THE TIME COME BACK 第4章 面堂の意見 (Page 2)
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これにメガネは反対しようとしたが,それが間違っているという証拠がなかった。気持ちという証拠があるにはあるんだが,どうせ面堂にいっても「気持ちなど当てになるか。そこにあると感じたものが,実際にあるのだと認識させてしまうのだ,人の脳というのは。」といわれるのが関の山だろう。しかし,メガネは,あの意見をどうしても否定したかった。そして「しかしだな・・。」とあたるがもっていた人形のことについて言おうとしたが言ったが,面堂の「なんだっ!!」に返す言葉もなくしてしまった。
あいつはこんなやつだったかな・・・。あたるは思った。
「この矢印の意味はなんだよぉ」チビが言った。
「ああ,これは僕たちが行くべき道だ。」
しばらくの間,静けさが戻ってきた。あたるには面堂の「なんだっ。」の発言が,メガネがこれから言わんとすることを無理やり封じ込めてしまったように見えた。
そんなことには気づかず,メガネは面堂の言ったことについて考えていた。
もしかして・・,いやそんなはずは,といった言葉が彼の頭の中で飛び回り彼を混乱させていった。
そしてめがねは,だんだんと面堂のほうが正しいのではないか,と思うようになってきた。理屈っぽい彼の性格からすれば,返す言葉がなくなった以上それは必然的なものであった。そして,ラムの存在ももとからいないのではと思うようになった。それはメガネだけでなく,パーマ,チビ,角刈りにも同じようになっていった,あたる以外の。
「これで問題は解決した,先に帰らせてもらう。」と面堂は言い,去っていった。
あたるはまだ納得していなかった。だが,メガネたちも面堂の意見に結局は賛成してしまったので,もうここにいる必要もなくなり,あたるも帰ることにした。「じゃ,俺もこのへんで。」とあたるは,最後に言った。それから,あの4人には会っていない。


はっきり言って,あたるは面堂,メガネの意見にも賛成していなかった。
空間が違うとか,最初からいないというのはもってのほかだった。
なんか違う,あんなまどろっこしいものなんかではない。
それと,何か引っかかるものがある。そうだ,めがねの家から出るときだ。


あたるはめがねの家から出るとき,1人の男とぶつかった。
「お,えろうすいませんなぁ」
その男はそのまま立ち去って行った。


「・・・・,もう疲れた。」
あたるは呟いた。朝から色々なことが起きすぎた。もう何も考えたくない・・・。
人は苦痛があるから伸びていけれるというが・・・。
俺も伸びる時期なんだろうか
生半可な苦痛からはたいした物は得られないというが・・・。
俺が得るものはなんだろうか・・・。ただの空振りか・・・。
もういいか・・・。
風呂に入ろう・・・。
あたるは重い体を上げ,階段を下りていった。

風呂から上がったあたるは,自分の部屋にいった。
11時過ぎ,どうせ明日は学校はないので,もっと遅くまで起きていようと思ったが無理だ。
あたるは布団をしこうとして,布団の下に腕を突っ込んで,そのまま持ち上げようとしたが,いつものと同じものかと思うくらいに布団は重く感じた。そのままあたるは,顔を布団にうずめた。「ダーリン。おやすみなさい,だっちゃ。」今では,幻となってしまったその声はあたるの耳に響き渡り涙腺を刺激していった。どこへ行ってしまったんだ,また地球滞在延期かなんかか?そのときだった。
「ダーリン・・・。」
あたるはこの声をはっきり聞いた。正真正銘ラムの声だった。あたるは無意識に窓のほうに行ったが,そこには誰もいなかった。まだいるんだ,ここに。それだけでも知れたら十分だ。さっさと布団を敷いて,すぐに寝ることにした。布団の中に入ったあたるは,少し冷たい布団に寒気を感じながらゆっくり目を閉じた。この夜はあたるの生涯で一番長い夜となった。


あたるは目を覚ました。とそこには信じられない光景が広がっていた。ラムが下を向いて正座して座っているではないか。あたるはすぐに目が覚めた。
「ラム,まったくどこに行っておったのだ。」と言おうとしたが,ラムの第1声に驚いていえなかった。
「ダーリン,何でうちを探そうとするっちゃ。ここがおかしいとか何とか言って,
なんで,なんでそんなことをするっちゃ・・・。」
「何をわけの分からんことを。」と言おうとしたが,またラムの声にさえぎられていえなかった。
「分かれようって決めたのに・・。」
ラムは下を向いたままだ。

          続く

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