若社長VSヒラ社員 (Page 1)
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一応みんなが歌い終わった。時間もかなり経ったので全員カラオケ店から、

あたるが決めた和食メインの居酒屋へ向かう。

あたる「あ〜さっきはちょっとびっくりしたけど、まあまあだったな。」

終太郎「まあまあとは何だ?せっかくめったに聞けない僕の美声を披露してやったのに、

       その言い草は?」

しのぶ「私は面堂君の歌が聞けて良かったわ。これから少しずつでいいから、

       いろんなジャンル聞かせてね。」

コースケ「しかし面堂が演歌なんて意外だったなぁ」

あたる「意外も何も、俺は見当がついてるぜ。どうせ黒メガネの趣味だろう?」

終太郎「…そのとおりだ。子供の頃、子守唄代わりに演歌を歌う黒メガネがいてな、

       自然と覚えてしまったのだ。」

あたる「子守唄代わりに演歌ねぇ…何かスゴイ感覚の黒メガネだな」

そんなことを話していると浮いていたラムが地上へ降りる。

ラム「ダーリン確かこの店だったっちゃね。ついたっちゃ。」

いかにも居酒屋!!という雰囲気の赤提灯がつられた、外見的にもそんなに大きくはない店である。

チビ&カクガリ「飯〜飯〜」

パーマ「腹減ったあああぁぁぁ!!」

あたる「ラム、一言、言っておく。梅酒厳禁。わかったな?

        俺はサンマの黒焼きみたいに、なりたくないぞ。」

ラム「わかってるちゃ」

居酒屋での前例がある為、神妙な面持ちで答えるラム。

あたる「では皆の衆、……突入じゃあああ!!」

あたる、入り口を開けて入っていき、皆もそれに続く。

やはりカラオケ店と同じように居酒屋の中では大きめの畳の部屋を案内されるが全員が入ると、

とても狭い部屋と化した。

そしてみんな好き勝手に、自分の食べたい物を選ぶ。

若社長も何回かこういう店に足を運んだので、料理を自分で選び、

わからない物は素直にしのぶに聞いて選んでいく。

あたる「さて食い物も飲み物もそろったわけだから…いいな…じゃあ、いただきま〜す!」

一同「いただきま〜す!!」

ちゃんと正座して手を合わせてから一同食べだす。

しかし行儀良くしていたのは最初だけですぐに、ワイワイガヤガヤと騒ぎながらご飯を食べだす。

カクガリ「あ〜一日働いた後のビールはうまい〜!!

五臓六腑(ごぞうろっぷ=身体全体)に染み渡るっていうのはこんなもんだな!」

パーマ「ビールばっかり飲んでると太るぞ〜!!っていうか、すでに太ってるか?」

カクガリ「俺、ちゃんとダイエットしてるぜ〜そう見えないかも知れんけど。」

チビ「ほどほどにね〜」

あたる「ま〜とりあえず、飲めや歌えや。」

何だか漫才のような会話に笑う一同。

メガネ「宴会じゃあああああぁぁぁぁ!!!!」

―14―

…居酒屋は戦場と化した。

お皿が次々と積み上げられ、お酒やジュースのコップが空になっていく。

チビ「ああああ〜それ俺の!!頼んだ料理!!」

泣きそうになっているチビ。

あたる「早いもんがちじゃああ!!」

自分が届く範囲以上の周りから、料理を強奪するあたる。

パーマ「こっちだって負けるか〜!!」

怒ったパーマがあたるから料理を取り返す。

コースケ「おしぼり爆弾!!投下!!」

あたるに加勢するコースケ。そばにあったおしぼりをかき集め、投げつける。

あたる「タコヤキ攻撃!!」

注文したタコヤキを皆に投げつけるあたる!!

終太郎「僕の目の前でタコヤキを投げるな!!食うな!!」

激怒した面堂が日本刀をせまい部屋で振り回す。

しのぶ「食べ物を粗末にしちゃだめよ!!」

メンバーの良心、しのぶが怒る。

竜之介「しのぶの言うとおりだ!食い物投げるな!投げるくらいなら俺にくれ!!」

要点がズレている竜之介。

そこはもはや、食い物争奪戦バトルロイヤルのようである。

お酒が入っているせいか、かなり理性が吹っ飛んでいる。

メガネやパーマの何人かはネクタイまではずして頭に巻いて、完全宴会モードに入っている。

メガネ「踊るアホぅと見るアホぅ、同じアホなら踊らなきゃソンソン♪(※1)」

パーマ「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ♪」

コースケ「踊る踊るな〜ら♪、ちょいと東京音頭〜ヨイヨイ!!花の都〜の花の都の真ん中で〜♪(※2)」

カクガリ「野球〜するなら〜こ〜いう具合にしやしゃんせ〜アウト、セーフ、ヨヨイのヨイ♪(※3)」

シャツの袖をまくり上げ、おしぼりでほおっかむりして集団で踊るあたるたち。

その目の前で見ているラム、しのぶ、竜之介、終太郎。

竜之介「…アホの集団だな。」

そう言う竜之介も酒が回っているのか、かなり顔が赤くなっている。

ラム「うち時々、恥ずかしくてついていけないっちゃ。」

しのぶ「毎度の事ながら恥ずかしいわね。…ねぇ面堂くん?」

しのぶの言葉を受けて静かに見ていた若社長。

持っていたコップをテーブルに置いておもむろに立ち上がり、片手を挙げて宣言する。

終太郎「…一番!!面堂〜終太郎!!ロッカーに入ります!!!」


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