リバースリバース〜先祖をたどれ(5) (Page 1)
Page: 01 02

リバースリバース〜先祖をたどれ(5)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ガン!! 

部屋全体がゆれるほどの大激突が起こった。あたるは思いっきり天井に頭をぶつけたのだ。
あ「つーーーー、まさかここまで浮くとは、なんという浮遊力・・・」
角と角の間にできたこぶをなぜながら悪態をつく。
あ「しっかし、意外と簡単に飛べたものだな、お灸の翼とはえらい違いだな」
今気づいてみると、やけに体が軽い気がする。水の中にいるような感覚でちょっと地面をけったぐらいでふわふわと上に飛んでいけそうだ。
全身の力を抜きそっと地面をけってみた。体はふわふわと浮き、行動自由さとは違う、空間の自由さを知ることができた。
あ(重力の鎖から解き放たれるというのは、こんなにも自由な気分になれるのだな)
少しばかり飛び回っているうち、急にもっとも有効な使い道を悟った。
あ「のぞきじゃーーーーーーー」欲望の炎が燃え上がった。
あ「なぜ鬼になってしまったかはこの際どうでもいい、せっかく手に入れたこの能力。大いに役立てようではないか」
ラ「ふ〜ん、いったい何につかうつもりだっちゃ?」
げ、っと思いながらも声のしたほうを振り向く。思いっきり不機嫌そうな顔をしたラムが立っている。
あ「ラム!!いつからそこに・・・?」平然を装ったつもりだが、すこし顔がひきつる
ラ「そんなことより、何の能力を何に使おうとしてたっちゃ?」ラムが詰め寄ってくる。
あ(ついさっき来たようだな、しかしここでラムにつかまっては意味が無い。この状況を早く脱出しなくては)などと考えているうちに
ラ「どうせ、のぞきに行こうとでも考えていたんじゃないのけ?」と見事に心中を読まれてしまった。
あ(さすがに鋭い、だがひるんでいる暇などないのだ)とっさに考えついた作戦を実行した。
ビシっと適当な方向を指差し
あ「あんなところに、みにくいアヒルの子だ!!」と叫んだ。
ラ「あれは、チェリーだっちゃ」
あ「なに!!??」予想外すぎる返答に隙をついて逃げることを忘れ、自分の指差した方向を見る。
チェ「聖職者にむかって何を言うか」
サ「アヒルというよりはタコか妖怪のどっちかじゃろうな」半壊の扉から今しがた現れたサクラが言い放つ。
あ「サクラさん、どうしてここに?」
サ「ラムがこっちへ飛んでくるのが見えたのでな、追いかけてきたのじゃ」
チェ「不幸な少年よ、この薬を飲むが良い」
あ「ええーい、アップはよせと何度言えば分かるか、みにくいタコ妖怪め」ハンマーで殴りつける。持っていた薬が宙を舞いサクラの手におさまった。
ラ「その薬いったいなんだっちゃ?」
サ「叔父上特製の先祖払いの薬でな、諸星の体にしみこんだ先祖の気を、きれいさっぱり浄化してくれるというものじゃ」
あ「ほ〜、つまり今の鬼の姿から元に戻れるということですね」サクラがうなずくのと同時にラムが薬へと飛びついた。
サ「何をするかラム」
ラ「ダーリンはこのままでいいっちゃ!!」
二人がもめているのを見ながら
あ(もとの姿に戻る見込みもついたとなればなおさら、今のうちにこの能力を使いまくらねば)こっそりと窓辺に移動する。
チェ「顔中に悪相が出ておるぞ、悪いことは言わぬ早くあの薬を飲むのじゃ」
あ「やかましい。お前の薬などすぐに信用できるか、ついでにおまえが良いことを言ったためしがない。」錯乱坊の方は見ず、少し遠くに見える町明かりを見つめる。
あ「俺は。今できることを今すぐやる男なのだ!!」そして、窓の外へと飛び出した。
飛び出してから違和感に気づいた。あ(なにか頭が締めつけられているような・・・体が浮かない!!)視界に違和感の正体がひらひらと見える。
あ「リーーーーボーーーーンーーーがーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

ズドンっと言う音が夜の闇に響きわたった。
チェ「主よ罪深き諸星あたるを許したまえ」と合掌した。

地面に深くあいた穴からやっとのおもいではいでる。たいした怪我はないが、体の節々が痛い。
ラ「ダーリン大丈夫け? !!」上から降りてきたラムが心配そうに声をかけたが、頭にリボンを結んであるのを見てふきだした。
あ「誰がこんなものを好き好んでつけるか!!」笑っているラムに言う
ラ「だっちゃね〜」まだ笑い顔だ。
あ「チェリーのやつ・・・まだこれを持っていたのか・・・」引っ張ってもびくともしないリボンを触りながら唸る。
チェ「物持ちがいいのでな」すぐ後ろにチェリーが出現した。
あ「いちいち人を驚かす・・・んぐ」何処からともなく飛んできた玉のようなものが口へと入った。もちろん本能的に飲み込む。
ラ「あーーーーー」サクラが投げた薬が見事にストライクしたのだった。

あ「品質に問題は無いのだろうな!!」
みなが注目する。だが、いっこうに体に変化がない。ラムが切り出した
ラ「きっとその薬は姿を固定する薬で、もう元に戻れないっちゃ」

Page 2
戻る
Page: 01 02