うる星やつら 赤い花が散るとき 第4話 進化 (Page 2)
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「何言ってるんですか!さっきの怒りのエネルギーは相当なものです。花は大きなエネルギーを吸収すれば、それだけ大きくなります。そうすると成長する為には更に大きなエネルギーが必要になるんですよ!」と言ってあたるに迫った。しかしあたるは
「それは、さっき聞いたよ」と言って、因幡を突き放した。だが因幡は更に詰め寄り
「いいですか?大きなエネルギーが必要と言う事は、感情のエネルギーだけじゃ足らなくなってしまうんです!そして次のエネルギー源として花が吸収するのは記憶なんです。小さいうちは、吸収する感情のエネルギーの元となった出来事の記憶程度ですが、花が大きくなるとそれでは足らなくなり大事な記憶まで吸収してしまうんですよ!」と言った。それを聞いたあたるは流石に事の重大さに気づき
「まて!するとラムは今までの記憶を失うって事か?」と聞いた。すると因幡は、ラムが飛び去った空を見上げ
「今までの記憶…あたるさんとの記憶ですか…」と言うと、再びあたるのほうを向き
「いえ、最悪は生まれてから全ての記憶を失うかも」と言った。それを聞いたあたるは愕然として
「何か…何か方法は無いのか?助ける方法は!」と言って因幡の襟首を掴んだ。しかし因幡は
「すみません…僕も花の事を全て知ってる訳ではないので…」と言った。するとあたるは因幡から手を離し
「なんだよ、それ」と呟いた。そして因幡は更に
「でも……」と喋り出すと同時にあたるは猛スピードで走り去ってしまった。
取り残された因幡は
「せっかちだなぁ、まだ話終わってないのに」と呟いた。
あたるはとにかく家に向かって走った。走りながらあたるは
(とにかく今はラムと連絡が取れるジャリテンを探さなきゃならん)と思った。
あたるが家に着くと母親が
「あら、あたる帰ったの?」と声をかけたが、あたるはそんな母の声など聞こえる様子も無く2階に駆け上がり、自分の部屋のドアを開けた。しかしそこにはテンの姿は無く、もちろんラムも居ない。
あたるは
「くそっ!ジャリテンの奴、肝心な時にいやしない」と吐き捨てる様に言い、部屋を出ようとした時あたるの背後から
「なんやお前、帰っとったんか」と声がした。あたるが振り返るとそこにはテンが窓から部屋に入って来たところだった。あたるはすぐにテンの所へ行くと、おもむろにテンのパンツを掴み
「おい!今すぐラムと連絡を取れ!」と言った。いきなりパンツを持って掴みあげられたテンは
「なんや!いきなり」と言ったが、すぐにニヤニヤと笑いながら
「さてはお前、またラムちゃんと喧嘩したんやな?」と言った。しかしあたるは
「いいから早くしろ!」と言ってテンの頭を掴んだ。そんなあたるの迫力にテンは
「な、なんやお前!」と言ってあたるの腕に噛み付いた。しかしあたるはそんなテンを自分の腕から引き離すとテンの顔を両手で掴み
「いいか?ラムを助けたければすぐに連絡を取るんだ!」と言った。テンもあたるの様子に只事ではない事を悟り
「分かったわい!ちょっと待っとれ」と言うと、押し入れからオマル型のスクーターを引っ張り出した。それを見たあたるは
「お前!そんな所にそんな物隠してたのか?」と言って驚いた顔をした。そんなあたるにテンは
「このスクーターなら、ラムちゃんのUFOまでひとっ飛びや」と言ってスクーターにまたがった。するとあたるもスクーターにしがみつき
「よし、UFOまで連れてけ」と言った。それを見たテンは
「アホか!これは1人乗りやぞ!」と言ったが、あたるはテンの言う事など聞かずに
「いいから、はよ行け!」と言った。するとテンは呆れた様に
「落ちても知らんで」と言うとヘルメットを被りシールドを降ろすと
「ほな、行くでー!」と言って、スクーターのスロットルを開けた。そしてテンとあたるを乗せたスクーターは勢い良くあたるの部屋の窓から飛び出した。
一方ラムは、やはりUFOに帰っていた。なるべく花に近付かない様にしながら
「ダーリンったら、ウチの事心配してくれると思ったのに」と、あたるへの愚痴をこぼしていた。そして時より花の方を見ては
「あの花…絶対大きくなってるっちゃ」と言って因幡の言葉を思い出し、不安を募らせた。ラムの心の中は、あたるへの怒りと花への不安でいっぱいだった。ラムは、本能的に感じていた。今居る場所から動いたら花にエネルギーを吸収されてしまうと。そして因幡が言っていた事が本当なら、更に大きくのエネルギーを吸い取られる事を。ラムは、ただじっとその真紅の花を見つめるしかなかった。
ラムのUFOに行こうと、テンのスクーターであたるの部屋を飛び出した2人は、まだUFOには辿り着いていなかった。あたるは堪らず
「おい!もっと急がんか!」と言ったがテンは
「アホ!これでもスロットル全開や!」と言った。実は勢い良く飛び出したのは最初だけで、その後はテンが飛ぶ程度のスピードに落ちてしまったのだ。あたるはスクーターにしがみつきながら
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