友引町を奪還せよ-act4- (Page 3)
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「なんだっちゃ?」
「退院するまでにおせち料理の勉強しとけ。退院したら喰いたいから」
「わかったっちゃ」

あたるはドアを閉め、コースケのところに行った。
(約束だ。絶対に帰ってきたやるから・・・)
コースケはロビーのイスで座っていた。歩いてくるあたるに気付くと
「あたる、話はもう良いのか?」
と言った。
「ああ・・・」
あたるはロビーにあるテレビに映っている友引町を見た。
「コースケ、もし竜ちゃん達が取り戻せなかったら、俺たちが取り戻すぞ」
「え、ラムちゃんが助かったから良いんじゃないか?」
「友引町はな、俺の実家や友引高校があるんだ。一番ラムとの思い出が多い場所だ」
「あたる・・・。お前やっぱり大人だ」
優しい笑みを浮かべながら言った。
「それから俺はあそこで死ぬ気はないからな。ラムとさっき約束してきた」
「なんて?」
「おせち料理作れって」



十二月三十一日午前八時五十分
面堂邸第4門前
既にあたる、コースケは集合していた。他に何人か来ている。
「久しぶりだな。しかしまさかこんな形で友引町を取り戻すはめになるとはな・・・」
「ああ、でもあそこを取り戻さないと俺たちに里帰り出来るところはなくなる」
そんな会話が続いていた。
あたるは門の前の階段でコーヒーを飲んで寒さをしのいでいた。そんな時間があたるにとって永遠とも感じられた。
九時になった。大晦日とはいえ、まだ静かな朝だった。元二年四組二十一名は全員そろった。本来は二十二人のはずだが、終太郎は含まれていないため二十一人という人数になる。
「全員来てくれたな・・・」
全員静かにうなずいた。
「これより、今後の動きを説明する」
メガネが前に立った。
「本題に入る前に一つお知らせがある。先ほど特武隊の作戦失敗が発表された」
ざわめきが広がるのに一秒もなかった。
「これより我々は友引町奪還作戦を開始する。またラムさんはもう既に助かっている。助かっているから、又は家庭の事情で来られない物は今すぐ帰ってくれ」
動く者はない。メガネは少し涙ぐんだ。
「ではおおまかなを説明する」
涙声で何も言えないと悟ったあたるは代わりに説明した。
「まず、この面堂邸にて戦闘機などの飛行可能な乗り物を奪う。この際、四班に分かれ第一班は侵入がばれた際、面堂邸の本館で騒ぎを起こしてくれ。またこの門から侵入するわけだが、
警備システムの混乱を招くようにするため二人は警備本部、残りの四人は適当に暴れ回る。おとりというわけだ。出来るだけ時間を稼いでくれ。
第二班は武器の奪取。武器倉庫内から空気銃を奪ってきてくれ。出来るだけ多くの者を持ってくるんだ。その後半分に別れ、片方はおとり作戦で捕まった者の救出。
もう片方は戦いに行く第三班の援護し加入。第三班は戦闘に行くため第二班から武器を受け取った後、戦闘機を奪取し友引町に向かう。第四班はここで待機し、第三班が離陸したのを
確認すると捕まった者の救出に向かってくれ。以上だ」
「ではこれより班分けをする」
コースケは一人一人名前を呼び第何班かを発表した。やはり第三班はあたる、コースケ、メガネ、パーマ、チビ、カクガリの六人だった。
それぞれの班長を集め、元学級委員であるあたるが、細かい説明をする。
第三班は侵入がばれた際、トランシーバーで第一班に連絡。妨害電波を流されるおそれがあるので、打ち上げ花火も持参していた。
その間、メガネはしなければならないことがあった。
「良く来てくれた、パーマ、チビ、カクガリ・・・。お前達の今度の作戦の目的はラムさんの思い出を死守するためのものだ。つまりラムさんの為の戦い・・・。
この意味が分かるか・・・」
三人はこくりとうなずく。
「さすがだ。俺はこの五年間、この言葉を言いたかった・・・」
メガネは大きく息を吸うと堂々大声で言った。
「これより我々は、ラム親衛隊を再結成する!!」
「異議なし!!」

ー続ー


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