「ザット・クレイジー・サマー」第二話 (Page 1)
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〔ザット・クレイジー・サマー〕 第二話

ここは友引高校、時は金曜日の五限目。


”…けだるい、疲れた、もう帰りたい!!”


多くの学生がそう思う時間帯。
無論、友引高校二年四組の約四十名の大半にとっても同じ事であった。

パーマ(あちい)
カクガリ(アイス食いてえな)
チビ(さっさと帰りたいよ〜)
面堂(この学校には空調をつける予算すらないのか)



あたる「…」
ラム「…」
テン「…」



あたる・テン「なんでお前がおるんじゃい!」
錯乱坊「別にいいじゃろう」
あたる「ったく、なんでお前に貴重な自習時間を妨害されなきゃならんのだ!
    この前もせっかくあいつが教材を取りに行くかなんかで職員室に行ったあの夢のような…夢のような時間を
    骨董品を自慢しあうという下らん会話で妨害しおって!やかましくてかなわん!」
錯乱坊「妨害も何もただ耳寄りな話があると…」
あたる「うるさい!お前の話など聞くに値せんわ!」
錯乱坊「何もそんなに言わんでも…」
あたる「うるさい!大体お前の存在自体不愉快じゃ!即刻出て行け!
    …ったく、せっかく鬼の居ぬ間の命の洗濯がようやくできるとおもっとったのに…」

温泉「鬼教師で悪かったな…諸星ぃ」

あたる「げ…なんでお前が・・・」

温泉「見回りだが…お邪魔したようだな…え?諸星君。」
あたる「ご安心を。鬼は鬼でも今横にまとわりついとる鬼嫁よりはましです、はい。」
ラム「だあれが『おによめ』だっちゃ!」
ビビビビビ!

ラム「まったく、うちを鬼嫁呼ばわりして… うちを鬼嫁だなんて…
ビビビビビ!

   まったくおに…『よめ』?
   ダーリン!!」
ビビビビビ!

あたる「…なんだなんだ、いきなり抱きついて」
ラム「ついにうちを妻だと認めてくれたっちゃね!」
ビビビビビ!

あたる「あ…違う違う…なんかその・・・言葉の」
ラム「うち、うち、うれしいっちゃ!」
ビビビビビ!

ビビビビビ!

ビリビリビビ!

あたる「お、俺はどうすれば電撃から逃れられるのだ…
    …なんだ、お前ら、相も変わらずむさくるしい顔しおって…」

テン「いたいけな幼児に向かってなんやその言葉は!」
パーマ「どうせ俺はこんな顔ですよーだ!」
カクガリ「むさくるしくて悪かったなあ!」
チビ「あたるのバカヤロー!」
面堂「貴様、この面堂終太郎を侮辱してくれたな!」
あたる「侮辱ではない、事実じゃ。」
面堂「くうーーーー…!よかろう、諸星ぃ!貴様がその気ならこっちだって…ラムさんの電撃だけで済むとは思うなよ!」

シャッ
ご想像の通り日本刀。

メガネ「あたる!よくも!よおくも俺たちのラムすゎんを!大体『妻』とはなんだ!いいか、貴様が日本人である以上!貴様には日本の法律っちゅーもんが適用されるわけだよわかるあたるちゃん?
    ところが、そのお前が拘束さるべき日本の法律では男子は十八歳にならないと婚姻できない規定になっとる!
    と、いうことは!ラムさんとお前が同い年で高校二年生たる以上!我が愛しのラムさんを『妻』などと決めつけるのは!くわ、くわ、くわたはら痛い行為なのだ!
    …しかーし、いかに笑止千万なこの行為であってもこれは犯罪だ!日本国法に違反する重大な犯罪行為であることには何ら変わりはない!我々はこのような犯罪行為を見過ごすわけにはいかない!
    ゆえにたった今より!わがラム親衛隊最高幹部会は!ラム親衛隊最高会規に則り!この事件に対する警察権と検察権をもってして本容疑者を起訴するに足るかを判断せんがために取り調べを行う!
    諸星ぃー!覚悟はいいか!
    …とはいうものの、だ。この容疑者の行為はあまりに馬鹿馬鹿し過ぎて取り調べの必要がない!まったくこの諸星容疑者のアホとしか!イーヨーのない!
    このケーソツ極まりない行為は取り調べ不要なほどまでに日本国法に明らかに抵触しており!
    またラムさんのコーフクを保証するラム親衛隊最高会規第三条ほかにアッキラカに違反する!よってわがラム親衛隊最高幹部会は諸星容疑者をキソせしめることと決定する!バンザーイ!
    シカシ、シッカシ!諸星容疑者の犯した罪は海よりも深く山よりも高い!万死に値する!通常の裁判ではあまりにも手ぬるく、また本人が更生されるとは到底思えない!
    このような犯罪を犯した容疑者には!ただ、ただ人民裁判あるのみだ!当然ながら証言も弁解も罪状認否も本人確認も弁護人もパスポートも必要ない!
    ついてはラム親衛隊最高幹部会最高法規に則り親衛隊人民裁判を開始する!被告の犯罪の重大性を鑑みると!裁判のまどろっこしい手続きを受けさせることなど天地がひっくり返ってもできない!
    しかるに親衛隊人民裁判細則によって手続きはすべて不要として、省略する!
    被告人、前に立てえーーィ!判決を言い渡す!

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