うる星やつら 赤い花が散るとき 第5話 封印 (Page 3)
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 「最近の若者の間では、地面を踏みつけるのが流行っとるのかのう?」と声が聞こえ、あたるが恐る恐る振り返ると、錯乱坊が座布団に座りながらお茶を啜っていた。それを見てあたるは、大きくバランスを崩し倒れそうになったが、何とか体勢を立て直し、錯乱坊に向かって
 「この妖怪坊主がぁぁぁ」と言って、再び錯乱坊の頭の上に足を乗せ、力いっはい踏みつけた。すると今度は畳にめり込み、錯乱坊は畳から首だけを出した状態になった。そしてあたるに向かって
 「これこれ、聖職者は粗末に扱ってはいかんぞ」と言ったが、あたるは錯乱坊を無視してサクラに
 「結局、どうすればいいんだ?」と聞いたが、サクラは
 「それは、私にも分からん。ただ1つ言える事は、こんな方法で封印しておいても、意味が無いかもしれんと言う事じゃ」と言った。
 結局、花の封印はそのままにサクラの家を出たあたるとラムは、お互いに無言で歩き続けた。そんな空気を嫌ったのか、突然ラムが
 「でも、良かったのかもしれないっちゃ」と呟いた。それを聞いたあたるは
 「良かった?」と怪訝な表情でラムに聞き返すと、ラムは
 「だって、これでウチはダーリンの事を忘れないで居られるっちゃ」と笑顔で答えた。そんなラムの笑顔にあたるは
 (無理しやがって、本当は不安で仕方ないくせに)と思ったが、何も言わなかった。
 その時上空から
 「ラムちゃ〜ん」と言う声と共にテンが近付いて来た。ラムは
 「あ、テンちゃん」と言うと近くまで来たテンを抱き抱えた。するとテンは
 「ラムちゃん酷いやないかぁ、ワイを置いてくなんて」と言ったが、今度はあたるが
 「お前なんぞ、どうせサクラさんが目当てだろうが、邪魔なだけじゃわい」と言ったが、そこをラムが
 「まぁ、二人とも」と言って間に入った。そしてあたるの方を向くと
 「ところでダーリン、ダーリンがウチのUFOに居たのは、ウチをあの花から助けに来てくれたっちゃ?」と目を輝かせて聞いた。しかしあたるは
 「勘違いするなラム。俺はお前のくだらん願い事を阻止する為に行ったんだ」と言った。それを聞いたラムは、眉をヒクヒクと痙攣させながら
 「くだらない願い事って何だっちゃ?」と聞き、それにあたるは
 「決まっておろうが、俺の浮気症が治ります様にとか、俺がお前以外を愛さない様にとか、他にもいくつも有るが、俺はそんなお前のくだらない願い事をさせない為に行ったんだ」と答えた。ラムは腕を組み、聞いていたが次の瞬間
 「ダーリンの事が、良〜くわかったっちや」と言うと、両手を組みその手を上に上げ
 「ダーリンがそんなだからウチは、あんな花に記憶を奪われっちゃーーー!!」と叫ぶと、あたるに向かって電撃を放った。
  バリバリバリバリバリバリバリバリ!!!
 電撃はあたるに直撃した。それを見ていたテンは
 「ほんま、進歩の無いやっちゃで」といった。しかし、電撃を受けたあたるは最初こそ
 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」と叫んだが、電撃を浴びてる自分の手を見て不思議そうに
 「おいラム、それで全力か?」と聞いた。ラムは電撃が全く効いてないあたるを見て
 「え?なんでだっちゃ?」と言うと、放電をやめて自分の手を見て言った。
 「…弱くなってるっちゃ?」明らかに弱くなってるラムの電撃を受けたあたるは
 「やっぱりサクラさんが言った様に花を封印したからなのか?」と言ったが次の瞬間
 (待てよ、もしこのままラムの電撃が弱くなったら、俺は心置き無くガールハントが出来るではないか!)と思い、一際嬉しそうな顔をした。それを見たラムは
 「ダーリン!その顔!まさか、ウチの電撃が弱くなったから、心置き無くガールハントが出来るなんて思ってないっちゃよね?」とあたるに突っ込んだ。するとあたるは図星を突かれ、一瞬ドキッとしたがすぐに
 「何言ってるんだラム。お前がこんなに大変な時に、そんな事考える訳ないだろう?」と言って、更に
 「ラム、心配するな。俺が必ず何とかしてやる」と言った。しかし心の中では
 (こんなチャンス二度と無いかもしれん。絶対に逃してなるものか!ニャハハハハ)と思っていた。そんなあたるにラムは
 「心無しか、言ってる事と表情が一致しない気がするっちゃ」と言ったが
 「まぁ、いいっちゃ。最後はいつもダーリンはウチを助けてくれるっちゃ。ねぇ、ダーリン」と言って、あたるに微笑んだ。そんなラムの微笑みを見て、あたるは何とも言えない罪悪感の様な物を感じた。
 
 あたるとラムは、その後あたるの家に帰り、その夜は何事も無く過ぎいつもと変わらない朝が訪れた。
 あたるとラムが、いつも通りに朝食を取り学校へ行く途中にそれは起こった。突然ラムが立ち止まったのだ。そんなラムにあたるは
 「ん?どうした?と声をかけたが、ラムは1点を見つめ全く反応しない。あたるは更に
 「おい?らむ!」と言って、ラムの腕を掴んだ。しかしラムは全く動こうとしない。まるでマネキンの様に固まってしまった様だった。焦ったあたるはラムの耳元で

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