スクランブル、ラムを奪回せよ!(1) (Page 2)
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ここで面堂に帰られたら面倒な事になる、あたるの方は一先ず置いて先に面堂に質問
する事にした。
だが、私が声をかけるより一呼吸早くあたるが面堂に声をかけた。
「面堂、ちょっと話したい事があるのだが」
先ほどまでと違い、何時に無く眼が真剣だた。
面堂はそんなあたるの視線に動じた気配も無く、
「よかろう」
と、応えると、二人は私たちを残して教室を後にする。
「嫌な予感がする」
私は呟くと、呆気にとられているチビに、
「おい、二人の話を盗聴してきてくれ」
「うん、わ、わかった」
チビがあたると面堂を追って教室から走り出ていく。
「おい、今の二人、いつもと様子が違っていなっかたか」
「やっぱり、ラムちゃんの欠席に面堂が関っているのか」
パーマとカクガリが問いかけてくる。
「まだ分からん、だが我々の知らない所で、何か大変な事が起こっている」
私は次に打つ手を考えた。
「おい、すまんが二人は、ジャリテンを捜してラムさんの事を聴きだしてくれ」
「あっ、なるほどジャリテンか」
「そう言えば、アイツも姿を見掛けんな」
「ジャリテンが見つかるかどうかは分からんが、今は一つでも情報が欲しい。俺はこ
こでチビを待つ」
「わっかた。次の花和の授業、代弁はよろしく」
二人が教室から出て行くのと入れ替わりにチビがオズオズと帰ってきた。
「早かったな、それであたると面堂は何を話していた」
「それが・・・、ゴメン、メガネ。二人に見つかっちゃて、それで・・・」
「それで」
「何も、聞けなっかんだょ」
「何ぃ、それでオメオメと帰ってきたのか」
「怒るなョー、時計塔のベランダで二人とも真剣な顔つきで・・・、何か、とても怖
かった、それで、それでサ」
「それで、何だ」
「あたるが、メガネに伝えろて。これは、俺と面堂の問題だ。て、俺たちには関係無
い事だ。て」
「これは、俺と面堂の問題だ。と、あたるが言ったのか」
「うん、確かに言った、面堂もうなずいていたよ」

やはり、ラムさんの欠席に面堂が関係しているのか。
昨夜の停電は、何時もの痴話喧嘩では無かったのか。
ラムさんは今どこに居るのか。
色々な考えが頭の中を駆け巡る。
その時、ヘリコプターの轟きが私の思考を遮った。

ヘリから下ろされた縄梯子を昇っていく面堂の姿が窓から見える。
まさか、ラムさんは今面堂のところに・・・。
いや、そんなバカな・・・。
すると、「俺と、面堂の問題だ」と言い切った、あたるの台詞は何を意味するのか。
それを肯定する様な面堂の態度は何を意味するのか。
なぜ、面堂は早退したのか。
ラムさんがあたるに愛想を着かして、面堂に・・・。
すると、ラムさんは面堂のところに。
まさか、面堂の奴、ラムさんに対してアンナ事や、ソンナ事を、あまつさえコンナ事
まで・・・、
「ムゥオォォォー」
「・・ガネ君、メガネ君」
「ヌァ」
「メガネ君、どこか具合が悪いのなら、保険室に行ってきなさい」
何時の間に来たのか、花和が教壇に立っていた。
「い、いえ、何でも有りません」
「それじゃ、早く席に着いてください。では、授業を始めまあっす」
この時保険室に行くべきだったと、私は後になって後悔した。

昼休に成ると、教室、いや学校中に噂が広がっていた。
今も、クラスの女子数名が、
「ラムがとうとうあたる君に見切りを付けたんですって」
「違うわよ、面堂さんがラムを誘拐したのよ、誘拐」
「二人で駆け落ちするって本当かしら」
「えー、やだあー、憧れちゃう」
等と噂話に花を咲かせている。

そんな中、しのぶは頬杖を突き、何か白けた顔で井戸端会議を眺めていた。
暇を持て余した龍之介が歩み寄り、隣の机に腰掛けると語りかける。
「ほんとに人の噂キャピキャピさえずって何が面白れえんだ」
「そおね」
「おめえも好きだったんじゃ無っかたのかよ、ああ言う話」
「噂なんか半分以上デマよ。もっとも本人に聞かなきゃ分からない事もあるけどね」
「俺には難しくて解んねえや」

そのとおりだった。
今は、真実を見極め、必要な時に動けば良い。
しのぶのおかげで乱れていた心が落ち着いた。

ジャリテンを捜しに出かけていたパーマとカクガリが漸く帰ってきた。
「おい、今購売部の前で聞いたんだけどよー」
「遅い、皆もう知っとる」
「あれ、早いねー」
パーマは購買部で買ってきたらしいよく冷えたコーラを一本差し出しながら、教室の
様子を見渡すと、
「大分尾鰭が付いている様だが」
「何か、解ったのか」
「ああ、この噂の出所はジャリテンだ」
「すると、ジャリテンを見つけたのか」
「いや、ジャリテン本人には逢えなかったが、話の大元は解った」
「もったいぶらんで早く教えろ」
「まあまて、校外から捜し始めた俺たちはジャリテンと入れ違いになったらしい、友
引高校方から面堂家の方角へ飛び去って行くジャリテンのエアースクターを錯乱坊と
コタツ猫が目撃している。ジャリテンのやつ保健室のサクラ先生に相談しに来たよう
だ。」
「それで、ジャリテンはいつ保健室へ」

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