うちが人間になったっちゃ!? (Page 2)
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「・・・さあ。ラムは今実家に帰ってるから。ラムがどうしたのだ?」
「いやな、今日帰りにラムを見かけたから声をかけたんだが、慌てて逃げて行ったのじゃ。」
「なにか全体的に隠していたようじゃがのう。」
言ってる意味がよく分からなかったので、あたるは問い返した。
「隠すって?なにを?」
「頭とか、顔を手で覆う様にしておったのだ。」
しばらくあたるは考えてみたが、思い当たる節はなかった。
「それにしても、ラムはいつ帰ってくるのじゃ?」
サクラは話を変え、聞いた。
「・・・・・・さあ?」
「まったく、おぬしがいつもそんなだからラムも悩んでおるのだぞ。」
そして、サクラとチェリーはあたるの家を後にした。

あたるはそれからラムの事を考えていた。
  ラムのやつ・・・。一体何してるのだ。おれにも言えない事なのか?

考えているだけで、時間はどんどん過ぎていく。夜は静かに更けていった。
ラムが帰ってこなくなってから一週間、二週間、と経っていった。
「もぉろぼぉしぃ〜〜〜〜!!ラムさんなんで帰ってこないんだあ!!」
目の下にクマを作っている面堂があたるの前に現れた。
「なっななんじゃいおまえ!」
「やかましい!!おまえ知っとるのだろーが!!教えろ!!」
あたるは顔を沈めたまま、ポツリと答えた。

「・・・・・・・・・知らん。」
帰り道、あたるは力無く歩いていた。
いつも帰るときでも、どこでも一緒にいた人がいない。
あたるはとてつもなく大きい寂しさを覚えた。
「ラムの・・アホ。とっとと帰ってこんかい・・・。」
顔を下にうずめたまま、あたるは部屋に入った。
暗くてよく分からなかったけど、窓の方に月明かりに照らされている人影があった。
「ダーリン・・・?」
とても小さな声だったが、あたるにはすぐ耳に入った。
「ラ・・・ラム?ラムなのか?なんだよ、帰ってきとるんじゃないか。」
そして、電気をつけようとした瞬間、ラムは叫んだ。
「だめだっちゃ!!」
「な、なんだよ!?電気つけるのになにが悪いのだ?」
「電気・・・つけてほしくないっちゃ・・・・。」
二人はしばらく黙っていたが、あたるは気をなだめながら言った。
「と、とにかくなあ。何も見えないんじゃ分からんじゃないか!」
あたるは思い切って電気に手をさしのべた。
「っ!!」
部屋が明るくなった瞬間、あたるは目を見開いた。
そこには、髪の毛が真っ黒で、ツノが無く、人間の耳を持った
見たことのないラムの姿があった。
「ラ・・・・・ラム・・。おまえ・・。」
「うち・・・少ししかもたないけど・・・人間にしてもらったっちゃ。」
「なんでそんなこと・・・。」
「だって・・・ダーリンは普通の、人間の女の子が好きだって言ってたっちゃ。」
「おれが言った事のために・・・・?」
ラムは少し戸惑った様子だった。目の色も違うのが見られるのが嫌なのか、
あたるから顔をそむけた。
「ツノが無いから、電撃も出ないし、飛んだりもできないっちゃ。
 ダーリン、これなら・・うちの事好きになってくれるっちゃ・・?」
あたるは思わずカッとなって、ラムに向かっていった。
「お・・おまえなあ!そんなことのために何週間も帰ってこんかったのか!」
「ダーリン・・・これでもだめなんだっちゃ・・・・・?」
悲しそうな顔のラムを見て声がうわずったが、あたるは答えた。
「ば、ばか!おれはそういうことを言っとるんじゃない!別におれは
 おまえに人間になってほしいなんて思っとらんわい!・・・ただ・・。」
あたるが言葉を止めたとき、ラムも黙っていた。

   ただ・・・・なんだっちゃ?

「ダーリン・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「おれはな、おまえが人間なんかになるより・・・・早く帰ってきてほしかったんだ!!」
「ダーリン・・・?」
ラムはびっくりしてあたるの顔を見た。
「お、おれが言ったことのせいでラムが悩んでいたんならあやまる。だけどな・・・。」
ラムは目の前で涙を流していた。
「ホントに・・ダーリンは、うちのことをそんなに思ってくれてたっちゃ・・?」
「な、泣くな!・・・やっぱり、おまえはいつも通りでいてほしいから・・。」
そしてラムは、あたるに泣きながら抱きついた。
「ダーリン!!!うち・・・うち、うれしいっちゃ。」
「お・・おい、ラム。」
照れくさかったが、あたるはラムの背中に手を回した。
その日はあたるにとって、日常を取り戻した夜だった。

----翌朝----

いつまでたっても起きないあたるを、ラムは必死に起こしていた。
「ダーリン!いい加減起きるっちゃよ。遅刻するっちゃ。」
「ん〜〜・・・・。サクラすゎ〜〜ん・・・。」
それを聞いて、ラムはきょとん、とした。
いつもなら怒る所だけど、その時はなぜか怒るより思わず笑った。
「ほら、ダーリン。いつまで寝てるっちゃ!」
「おユキさん・・しのぶ、弁天さま、ランちゃん、竜ちゃん・・・クラマちゃん、了子ちゃ〜ん・・。」

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