THE TIME COME BACK 第5章真相 (Page 2)
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あたるはゆっくり上半身を起こした。目が覚めて,周りの情景が目に入り込んでくる。
少し周りを見回す。時計がつるされている。でかい・・・。懐中時計か?
「今,お水を持ってきます。」
誰の声かは知らないが,聞き覚えがある声だ。誰だったかな。部屋の奥にいったらしく,ここからでは見えない。
改めて回りを見回してみる。なかなかボロイ部屋のようだ。壁がのペンキ?がはげていてレンガがむき出しになっている。それにしても時計が多い。しかも違うときを刻んでいる。
かごがある。いくつもの棒が入っていてその先端には丸い何かがついている。ガラスつくりの工房か?中央には,囲炉裏みたいなものがある。
「お待たせしました。」
お盆の上にガラスのコップに水を入れて運んでくる人が見える。毛が濃い?
そして肌の色が白く見える。
その人全体が見えた。あたるはそれは誰か分かった。
「どうぞ。」
水を差し出した。そのとき顔を覗き込んだ。やはりそうだ。
「あ,どうも。」
少し会釈して,コップを受け取った。
「どうですか,気分は。」
「あぁ,大丈夫。しかし,どうして俺はここにおるのだ,因幡。俺は確か,俺の部屋におったはずだが。」
「うーん,そのことなんですが,ちょっと複雑で,どこから話していいのやら。」
因幡は座って,困ったように言う。
「私が眠っていたあたるさんをここに運んできたわけなんですけど,とにかく大変だったんですよ。」
「まぁ1から話してくれ。・・・それにしてもここはどこじゃ。」
「運命工場ですよ。ほら,前ノブを作ったことがあったでしょう。」
「ああ,あそこかぁ。」
「はい,そこで話をもとに戻します。まず,あたるさんがさっきまでいたところは,本当のあたるさん,つまりあなたがいるべき場所ではありません。」
「ん?それはどういうことだ?俺は宇宙人か?。」
「いえ,そういうことではありません。ドアが違うんです。」
「ドア?」
「えーと,あたるさんが本来いるところは現実です。でも,さっきまでいたところはドアの中なんです。」
「あーそうだったのか。」あたるは納得したようだった。
「でもどうして俺がドアの中にいなきゃならんのだ?俺,なんか変なドアでも開けたか?」
「あたるさんは無理やり入れられたんですよ。管理局以外の誰かの手によって。」
「そうだったのか。して,その犯人は?。」
「今調査中ですが,おそらく今はもうここにいないと思います。もうすぐ作業も終わるでしょう。」
「ほー。ここにはものすごい数のドアがあるだろ,どうやって探しとるんだ?」
「コンピューターですよ。すべてのドアの上の部分にはカメラが設置してあります。そこで誰が進入したかがわかるんです。で,見張りの交代の時間のときあたるさんは連れ去られたんです。」
「でもそしたら誰も見ていないんじゃないか?」
「監視カメラのほかに,制服以外のものを着ている人が入るとランプが付くしくみになってるんです。」
「ほー,便利なもんだ。ところで俺がいつ,どこへ入れられたかを詳しく話してほしいのだが・・。」
「はい。いつ入れられたかは,ラムさんとデートした日の夜ですね。あたるさんとラムさんが寝た後でと思われます。そしてどこへ入れられたかですが・・・。」
因幡はうつむいてしゃべろうとはしなかった。
「どうしたのだ,早く言わんか。」
「・・・わかりました。そのかわり,落ち着いて聞いてくださいね・・・。」
あたるはゴクリとつばを飲み込んだ。
「あのドアの中は,あたるさんとラムさんが別れる,という設定なんです・・・。」
「お前ナぁー,んなもんつくるな。感じの悪いもんつくりおって。お前のせいだぞ。
んなもんつくるからだなぁ。」
「ご,誤解ですよ,我々はそんなドアつくってませんよ。」
「しかし現にあるではないか。」
「だから犯人がつくったんですよ。」
「証拠はあるのか?。」
「全員アリバイ成立です。で,はなしの続きですが,別れるという設定のほかに,記憶喪失装置なるもので,ラムさんたち自身の記憶をあなたたちから消そうということだったのです。」
「そうだったのか・・。それであいつ・・・。でもまてよ,俺がドアの中で朝起きたときは,ラムはおったぞ。しかも俺に普通に対応しとったではないか。普通別れの朝に,俺と一緒におるとは思えんぞ。」
「おそらく,夜にあたるさんが現実から連れて行かれるとき,ラムさんが目を覚まして,追いかけたんでしょう。そして,運命の部屋で犯人に眠らされてあたるさんと一緒に入れられたと。ラムさんはそのことを夢と思っていたのです。
そして,あたるさんたちが学校に着いた時,私も学校に着きました。そして,ラムさんを現実につれて帰りました。と,その直後です,学校が壊れたのは。そのue
それと同時に記憶喪失装置が作動しました。記憶喪失装置でもその光の粒子が当たらないと忘れさせることができないようなのです。」

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