うる星やつら―アナザーワールド― エピソード5 (Page 1)
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  うる星やつらーアナザーワールドー
      エピソード 5

 サクラはあたるを離すと
 「実は、叔父上が2人になったのじゃ……」と言った。
サクラの言葉にその場に居た一同は、固まり異様な雰囲気に包まれた。そんな中、最初に言葉を発したのはラムだった。ラムは
 「チェリーが2人って、それってもしかして……」と言うとサクラは
 「うむ、実は先刻の事じゃが友引商店街の方から禍々しい気配を感じてな、例の喫茶店の所に行ってみたのじゃが、そこで2人の叔父上に会ったのじゃ」と言った。するとあたるが
 「よく、ただでさえ不気味なチェリー2人に会って、平気だったな」と呆れて言うと、サクラは
 「平気な訳かなろう!私も最初は物の化か何かだと思ったのじゃが、やり合ってみてそれが間違いなく叔父上だと分かったのだ」と言い、更に
 「どうやらもう一人は向こうの世界の叔父上らしいのじゃが、本人も分からないらしい」と言った。それを聞いた面堂は
 「そんなバカな!自分がもう一人居て気が付かないはずはない!」と言ったが、あたるが
 「いや、チェリーなら可能性は有る。只でさえ妖怪じみているんだ、自分がもう一人居ても気にせんだろう」と言った。サクラは黙って聞いている。あたるの言葉を聞きメガネが
 「ちょっと待て、と言う事は……もう一人の自分と対峙しても大丈夫だと言う事か?」と言うと、あたるは
 「いや、相手はあのチェリーだ。俺達の様な普通の人間とは違う。必ずしも大丈夫とは言えんだろう」と言った。すると面堂も
 「確かに諸星の言う通りだ。やはり会わない様に注意するに越した事はない」と言い、結局その日も面堂の家に泊まる事になった。
 そして、その夜に面堂のところにサクラから電話が有り全員喫茶ピグモンの所へ来る様にとの事だった。時間は既に夜の11時を廻っており、みんな寝ようとしていた所への呼び出しで面堂邸を出るまでに結構時間がたってしまい、ピグモンに着いた時には深夜12時を廻っていた。あたる達がピグモンに近づくと、そこにはサクラと二人の錯乱坊と、見慣れた顔の人物が待っていた。それを見てメガネが
 「チェリーが2人居ると言うのは、本当だったのか」と呟いた。続いてあたるが
 「あれは……温泉?」と言うとラムも
 「本当だっちゃ、温泉先生だっちゃ」と言った。あたる達がサクラ達の所へ着くと、サクラは
 「すまんなこんな時間に呼び出して。実は昨日の夕方から感じておったのだが、深夜になり禍々しい気配がかなり強くなってのう、叔父上と来てみれば……こやつがおったのだ」と言って温泉マークの方を見た。するとあたるが
 「全く、突然居なくなったかと思えば、こんな時間にいきなり現れおって、人騒がせな奴じゃ」と言った。するとサクラが
 「問題は、こやつは向こうの世界の者の可能性が高いと言う事じゃ」と言うと面堂が
 「何ですって?」と言い、続いてしのぶが
 「じゃぁ、こっちの先生は……」と言うとサクラは
 「あぁ、恐らく向こうに居るのであろう」と言った時あたるが
 「しかし、何故こいつが向こうの温泉だと?」とサクラに疑問を投げ掛けた。するとサクラは
 「それなのだが……こやつの話だと向こうの世界では、わたしは教師はやっておらんらしい」と言った。するとそれまで黙っていた温泉マークが虎縞ビキニ姿のラムを見て
 「おい!君、誰だか知らんがこんな時間に、しかもそんな姿でウロウロしてはいかん!わたしも高校で生活指導の教師をしている以上、このまま見過ごすわけにはいかないぞ!」と言うと、あたるの方を向き
 「おい諸星、お前の知り合いか?」と言った瞬間、あたるは温泉マークを踏み潰し
 「話がややこしくなる。お前は黙っとれ」と言った。踏みつけられた温泉マークは
 「諸星、貴様こんな事してただで済むと思うなよ!お前には英語の単位やらんからな」と言うと、あたるは
 「あぁ、どうにでもしてくれ。どうせ困るのは向こうの俺だからな」と言うと、続けて
 「こいつラムの事を知らん様だし、確かに向こうの温泉らしいな」と言った。あたるに踏みつけられて、あたるの話を聞いていた温泉マークは
 「向こうの世界だの訳の分からん事ばかり言いおって、早くこの足をどけろ!」と言ったが誰も温泉マークの言葉には耳を傾けず話を続けた。それまで何かを考えている様子だっ面堂が
 「前にラムさんが会った向こうの世界の諸星も、ラムさんの事を知らない様子だったっていいましたよね?」とラムに聞いた。するとラムは
 「うん……」と言い、それを聞いた面堂は
 「ここに居る向こうの世界の温泉先生もラムさんを知らない様子……」と言うと、メガネが
 「まさか……」と言い、面堂は軽くうなずくと
 「恐らく向こうの世界には、ラムさんは存在しない……」と言った。それを聞いたあたるは
 「何?ラムの居ない世界?」と言い、ラムは
 「向こうには、ウチは存在しない……」と言い、急に不安になった。そんなラムを見てあたるは

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