「諸星の奴、事もあろうにドッペルゲンガーの分際でラムさんにキスを迫るとは！刀の錆にしてくれる！！」と言った。その時、メガネが何かに気づいた様に我に返り、その直後真っ赤な顔がみるみり青ざめて
　「そ、そ、そのあたるは・・・ドッペルゲンガーなんかじゃない・・・」と言った。それを聞いていたチビがメガネに
　「え？じゃぁ、なんなんだよ？」と言うと、面堂も我に返り神妙な顔つきで
　「バイロケーション」と、ボソっと言った。面堂の言葉にパーマが
　「バイロケーションって何だ？」と面堂に聞くと、面堂は
　「ドッペルゲンガーは、人と接触する事は無い。何故なら、ドッペルゲンガーに意思は無いと言われてるからだ。しかし、バイロケーションは意思を持っていて自分の意思で行動する。だから、人とも接触するし本人と全く同じ行動をとるんだ」と説明した。それを聞いたカクガリは
　「す、すると・・あのアホのあたるがもう一人いるって事に？」と言い、更にパーマが
　「一人でさえ、ろくな事が起きないのに二人なんて・・・想像したくもない・・・それで、バイロケーションも本人が対峙すると死ぬのか？」と面堂に聞いたが、面堂は
　「それは、どうかな？僕もあまり詳しい訳では無いのでね」と言い、ラムの方を向いて
　「とにかくラムさん、早く諸星を探した方がいいと思います」と言った。すると突然廊下の方から
　「俺がどうかしたか？」と声がした。その声に一同は一斉に声の方を見ると、そこにはあたるが不思議そうな顔でこちらを見つめている。それを見てラムが
　「ダーリン！何処に行ってたっちゃ！？」と言いながら、あたるの所に飛んで行った。そして
　「ウチ、さっきもう一人のダーリンに会ったっちゃよ」とラムがあたるに言うと、あたるは
　「なに！それでもう一人の俺は何してたんだ！」と言いラムの肩を掴んだ。ラムは
　「もう一人のダーリンは、ガールハントしてたっちゃ」と言いあたるを白い目で見た。しかし、あたるはラムの視線など気にせずに
　「なにぃぃぃぃぃ！」と言った。ラムは、あたるを落ち着かせようと
　「ダーリン！とにかく落ち着くっちゃ！」と言ったが、あたるは
　「アホ！これが落ち着いてなぞ居られるか！」と言った。パーマはそんなあたるを見て
　「だよな、とても落ち着いて居られる状態じゃないよな」と言い、続けてチビが
　「そ、そうだよな。だって、死ぬかも知れないんだろ？」と言ってメガネの方を見た。メガネは、何も言わずに黙っている。
　そんな言葉は耳に入らないのか、あたるは興奮気味に
　「このままじゃ、ヤツにみ〜んな女を取られてしまうではないか！！！」と言った。その言葉でラムを始め、一同は激しくコケた。そんな中、メガネが
　「や、やはりな。あたるの考えそうな事だ」と言った。あたるの言葉でコケたラムは、起き上がりながら
　「ダーリンがそんなだから、あんな変なヤツが現れるっちゃーーーーっ！！！！」と言って、あたるに電撃を食らわせた。
　メガネは、ラムの電撃でプスプスと煙を上げているあたるを見て
　「とにかく、あたるのヤツをバイロケーションに会わせない様にしないとな」と言った。そして、面堂も
　「そうだな、まずは僕達でバイロケーションを探しに行こう。ラムさんは、諸星が学校から出ない様に見張っていて下さい」と言った。ラムは
　「分かったっちゃ！」と言うと、頷いた。面堂と、メガネ達四人組はもう一人のあたるを探しに学校を出た。

　友引商店街まできた一行は、あたるの痕跡を探してみたが、それらしき物は見つからなかった。その時、チビがポツリと呟いた
　「本当にもう一人のあたるなんて居るのかなぁ？」その言葉に、面堂・メガネ・パーマ・カクガリはピタリと足を止め、ゆっくり振り返りチビを睨み付け
　「おい、チビ。お前はラムさんが嘘をついたと言いたいのか？」メガネが穏やかに言った。しかし、その眼は決して穏やかではなく瞳の奥では怒りの炎が燃えていた。ほかの3人の眼も、厳しくチビを睨んでいる。チビはたまらず
　「い、いや違うんだよ！そう言う意味じゃないんだ！」と、今にも泣き出しそうな顔でメガネに訴えた。しかしメガネは
　「何が違うんだ？お前は、事もあろうことかラムさんの言った事を疑い、それを口にした。それがどう言う事か分かるな？チビ。極刑は免れない、覚悟しておけよ」と言った。それを聞いたチビは、顔を青ざめて
　「メ、メガネ〜、ゴメンよ〜俺が悪かったよ〜許してくれよ〜、友達だろう？」と言って、メガネにしがみついた。しかしメガネは、そんなチビを払いのけ
　「友達？ラムさんの事を疑う奴など、友達でも何でもない！」と言ってチビを睨み付けた。チビは
　「そ、そんなぁ」と言って目に涙を浮かべメガネを見つめた。それを見ていたメガネは
　「そんなに許して欲しければ、行動で示せ！！」と言って、もう一人のあたるの捜索を再開した。チビは