ヨロイ娘の新たな試練!体力テストは乙女の園で!(完結編) (Page 2)
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「みなさーん。週番の腕章をすべて校外に持ち出した時点でわが校の勝利となりますよー。褒美は勝利の場合のみ与えまーす」
それを聞いた友引の生徒たちは、軒並み校舎の外に出た。後は一番の強敵、飛鳥を追いかけるあたるだけである。
タイムリミットは2時。
その頃、あたるはラムの執拗な追跡をかわしつつ、飛鳥を追跡していた。
「キャーッ!!おとこぉーー!!お兄様ぁーーっ!!助けてェーーッ!!!」
「待ってよお、飛鳥ちゅああーん!逃げなくてもいいじゃなーい」
「ダーリン、待つっちゃーっ!!」
こんな調子だったが、そこにまたまた面堂と飛麿が現れて、面堂が、
「むぉおおろぅおぶぉおおじぃいい(諸星)」
と、刀を握り締めて声ともいえぬ声で言うと、飛麿も、
「ぶぁああずぐぅああ、ぶびぐぁああああ(飛鳥、無事か?)」
とサメとピラニアの攻撃を受けてヘロヘロになりながらも言った。
しかし、誰が見ても一番やばそうなのは、彼のほうである。
「むぅうわぁぁてぇえええええええ(待て)」
とにかく、2人は3人を追いかけた。
「まーったく、2人ともしぶといヤツらじゃなー、ホンマにィ!」
あたるは2人の執念に辟易としていた。飛鳥は校舎を壊しながら必死で逃げ、ほかの4人もそれぞれの目的のために彼女を追いかけた。
そして、ついに校舎の外に出た。もっとも、校舎はほぼ全壊で、どこからが校舎の外かよく分からなくなっていたが。
逃げ続ける飛鳥に業を煮やした大仏校長は手に拡声器を持って、
「水乃小路さんっ、逃げてはなりません!戦うのです!もし腕章を取られでもしたら、あなたを退学させますよ!」
と、とんでもないことを口にした。
なんてひどいことを、周囲の人間はみな思ったが、大仏のその言葉の裏には、
これ以上校内で走り回られたら、学校がメチャクチャになるからやめてという思いもあったに違いない。
友引高校校長も、
「それっ、そこですよ。ほらっ、もう一息」
とあたるたちをはやし立てた。のんきなものである。
(ど、どうしましょう?このまま逃げ続けてもつかまるのは時間の問題ですわ。そうなれば私、退学になってしまう。
でも校長先生、私、男の人とは、特にこの人とはどうしても戦えないんです。怖いんです。いったいどうすれば・・・そうですわ!)
飛鳥は悩んだ末、あるアイデアが浮かんだ。要は腕章を取られなければいいんだと・・・
午後2時、タイムリミット。そのとき周囲にいた一同は、飛鳥の取った行動に驚いた。
なんと自ら校外に出たのだ。そしてそのまま近所に逃げ込んだ。
今回のテストは校内が舞台ということになっていた。しかもあたるとほぼ同じタイミングで校外に出てしまったのだ。
このことがこの後の紛争の元となった。このような事態は予想していなかったからだ。そのときそこにいた温泉マークが両校長に向かって、
「あ、あのー・・・このよーな場合は・・・どうしたら・・・」
というと、大仏のほうは、
「時間までに腕章が全ては奪取されなかったのですから、わが校の勝ちですわ!」
と主張したが、友引のほうは、
「しかしあの女生徒は、諸星君に追いかけられたその結果、外に追い出されたのですよ?今回のテストはおたくの校内が舞台だったはずです。
したがって彼女は、諸星君の巧みな誘導によって反則を犯したのですから、わが校の勝利ですっ!」
「校外に出たら反則負けだなんて、ルールにありませんわ!」
「校内が舞台なんですから、当然の前提でしょう?これは」
と言って両者一歩も譲らなかった。もっとも、飛鳥の真意がみんなの知るところとなれば、大仏の言い分にやや分があるかもしれない。
潔癖の教員たちは、
「こおちょおーーーー・・・・!!」
と、すっかり男好き(?)に変わり果てた生徒たちを指差しながら、浅ましい姿をさらす大仏に対して冷ややかな視線を浴びせつつ、、異口同音に言った。
その姿を両校の生徒たちは冷ややかな目で見ていた。その後は、そのままデートをする者達、電話番号を交換して後日会う約束をする者達など様々だった。
しかし、恋した乙女達の表情がなんと活き活きしたことか!むしろ喜ばしいことだ。
その頃飛鳥たち5人は、近所の住宅街でかくれんぼ状態になっていた。
飛鳥があたるをようやく撒いたのは午後7時、あたるがラムに「オシオキ」されたのは午後7時半、
飛鳥が家に着いたのは午後8時過ぎだった。飛鳥の母はかんかんに怒って飛鳥を出迎えた。その目は血走っていた。
その後すぐに、飛鳥のお尻を叩き始めた。飛鳥の門限は6時だったのだ。
「ああっ、お母様ぁ!お許しくださーい!これにはわけが・・・」
と飛鳥は激しく泣きわめきながら訴えたが、母は聞く耳を持たなかった。
「許しませんっ!こんな夜更けに帰るなんて!飛鳥、覚悟なさい!今日は朝までお尻を叩きますからね!!」
水乃小路家の掟は大変厳しいのだ。飛鳥がどんなに泣き叫んでも、母は力を緩めなかった。

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