夜…… (Page 1)
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〔夜……〕


「覚悟しろ、ジャリテン!今日の朝飯のうらみはらさでおくべきか〜〜〜〜」
「それはこっちのセリフや!」
「ふん!」 ボコッ!
「い、痛いやないけ!かよわい幼児になんちゅう仕打ちを…」

ガコン!

「口笛なんか拭いて澄ました顔しくさったってごまかされへんで!大体幼児に…」
「半分ませたガキじゃないか」
「…それどういう意味や?意味によってはただじゃ〜ぁすまさへんど」
「……いいか、お前みたいに幼児らしくない幼児に自分は幼児だといわれてもいまいち説得力に欠けるんじゃ!」
「だったらなんや?」
「そ〜じゃな、そこら辺の赤ん坊みたいに泣いてわめいてでもおれば認めてやらんことは(スゥーゥ・・・)…あ、待て!待て!」
「おんどれ、わいをなんやとおもっとるんや!天誅じゃぁ〜〜〜い!!」(すぅーーっ・・・・・)
「待てって言っとるのがわからんのか!そっちは…」




「ダーリンがテンちゃんをいじめるからだっちゃ。よしよしテンちゃん、こっちくるっちゃ。」
「うあぁぁぁん…あたるのアホぉ!」
「アホアホ言うなっ。今俺は機嫌が悪いんだぞ!そもそも、今日の朝飯の卵焼きを横領したおまーが悪いんじゃ、俺に怒るのは筋違いだ!とにかく俺に非はないぞ」
「よーのうのうとそないなことゆえるな〜、昨日の夜わいに片っ端から白滝を押し付けた奴はどこのどいつやったやろかなぁ・・・」
「うるさい!大体おとといコロッケを独り占めしたガキの言うセリフか!」
「そんな昔を持ち出すんならワイにも考えが・・・」
「テンちゃん?(訳=これ以上火を噴いたらどうなっても知らないっちゃよ)」(目力がすごい)
「黙らんかい!…あ、ラムちゃんやったか、あ、あ、すんまへん、あははははは・・・」
「へへ、ラムには頭の上がらんいくじなし〜べろべろベーっだ」

(お、おんどりゃ〜…あたるはあとでステーキやな…)

「もうっ!二人とも口げんかするんじゃないっちゃ。さぁ、テンちゃんもダーリンもさっさと寝るっちゃよ〜…といっても、物置がくろこげじゃ・・・ね?ダーリン・・・(ハート)」



ラムがこちらを見る。だからこっちは不機嫌だ。
さっきから怒っているようでまったく怒っていない。言葉の端々に嬉しさがにじみ出ているのがよ〜くわかる。
どうせ「またダーリンと一緒に寝れるっちゃ!」とかなんとか思っているに違いない。あのガキに対してもっとガツンと言ってやらねばならんのに、
自分の都合だけでいとも簡単に本来憂うべき事項をこれ幸いと喜ぶ、その根性が気に食わんのじゃああぁ〜!
…オホン、話を戻そう。
私が今何を恐れているか、それはラムと一緒に寝ることだ。どうせあの耐電スーツを着せられるのがオチだし、第一内心テンが物置を燃やしてラッキーと思っている今日のラムは全くいけすかない。
かといって、親にヘルプを求めたところで…

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「よそ様の娘さんをこんな煩悩の塊と一緒に寝させるなんて!あたる、寝袋を貸してあげるから野宿しなさい」
「母さん、やりすぎだ。外はいくら何でも、体裁ってもんがあるし……。そうだあたる、台所で布団かぶってなさい」
「台所だと食べ物食べつくしちゃうから…お風呂場で寝なさいよ」

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…我ながらこの二人の息子であったかどうか疑わしく感じてきたが…とにかく、野宿や台所だけはずえったいに避けねばならない。
ラムはテンを下で寝させたがっていたが、俺が止めさせた。そんな不自然なことやってみろ!母さんたちに問い詰められて結局上のような会話まっしぐらだ!…

……………ふぅ…







「ダーリン寝ないのけ?」

俺が悶々としているのも知らないで、このアホ。
いろいろとあーでもないこーでもないと頬杖ついてボーっとしていた。ふっと時計に目をやると、あっという間に日付が変わっていた。もうテンはとっくに寝ている。
布団がはだけきっとる。風邪になってしまえ!

…う〜〜〜ん、いよいよ困った。これ以上起きていると学校はともかく母さんたちがうるさい。ばれるのだけは避けたい!こうなったら添い寝もやむなしか…

にこにこ「うふふっ。添い寝だっちゃ添い寝だっちゃっ。」

…声に思いっきりでとるぞ。…ったくしょうがないな…


「おいラム、耐電スーツをもて」
「あ、ダーリン添い寝してくれるのけ?うれしいっちゃ!やっぱりうちらは夫婦だっちゃね!」
「………」

夫婦なんて誰が決めた、アホ。


「じゃ、電気消すっちゃ。うふふふっ」
「………」

期待しても何もないのに、やたら艶めかしい目をしてこっちを見ている…。これじゃそわそわしたくなくてもそわそわするじゃないかっ。
大体耐電スーツを着て何ができるっちゅ〜んじゃ。


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