THE TIME COME BACK 第4章 面堂の意見 (Page 1)
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あれから何時間過ぎただろうか。あたるは夕食を食べてしまい自分の部屋で,漫画を読んでいた。
自分1人だけで,こうしているとこの部屋も広く見える。
実際にはあたるは漫画を読んではいない。面堂とメガネの意見を思い出している。
いつもは使っていない脳をフルに使っているので,頭が破裂しそうだ。

「つまり・・・。」面堂は何かを言おうとしたが,
「面堂,いったいどういう意味だ,これは?」とあたるの言った言葉にさえぎられていえなかった。
「これから言おうと思ってたんだ,いちいち人の言うことをさえぎるな。」
「早く言えよ。」パーマが言った。面堂が書いたこの矢印がそうとう気になるようだ。
「つまりな,いや,比べたほうが分かりやすいか。まずもう一度メガネの見解を整理しよう,僕たちの周りの者たちが,皆おかしくなっている,というものだ。いや,おかしくなるというより,周りのものから見ればおかしいといったところだろうか・・・。
つまり,ぼくたちが違う世界に迷い込んでいるということ。そうだな,メガネ。」
面堂はめがねのほうを見ていった。残りの者はじっとめがねの反応を待った。
「そうだ。俺たちは今,本来の友引町であってそうでないところにいるのだ。
パーマが言った通りまわりのものから見ればここは友引町だ。しかし俺たちが知っているのも友引町だ。2つは名前が同じだが,中身が違うというわけだ。どうしてそうなったかは分からんがな。」
メガネは静かに言った。そして面堂のほうを見返した。ひどく真剣な顔をしている。彼もまた面堂の意見が気になるようだ。
あたるも2人の意見についていった。まだ理解できる範囲だ。
「で,お前はどうだ。この矢印はいったいどういうことだ。」
メガネは図を指差した。
面堂はさっきの紙とペンを取った。そして,またなにやら書き始めた。
今この紙には2つのマルがある。一つは大きいやつの中心に位置し,友引町,そしてあたるたちの名前が書いてある。
そして2つ目のは,1つ目のマルの外側に位置し,矢印は1つ目から線を越えて二つ目の真ん中あたりに位置している。
この図の意味を理解しているのは面堂だけである。そして面堂は,1つ目の2つ目のマルの間,矢印が延びているあたりに小さいマルを5,6こ,そして「友引町」と書いた。
「これで分かってもらえたかな?」面堂は言った。
メガネ以外のものは,うーむと図に目を近づけたが,「わからん」と口をそろえていった。
「うむ,そうか。ま,そうだわな。」
「わかっとったんなら,図だけでなく,最初から説明せんか。」パーマが言った。
「だいたい,この小さなマルは何なんだ。」カクガリが言った。
「分かりやすくしてくれよ。」チビだ。
「うーむ,どこからしようか・・・。まずはこの小さいマルからだ。これは,われわれ以外の者,つまり,友引町の中にいる人々だ。ここにいる僕たち以外を示している。
そこで今僕たちがおかれている状況だ。もしもだ,このマルの者たちのほうが正しかったらどうだ?」面堂は,皆の顔を見て言った。
すこしして,めがねが「なーにを馬鹿なことを言っとんじゃ,おまーわ。」
とあきれたように言い出した。
「考えてもみろよ,もしお前の意見が正しかったら,現にさっきまで俺たちはラムさんを忘れていたから他の友引町の住人はラムさんを知らないだろう。つーことはラムさんのいない世界が正しいことになるではないか。俺たちや,お前の中にいる彼女はどうなるのだ?。外の者たちのほうが正しいだぁー?ばかばかしい。大体なんでお前の中からそんなことが生まれるのだ?お前らしくもない。」
「これはただの仮説だ。」
「そーよそーよ。そんなこと俺でも知ってるよ。しかしそれはただの仮説でもな,俺たちの長年積み上げてきた思いをぶち壊してしまうしかも,今ここにある事実と何の脈絡もないときている。これではただのお話ではないか。」
「なぜそういいきれる?それは,貴様がラムさんを中心に考えているからだろうが。」
「はぁーーー?何をわけの分からんことをいっとんじゃ,貴様は?」
「もっと視野を広く持てと言っとるんだ。分からんのか?この世界は,ラムさんがいなければ,もとどうりの町だろうが。」
「だからいないわけないだろうが。」
「ではなぜ他のものは知らない?そして,さっきまではお前たちも忘れていたのだろうが。」

「!!!!」ドキっとメガネの胸に面堂の言葉が突き刺さった。
「それがこの意見は正しいことであるという確かな証拠だ。お前たちは無理に変な記憶を引っ張り出したんじゃないのか。それがラムという,ありもしない人の存在を能に認識させた。」

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