同窓会パニック!カニ先生が泣いた日(後編) (Page 2)
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と彼の言葉に構わず、弁天といっしょに力の限り、背中の爆弾を引っ張った。
しかし2年間ずっとくっついていたためか、接着面が錆び付いていてなかなか取れない。
爆発まであと1分。あせったラムは、
「こうなったら電撃で・・・」
と右手を振りかざしたが、弁天がとっさに、
「ばかっ、やめろっ!!誘爆したらどうすんだ!!」
と制止した。鎖で拘束されたままのランも、
「ね、ねぇっ!もう逃げましょっ!あたしたち、もう十分やったわっ!!ねっ!?」
と言うので、2人も、
「・・・そーだな」
「・・・だっちゃねー」
とあっさり承諾した。さっきの涙は一体何だったのだろう。目にゴミが入ったとでも言うつもりなのか。
第一、ランは何もやっていない。あまつさえ最初から一人で逃げようとしたのだ。
ともあれ、3人が逃げようとした矢先、
「先生、こちらにいらしてください。写真を撮りましょう」
と、カメラを抱えて手招きするお雪の声が聞こえた。
(お雪!?あのバカ!こんな時にいったい何を・・・)
弁天はそう思ったが、カニ道楽は、
「おー、それはすまんがに。ではお願いするがに」
と答えた。
その直後、彼は逃げている最中のラム、弁天、ランをがばっとそのはさみで抱きしめ、
「どうせなら君たちも一緒に撮ってもらうがに。お雪、頼むがに」
と言った。お雪が、
「それでは、この場所に立ってください」
と言うと、彼は嫌がる3人を無理やり同じ場所に連れて行った。
その場所に4人が立った直後、突然4人が消えた。
いや、消えたのではない。お雪が掘っていた異次元トンネルの中に落ちたのだ。
「悪く思わないでね。もともとはあなたたちが蒔いた種なんだから。こんな所で爆発したら大変ですもの」
手を合わせながら、お雪はそう呟いた。
一方こちらはあたるの同窓会会場。こちらでも蟹江がみんなに卒業式のときの写真とあるものを配っていた。
あるものとは、印鑑であった。
「お前たちももうすぐ大人になるからな。大人になると何かとこれが必要になる場面も増えるだろう。
特に、諸星と松井は、な!」
蟹江は自分が話した、婚姻届のことを忘れていなかった。
そう言われて、あたると松井は、ただ苦笑いするしかなかった。だが周囲の者は、彼らの苦笑いの意味が分からなかった。
会がお開きに近づいたところで、しのぶが、
「ねぇ、最後にみんなで記念撮影しましょうよ」
と提案した。みんなそれに賛成し、蟹江を一番前の列の中心にして4列に並んだ。
蟹江の横には、もちろんあたるとしのぶがいた。
セルフタイマーをセットして、松井も蟹江のそばに行った。
その瞬間、上から何かが落ちてきた。
そしてそれはあたる、しのぶ、松井、そして蟹江を押しつぶした。
「な、何じゃあ!?」
びっくりした様子であたるが叫び、上を見てみると、何とラムたちがいるではないか!
あたるが、
「ラ、ラム!?お前・・・なんでここに・・・!?」
と言うと、ラムも、
「ダ、ダーリンこそなんで・・・?も、もしかして・・・ここ、ダーリンの同窓会の会場だっちゃ!?」
とあたるに言い返した。
「な・・・なによなによ!どうなっちゃってんの!?これェ!」
「おい!一体何が起こったってんだぁ!?」
突然の出来事に、そこにいたみんなが戸惑っていたその時、強烈な爆発音が響いた。ついに爆弾が爆発したのだ。
それぞれの同窓会は、その場にいた数十名の悲鳴で幕を閉じた・・・
次の日、こんなニュースがテレビで報道された。
「ニュースをお伝えします。昨日の夜8時50分頃、友引町にある友引町公民館で原因不明の爆発がありました。
この爆発で、このとき中で行われていた同窓会の参加者の中学校教師蟹江金蔵さんを始め、
あの諸星あたる君を含めた蟹江さんの教え子40名とその他3名が怪我をしました。
被害者の証言によると、何か巨大なカニのオブジェのようなものが現場に突如現れ、爆発したということです。
付近の住民の間では、テロではないかという不安が広がっています。
この事件で警視庁捜査1課は友引署に合同捜査本部を開き、事件、事故の両面から捜査を進めています」
その他というのが誰であるかは言うまでもないだろう。
ちなみに、この日の諸星家の新聞の見出しはこうだった。
「友引町公民館で爆破事件。犯人の目的は?」
「愉快犯か?怨恨か?テロか?強まる不安」
「どうしてこんな目に・・・(被害女性S,Mさん)」
この新聞社は、どうやら事件と読んでいるらしい。
その日の午後、お雪が地球にやってきた。そしてみんながいる公園に到着すると、
「みんな、同窓会の写真ができたから、渡しに来たわよ」
と言った。
しかしみんなの表情はまるでお通夜のように暗かった。
昨日の爆発で、今日ここにいるラム、しのぶ、ラン、弁天、松井、そしてあたるがみんな火傷などの怪我を負った。
一番ひどかったのがカニ道楽の真下にいたあたるで、全身に包帯を巻いていた。
その姿は、まるでミイラ男だった。

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