろして教室に向かった。
その姿を、あたるを始めほかの男子生徒たちは、怪訝そうな顔で見た。なんかあいつ変だぞ・・・
「そういえばラムさんはどうしたんだ?見当たらないな・・・」
「あいつならお使いとか言って出かけとるぞ。お前、さっきから何そわそわしてんだ?女子中学のことで何か気になることでもあるのか?」
「何でもないよ、別に!ただ、ボクの知っている学校だったから驚いただけだ。そんなことよりも、ほら!授業が始まるぞ」
午前9時、ラムは潔癖女子中学の中にいた。友引高校校長に潔癖女子中学校長の所に手紙を届けるように頼まれたのだ。そこで飛鳥と鉢合わせした。
「飛鳥・・・なんでここにいるっちゃ?」
「あら、ラム様。おはようございます。私、今日からここに通うことになったんですのよ」
驚いた様子のラムに、飛鳥は丁寧に挨拶した。
「へぇー、そうなのけ。ところで、ウチ、校長先生に用があって来たっちゃ。どこにいるっちゃ?」
「まだ校長室にいらっしゃると思います。案内いたしますわ。こちらでございます」
そういって飛鳥は、ラムといっしょに2階の校長室へジャンプして窓から入った。
「あら、いらっしゃらないようですわね。どちらへ行かれたのかしら?」
「しょうがないっちゃねー。せっかく校長先生のお使いで来たのに・・・」
「あなたがた。窓から部屋へ入ってはいけません」
きょろきょろしていた飛鳥の足元から、校長の声が聞こえた。飛鳥は彼女の頭の上に乗っかっていたのだ。飛鳥は、
「まあ、校長先生!どうしてそんな所に!?」
と言って、わざとらしく驚いた。ラムが、
「いるならいるって返事ぐらいすればいいのに・・・まあいいっちゃ。はいこれ!ウチの校長先生からの手紙だっちゃ」
そういって手紙を渡すと、下がってよろしいと大仏校長が言ったので、飛鳥は、
「失礼いたします」
と、丁寧に深々と頭を下げて挨拶したが、ラムは、
「だっちゃ」
と、友達同士のようにぶっきらぼうに挨拶した。そんな2人に大仏は一言ご苦労様と言った。
手紙には一言、「電話します」とだけ書いてあった。果たして電話がかかってきた。
「わが校の生徒たちがおたくに潜入することは先ほどお伝えしましたが、そのことで、何か潜入成功の証拠になるものを用意していただきたいのですが・・・」
「無理だと思いますが・・・まあ、よござんす。それでは週番の腕章を・・・」
この二人の会話で、この後の飛鳥の悲劇は決定的となった。
「あら、飛鳥様、転入早々週番ですの?」
「はい」
なんでやねんと思わず突っ込みたくなるような状況である。これはもはや、男性恐怖症の飛鳥に対する嫌がらせも同然だった。いや、大仏にはこんな思いがあったのかもしれない。万が一警備が破られても、飛鳥のパワーなら腕章を守り抜けると・・・
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