うる星やつら―アナザーワールド― エピソード13 (Page 2)
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「ちょっと待て!徐々に消滅して行ってるって……まさか、それがお前の消える原因だって事か?」と言うと、ラムは小さく頷き
「空間を閉じた事で、ウチの体の中のルクシオンが消滅し始めたっちゃ……向こうの世界にもう1人の自分が居れば、向こうの世界に送られるけど、ウチの場合は向こうの世界にウチは居ないから……」と言った。それを聞いたあたるは
「ラム……お前まさか、それが分かっていて空間を閉じたのか?」と言い、ラムは
「うん」と言った。するとあたるは
「バカヤロウ!何でそんな事を!」と声を荒らげた。しかしラムは
「あのまま放っておいたら、2つの世界が干渉しあって2つの世界は消滅していたっちゃ」と言った。あたるは初めて知る驚愕の事実にただ狼狽えて
「だ、たからってラムが消えるなんて……」と言うと、ラムは
「でも、これでダーリンは無事で居られるっちゃ」と言うと、ニコリと笑った。しかし、その笑顔はいつもの眩しい様な笑顔では無く、悲しみを帯びた笑顔だった。ラムのそんな笑顔を見て、あたるは
(いくら、世界が消滅を免れたってラムの居ない世界に、何の意味が有るって言うんだ!)と思い、うつ向いて拳を握りしめた。
あたるは顔を上げると
「何か方法は無いのか?」とラムに聞くと、ラムは
「ウチも、ランちゃんと一緒に考えたけど、方法は見つからなかったっちゃ……」と言った。あたるはラムの言葉を聞き
「そうかぁ……」と言って、肩を落とした。そして、次の瞬間
「ラム……」と言うと、ラムは
「何だっちゃ?」と答え、あたるは
「今から、デートしないか?」と言った。ラムはあたるの口から出た言葉に耳を疑った。そして
「え?ダーリン今、何て言ったっちゃ?」と聞き返すと、あたるは
「だから、デートせんかと聞いとる!」と言った。ラムは
「ダーリン……」と言うと、涙を浮かべ
「ダーリンからデートに誘ってくれるなんて……」と言った。しかし、ラムは自分の手を見て
「でも……この手じゃ、人前に出られないっちゃ……」と言ったが、あたるは
「そんなもの手袋でもすれば済むだろうが!ちょうど季節的にも不自然じゃないだろう」と言い、ラムの消えかけてる手を見た。ラムは、あたるの視線に気づくと、サッと右手を隠し
「ダーリンに、消えて行くウチの姿は見られたくないっちゃ」と言った。それを聞いたあたるは、ラムから目を逸らし
「と、とにかく着替えて来い」と言うと、ラムは
「分かったっちゃ」と言って、窓から飛んで言った。
あたるも、パジャマを脱ぎ着替え始めた。着替えながらあたるは
(ラムは方法は無いって言ってたが、俺が必ず見つけてやる!)と思った。
20分ほどして、ラムは帰って来ると
「ダーリン、お待たせ」と言った。手には、あたるが言った通りに手袋をしている。あたるは
「じゃぁ行くか」と言った。ラムは
「あ、ちょっと待って」と言うと押し入れに向かい、中を見た。すると中ではテンが気持ち良さそうに眠っている。ラムは
(テンちゃん、良く寝てるっちゃね……ウチが居なくても、いい子にしてるっちゃよ)と思うと、押し入れの襖をゆっくり閉めた。
あたるとラムが下に降り、茶の間の前を通ると、それを見たあたるの母が
「あら、あたる。学校は?」と言ったので、あたるは
「あぁ、今日は休み」と言って、さっさと玄関に向かった。ラムは、あたるの父と母を見ると
「お父さま、お母さま、ありがとうだっちゃ」と言うと、頭を下げた。あたるの父と母は、ラムの意味不明の発言に呆気にとられ、その場で固まった。その時、玄関から
「おい、ラム。行くぞ」と、あたるの声がしてラムは急いであたるの元に行くと、一緒に玄関を出て行った。
家を出るとラムは
「それでダーリン、どこに連れて行ってくれるっちゃ?」とあたるの腕にしがみついて聞くと、あたるは
「そうだな、差し当たり映画を見て、どこかで旨いもの食って、その後は遊園地かな」と言った。するとラムは
「わぁーぃ、本当のデートみたいだっちゃ」と言うと、飛び上がって喜んだ。それを見たあたるが
「おい、本当のデートって……本当のデートじゃないか」と言うと、ラムは
「そんな定番のデートなんて、初めてだっちゃ」と言った。それを聞いたあたるは
「ん?そうだったか?」と首をかしげたが、ラムは
「そうだっちゃよ、前にデートした時はパーマさん達と一緒だったし」と言い、あたるも
「あぁ、そう言えばそうだったな」と言った。
そして、2人は映画を見て、ランチをして、遊園地で遊び、時間は瞬く間に過ぎ既に日は落ちていた。そしてあたるが
「なぁラム、腹減らないか?」と言ってラムを見るとラムは、悲しそうな目であたるを見て
「ダーリン、今日は本当にありがとだっちゃ」と言った。するとあたるは
「な、なんだいきなり」と言うと、ラムは
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