浜茶屋　海が好き

これも昔の話ですが、１９９６年の１２月に学校で強制的に、河合塾の高校入試統一テストを受けさせられたのですが、その国語問題で、
「日本語の読みは、世界の他の言語と比較して、いささか変わった位置にある。・・・」
などと論文が始まり、堅苦しい文章だな、と思って読んでいて、次のページを開くと、「チェリー」という言葉が目に付き、あっ、錯乱坊だっ、と冗談で思ったら、本当にそのすぐ上に「錯乱坊」と書いてあるではないか。なにっ、と思ってそのあたりを読んでみると、こう書いてありました。
「もう一つ、日本人の漫画好きである。これが音訓読みと決定的に関係すること　は、十分に意識されていない。先ほどの「重い」にルビを振った例を考えてみよう。これはじつはすでに漫画なのである。おわかりだろうか。
それは高橋留美子の『うる星やつら』の一コマを見れば、すぐに分かる。錯乱坊つまり愛称を「チェリーと呼んでくだされ」という坊主がいる。これもまたすでに漫画になっているのだが、それは後のこととして、この坊主が大きな声で怒鳴っているコマがある。吹き出しがあって、そのなかに「揚豚」というむずかしい漢字が入っている。それにさらにルビが振ってあり、そのルビとは「カツ」なのである。揚げた豚だから豚カツで、だから「カツ」と坊主が怒鳴っていることになる。」
また、問題の選択肢にも
「錯乱坊に「さくらんぼう」とルビを振らせ「チェリー」と呼ばせることは、「揚豚」に「カツ」と読ませることと同じである。」
とあり、まさか、うる星やつらがテストにっ、テストに〜っ、というふうに、模擬試験中あまりにも興奮して、うる星やつらのことばかり考えていましたね。そして、テストが終わったら、例の「おまえのひみつをしっている」の年賀状を書いた人と喜び合いました。
しかし、受験生が死にものぐるいで勉強して受けるようなテストにまで、うる星やつらのネタが堂々と出題されているのには、改めてこの作品のすごさをかんじました。（学校が友引高校に似ていることといい、このテストの件といい、僕はうる星やつらに恵まれている〜っ。）