若社長VSヒラ社員 (Page 1)
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コースケ、しのぶに目で合図を送る。しのぶの方も慣れたもので、すでに側には机が山盛りになっている。

しのぶ「2人ともいいかげんにしないと怒るわよ。」

しのぶが本気で怒ると基本的に女の子にはやさしい若社長とヒラ社員には勝ち目がない。

一応おとなしくなる2人。

しのぶ「それで今回のケンカの原因はなんなの?」

あたる「しのぶ〜聞いてくれよ〜この見積書(※)、面堂が絶対にダメだって。こんな金額認めないって。」

コースケ「どーしてなんだよ、ケチ。」

コースケが若社長、つまり面堂にくってかかる。

終太郎「文句言う前にお前、諸星の見積書見たのか?」

コースケ「いや、見てねぇ。あたるが怒った顔で部屋を飛び出したのを廊下歩いてたらチラッと見えたから追いかけただけ♪」

軽〜く言うコースケに対し、がっくりと少し、ため息をつく終太郎。

終太郎「…僕が拒否するのにはちゃんと理由があるのだ。よく見ろこれを。」

しのぶ、コースケがあたるが作成した見積書を見直す。

終太郎「ここの箇所、0が一個多いんだ。こんな金額で相手が納得すると思うか?」

あたる「あっ…ヤベェ…なら何ですぐ教えてくれないんだよ。やっぱりケチ。」

終太郎「気づいてなかったのか…いつも教えていたらどうして悪いのかということを理解もせず、勉強もしないだろうが。

僕の方こそ嫌がらせで訂正もせずに、書類提出しているのかと思った。

部屋に入ってくるなり悪口言いまくって、ドサクサにまぎれて給料上げろとか言うし。」

しのぶ「これはあたる君のほうが悪いわね」

コースケ「そーだね。あたるは減俸3ヶ月!」

あたる「勝手に決めるな!!コースケのアホ!!」

終太郎「…僕から見れば2人とも同罪だ。社長の僕にケチなんて。」

眉をよせて少し怒っている若社長。このままではホントに減俸になりかねない。

あたる「ご、ごめんね〜終ちゃん。許して〜。」途端に卑屈になるあたる。こういう変わり身の速さは天下一品である。

終太郎「まぁいい、ちょうど新商品のことで部屋に呼ぼうかと思ってたから。」

しのぶ「じゃあ、おいしい紅茶でも入れるわね。」

コースケ「俺は下に(営業課)戻ってるから。今日飲みにいくだろ?」

あたる「他のヤツにも集合かけといて。しのぶ、紅茶だけじゃなくってケーキもつけて。」

しのぶ「ちゃっかりしてるわね」

終太郎「早く来ないか。しのぶさん、諸星なんかにケーキつける必要ありません。」

あたる「もうすぐ3時なんだから別にいいじゃん。3時のおやつ♪3時のおやつ♪」

終太郎「やかましい!!」

そしてコースケはエレベーターで下へ、しのぶは紅茶を入れる為に近くの簡易キッチンへ、

若社長とヒラ社員は大穴の開いたドアをくぐり社長室へ入っていった。



つづく。

見積書―おおよそどのくらいの金額でこの程度のことが出来ますという相手にわかってもらう計算書。

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